コンサルティングファームへの転職を考える際、多くの方が抱く疑問は「コンサルタントって実際どんな仕事をしているの?」「キャリアパスはどうなってるの?」というものでしょう。様々な業界・業種のクライアントに対してソリューションを提供するコンサルタントの仕事は、外から見ると具体的なイメージが湧きにくいものです。
ONE CAREER PLUSがコンサル転職に必要な知識・ノウハウを丸ごと解説するシリーズ「コンサル転職:完全攻略ロードマップ」第3回となる本記事では、コンサルタントの基本的な仕事内容から、コンサル社内のキャリアパスまで、包括的に解説します。さらに戦略コンサル、総合コンサル、ITコンサルと、各種別ごとの特徴や仕事内容の傾向も紹介します。
コンサルタントの仕事内容って?
コンサルタントとは、端的に言えば「企業のお医者さん」です。クライアント企業が抱える課題に対して、解決策を提案し、実行を支援する仕事です。
医師が患者の問診から症状を理解し、検査・知識をもとに原因を特定して処方するように、コンサルタントもクライアントの課題をヒアリングし、リサーチや分析を用いて原因を特定し、最適な解決策を提示します。さらに、解決策の実行や効果測定までフォローするのがコンサルタントの役割です。
コンサルタントが携わるプロジェクトは多種多様であり、「新規事業立案」「コスト削減策の提案」「在庫管理のボトルネック特定と改善策提示」など、クライアントによって取り組む課題は大きく異なります。
共通しているのは、常にチームで課題解決に取り組み、クライアントをサポートする点です。また、コンサルタントはあくまで黒子の立場であり、実際に意思決定をして成果を実現するのはクライアントです。重要なのは、コンサルタントが提供する価値は、関わるクライアント、案件、自身のスキルレベルによっても大きく変わる点です。

高い市場価値を持つコンサルタントは「ディスカッションパートナー」として経営課題を抱えたクライアントと議論しながら課題解決に取り組む一方、代替可能性が高いコンサルタントは「タスクドゥーアー」としてクライアントが実行できないタスクを代行するにとどまります。
また、コンサルタントが対峙するクライアントのレベル感も重要です。CxOレイヤーの高い視座での課題に取り組めるか、それとも現場メンバーレベルの改善にとどまるかで、成長機会と市場価値に大きな差が生まれます。
したがって、コンサル転職を考える際には「課題の視座の高さ×自分の市場価値」で自身の時間価値を測り、どのようなファームでどのようなポジションを目指すべきかを慎重に検討する必要があります。
▼コンサルタントの仕事についてもっと知りたい方はこちら
コンサルタントの主な役職とキャリアパス
コンサル社内の役職と求められる役割
コンサルティングファームの役職は大きく分けて以下のような段階に分かれています。ファームによって呼称は異なりますが、基本的な構造は共通しています。
1. アナリスト(ビジネスアナリスト)
新卒または第二新卒で入社した場合のスタート地点です。チームメンバーとして、上位者からの指示のもとでリサーチや分析、資料作成などを行います。コンサルタントとしての基礎スキルやお作法を身につける期間です。
2. コンサルタント(アソシエイト)
クライアントとのコミュニケーションや提案書の作成、小規模のチームを束ねてプロジェクトの一部をリードする役割も担います。キャリア入社の多くはこのポジションからスタートします。
3. シニアコンサルタント(シニアアソシエイト)
プロジェクトにおいて特定のテーマや領域に責任を持ち、プロジェクト全体の業務遂行をリードします。クライアント担当者とのやり取りも引き続き中心的な役割を担います。
4. マネージャー(エンゲージメントマネージャー)
プロジェクトの現場責任者としてクライアントを含めたプロジェクトチームをリードします。また、社内のプロジェクトメンバーのマネジメントやクライアントの経営層との関係構築も担当します。ファームによって異なりますが、マネージャーから営業目標が課されることが多くなります。
5. シニアマネージャー
大規模プロジェクトや難易度の高いプロジェクトの現場責任者としての役割を担います。担当プロジェクトを起点に、プロジェクトの継続・拡大や新規提案の機会を創出します。
6. ディレクター(アソシエイトパートナー)
プロジェクトおよびアカウントマネジメントの総責任者としての役割を担います。会社の中長期的な成長をけん引し、ブランド力やプレゼンスを向上させる役割を果たします。
7. パートナー
ファーム運営や事業拡大に責任を持つ役割であり、一般的な企業の「取締役」に相当します。各部門の責任者として、あるいは部門内の各専門チームの責任者として事業運営を統括します。
ファームごとに特色があり、例えばマッキンゼーの場合、新卒または第二新卒はビジネスアナリストからスタートし、MBA取得者や有名企業経験者はアソシエイトから入社することが多いとされています
コンサルの各役職における年収:MBB、BIG4などの役職別年収は?
コンサルティングファームにおける年収は、役職が上がるにつれて大きく上昇する傾向にあります。戦略コンサルと総合コンサルでは年収レンジに差がありますが、いずれも一般企業と比較して高水準であることが特徴です。
ONE CAREER PLUSの独自調査によると、主要コンサルティングファームの役職ごとの年収は以下の通りです。
<戦略コンサル>
▼マッキンゼー:詳細はこちら

