どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
気づけばもう2025年も終わりですね。振り返ってみると、この1年でAIが一気に広がり、コンサルティングの仕事も大きく変わりつつあります。
調査・分析フェーズを一気に自動化するDeep Research(ChatGPT)の衝撃から始まり、図解やスライド作成が可能となったNano Banana(Google Gemini)への注目とともに終わろうとしています。
これから、コンサルファームへの転職を目指すにあたって
「AIで調査や資料作成が高速化されるなら、若手コンサルが出すべき価値って何になるの?」
「実行支援はコモディティ化するし、戦略だってAIが書けるようになったら、コンサルは何をするの?」
そんな空気を感じている方も多いのではないかと思います。
今回は、AIとの共存が当たり前となる2026年のコンサル転職市場ではどのような若手人材が評価されていくことになるのか、コンサルタントになったあとはどんな成長を心がけていけばよいのか、簡単に解説していこうと思います。
- 1.2026年、コンサル転職市場はこう変わる
- 1-1.AI普及で「若手に期待されるスキル」は大きく変わる
- 1-2.変革テーマの複雑化で、「意思決定支援」の重要度がますます高まる
- 2.AI時代のコンサルに残る価値は、「納得感の設計」
- 2-1.AIの案をそのまま採用できない理由
- 2-2.最終的な意思決定から逆算し「今、AIに何を考えさせるか」を設計できるコンサルは強い
- 2-3.クライアントの「腹落ち」をつくり、意思決定を前に進める
- 3.2026年、コンサルを目指す若手が身に付けるべき3つの能力
- 3-1.良い「問い」を作る力
- 3-2.AIのアウトプットを「吟味」する力
- 3-3.人間を相手に「腹落ち感」を演出する力
- 4.おわりに:AIとともに戦うコンサルへ
- ワンキャリア転職からのお知らせ
1.2026年、コンサル転職市場はこう変わる
1-1.AI普及で「若手に期待されるスキル」は大きく変わる
これまでの若手コンサルは、上司から振られた調査、分析、資料作成などのタスクを高速、かつ正確にこなすことが強く求められてきました。
ロジカルシンキングや仮説思考、論点思考を鍛えながら、自分なりの仮説をもってオーナーシップ高く作業を進め、疑問があればすぐに自分の考えとともに上司にぶつけにいく、そんなイメージが評価される若手の代表例です。
しかし、これからは、オンライン上で完結するデスクトップリサーチやそこから得られる考察など、AIで代替可能な作業が増えていきます。
クライアントだって当然のごとくAIの活用方法について試行錯誤を繰り返しています。
高いお金を払ってコンサルを雇わなくとも、AIに依頼すれば済む作業は自社のAI人材に任せる、という世界に徐々に切り替わっていくはずです。
つまり、「ロジカルシンキングが得意で、資料作成もうまい」だけの若手コンサルはどんどん活躍しづらくなっていきます。
代わりに評価されるのは、「AIに何を考えさせて、自分は何を考えるべきか」を決められるスキルになります。
1-2.変革テーマの複雑化で、「意思決定支援」の重要度がますます高まる
DX、システム統合、AIと、現代の企業が直面する変革テーマは年々難しく、多くの要素が複雑に絡み合うものとなっていきます。
「課題が複雑なら、なおさらAIに頼る企業が増えるのでは?」
と思うかもしれませんが、ここにはひとつ落とし穴があります。
AIは多くのデータから最適と思われる回答を出してくれるかもしれませんが、「そのAIの意見を採用するかどうか」を最後に決めるのはどこまでいっても人間の仕事として残ります。
いくらAIが素晴らしい戦略案を出してくれたとしても、クライアントの経営陣が「よし、この案で行こう」と判断して行動を起こし始めなければ意味がありません。
つまり、これからのコンサルタントが提供すべき価値も、どれだけ複雑な課題に対する解を示したかではなく、クライアントの意思決定をどれだけ直接的に支援できたか、にシフトしていくはずです。
