コンサル転職は近年、年収アップやキャリアパスの選択肢を広げる手段として人気を集めています。しかし、「とりあえずコンサル」と安易に考えると、選考過程や入社後のギャップに苦しむことになりかねません。特に戦略系やBIG4などの有名ファームでは、論理的思考力やプレゼン能力など独自の選考基準があり、準備なしでの挑戦は厳しいものです。
ONE CAREER PLUSがコンサル転職に必要な知識・ノウハウを丸ごと解説するシリーズ「コンサル転職:完全攻略ロードマップ」
第5回となる本記事では、コンサル転職を成功させるために必要な、応募方法の選択から実際の書類・面接対策、そして内定後の交渉術まで、ONE CAREER PLUSが収集した数百件の転職体験談データと選考通過者のインタビューをもとに、実践的なアドバイスをお届けします。
- 応募の窓口を賢く選ぶ:コンサル転職の入口
- 自主応募・エージェント・リファラルの違いと活用法
- 自己分析とキャリア戦略が成功への鍵
- なぜコンサルなのか?志望理由と将来像の明確化
- ONE CAREER PLUSのキャリア面談を活用する
- 書類選考を突破するための職務経歴書の書き方
- 目指すべき職務経歴書のポイント
- 定量的成果×論理性がポイント:自己PRの通過事例とテンプレート紹介
- 面接対策でコンサル特有の質問を攻略する
- コンサル面接の基本と志望動機への対応
- アクセンチュア:論理的思考力とケース面接の重視
- デロイト トーマツ コンサルティング:一貫性のある志望動機と転職理由
- ベイカレント:過去の選択理由と人生観の深掘り
- オファー獲得後の交渉術と円満退職
- オファー面談で必ず確認すべき5つのポイント
- 年収交渉を成功させるコツと注意点
- 円満退職のための上司への伝え方
- まとめ:コンサル転職を成功させるための3つの要点
- ONE CAREER PLUSのご紹介
応募の窓口を賢く選ぶ:コンサル転職の入口
自主応募・エージェント・リファラルの違いと活用法
コンサル転職の第一歩は、どの応募ルートを選ぶかです。主に3つの応募方法があり、それぞれに特徴があります。
<自主応募>
企業の採用ページから直接応募する方法です。自分のペースで進められる利点がありますが、選考の倍率が高く、また内部情報が少ないという欠点もあります。しかし、自身の熱意を直接伝えられる点はポジティブです。
<エージェント経由>
転職エージェントを利用して応募する方法です。非公開求人の紹介や選考対策のサポートを受けられる点が強みです。特にBIG4などのファームでは、コンサル業界に精通したエージェントの活用が効果的です。
<リファラル(社員紹介)>
知人や元同僚からの紹介で応募する方法です。企業にとって信頼性が高く、採用率が上がることが多いのが特徴です。特に内部の業務実態や文化について、リアルな情報を得られる点が大きなメリットです。
BIG4をはじめとする総合ファームを中心にリファラル採用にも力を入れている企業が多く見受けられました。特に、アクセンチュアでは社員紹介制度(リファラルプログラム)に力を入れていることで有名で、リファラル経由で入社した場合は入社祝い金や紹介者へのインセンティブ付与が行われているようです。
(参考)社員紹介制度(リファラルプログラム)|採用情報 | アクセンチュア
実際に、ONE CAREER PLUSではリファラル採用でアクセンチュアの内定を獲得した人の声も寄せられていました。
勤めている知人がいれば絶対にリファラル経由を推奨する。他に受けた人に聞くと2~3回の面接があり、かなり重々しい会もあったようだが、リファラル経由だと最終面接一回のみで、その内容も時間の半分が逆質問という意思確認のようなものであった。(アクセンチュア/2021年5月/マーケティングコンサルタント)
採用ルートは1つに限定せず、自分の状況や志望度に合わせて複数のアプローチを検討することをおすすめします。例えば、第一志望のファームには知人を通じたリファラル、他のファームにはエージェント経由で並行して応募するなど、戦略的に活用しましょう。
自己分析とキャリア戦略が成功への鍵
なぜコンサルなのか?志望理由と将来像の明確化
コンサル転職を成功させるためには、「なぜコンサルタントになりたいのか」という根本的な問いに明確に答えられることが重要です。面接官がもっとも知りたいのは、あなたの転職理由と将来のキャリアビジョンが一貫しているかどうかです。
特に戦略コンサルやBIG4では、「コンサルのスキルセットが将来のキャリアにどう活きるか」を見られます。単に「給料が高い」「ステータスが欲しい」という動機だけでは不十分です。
効果的な自己分析のポイントは以下の通りです:
・現在の仕事の課題を整理する:現職での不満や限界を具体化する
