どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
突然ですが皆さん、「ベイカレクローン」という言葉をご存じでしょうか。
ビジネス誌のコンサル業界特集などで取り上げられ知名度が上がり、最近のコンサル業界のニュースを語るときに欠かせないワードです。今やすっかり大手コンサルファームとなったベイカレントの出身者が立ち上げたり、ベイカレントと近しいビジネスモデルを採用したりしている、新興系のコンサルティングファームを指します。
2025年11月には、ベイカレクローンとしてメディアなどでも取り上げられることの多いノースサンドが上場を果たし、大きな注目を浴びています。ちょこさんもXなんかで度々とりあげています。
とはいえ、これからコンサル業界へのチャレンジを目指そうとされている方々にとっては、
「ベイカレクローンってどんなプロジェクトをやっているの?」
「アクセンチュアやBig4とはどう違うの?」
「就職先、転職先としておすすめなの?」
と、まだまだ謎が多い存在なのではないかと思います。
成長を続けるコンサル市場の中でも、ひときわ高い成長速度を誇る新興系コンサルファーム界隈。
今回は、「なぜいまベイカレクローンがここまで伸びているのか」、その裏側を掘り下げていきたいと思います。
1.ベイカレントが築いたモデルと、その後継者としてのベイカレクローン
ベイカレントはここ10年くらいで一気に存在感を高めたコンサルファームで、
- ワンプール制のコンサル組織
- 専任の営業部隊が案件獲得を担う
- 「社員代替」と呼ばれる、クライアント社員と一緒にプロジェクトの実務を担う支援モデル
- 国内独立資本ならではの高い価格競争力と従業員還元
という大きな特徴が、その成長の源泉でした。
ちょこさんがコンサル業界に出入りし始めたのは2015年頃だったのですが、その頃から「ベイカレントという会社が、アクセンチュアやBig4出身者を次々と高い給料で引き抜いているらしい」という噂をよく聞いたものです。
実際、元同僚が何名か、ベイカレントに転職していくのを見送ったこともあります。
ベイカレント自体の成長はその後も順調に続き、「主要大学の就職先ランキング」などの上位常連としてもお馴染みになってきているかと思いますが、今「こんなコンサルファームが伸びているらしい」というポジションにいるのが、「ベイカレクローン」と呼ばれる新興系のファーム群です。
特に次のの4社がビジネス誌のコンサル特集などでよくとりあげられているようです。
「ベイカレクローン」と呼ばれるだけあって、各社とも、強力な営業力と、小規模ゆえのスピード感で、IT・PMO領域の実行支援を中心に、急速に規模を拡大しています。
2.ベイカレクローンが注目される市場構造の変化
まず何といっても、クライアント企業ではDX推進、システム刷新、AI導入といった、変革を進めるための人員がたりていません。
アクセンチュアやBig4に頼もうとするとどうしてもコンサルフィーが高額となり、よほど予算が潤沢な大手企業などを除いて、プロジェクトのいわゆる上流フェーズを無事終えられたとしても、その先の実行フェーズまで発注を継続することが難しい、という事情もあります。
そこに商機を見出していたのが、かつてのベイカレントであり、今のベイカレクローン、というわけです。
業務設計、システム要件定義、プロジェクトマネジメントなど、大手ファームが提案しきれない領域で、若手コンサルタントがクライアント社員とともにプロジェクトに伴走する「社員代替」型の支援をベイカレクローン各社が獲得していく、という構造となっています。
特に、大規模なシステム開発案件などにおけるPMOなどは、長期間、大人数の支援となることが多く、「プロジェクト人材が不足し、かつ大手ファームに長期間発注するのはコスト的に厳しい」クライアント企業と、「戦略案件などと比べ支援内容を定型化しやすく人材育成のハードルも低いPMO案件を成長のレバーにしたい」コンサルファーム、その両者ともメリットが大きく、今後もこれまで以上の速度で成長を拡大していくことになるはずです。
