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Big4系FASの年収・働き方・キャリアパスは?データをもとに各社の違いを徹底比較

M&Aや企業再生など、企業の重要な局面で専門的なアドバイザリーサービスを提供するBig4系FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)。


高い専門性と魅力的な年収水準で注目を集める一方、実際の働き方やキャリアパスについては情報が限られているのが現状です。本記事では、ONE CAREER PLUSに集まる独自のクチコミデータや転職体験談をもとに、Big4系FAS各社の年収・働き方・キャリアパスの違いを徹底比較し、転職を検討している方に有益な情報をお届けします。




1. そもそもBig4系FASとは?


1-1. FASの概要


FASとは、Financial Advisory Serviceの略であり、企業のM&A、企業再生、事業改革などの分野で専門的なコンサルティングサービスを提供する業務を指します。


FASの主な仕事領域は多岐にわたり、M&Aにおいては戦略策定からPMI(Post Merger Integration)まであらゆるフェーズを支援しています


具体的には、企業の経営戦略、事業戦略の策定支援、M&Aの全体統括や進捗管理、包括的なアドバイザリー業務、バリュエーション業務、財務デューデリジェンス、PMIの戦略立案・実行支援など、企業変革のあらゆる局面でプロフェッショナルサービスを提供しています。


Big4系のFASは、世界的な会計事務所グループの一員として、グローバルネットワークを活用したクロスボーダーな案件にも対応できる点が大きな特徴です。


デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)

2001年6月1日設立で、従業員数2,128名(2024年5月末日現在)を擁し、M&A、企業再生、リストラクチャリングなど多岐にわたる専門的なサービスを提供しています。


KPMG FAS

2001年設立で、M&Aの戦略策定からPMIまであらゆるフェーズを支援し、M&Aを一気通貫に支援できる「職人集団」としての特徴を持ちます。


PwCアドバイザリー

1996年6月15日設立で、従業員数約890名(2024年6月30日現在)を擁し、主にM&A・事業再生・インフラの3つの領域でディールアドバイザリーサービスを展開しています。


EYストラテジー・アンド・コンサルティング(FAS部門)

EYストラテジー・アンド・コンサルティングのFAS部門として、財務アドバイザリーサービスを提供しています。




1-2. BIG4系FASで働く魅力


Big4系FASで働く魅力は、社会的インパクトの大きな案件に携われることにあります。ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをみると、「新聞やニュースに載る大規模案件」「大手企業のM&A」など、社会に与えるインパクトの大きい仕事に携われることを最も大きなやりがいとして感じている声が多数見受けられます。


具体的には、以下のような声が寄せられています:



自主性さえあれば仕事を任せてもらえ、挑戦ができる環境であることはやりがいに感じる。新聞やニュースに掲載されるような社会インパクトの大きい仕事に携われることからも働くことの価値を見出すことができる。(デロイトトーマツ ファイナンシャル アドバイザリー/中途)


さらに、クライアントとの距離の近さも大きな魅力の一つです。経営層との直接的な関わりや、重要な意思決定への関与により、プロフェッショナルとしての価値を実感できる環境があります。



大手企業の取締役や経営企画/財務部門のリーダー層などとディスカッションしながら、今後のクライアントのM&A戦略やグループ会社のM&A方針などをディスカッションする機会は非常に稀な機会だと感じている。(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー/中途


高い専門性を身につけ、優秀な同僚との協働を通じた自己成長も重要なやりがいの要素となっています。






2. Big4系FAS各社を徹底比較


2-1. Big4系FAS 年収の違い


Big4系FAS各社の年収水準を比較すると、いずれも業界内で高い水準を維持していますが、等級制度や昇進スピードに違いが見られます。


デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)

DTFAの29歳目安年収は1,200万円となっています。


等級別の年収は、アナリストで550-600万円程度、コンサルタントで600-900万円程度、シニアコンサルタントで1,000万円、マネージャーで1,500万円、シニアマネージャーで2,000万円、ディレクターで2,200万円、マネージングディレクターで2,500万円程度となっています。

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KPMG FAS

KPMG FASの27歳目安年収は1,100万円以上です


等級別では、ジュニアアソシエイトで580万円以上、アソシエイトで800-1,200万円、シニアアソシエイトで1,100-1,500万円、マネージャーで1,400-1,800万円、シニアマネージャーで1,700-2,100万円となっています。


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PwCアドバイザリー

PwCアドバイザリーの28歳の目安年収は1,300万円です。


等級別では、アソシエイトで500-840万円、シニアアソシエイトで825-1,300万円、マネージャーで1,300-1,600万円、シニアマネージャーで1,600-2,000万円、ディレクターで約2,500万円、パートナーで4,000万円~1億円となっています。


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EYSC

EYSCの29歳の目安年収は1,000万円です。


等級別では、コンサルタントで550~650万円、シニアコンサルタントで720~1,000万円、マネージャーで1,200~1,400万円、シニアマネージャーで1,400万円〜、ディレクターで1,800万円程度、パートナーで5,000万円程度となっています。

