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【相談#13】社内での昇格と社外での昇給、どちらを優先するべきですか?


はじめに


ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。

今回は、「社内での昇格と社外での昇給、どちらを優先するべきですか?」という相談者さんからのお悩みです。


どのような点が判断材料となるのでしょうか。

キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。


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本日のお便り


さて、本日のお便りはこちら。

ラジオネーム「学級委員長」さんからのお便りです。


「佐賀さん、こんにちは。
新卒3年目の学級委員長と申します。
新卒で入社したスタートアップで、日々奮闘しています。
上長や環境に恵まれ、入社後最速でマネージャー手前まで来れており、このままこの組織にいれば若いうちにマネジメント経験を積めるイメージがあります。
一方で、給与面ではあまりアップサイドが見込めないのが今の組織の現状でもあります。
第二新卒として外に出れば、今よりお給料を上げられると思いつつ、今の会社で評価してもらっているこの状況を捨てるのは惜しいです。
社内で昇格し早くにマネージャーになることを取るか、社外に出てお給料を上げることを取るか、迷っています」






企業視点で見る、新卒社員と中途社員の違い


「社内での昇格と社外での昇給、どちらを優先するべきか」という問いは、とても難しい問題です。

「何を大事にするか」の軸次第ではありますが、私個人としては、やはり新卒で入った会社は大切にした方が良いと考えています。


理由としては、企業側の視点で考えた際にも、新卒入社の社員は大切に育てていく人材だからです。

語弊があるかもしれないですが、同じ歳の新卒入社の社員と中途入社の社員が、同じ成果を出していた際、会社としては「新卒入社の人に下駄を履かせて育成していきたい」気持ちが出てきます。


私が新卒で入社した会社の代表は

私は新卒入社の人と中途入社の人には”区別”をします。新卒入社の社員に対して機会を提供する理由は、新卒の何もわからない中でリスクを取って私たちの会社を選んでくれたからです。だからこそ、私たちは新卒入社の社員を育成する責任があります。 その責任を果たすために、新卒のみなさんには機会を提供していきます。もちろん、中途入社の社員たちにも機会を還元していくので、そこは皆さん頑張ってください。

というようなことを、毎年メッセージとして伝えていました。


私もこの考え方は同じで、現職には中途入社で入っていますが、やはり新卒入社を選んだ方々がしっかりと結果を出した場合は報われるべきだと思うし、会社も機会を提供して投資をすべきだと考えています。


このような考え方もあるため、大きな不満がなく、社内でのキャリア形成が目指すキャリアと一致する場合は、現職を選んだ方が良いのではないでしょうか。


この前提は置いておいて、「社内での昇格と社外での昇給、どちらを優先するべきですか?」という問いに対してフラットにお答えするとは、

  • 経験を積むことと即時の経験のマネタイズのどちらを選ぶか
  • 時間軸による期待値

の2点をもとに回答させていただきます。






「経験」と「即時のマネタイズ」のどちらを選ぶか


「経験と即時の経験のマネタイズのどちらを選ぶか」については、経験を積むことを取るのであれば、現職でのマネージャー経験を選択する方が良いかもしれません。

一方で足元の給与アップが重要であれば、今よりも年収水準が高く、給与が上がり続ける会社に転職する方が良いかもしれません。


例えば、学級委員長さんは新卒3年目の段階で、事業売上の予算を持ちつつ、各メンバーの育成にまで責任を持つマネージャーの経験を積めていることは、キャリアマーケットにおいては大きなアドバンテージになってまいります。

そのため、現時点での給与アップのために、メガベンチャーなど、より企業フェーズが先に進んでいる企業に転職をしたとします。

その場合、業務難易度や商材、クライアント層が近いなどの場合を除き、入社した当初からマネージャーとして活躍できる企業はほとんどないため、マネージャーとして転職することは正直不可能です


特に、ベンチャーやスタートアップでは、最初はメンバーとしてのオンボーディング期間があり、経験と評価を積んでからマネージャーに就任することが定石であるため、マネージャーでいきなり入社することは難易度が高いです。

そうなると、今転職した場合は、リーダー・マネージャー候補としてメンバーで入ることになり、マネージャー経験を積むのに2,3年かかるかもしれません。


一方で、現職に残っていれば、今から2,3年間マネージャーの経験を積むことができ、20代後半でマネージャー経験をある程度積んだ状態で、新たに次のキャリアを探すことができます。