・コンサルでの経験から得たいものを明確にする:プロジェクト経験、スキル習得、人脈形成など。「現職や他の業界で得られなくて、コンサルで得られることは何か」を自分なりに明確にしましょう。
・中長期的なキャリアビジョンを描く:コンサルに入った後、経験をどう活かしていきたいかは志望動機を考えるうえでも重要です。コンサル入社後のキャリアパスも理解したうえで、ビジョンを描きましょう。
・各ファームの特色と自分の希望の一致点を見つける:なぜその企業なのかを説明できるようにする
コンサルタントの仕事で得られる経験や、キャリアパスについては以下の記事でも詳しく解説しています。是非参考にしてください。
ONE CAREER PLUSのキャリア面談を活用する
コンサル転職においては、自分一人での分析には限界があります。第三者からの客観的な視点を得ることで、自己分析の質を高められます。ONE CAREER PLUSでは、無料のキャリア面談サービスを提供しており、3,000件以上のキャリアデータを知るキャリアアナリストがコンサル転職をサポートしています。
キャリア面談では以下のようなサポートを受けることができます。
- 自分のバックグラウンドに合ったファームの選定
- 各ファームでの選考傾向と対策法
- 効果的な志望動機の伝え方
- 転職後のキャリアパスのシミュレーション
キャリアのプロへの相談をご希望の方はぜひ、ご活用ください。
書類選考を突破するための職務経歴書の書き方
目指すべき職務経歴書のポイント
転職活動では面接に重点がおかれがちですが、そもそも書類選考で落とされると面接にも進めません。コンサルタントの仕事において(特に若手においては)、資料作成スキルも重要になります。職務経歴書の記載でビジネスマナーができていないと判断されることもあるため、丁寧に作成しましょう。
【目指すべき職務経歴書のポイント】
- 誤字脱字がなく、適切な文量で読みやすい資料となっている
- 短時間ですらすら読める(例えば、職務要約だけ見れば会いたいと判断できる、など)
- 応募者の実績や熱意がイメージしやすい
- 会って話を聞いてみたくなる
- 採用側の企業にマッチングしそうだと思える
忙しい採用担当に短時間で「この人と会ってみたい」と思ってもらうようにするには定量的な実績と論理的な構成が不可欠です。特に、職務要約や自己PR、業務内容に関する記載は抽象的な表現ではなく、数字や比較を用いて客観的に示すことを意識しましょう。
テンプレートを活用することで、より効率的に職務経歴書を作成できます。以下を是非ご確認ください。
定量的成果×論理性がポイント:自己PRの通過事例とテンプレート紹介
書類選考を通過する職務経歴書の共通点は、「結論ファースト」の構造と「定量的な成果」の提示です。具体的に自己PRのBad例とGood例を比較してみましょう。
▼改善前(Bad)の自己PR例
現状を分析し、相手の最善策を考える力。
代理店営業担当として、私が担当したパートナー企業が、顧客の質低下に伴って審査通過率が低下し、パートナー企業の受注額が減少してしまいました。審査不承諾になった顧客を確認すると、事前に顧客情報の問い合わせが来ていない顧客がほとんどであったため、まず営業に行く前に顧客情報の問い合わせの徹底をお願いしました。その結果、審査不承諾になる顧客への営業を訪問前に止めることができ、パートナー企業の営業担当者の稼働率が上がり、審査通過率は最低時の30%から70%まで1ヶ月間で上昇しました。また、審査の通過見込みがわずかにある顧客に関しては、案件を見極めつつ、当社の施策を利用し、個別の決裁申請を行ってからの承諾にしたことで、当社優先利用の意識も高まり、シェアも30%から80%まで拡大し、前月は月額成約目標の達成率が70%になっていたが、翌月には100%を超えることができました
▼改善後(Good)の自己PR例
≪目標達成のために、原因分析、個別の細やかな対応も行う柔軟性≫
(リース系商材の代理店営業担当だった私が)担当していたパートナー企業A社の売上が、月次で減少傾向にあった状況からV字回復させたことです(具体的には、売上予算について、担当前の達成率70%→担当後の翌月達成率110%と改善)。
売上減少の要因を分析すると、売上を構成する4つのファクター([1.リリース審査を行う"案件数"]、[2.案件単価]、[3.審査通過率]、[4.審査通過後の自社サービス利用率(=シェア率)])のうち、[3.審査通過率]の低下(平常時80%→最低50%へダウン)が減少要因の大きな部分を占めました。
