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シンクタンクへ転職するには?|求められるスキル・選考対策・入社後のキャリアパスをデータで解説

社会課題解決や政策提言を通じて影響力を発揮したい、民間企業の戦略立案に深く関わりたい——そんな想いを持つ方にとって、シンクタンクは魅力的なキャリア選択肢の一つです。


本記事では、ONE CAREER PLUSが保有する豊富な転職体験談やクチコミデータをもとに、シンクタンクへの転職を成功させるための全体像を解説します。代表企業の求める人物像から具体的な選考対策、入社後のキャリアパスまで、データに基づいた実践的な情報をお届けします。




1. そもそも、シンクタンクとは?仕事内容とやりがい


1-1. シンクタンクの定義と代表的な企業


シンクタンクとは、英語の「Think Tank」を訳したもので「頭脳集団」を意味し、特定の政策や社会課題について調査・研究を行い、政府や企業に対して提言を行う機関のことを指します。


日本における代表的なシンクタンクとしては、以下の企業が挙げられます。


  • 野村総合研究所
  • 日本総合研究所
  • 三菱総合研究所
  • みずほリサーチ&テクノロジーズ
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
  • 大和総研




1-2. シンクタンクの仕事内容・コンサルとの違い


近年では、シンクタンクが単なる調査・研究にとどまらず、コンサルティングサービスやシステム開発サービスを提供するケースが増えており、コンサルティングファームとの境界は曖昧になってきている側面もあります。


主な違いは以下の通りです:

クライアントの違い

  • シンクタンク:公的機関(中央省庁、地方自治体、国際機関)が中心
  • コンサル:民間企業から官公庁まで幅広く存在


テーマの違い

  • シンクタンク:政策立案、社会課題の解決、国際関係の分析、将来予測など社会全体に関わる公共政策
  • コンサル:経営戦略、事業戦略、組織開発、DX推進など企業の課題解決


具体的なシンクタンクの成果物例として、三菱総合研究所では「2050年の世界トレンドを予測し、日本が豊かで持続可能な社会を実現するための取り組みを『未来社会構想2050』として発表」、日本総合研究所では「『リサーチ・アイ』として経済分析のレポートをタイムリーに提供」などがあります。


▼シンクタンクとコンサルの違いについてもっと知りたい方はこちら






2. シンクタンクへ転職するには?


2-1. シンクタンクへの具体的な転職事例


シンクタンクにはどのような人が転職しているのでしょうか。ONE CAREER PLUSに集まった転職体験談から、実際の転職事例を見てみましょう。


日揮→三菱総合研究所

社会人歴:5~10年
退職時の職種:プラント設計
入社先の職種:リサーチャー・調査員
転職理由:
・現職ではGX領域に関わり続けるのが困難だと判断したため
・現職のビジネスモデルに将来性がないと感じたため
転職で役立ったこれまでの経験:
・プラントにおける電気設計
・数理最適化などの定量分析


住友化学→日本総合研究所

社会人歴:10~15年
退職時の職種:海外営業
入社先の職種:事業企画・事業統括
転職理由:
会社の業績が同業他社ほど伸びていない、また海外事業に対する注力度も期待するほど伸びていない中で、年収を上げるための手段として転職を決断。
転職活動で重視したポイント:
現在のポートフォリオに関係なく海外をターゲットにしているかどうか。海外営業統括の経験をフルに活かせるかどうか。年収が数百万単位で上がるかどうか。年収水準を上げるためには業界を変えることが最適解と考え、前職で磨いた「未知の課題に対する解決力」をアピールしやすいコンサルティング業界を志望。


武田薬品→日本総合研究所

社会人歴:3~5年
退職時の職種:ルートセールス
入社先の職種:戦略コンサルタント
転職理由:
現職の経験を活かしながらより大きな影響を与えられる仕事をしたいと思うようになったため。
転職で役立ったこれまでの経験:
業界の知識と、業界全体の問題点をどう捉えていてそれに対してどの様な解決策を考えられるのかなど、論理的に説明できる力。
これらの事例から、業界の将来性への懸念、より大きな社会的インパクトを求める動機、キャリアアップへの意欲などがシンクタンク転職の主な理由となっていることがわかります。特にメーカー、医療、インフラなど日系大手企業からの転職事例が目立ちました。




2-2. シンクタンクへの選考対策


ONE CAREER PLUSに集まる選考体験談をみると、シンクタンクの面接で重視されるポイントの共通項が見えてきました。


面接で重視される観点

  • 社会課題に対する関心と具体的な問題意識
  • 論理的な思考プロセスの説明能力
  • これまでの経験をシンクタンクの業務にどう活かせるかの具体的な説明
  • 研究やコンサルティングに対する姿勢


選考対策としては、志望動機において「なぜシンクタンクなのか」「なぜその企業なのか」を論理的に説明できるよう準備することが重要です。また、時事問題や社会課題に対する自分なりの見解を持っておくことも求められるでしょう。