- ビジネスアナリスト:600〜900万円
- アソシエイト:1,600〜2,200万円
- エンゲージメントマネージャー:2,500〜3,200万円
- アソシエイトパートナー:3,500〜4,000万円
- パートナー:5,000万円〜数億円
- シニアパートナー:数億円〜
▼ボストン コンサルティング グループ:詳細はこちら
- アソシエイト:700〜800万円
- シニアアソシエイト:1,075万円
- コンサルタント:1,600〜1,900万円
- プロジェクトリーダー:2,200〜2,500万円
- プリンシパル:3,000〜3,500万円
- パートナー:4,000〜5,000万円
- マネージングディレクター&パートナー:1億円程度〜
- シニアマネージングディレクター&パートナー:3億円程度〜
▼ベイン・アンド・カンパニー:詳細はこちら

- アソシエイトコンサルタント:600〜900万円
- コンサルタント:900〜1,400万円
- ケースチームリーダー:1,500〜2,500万円
- マネージャー:2,000〜3,000万円
- パートナー:5,000万円〜
<総合・ITコンサル>
▼デロイト トーマツ コンサルティング:詳細はこちら

- アナリスト(A):450〜650万円
- コンサルタント(C):600〜800万円
- シニアコンサルタント(SC):700〜1,000万円
- マネージャー(M):900〜1,400万円
- シニアマネージャー(SM):1,300〜1,800万円
- ディレクター(D):1,700〜2,500万円
- パートナー(P):3,000万円〜
▼KPMGコンサルティング:詳細はこちら
- ビジネスアナリスト:400〜600万円
- コンサルタント:550〜750万円
- シニアコンサルタント:650〜850万円
- マネージャー:800〜1,200万円
- シニアマネージャー:1,100〜1,500万円
- ディレクター:1,600〜2,500万円
- パートナー:3,000万円〜
▼EYストラテジー・アンド・コンサルティング:詳細はこちら
- コンサルタント:550〜650万円
- シニアコンサルタント:650〜850万円
- マネージャー:850〜1,500万円
- シニアマネージャー:1,500〜2,000万円
- ディレクター:2,000〜3,000万円
- パートナー:5,000万円程度
▼PwCコンサルティング:詳細はこちら
- アソシエイト:550〜900万円
- シニアアソシエイト:750〜1,250万円
- マネージャー:1,100〜1,500万円
- シニアマネージャー:1,500〜2,000万円
- ディレクター:1,800〜2,500万円
- パートナー:3,000万円〜
▼アクセンチュア:詳細はこちら
- アナリスト(ML11):500〜650万円
- シニアアナリスト(ML10):600〜750万円
- コンサルタント(ML9):750〜900万円
- マネージャー(ML7):1,000〜1,400万円
- シニアマネージャー(ML6):1,200〜1,800万円
- ディレクター(ML4/5):1,800〜3,000万円
▼ベイカレント・コンサルティング:詳細はこちら

