どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
ここ最近、大手戦略系/総合系コンサルファームにおける社長交代のニュースが立て続けに出ています。
様々なビジネス系メディアでも大きく取り上げられており、今や一大産業となったコンサル業界が、リーディングカンパニーの社長交代をうけ、どのような変化を遂げていくのか、注目が集まっていると言えます。
とはいえ、オーナー企業の社長が交代して組織のカルチャーがガラっと変わる、なんてケースとは異なり、即座に大きな変化が起きるなんてことはまずなく、ゆっくりと時間をかけて、じわじわと方向性が変わっていくものと思われます。
このようなニュースを見るときに大事なのは、単に「誰が新しいトップになったか」という断面的な情報ではなく「グローバル全体で、日本法人の役割がどう変わっていくのか」「どんな役割をもった人がトップになったのか」という、中長期的な時間軸をイメージしながらグループ全体を俯瞰してみることです。
2025年後半頃からは、以下のような社長交代のニュースが飛び交っていましたので、これらを題材に、ニュースの読み解き方について少し解説をしていきたいと思います。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)
2025年7月、服部奨氏が日本支社長兼北東アジア総責任者に就任し、前任の佐々木靖氏はアジア・パシフィック会長に就任。
(参考)BCG、アジア・パシフィック会長に佐々木 靖が就任、日本支社長には服部 奨が就任
アクセンチュア
2025年12月、濱岡大氏が代表取締役社長に就任し、前任の江川昌史氏は代表取締役会長に就任、引き続きAPAC共同CEOを務める。
(参考)アクセンチュア株式会社、次期社長に濱岡 大を選任 現社長の江川 昌史は会長に就任
A.T.カーニー
2026年1月、針ヶ谷武文氏が代表取締役に就任し、前任の関灘茂氏は、アジア・パシフィック代表および日本法人会長に就任
(参考)A.T. カーニー 日本代表交代のお知らせ
アーサー・ディ・リトル・ジャパン(ADL)
2026年2月、日本代表にはパートナーの祖父江謙介氏が、アジアクラスター統括にはマネージングパートナーの大原聡氏が就任。前任の原田裕介氏は定年退任し、パートナー・ エメリタス(名誉パートナー)に就任。
(参考)2月1日より、アジアクラスター統括に大原聡が就任、日本代表には祖父江謙介が就任 | Arthur D. Little
デロイトトーマツグループ
2026年2月、長川知太郎氏が6月1日付で最高経営責任者(CEO)に昇格する人事を発表。グループのトップはこれまで監査法人の出身者で、コンサル出身者は初。現職の木村研一氏は退任予定。
(参考)デロイト トーマツ グループの次期ボード議長およびグループCEOが決定
1.トップ交代には「2つの構造」がある
1-1.国内完結型
ひとつ目は、日本法人内で完結するトップ交代です。
任期満了や前任者の退任にともなうもので、そのときそのときのトップの考え方や経営方針は異なってくるものの、大きな流れとしては既存戦略の延長線上での経営を続けるもの、というイメージです。
今回のデロイトのように、特にBig4各グループにおける、監査法人/コンサル/FASなどの各法人の社長交代や、グループ全体の代表の任期満了による交代などのニュースは定期的に見られます。
1-2.グローバル昇格型
もうひとつは、現社長がAPACやグローバルの要職に就き、後任を日本法人社長に据える構造です。
これは単なる国内人事ではなく、各ファームのグローバル全体を見たときの日本拠点の位置づけとも関係してくるもので、日本法人の業績や組織運営への高い評価を背景として、日本法人出身者がグローバル経営に関与する、というものです。
Big4でもAPAC等の各リージョンやグローバル全体で、監査やコンサルなどのサービスライン単位での品質責任者に就く、というケースもありますが、直近で行われたBCG、アクセンチュアなど大手外資系コンサルファームにおける、日本法人トップのグローバル経営への関与強化は、各グループにおける日本法人のプレゼンスの高まりとセットで評価すべきであり、より注目の高いニュースであると言えるでしょう。
2.トップ交代で”変わりうる”こと
では、トップが変わると、各社の運営としてどのような変化が起こるのでしょうか。
2-1.経営メッセージとしての最重要テーマ
まず分かりやすいのは、トップとしてどのような経営テーマを重視するか、というメッセージです。
成長に向けた投資を拡大するのか、収益性を高めるのか、採用や育成を強化するのか、グローバルとの連携を強めるのか…、トップは「何を最重要テーマとすべきか」を決める存在です。