なお、三菱総合研究所の面接では、社会課題で気になるトピックスに関するプレゼンが実施されたケースもあるようです。



プレゼンテーション
(1)テーマ:
a) 「社会・経営課題 × DX」について最近あなたが気になるトピックスについて、先方の興味を喚起するようプレゼンしてください。
b)これまでの業務経験を踏まえつつ、三菱総研があなたを採用すべき理由をアピールしてください。
  ※a)がメインで、b)も簡潔にプレゼンテーションをお願いします。
 (2)時間:15~20分
質疑応答(三菱総合研究所/マーケティングコンサルタント 内定)



(選考で重視されたポイント)
論理的思考力と動機付け。先方の質問に対して回答した際に深掘りされる内容は大抵の場合、なぜ?であるため。すなわち自身がどのくらい考えて根拠を持って決断、行動しているかに興味があると思われる。
(選考を受ける人へのアドバイス)
自身の業界について3C分析をしたり、自社について4P分析をしたり、日頃から課題を見つける意識が必要。(日本総合研究所/戦略コンサルタント 内定)






3. シンクタンクの年収は?


ONE CAREER PLUSの独自調査によると、大手シンクタンク企業の役職別の年収水準は以下の通りです。


野村総合研究所(→詳しくはこちら)

  • 平均年収は1,271万円
  • 30代前半までは年功序列で横並びで昇進
  • 新卒1-2年目(メンバークラス)で450万円
  • 新卒2-5年目(アソシエイトクラス)で732万円程度
  • 新卒4年目以降シニアアソシエイトに昇格し、シニアアソシエイトの後半になると年収約1,000万円に到達


三菱総合研究所(→詳しくはこちら)

  • 平均年収は1,080万円
  • 30代前半までは基本的に年功序列で昇進
  • 新卒1年目は500万円程度、新卒2~5年目で600~800万円
  • 20代後半に4級まで昇格すれば800~1,000万円の年収が見込める


大和総研(→詳しくはこちら)

  • 30歳の目安年収は730万円
  • 30代ごろまでは年功序列で昇格する傾向あり
  • 新卒1~5年目(役職なし〜主任)では年収は約430~560万円程度
  • 課長代理で約700~800万円、次長で約960万円、副部長で約1,190万円の年収が見込める






4. シンクタンク入社後のキャリアは?


4-1. シンクタンクに入社後、身に付くスキル


シンクタンクに入社後はどのようなスキルが身につくかについては、担当する業務内容によっても異なります。


コンサルタントであれば論点思考などのコンサルタントの基礎スキル、リサーチャーであれば文献調査力、インタビュースキル、資料作成スキル、システム開発であれば、システムコンサルや技術的なスキルの習得と、多様です。



文献調査能力(法令、官公庁資料、論文等)、インタビュースキル、資料作成スキル(PPT, Word) 私はあまり経験していないが、データ解析やファシリテーションを行う人も多い。(三菱総合研究所/新卒)



リサーチ・分析能力:新規事業を考える上で、データのないマイナー市場を想定しなければならない時があります。あるデータから情報、示唆を導く能力が身についた。(日本総合研究所/中途)



戦略コンサルティング部では、若手にはみっちり足腰となる基礎スキルを習得させるOJTがある
・戦略コンサルタントとしての基礎的な論点思考
・リサーチ、インタビューの基礎的なやり方(三菱UFJリサーチ&コンサルティング/中途)



担当する業務にもよるが、業務内容はシステムコンサルからシステムアーキテクトまで幅広く存在する。技術的なスキルも習得可能であり、ビジネス面の視点も身に着く。(野村総合研究所/新卒)




4-2. シンクタンク経験後のキャリアの広がりと事例


一言でシンクタンクといっても、シンクタンク企業の中で、「リサーチを主としていたのか」「コンサルティングも行っていたのか」「システムインテグレーションを行っていたのか」等でネクストキャリアは変わります。


ONE CAREER PLUSに寄せられた体験談を見てみましょう。リサーチ中心の経験を持つ若手の場合は、年収アップやコンサルタント職への転換を目指して戦略コンサルティングファームに転職するケースなどが考えられます。


その他、事業の手触り感ややりがいを求めて事業会社にセールス職や企画職で転職するケースも見受けられました。また、官公庁向けのプロジェクト経験がある人であれば、官公庁や公的機関への転職も考えられるでしょう。


三菱UFJリサーチ&コンサルティング→ニトリ

社会人歴:3~5年
退職時の職種:戦略コンサルタント
入社先の職種:経営企画・経営戦略
転職を考えた理由:
知識欲が高く短期間でPJを大量にこなす働き方、それを良しとするカルチャーが自分に合わないと感じた。一つの会社にしっかりと寄り添い、長い目で会社のあるべき姿、事業ポートフォリオ、戦略を考える仕事がしたいと思い、今までのコンサル経験を活かすためにも事業会社の戦略企画部門への転職を決断した。


