公認会計士を目指す方や財務・会計の専門性を高めたいビジネスパーソンにとって、監査法人は魅力的なキャリア選択肢の一つです。しかし、「どのようなスキルが求められるのか」「選考ではどんなことが重視されるのか」「入社後のキャリアパスはどう描けるのか」といった具体的な情報は限られているのが現状です。
本記事では、次のキャリアが見える転職サイト「ONE CAREER PLUS」に集まった転職体験談やクチコミデータをもとに、監査法人への転職の実態を徹底解説します。実際に監査法人で働く方々の生の声から、転職成功のポイントや入社後のリアルな働き方まで、データに基づいた情報をお届けします。
1. そもそも、監査法人とは?
1-1. 監査法人の役割・業務内容
監査法人は、企業が作成した財務諸表をチェックし、その正確性や適正性を保証する会計監査を主要業務とする組織です。
金融機関や投資機関は、監査法人が保証した財務諸表に基づいて企業への投資や融資を判断するため、資金調達を円滑にし企業活動を継続していく上で会計監査は非常に重要な社会的役割を果たしています。
日本の上場企業監査業務の約8割は「BIG4」と呼ばれる大手監査法人が担っているといわれており、これらの監査法人は監査業界において圧倒的な地位を占めています。
監査法人の主な業務は監査業務ですが、非監査業務(アドバイザリー業務)も含まれます。その中にはデューデリジェンスやバリュエーションなどが含まれますが、M&Aアドバイザリー業務は専門でFASと呼ばれる別法人が行う場合がほとんどです。
(参考)
1-2. 監査法人の組織構造
一般的に、大手監査法人の組織は、監査業務を担う監査部門、コンサルティングやアドバイザリー業務を行う非監査部門、バックオフィスを担う管理部門に分かれています。
役職については、コンサルティング業界と同じように、アソシエイト、スタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーというような階層構造となっているケースが多く見受けられます。
2. 監査法人で求められるスキル・資格・人物像
2-1. 必須/歓迎スキル・資格
必須資格
公認会計士資格が基本的に必要ですが、近年は「監査トレーニー」制度により、公認会計士試験受験生の段階から監査法人で働ける制度が各法人で導入されています。
歓迎スキル・経験
- 会計・財務に関する知識と実務経験
- 英語力(特に大手監査法人では海外展開企業の監査があるため)
- システム・IT関連スキル(デジタル監査の進展により重要性が増加)
監査法人の公認会計士になるためには当然ながら試験に合格しなければなりませんが、昨今の公認会計士業界は人手不足が続いています。
2-2. 採用されやすい人物像
監査法人で求められる人物像として、以下のスキルが重要視されています。
コミュニケーションスキル
監査業務では、クライアントと直接会ってヒアリングする機会が多くあります。会計監査に必要な正確な情報を収集するためには論理的な順序で、適切に質問しなければなりません。
また、対クライアントだけでなく、監査業務はチームで行われるものです。社内で活発にコミュニケーションを行い、チームワークを大切にできるかどうかも求められます。
分析能力
クライアントから提供されたさまざまな資料に誤りや粉飾がないかを精査するためには、高い分析能力が求められます。特に繁忙期は膨大な業務をこなさなければならない激務であることから、単に正確性だけでなく、スピーディーに処理する必要があります。
公認会計士としての適性
「監査トレーニー」として転職する場合、会計スキル以上に公認会計士としての適性が見られる傾向にあります。採用側から見た場合、トレーニーとして採用したものの試験に受からないというリスクは避けたいところです。
2-3. 実際の監査法人への転職事例
ワンキャリア転職に集まった転職体験談を分析すると、監査法人への転職者は多様なバックグラウンドを持っていることが分かります。
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