その原因は、顧客層の質低下です。具体的には、パートナー企業の営業担当者が顧客の属性や状態に適した商談・審査準備を行なっていない案件の増加があり、事前問い合わせのデータと審査案件の比較を通じて判明しました。そのため事前に案件の見極めが課題となり、営業訪問前に顧客情報の確認を徹底してもらうことに。審査の通過見込みによって、各案件の対応を工夫することで、V字回復の成果を得られました。
改善後の自己PR例は改善前と比べて「結論ファーストで、構造的にエピソードが整理されている」「実績や課題など定量的な数値が多い」ことから実績が伝わりやすくなっています。
具体的にどのように実績を記載すべきか、は現在の業界・職種によっても異なりますONE CAREER PLUSでは、職種ごとの職務経歴書テンプレートも提供しています。これを活用することで、自身がアピールすべきポイントを明確にし、短時間で効果的な職務経歴書を作成できます。是非ご活用ください。
【職種別・職務経歴書の書き方ガイドは以下】
<営業系職種>
・法人営業(人材サービス)の職務経歴書
・キャリアアドバイザーの職務経歴書
・リクルーティングアドバイザーの職務経歴書
・法人営業(銀行・証券)の職務経歴書
・リテール営業(銀行・証券)の職務経歴書
・リテール営業(生命保険)の職務経歴書
・消費財営業の職務経歴書
・ハウスメーカー営業の職務経歴書
・インサイドセールスの職務経歴書
・カスタマーサクセスの職務経歴書
・フィールドセールスの職務経歴書
<コンサル系職種>
・システムコンサルタントの職務経歴書
<企画・マーケ系職種>
・プロダクトマネージャー(PdM)の職務経歴書
・WEBマーケターの職務経歴書
<その他系職種>
・採用人事の職務経歴書
・システムエンジニアの職務経歴書
その他、職務経歴書に関してはこちらもご参考ください
面接対策でコンサル特有の質問を攻略する
コンサル面接の基本と志望動機への対応
コンサル業界の面接は一般企業とは異なる独自の特徴があります。面接は大きく「ビヘイビア面接」と「ケース面接」に分かれ、ファームによって比重が異なります。
ビヘイビア面接の頻出質問:
- 転職理由・志望動機
- 前職での経験・成果
- 強み・弱み
- キャリアビジョン
ケース面接に関する題材:
- フェルミ推定(市場規模の算出など)
- 業界分析
- 課題解決の提案
各ファームの面接傾向を把握することも重要です。例えば、アクセンチュア、デロイト、ベイカレントについてONE CAREER PLUSの集まる選考体験談をみると、以下のような特徴がありました。
アクセンチュア:論理的思考力とケース面接の重視
アクセンチュアでは、1次面接と最終面接の2段階で選考が行われるケースが多く、特に1次面接ではケース面接が重視されており、ケース面接対策は必須です。
最終面接では、「なぜアクセンチュア?どんなコンサルタントになりたいか?といった、アクセンチュアを志望する理由を今一度まとめて面接に挑んだ方が良い」との声があり、志望度やキャリアプランとの一貫性を強く見られる傾向があります。
デロイト トーマツ コンサルティング:一貫性のある志望動機と転職理由
デロイト トーマツ コンサルティングの面接は、通常3~4段階で行われます。1次面接ではビヘイビア面接、2次面接ではケース面接が中心となるケースが多いです。
「志望動機の深掘りと将来のキャリアプランについての質問が多い」という特徴があり、「自身が務めている金融機関の問題点と改善案」のように、業界知識や分析力を問われることも特徴です。
「なぜデロイト、なぜコンサルタントなのかの軸をしっかりと持っておくべき」というフィードバックが多く、志望動機の一貫性を重視する傾向があります。
最終面接では、「基本的にほぼ雑談で終わった。パートナーの方のこれまでのキャリアを紹介頂き、とても参考になった」というように、最終面接はより意思確認や相性確認の性格が強くなります。
ベイカレント:過去の選択理由と人生観の深掘り
ベイカレント・コンサルティングの面接は非常に特徴的で、学生時代から現在に至るまでの選択の理由や価値観を深く掘り下げられる傾向があります。
「高校、大学入試、就職など選択する場面に対してなぜその選択をしたのか」を問われ、「学生時代からこれまでの進路における意思決定内容とその理由を振り返っておくこと」が重要だとの声が多くあります。
「矛盾した内容を回答すると指摘を頂くので反抗せず謙虚に受け止めた方がいい」というように、論理的整合性を重視する傾向もあります。
最終面接では執行役員やパートナークラスの面接官と対峙することが多く「最終面接までくる人はほとんど内定を出すという企業方針」という声もありました。
また、ONE CAREER PLUSではクチコミデータと過去選考通過者へのインタビューに基づく独自調査で有名企業の中途採用で行われる質問を3つピックアップして解説しています。以下も是非ご活用ください。
【主要ファームの中途面接で対策必須の3つの質問はこちらから】