- アナリスト:500〜700万円
- コンサルタント:700〜900万円
- シニアコンサルタント:900〜1,300万円
- マネージャー:1,200〜1,500万円
- シニアマネージャー:1,400〜2,000万円
- アソシエイトパートナー/パートナー:1,900万円〜
全体的に、戦略コンサルは総合コンサルと比較して各ポジションで1.5〜2倍程度の年収差があります。特に上位職になるほどその差は顕著になり、パートナークラスでは数億円の年収を得ることも珍しくありません。
コンサル業界では実績や能力に応じた成果主義的な評価が一般的であり、同じポジションでも個人の市場価値によって年収に大きな差が出ることも特徴です。
各種別における仕事内容の傾向
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントとは、クライアント企業の経営戦略の立案や大きな経営課題の解決支援を行う専門家です。主にクライアント企業のCxOや事業部長といった経営層に近いレイヤーと協働し、中長期的な経営の方向性を定めるサポートを行います。
戦略コンサルタントの具体的な仕事内容としては、以下のようなものが挙げられます:
- 新規事業戦略の立案と実行支援
- M&A戦略の策定と実行支援
- 組織改革の立案と実行支援
- 海外展開戦略の策定
- 中長期経営計画の策定
- 事業ポートフォリオの最適化
- コスト削減策の立案と実行支援
戦略コンサルタントの強みは、多様な業界・企業の成功事例や失敗事例の知見を持ち、それらをもとに最適な戦略を提案できる点にあります。
またデータに基づく客観的な分析と論理的な思考プロセスによって、クライアント企業では気づきにくい課題や機会を発見することも重要な役割です。
近年の傾向として、戦略立案だけでなく「インプリメンテーション(実行支援)」の領域まで踏み込んだサービス提供が増えています。単なる提案に終わらず、クライアントと共に現場に入って戦略を実行し、成果を出すところまで責任を持つ姿勢が求められるようになっています。
戦略コンサルタントに求められるスキルとしては、論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ、分析力などが挙げられます。これらのスキルを武器に、クライアント企業の経営層を説得し、大きな変革を推進する役割を担います。
▼戦略コンサルタントの仕事について、もっと知りたい方はこちら
総合コンサルタント
総合コンサルタントとは、クライアント企業の幅広い経営課題に対してソリューションを提供するコンサルタントです。戦略コンサルタントが主に経営戦略の立案に特化しているのに対し、総合コンサルタントは戦略立案から実行支援まで一貫したサービスを提供することが特徴です。
総合コンサルタントの具体的な仕事内容としては、以下のようなものが挙げられます:
- 経営戦略の立案と実行支援
- 業務プロセスの改善
- 組織・人事制度の設計
- システム導入支援
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- グローバル展開支援
- PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)
総合コンサルタントの強みは、戦略立案からその実行までをワンストップで支援できる点にあります。クライアント企業の経営層から現場まで幅広いステークホルダーと関わり、組織全体の変革を推進します。
また、近年の傾向として、デジタル技術の活用やDX推進の案件が増加しています。ビジネスとITの両方の知見を持ち、デジタル時代における企業変革をリードできる人材の需要が高まっています。
総合コンサルタントに求められるスキルとしては、論理的思考力や問題解決能力に加え、プロジェクトマネジメント能力、チームリーダーシップ、クライアントとの関係構築能力などが挙げられます。また、特定の業界や業務領域に関する専門知識も重要です。
▼総合コンサルタントの仕事について、もっと知りたい方はこちら
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、クライアント企業の経営課題をITを活用して解決する専門家です。単にITシステムを導入するだけでなく、企業の経営戦略やビジネスプロセスを理解した上で、最適なITソリューションを提案・実装する役割を担います。
ITコンサルタントの具体的な仕事内容としては、以下のようなものが挙げられます:
- IT戦略の立案
- システム選定・導入支援
- 業務プロセスとITの融合設計
- デジタルトランスフォーメーション(DX)推進
- データ分析・活用戦略の策定
- セキュリティ対策の立案と実装
- クラウド移行戦略の策定と実行支援
ITコンサルタントの強みは、ビジネスとITの両方の知見を持ち、経営課題解決のためにテクノロジーをどう活用すべきかを提案できる点にあります。クライアント企業のIT部門と他部門の橋渡し役となり、全社的な価値創出を支援します。
特にDXが企業の重要課題となっている現在、ITコンサルタントの需要は高まっています。従来型のシステム導入支援だけでなく、AIやIoT、クラウドなどの最新テクノロジーを活用したビジネス変革の支援など、活躍の場は広がっています。
ITコンサルタントに求められるスキルとしては、以下の4つが重要です:
1. 専門とする業界の知識や経験:クライアントの業界や業務への深い理解
2. 対人関係能力(コミュニケーションスキル):クライアントの真のニーズを引き出し、納得感のある解決策を提案する能力
3. 論理的思考力(ロジカルシンキング):複雑な課題を整理し、論理的に解決策を導き出す能力
4. キャッチアップ力:新しい技術や知識を素早く習得し、ビジネスに活かす能力
IT業界の急速な変化に対応するため、ITコンサルタントには常に新しい知識や技術を学び続ける姿勢が求められます。また、技術的な知識だけでなく、ビジネス感覚やプロジェクトマネジメント能力も重要です。
▼ITコンサルタントの仕事について、もっと知りたい方はこちら
まとめ
ここまで、コンサルタントの仕事内容、コンサル社内のキャリアパス、各種別の特徴について詳しく解説してきました。コンサル転職を検討する際には、これらの情報をもとに自分に合ったキャリアプランを考えることが重要です。
まず、自分の強みや興味・関心領域を整理し、戦略・総合・ITのどのタイプのコンサルタントを目指すべきかを検討しましょう。また、短期的なキャリアゴールだけでなく、5年後、10年後のキャリアビジョンも含めて考えることが大切です。
コンサルタントという職業は、常に高い成果と成長が求められる厳しい世界でもありますが、その分だけ成長機会と報酬も大きい魅力的なキャリアパスです。本記事の情報をもとに、あなたのコンサル転職を成功させる第一歩としていただければ幸いです。
次回「コンサル転職:完全攻略ロードマップNo.4」では、コンサルタントに求められる資質について詳細に見ていきます。実際にコンサルタントに転職した人のデータを参考にしながら「自分にもコンサル適性があるのか」を判断する参考にしてください。
【参考情報】
・【図解】コンサルキャリアまるわかり講座 Section 2 『コンサルタント』ってどんな仕事?
【コンサル転職:完全攻略ロードマップ、他のシリーズはこちら】
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