これにより社内の制度やプロジェクトの進め方がすぐに大きく変わるわけではありませんが、トップが繰り返し語るテーマは、採用や投資、パートナー配置に徐々に影響を与えてきます。
2-2.リソース配分と注力領域
特に人員規模や採用方針といったリソース配分に関わるものや、どのような価値をクライアントに提供していくのかといったプロジェクトの注力先に関わる方針については、組織のカルチャーやプロジェクトの提案・デリバリーのあり方が大きく動く可能性があるものでもあり、注目が欠かせません。
直近のトレンドとしては、自社運営やプロジェクト推進の現場最前線にどの程度までAIを普及させるか、その結果により、各ファーム内における必要な人材の定義や役職のバランスがどのように変わるか、については日々様々なニュースが飛び交っているかと思います。
2-3.日本拠点の戦略的位置づけ
冒頭で紹介した大手コンサル各社のトップ交代のニュースについて
- BCG:日本人のアジア・パシフィック会長就任はグループ史上初
- アクセンチュア:前日本法人社長が後任と交代し、自身は日本法人会長を兼務しつつAPAC共同CEOに注力
- カーニー:前任社長がアジア・パシフィック代表兼日本法人会長に就任
- ADL:前任が兼任していたアジアクラスター統括、日本代表を個別に設置
と、何らかの形で、日本法人出身者がグローバルの要職に就く/関与を強めるケースが相次いでいます。
これまで、外資系コンサルファームの日本法人といえば、グローバルが定めた方針に沿って、一拠点としてのビジネスを推進していく、といったイメージが強かった面があると思います。
今後は日本発の知見や考えがグローバル全体の経営に展開される、といった動きも想定しやすくなり、日本拠点の重要性がこれまで以上に高まっている局面と整理するのが自然でしょう。
3.クライアントや現場からみた変化
3-1.クライアント視点では
コンサルファーム側の体制が大きく変わったからといって、クライアントに対する対応も大きく変わるかというと、必ずしもそうではありません。
優先されるべきは、あくまでクライアントのビジネス強化であり、コンサルファームはその実現のために提案・デリバリーを行う、という基本的なあり方は変わることはないでしょう。
ただ、クライアントが抱える課題自体が、グローバル経営の強化、テクノロジーの活用、オペレーションの中長期的な改革、など難易度が高く規模の大きいものとなる場合、コンサルファームとしてそれに応える余地が高まっていく、という見方はできるはずです。
課題解決のソリューションの選択肢が増える、より多様な専門性をもつ人材の関与が増える、といった面では、クライアントにとってもメリットのある体制変更、と言えるかもしれません。
3-2.現場のコンサルタント視点では
プロジェクトの現場で働く個々のコンサルタントの視点からは、そこまで大きな変化があるようには見えないかもしれません。
大局的な組織の体制やカルチャー変化の波より、個人的なキャリア構築のスパンの方がずっと短く、最新テクノロジーの活用や、クライアントの課題に即したテーマの提案・デリバリーを臨機応変に行うことは、トップ交代の有無にかかわらず常に意識すべきこととなるからです。
また、評価、昇進、プロジェクト管理などの仕組みも、長くそのファームの中で培われてきたものであり、これらもまた経営体制の刷新に合わせて短期的に移り変わっていくものではありません。
ファームに所属するコンサルタントとしては、日々のデリバリー品質やプロジェクト運営に真摯に向き合いつつ、中長期的な視点で自社、ひいては業界全体が今後どう変わっていくのかを考えるきっかけとするのがよいかもしれませんね。
おわりに:「トップ交代=世代交代」でもあるけれど…
相次ぐトップ交代のニュースを見ていて「個人的に面白いな」と思ったのは、コンサル業界を牽引するリーダー層の世代の広さです。
A.T.カーニーの関灘氏は、2014年当時「同社最年少の32歳でパートナー昇格」というニュースが話題になりました。この度のアジア・パシフィック代表および日本法人会長に就任で、44歳にてグローバルの経営メンバーにも名を連ねることになります。
その一方、ADLの原田氏の定年退任は、「コンサルが定年まで勤め上げることは異例」として話題になりました。
どちらが良いというわけではなく、クライアントの課題解決に貢献することのみがコンサルタントとしての価値であり存在意義である、ということが感じ取れるのではないかと思います。
既にコンサル業界で活躍されている方も、これからコンサル業界にチャレンジされる方も、年齢に関係なく「コンサルタントとしてやるべきことは何か」を考え、実践につなげていくきっかけにしていけると良いのかもしれませんね。
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