足元の年収が低い状態でも、今後2,3年間でマネージャー経験という尊い経験を積むことができれば、3年後にその経験を基に高い給与水準で転職できるかもしれないため、 経験を積むことを優先した方が良いのではないか、という考えです。


また、即時のマネタイズの観点では、今転職すればおそらく年収は上がります。

現職よりも年収水準が高いところを見つけることは可能ですし、現職の中で昇給するよりも転職で上げてしまう方が近道という方もいます。

現職での1年で50~100万円の年収を上げることは難しいが、転職ではそれが実現すると思う方もいるかと思います。

その通りで、今転職した方が年収は上がる可能性もあります






経験のマネタイズを考える際に重要なのは、「時間軸による期待値」


経験をマネタイズする際に考えるべきなのは「時間軸」の観点です

なぜなら、転職先でも年収を上げ続け、転職した数年後に現職で2,3年間残っていた際の選択肢よりも高い給与を得れていなければ、本来得られたリターンを小さくしてしまったと見て取れるためです。


現職の年収が400万円の方を例にします。

現職でマネージャー経験を3年積んでから転職活動をしたとすると、マネージャー候補として転職をすることができ、その際に提示される年収が700〜800万円とします。

一方で、今転職をした際に400万円が500万円に変わったとしても、 その後の3年間で100万円しか上がらなかったとなると、3年後の年収でが600万円です。

この場合、本来現職に残っていれば得られたリターンよりも小さくなってしまっています。


そのため、一概に「絶対に転職した方がいい」や「絶対に現職に残るべき」とは言えないです

ご相談者さんが、20代のキャリアで手元に入る給料を最重要視するのであれば、転職をした方がいいかもしれません。

転職先で上がった年収がその後も上がり続けることや、2,3年でマネージャーレイヤーに昇格でき、現職で務めた先の選択肢よりも高い給与水準の選択肢を勝ち取る自信がある場合は、転職をしても良いと思います。


しかし、20代ではマネジメント経験を積むことの方が重要で、年収は後からでも良いと思っている場合は、今の環境の方がマネージャーを任せられる可能性が高いため、現職に残った方が良いのではないかと思っております。






将来の年収を決める、2つのリアリティに要注意


ただ、ここで注意していただきたい点が

  1. 現職に残ってマネージャー経験を積んだとしても、数年後の転職のタイミングで必ず年収が上がるとは限らないこと
  2. 同じマネージャーという役割でも企業によって得られる経験が違うこと

の2つあります。


1点目の「必ず年収が上がるとは限らない」理由に関しては、「3つの数字」によって年収が決まるためです。

3つの数字とは

・応募する企業の給与レンジ(=企業の下限年収と上限年収)

・企業側が年収を提示する際に基準となる現年収

・企業が候補者に支払っている金額

です。

特に2つ目の数字である現年収については、マネージャー経験を積んでいったとしても、現年収500万円の場合は、その時点での年収を考慮されて600万円提示をされるという事態が待ち受けている可能性もあります。

このように、経験を積んだからといって必ず年収が上がるわけではない点が要注意です。


2点目の「同じマネージャーという役割でも企業によって違うこと」に関しては、役割の違いが得られる経験やその後提示される年収にも違いが生まれるため重要です。

マネージャーによっては、PLを見なかったり、売上管理を求められなかったりします。


育成の観点においても、

  • 第2新卒の未経験者やビジネス経験がほとんどない方々の育成が求められる役割
  • 優秀でレベルの高い経験者をマネジメントする役割

などがあり、企業によってマネージャーに求められる役割は変化します。


そのため、マネージャーを務めることで得られる経験は

  • マネジメントする対象のレベル感
  • マネジメントの手法
  • マネジメントをする上で対峙する方々

などの観点からマネージャーの役割に違いが生まれます。


役割の違いにより、得られる経験だけでなく提示される年収も変わってくるため、この点もよく考慮した上で、現職や他社での機会を見極める必要があります。






まとめ


今転職するべきか、現職に残って経験を取るべきかという点については、経験を取るのか即時のマネタイズを取るかという点に、時間軸における期待値を掛け合わせて考えてみると良いのではないでしょうか。


そして、現職の経験を取るにしても、どんなことをやるのか、対峙する方々はどういう人なのかによって、将来転職を考えるタイミングでの評価のされ方が違ってくる場合もあるため、それらの点も要注意であることをお話させていただきました。






さいごに


さあ、いかがでしたでしょうか。

このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。

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それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。

さようなら!



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