・アクセンチュア
・KPMGコンサルティング
・デロイト トーマツ コンサルティング
・デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー
・有限責任監査法人トーマツ
・PwCコンサルティング
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング
・ベイカレント・コンサルティング
・野村総合研究所
・アビームコンサルティング
・クニエ
・ボストン コンサルティング グループ
オファー獲得後の交渉術と円満退職
オファー面談で必ず確認すべき5つのポイント
内定(オファー)を獲得した後も、入社前に確認すべき重要なポイントがあります。オファー面談は、転職後のギャップを防ぐための貴重な機会です。オファー面談での主要な確認ポイントは以下の通りです。
- 内定承諾期限:回答期限を確認し、延長が必要な場合は早めに相談する。一般的に1週間程度が目安
- 労働条件:基本年収、賞与、昇給制度、勤務地、勤務時間など。特に「みなし残業」の有無や時間数を確認
- 入社時期と配属:希望する入社時期が調整可能か、配属先の部署や業務内容について認識齟齬がないか確認
- 研修・教育体制:特にコンサル未経験者の場合、入社後のトレーニングプログラムについて聞いておくと良いでしょう
- 評価制度:成果の測定方法や昇進・昇格の基準など
年収交渉を成功させるコツと注意点
ONE CAREER PLUSに集まった転職体験談のデータによると、コンサル転職では約6割程度の人が、年収アップを叶えています。高い給与を提示されることが期待できるコンサル業界への転職ですが、希望の年収を実現するために、年収交渉におけるポイントも理解しておきましょう。
年収交渉のポイント:
- 市場価値の把握:同業他社の同ポジションの年収相場を調査しておく。(→コンサルの年収相場はこちらから確認)
- 根拠の準備:「なぜその額が妥当か」を説明できるようにする
- タイミング:内定が出てからすぐがベスト。内定承諾後では遅い
- 交渉の仕方:「○○円希望です」ではなく「前職では○○円でした」と事実を伝える
- 代替案の検討:金額が動かせない場合、他の条件(賞与評価、昇給時期など)で調整できないか
円満退職のための上司への伝え方
内定を承諾した後は、現職からの円満な退職も重要な課題です。特に日系企業では退職の伝え方によって、引継ぎや退職手続きの円滑さが大きく変わってきます。
退職交渉の6つのポイント:
- 就業規則の確認:退職に関する規定(何日前に申し出るべきかなど)を確認する
- 「退職する」は事後報告:「退職したいと思います」ではなく「退職します」という断定的な伝え方をする
- 引継ぎスケジュールを作成する:円満な退職のために具体的な引継ぎ計画を提示する
- 必要情報の確認:退職日、残りの有給休暇日数、賞与の扱いなどを確認する
- 直属の上司に直接伝える:同僚や他の上司より先に、直属の上司に伝える
- 退職理由は前向きに:現職の不満ではなく、自己成長やキャリア形成の観点から説明する
▼内定獲得後〜退職交渉までのポイントをもっと詳しくしりたい方はこちら
まとめ:コンサル転職を成功させるための3つの要点
コンサル転職は準備が8割といっても過言ではありません。事前の情報収集と戦略的なアプローチで、あなたの市場価値を最大限に高め、理想のキャリアを実現しましょう。
さらに具体的な選考対策や、各ファームの詳細情報が知りたい方は、ONE CAREER PLUSの無料キャリア面談もぜひご活用ください。数千件の転職データから、あなたに最適なキャリア戦略を提案いたします。
次回「コンサル転職:完全攻略ロードマップNo.6」では、コンサル転職において鬼門となる「ケース面接」の詳細と攻略法について深堀します。
【コンサル転職:完全攻略ロードマップ、他のシリーズはこちら】
ONE CAREER PLUSのご紹介
ONE CAREER PLUSは「次のキャリアが見える」転職サイトです。これまで可視化されていなかったキャリアに関するクチコミデータが25,000件以上掲載されています。
どの企業からどの企業へ転職したのかという転職体験談や、転職の面接で実際に聞かれた質問がわかる選考体験談、企業ごとの年収や福利厚生に関するクチコミなど、転職時の情報収集から面接対策までONE CAREER PLUSだけで行うことができます。
また、1to1でのキャリア相談も可能です。ONE CAREER PLUSに集まるキャリアデータを熟知したキャリアアナリストがデータに基づいたキャリアパスの提示や求人のご紹介をいたします。面談にてご自身のキャリアを相談したい方はぜひ、以下よりお申込みください。