アクセンチュアやBig4といった大手ファームも、可能な限りクライアントの業務の最前線に深く入り込み生の声を集め、解像度高く現場を見たうえで出せる納得感の高い提案を作りたいものなので、「新興系ファームに社員代替案件を取られていてはいけない」と、これまでより単価を抑えた現場常駐型の支援サービスを展開してくることでしょう。
「社員代替」支援はコンサルファームのサービスの中でもコモディティ化しやすく新規参入のハードルが低い領域でもあるため、どうしても価格競争に陥りがちになります。
大手ファームは収益性の確保やブランドイメージの維持も大きな課題であり、とにかく価格を下げればよい、という戦いかたは続けられません。
この、大手 VS 新興系、の案件獲得競争がどこまで続くのか、個人的に目が離せないテーマだな、と思っています。
3.「社員代替」案件で得られる経験
ベイカレクローン各社が強みを発揮している「社員代替」型の支援。
名前だけ聞くとなんとなく、「雑務っぽい単純作業なのでは?」「もしかして、これこそが高級派遣、高級文房具ってこと?」と思ってしまうかもしれませんが、プロジェクトへの向き合い方次第では、若手コンサルがプロジェクトに必要な実力をつける場として最適な環境になったりもします。
3-1. プロジェクトマネジメントの基本所作
「社員代替」案件の働き方として典型的なものは、大規模なシステム開発案件における、PMOや要件定義支援メンバーとして、クライアント社員やSIer、SaaSベンダーの方々と一緒に毎日プロジェクトを前に進めていく、というものです。
ここでまず鍛えられるのが、プロジェクトマネジメントの基礎力です。
WBSを引いて、進捗会議を回し、課題を整理し、関係者と調整して、一歩ずつ計画を進める。とても地味なタスクであることは間違いないのですが、「プロジェクトを動かす」ための基本所作として、毎日現場で手と頭を動かしながら、文字どおり体で覚えていく必要があるスキルです。
3-2. 「現場のリアル」を知る
そしてもうひとつ大きいのが、「現場のリアル」に触れながらプロジェクトを進めていけることです。
「せっかく予算をかけてコンサルを入れたのに、プロジェクトが全然進まない…」といったプロジェクトの失敗はなぜ起こるのか。
業務部門・IT部門・外部ベンダーの利害がそれぞれどう絡みあっているのか。
もちろん、当事者としてプロジェクトを直接リードする経験が積めることが一番ではあるのですが、業界未経験の若手コンサルが最初に鍛えられる場所として、プロジェクトの最前線で、クライアントや他社の方と一緒に手を動かすことで得られる経験値もたくさんあります。
大手ファームが提案する戦略案件、業務改革案件とは少し違った視点から、クライアントの変革を支援することができます。
一度その立場を経験しておくと、将来自分がプロジェクト全体をリードする立場やプロジェクトを発注する立場になったときに必ず力になってくれるはずです。
業務×ITの橋渡しの仕方を現場で学び、現状把握 → 課題抽出 → あるべき姿の設計、という流れを高速で回すうちに、プロセス・データ・システムのつながりが自然と理解できるようになります。
これも、DX時代の基礎教養として本当に強い武器です。
3-3. AIが代替できない「人を動かす力」
さらに、この領域ではステークホルダーも多岐に渡ります。
様々な立場からプロジェクトに関わっている方々に対し、 「誰に・何を・どう伝えるか」でプロジェクトの成否も大きく変わってきます。
そのような環境でプロジェクトを前に進めていく必要があるため、ウェットなコミュニケーションもとりながら「人を動かす力」も徹底的に鍛えられていきます。
AIが資料を作れる時代になっても、この「人が人を動かす調整力」を代替することは困難です。
DXもAI導入も、結局は現場で人と仕組みを動かしてなんぼです。
プロジェクトを推進し、泥臭く改善し、組織を巻き込み、最後までやり切る「実行力」を持つ人材は、AI時代にこそ求められる存在です。
4.ベイカレクローンはキャリアの地力を「最短距離」で鍛える選択肢
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