2.AI時代のコンサルに残る価値は、「納得感の設計」
案を作るのはAI、決めるのは人間、そして間を埋めるのが、コンサル。
そんな時代がきっときます。
2-1.AIの案をそのまま採用できない理由
AIは人間のコンサルタントとは比べ物にならないくらいの速度と量でアウトプットを作り出します。
全社レベルの変革プロジェクトへの提案だって、あっという間に様々な角度からの課題解決アプローチを提示できます。
しかし、クライアント企業はそのまま「では、この案で」と決められるわけではありません。
そこには、「腹落ち感」がないからです。
大きな組織の意思決定には、客観的な理由と納得感が必要です。
AIのアウトプットは「論理的な正しさ」は担保されていても、そのままでは「競合のA社でもB社でもなく、自社がその戦略を取る理由」という「納得感」が抜け落ちた状態で、クライアントに「自分事」として意思決定してもらうためにはまだあと一歩足りません。
「AI時代に何をそんな感情的なことを…」という話ではなく、最終的に意思決定するのは人間であり、大きな組織であればあるほど複数の意思決定者の利害関係も絡んでくるため、「なぜこの方向に進むのか」が曖昧なままだと変革は達成できない、というわけです。
さらに、今のAIが出せる結論は、「あくまでそのAIが知っていることと、インプットとして渡したデータを組み合わせて推測できるもの」に限られます。
ビジネスの現場には、まだ言語化されていない、データ化されていない情報が膨大にあり、AIはそのような情報にアクセスすることはできません。
AIがまとめてくれた「論理的な結論」に、AIにはまだ理解できない人間的な情報も加えて、客観的な理由と納得感を作り上げることが、クライアントの意思決定の助けとなります。
2-2.最終的な意思決定から逆算し「今、AIに何を考えさせるか」を設計できるコンサルは強い
このような環境下でコンサルタントが取るべき行動は明確です。
・このプロジェクトでは最終的にどのような意思決定がなされるべきか
↑
・その意思決定のために必要な判断条件は何か
↑
・その判断をするための根拠、材料はどこにあるか
と、最終的な意思決定から逆算し、各検討段階ごとに
・ここは人間が分析、示唆出しをするべき
・ここはAIに定量的な分析をさせるべき
と、人間とAIの協業により、結論にたどり着く道筋を描くのです。
・業界構造を事前に理解したうえで、どの要素に対して重点的な分析を行うのか
・制約条件や予測のパラメータとしてAIにどのようなデータを与えるか
・AIからは見えない、現場の声や長年積み重ねられた知見はどこにあるか
を考え、「これは人間でないとできないこと、これは人間がやってもいいしAIがやってもいいから、AIに高速でやってもらおう」と分担を考えていくイメージです。
2-3.クライアントの「腹落ち」をつくり、意思決定を前に進める
そして、その結果を人間のコンサルタントである自分自身がタスクオーナーとして取りまとめ、上司のレビューを経てクライアントへの報告に臨む、という流れです。
逆にこれができないと、「AIがこう言ってました!」とAIへ丸投げしたアウトプットをそのまま無邪気に提出してくる何とも言えない残念なコンサルタントの出来上がり、になります。
それこそ、クライアントからすると、AIに丸投げするしかできないコンサルタントにフィーを払う意味、1ミリたりともありませんからね…。
クライアントも当たり前にAIを使いこなすこの時代、単にAIを使ったアウトプットを出せるコンサルタントになるだけでは本当に何の価値も出せません。
大きな変革を前に進めるためには、コンサルタントの知見・経験と、AIの高速・大量の分析の双方をもとに、論理的整合性が組織の風土や人間関係の隅々まで染み渡る、まさに「腹落ち感」のある提言が不可欠です。
3.2026年、コンサルを目指す若手が身に付けるべき3つの能力
AIが普及したとはいえ、コンサルタントの本質である、「数ある問いのなかから、答えを出すべき問いが何かを考える」ことの重要性は変わらないものの、今後はそれがAIと向き合う姿勢の中でも大事な考え方になってきます。
さらに・・・





