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賃上げしても「生活は楽にならない」現実——年収×福利厚生で選ぶべき企業5選

賃上げが続くと報じられる一方で、「生活は楽にならない」という感覚は広がっている。背景には、物価高が賃金の伸びを上回り、実質賃金が押し下げられている現状がある。


日経新聞が報じたように、2025年9月の実質賃金は前年同月比1.4%減となり、9カ月連続でマイナスとなった。


このように賃上げと生活実感が乖離する状況では、額面年収だけでなく、家賃や交通費など「持ち出し」を抑える福利厚生を含めて企業を見ることが重要なのではないだろうか。本記事では、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミデータをもとに、編集部が「年収×福利厚生」の観点から、物価高の時代でも豊かさを感じやすい5社を紹介する。


目次



1. なぜ実質賃金が下がるのか——賃上げの恩恵を実感できない理由


1-1. 物価上昇の勢いに賃上げが追いつかない構図

物価が上昇し続けるなか、賃金の改善が生活実感に結びつきにくい状況が続いている。2025年11月6日に厚生労働省が発表した9月の毎月勤労統計調査の結果速報によると、名目賃金(現金給与総額)は2025年9月時点で前年同月比1.9%増と一定の上昇を見せている。


しかし、物価の影響を差し引いた実質賃金は同月1.4%減。これで9カ月連続のマイナスとなった。本来であれば給与の伸びが生活水準の向上につながるはずだが、物価上昇のスピードがそれを上回るため、家計の余裕は生まれにくい。賃金のトレンドと生活感覚のズレは、この「名目のプラス」と「実質のマイナス」が同時に起きている構造によって説明できる。




1-2. 企業規模によって賃上げ格差がある


賃上げの恩恵は企業によって大きく異なる。日経新聞が報じた2025年夏季賞与のデータによれば、大企業と中小企業の間で伸び率の差が拡大している。


厚生労働省の毎月勤労統計(5人以上の事業所)をもとにした集計では、

  • 従業員5〜29人の小規模事業所:伸び率0.2%(平均28.4万円)
  • 従業員1000人以上の大規模事業所:伸び率5.4%(平均85.8万円)

となり、その差は5.2ポイントに及んだ。


前年度から格差がさらに広がっている点が特徴だ。こうした状況から、企業規模によって“賃上げの恩恵の受け取りやすさ”に差があることがわかる。







2. 福利厚生は、企業選びで重視すべき「第二の給与」だ


物価高や企業規模による賃上げ格差が続くなかでは、額面年収だけで生活の豊かさを判断することが難しくなっている。家賃・交通費・食費などの固定費をどれだけ企業が補助してくれるかは、給与の上げ幅以上に“手元に残る金額”を左右する要素になりつつある。


そのため、福利厚生は単なる付帯制度ではなく、第二の給与(実質的な収入)として評価すべきだ。本記事ではワンキャリア転職のクチコミデータをもとに、年収が比較的高く、生活コストを大きく下げられる制度を持つ5社を編集部が独自に選定した。






3. 年収×福利厚生の両立ができる企業5選


3-1. Google:平均年収1,416万円*/福利厚生は「包括サポートで最高の環境」


グーグル(以下、Google)は福利厚生の良い会社の象徴的存在として広く知られている。同社の最大の特徴は、生活コストを劇的に下げる包括的なサポート体制にある。


<特徴的な福利厚生>

  • 社食(朝昼晩)・お菓子・ドリンクが無料で提供され、平日はほぼ"生活コストゼロ"を実現できる。
  • ナップルーム、社内カフェ、フィットネス、マッサージなど環境系の福利厚生も充実
  • 自社株付与、英会話/MBA補助、学費ローン返済など成長系の支援も厚い
  • 仕事関連に限らず、ピアノ・乗馬など習い事にも補助が出る点は他社にない特色


<生活コストが下がる効果>

食事代・カフェ代で月3〜5万円の節約相当、フィットネス・ジムで月1〜2万円相当、リフレッシュ費用補助で数万円/年の効果がある。


<社員のリアルな声>


スポーツジムや社食、カフェなどが無料で利用できます。会社にいる平日は基本的にお金がかかりません。(中途入社/法人営業)



習い事に対して会社が補助してくれる部分がある。英会話など仕事に使うものだけでなく、ピアノや乗馬、ジムなど直接仕事に関係なくても一部補助が出る。(中途入社/デジタルマーケティング



世間で言われているとおり、端的に言えば最高の環境です。朝昼晩のご飯、おやつ、飲み物など、あらゆる食事は無料。仕事中に疲れたら無料の社内カフェでお茶を楽しんだり、ナップルームで仮眠をとったり。平日はお財布を取り出すことがありませんでした。これ以上ないくらいに最高の環境でした。(中途入社/広告営業)


*平均年収はワンキャリア転職のクチコミデータより

(参考)Google の福利厚生 - Google Careers





3-2. JT:平均年収952万円*/福利厚生は「家賃補助が脅威の7割」


JTの福利厚生は「家賃補助の破壊力」が圧倒的な特徴となっている。生活費の中で最も大きな固定費である住居費を大幅に削減できる制度を持つ。


<特徴的な福利厚生>

  • 家賃補助は家賃会社負担額最大7万円、同居人ありの場合は家賃会社負担額最大12.6万円
  • 在宅勤務手当の支給やWELLBOXポイント各種補助も用意されている。持株会・資産形成制度も強力


<生活コストが下がる効果>

家賃7割補助により年間数十万〜100万円単位で可処分所得がアップし、資産形成補助については、高配当株で名高いJTの株を持株会という形で所有できることが"長期の豊かさ"に寄与する。


<社員のリアルな声>


福利厚生はトップクラスを誇っていると言っても良い。家賃補助:配偶者、同居人有無で異なるが、同居人ありの場合MAX140万円ほど年間で補助がでる。WELLBOXの制度があり、給与以外にも各種金銭補助が出る(新卒/マーケティング部門)



昨今の新NISAで代表される高配当株を持ち株会という制度でお得に取得できる制度はかなり資産形成に影響するかと思います。(新卒/法人営業)


*平均年収は同社の有価証券報告書より

(参考)ダイバーシティを支える人事制度|JT RECRUITING SITE 新卒採用サイト



▼JTの年収・評価制度について詳しく見る




3-3. JR東日本:平均年収768万円* /福利厚生は「JR東日本全線乗り放題」


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ワンキャリア転職 編集部

井口 祥子

一橋大学卒業後、新卒では大手人材系企業に入社し法人営業を経験。その後、就活プラットフォームを運営する人材ベンチャーに入社。学生の就職支援に携わった後、スタートアップ、大企業、コンサルティングファーム等の採用ブランディング記事の企画・編集・執筆を手掛ける。2022年よりワンキャリア入社。ワンキャリア転職にて社会人向けのキャリア支援やコンテンツ企画・編集に携わる。

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