三菱総合研究所→LITALICO

社会人歴:15~20年
退職時の職種:リサーチャー・調査員
入社先の職種:代理店営業・アライアンス
転職を考えた理由:
官公庁とシンクタンクにおいて大局から日本や発展途上国の教育政策、教育課程の改善や障碍者、境界知能者の支援にあたってきたが、マクロな視点での取り組みでは機動力やきめ細やかさに限界があり、最も助けたい人を助けられないジレンマがあった。ビジネスベースの支援にも限界はあると分かってはいるものの、経験しているのとそうでないのとでは大きな違いがあると思い、知人のツテを辿り転職することにした。


三菱UFJリサーチ&コンサルティング→コーポレイトディレクションへ

社会人歴:10~15年
退職時の職種:戦略コンサルタント
入社先の職種:戦略コンサルタント
転職理由:
現職では、調査業務なども多く、イメージしていた戦略コンサルティングの業務や自身のキャリアイメージにより近づく環境を求めていたため。
転職で役立ったこれまでの経験:
基本的なコンサルティング、リサーチのスキル。また、コンサルティング業務のイメージができていることなどは、双方のマッチングの観点で重要であった。”


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5. シンクタンクには未経験でも入社できる?


ONE CAREER PLUSに集まるシンクタンクへの転職事例のうち、ほとんどがメーカー、金融、IT企業などの異業種からの転職でした。このことから、業界や職種が未経験であっても、シンクタンクに中途入社することは可能と言えるでしょう。


ただし、転職事例の約9割は社会人歴10年目以内の20代半ば〜30代前半の若手社会人であり、30代半ば以降は即戦力となる経験・実績がないと転職は難しいと言えます。


前職の業界・職種は以下のような事例が集まっていました。

<前職の業界>

  • 製造業(東レ、日揮、ローム等)
  • 金融業(日本生命、百五銀行等)
  • 商社(住友化学等)
  • IT業界(情報企画、東芝デジタルソリューションズ等)
  • 航空業界(ANA等)


<前職の職種>

  • 研究・開発職
  • 営業職
  • 事業企画職
  • システムエンジニア






6. シンクタンクへ入社後、後悔しないために


ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをもとに、「入社前に知っておきたかった」ポイントをまとめました。


(1)年功序列の実態を理解する

多くの企業で評価制度は年功序列であり、若手のうちは実力で差がつかないという声が見受けられました。

一方で、部門によっては実力主義に近い制度が採用されているケースもあり、入社前に事前に評価制度について理解しておくことが重要です。



年功序列感が強いので、成果につながる働きをしても大きくは伸びません(中略)利益という考え方がないので、定性評価に偏りがちで、あまり納得感がありませんでした。スタッフは期末期初に、次長やチームのリーダーと面談し、目標設定と評価のすり合わせをします。いい評価がついても、部長以上で覆されることがあります。(日本総合研究所/新卒)



銀行系列という事があり、コンプライアンス遵守に極めて厳しい。コンサルティング部門においては、年齢が関係無い実力主義であり、新陳代謝は激しい(三菱UFJリサーチ&コンサルティング/中途)



(2)働き方の特徴を把握する


プロジェクトによってはハードワークとなる可能性がある点も理解が必要です。特に金融系のシステム関連のプロジェクトの場合はトラブル対応で夜間や休日の勤務が発生することがあります。



システム障害時に夜間コールがあり、夜間でも対応が必要になるという点。また、残業時間が実態は50~60時間あるという点は入社前に知っておきたかった。(日本総合研究所/新卒)



労働時間の考え方をもう少し知っていればよかった。 例えば変形労働時間制を採用していることから、月の日数よって、1日当たりの法定労働時間が変わる点など(中略)あまりにもハードワークすぎる点から退職を検討した。(野村総合研究所/中途)



(3)親会社など、母体組織との関係性を理解する


大手シンクタンク企業の多くは、政府や財閥系の金融機関といった母体となる親会社に属しており、親会社が顧客となることが非常に多いです。親会社との関係性が昇進スピードや、業務進行に影響することも多いため、事前に理解しておくことが必要です。



親会社と子会社の関係性は圧倒的な権力差がある、と言うことを認識しておくべきだった。特に3年に一度社長が変わるような会社において成長戦略など存在するはずもなく、自分の会社が存在しているのは親会社のためだけなのだと感じると虚しさを覚えた。(大和総研/新卒)



各部門の専門的な業務内容、昇進におけるスピード、給与の上り幅の差異、三菱UFJ銀行との関係性に伴う事情(三菱UFJリサーチ&コンサルティング/中途)






7. コンサル・シンクタンクへの転職を目指すなら


コンサル・シンクタンク業界は転職市場において、人気の高い業界であり転職を目指す場合は、入念な準備と対策が必要です。第三者からの客観的な視点を得ることで、自己分析の質を高められます。ONE CAREER PLUSでは、無料のキャリア面談サービスを提供しており、3,000件以上のキャリアデータを知るキャリアアナリストがコンサル転職をサポートしています。


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