※なお、EYSCについてはFAS部門ではなくEYSC全体の水準となります。


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これらの比較から、PwCアドバイザリーが若干高い年収水準を示していることがわかります。また、各社とも20代後半から30代前半で1,000万円を超える年収が期待できる水準にあります。




2-2. Big4系FAS カルチャーの違い


ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをみると、各社のカルチャーには明確な違いが見られます。


デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー

「フラット&オープンである」「育成を重視している」という声がある一方、ハードワークは必要でタフさが求められる環境です。近年、ワークライフバランス改善に舵を切っているようです。



役職が上の社員との距離は近く、風通しは非常に良い。残業やコンプライアンスの強化にも注力。(中途



クライアントファーストを考える優秀かつハードワーキングな方々が多いという印象。クライアントへの提供価値を最大化するためによく働くが、近年の業界全体のホワイト化も進んでおり、個人としても組織としても過渡期にある(中途



手を上げれば挑戦させてくれるベンチャーな風土も。(中途)



PwCアドバイザリー


総じて「フラットで穏やかな人が多い」「育成意識が高い」といった声が見受けられましたが、一部風通しが悪いと感じるクチコミも見受けられました。



基本的に紳士的で穏やかな人が多い印象である。コンサルファームにしては大人しいという意見もあるかもしれないが、仕事に関しても必ずしも大人しいという訳ではなく、言うべきことは言うカルチャーでもある(中途



風通しはあまりよくないように思います。コーチ/メンターなどがそれぞれの社員に付き定期的に相談できる会も設けられていますが、実際にはパワハラ/セクハラの相談をしても上層部で止められてしまうことが周りでも私自身もよくありました。(新卒)



KPMG FAS

「穏やかでマチュアな人が多い」といった声が見受けられる一方で、実力主義かつハードに働くとの声がありました。



穏やかな方が多い。社風としては非常にマイルド。一部のコンサルティングにあるギスギスした感じや、お金至上主義な感じもない。サービスそのものの専門性も非常に高いため、プロフェッショナルでマチュアな方ばかり(中途



繁忙期と閑散期の差が大きいため、働く時は猛烈に、寝る時間を惜しんで働く。上司に対してもフラットだが、若手はやや委縮。(中途



組織が若いこともあり、自分の考え・希望も言いやすいし、理不尽な上司に当たったことがない。(中途



EYSC(財務・会計コンサルタント)


和やかでアットホームな雰囲気が強いといった声が多く見受けられ、働き方も比較的他社と比べると緩やかな傾向にあるようです。一方、自主性も強く求められ、受け身の人には厳しい側面も見受けられます。



アットホームでホワイト。部活などを通して社員同士の仲はとても良い、労働時間は業界内で少ない。(新卒



和やかで穏やかなイメージ。その分組織の繋がりは弱い。(中途



良くも悪くも個人主義。自主性が尊重される、中途でも自分から動かないと教えてもらえない。(中途






3. Big4系FASのキャリアパス


3-1. Big4系FAS社内のキャリアパス


Big4系FAS各社の等級制度は基本的に類似しており、一般的な昇進スピードは以下のとおりです。


一般的な昇進スピード

  • アナリスト/ジュニアアソシエイト→アソシエイト/コンサルタント:1-2年
  • アソシエイト→シニアアソシエイト:2-3年
  • シニアアソシエイト→マネージャー:3-4年
  • マネージャー→シニアマネージャー:3-5年


各等級の期待役割

アナリスト・ジュニアアソシエイトレベルでは、上位者の指示に基づき、タスク単位での自己管理をしながら能動的に作業を推進することが求められます。


シニアアソシエイト以上になると、プロジェクトで定められたスコープ・成果に基づくタスクを作業に落とし込み、自立的に確実に進行することが期待されます。


マネージャー以上は管理職として、複数または大型のエンゲージメントデリバリーの進行をメインミッションとし、計画的かつ高品質にエンゲージメントを完遂することが求められます。




3-2. 卒業後の転職先や転職事例


Big4系FASからの転職先は多様で、特に事業会社への転職が多い傾向にあります。


主な転職先パターン

  • 事業会社のCFO・経営企画ポジション
  • 総合商社の投資部門
  • 事業会社で金融専門知識を求められる部門
  • 投資ファンド
  • 他のコンサルティングファーム


具体的な転職事例として、「事業会社のCFOポジションや商社の投資部隊、IBバンカーやVCなど、いずれにせよ金融の専門知識を求められる業界に転職することが多い(中途)」という傾向が見られます。


また、「ファンドやベンチャー企業、事業会社等転職先は多岐にわたる印象。競合他社への転職も見られる(中途)」という状況で、キャリアパスの選択肢は非常に豊富です。






4. Big4系FASに向いている人


転職体験談分析によると、Big4系FASに転職する人には明確な傾向があります。


(!)成長意欲・プロフェッショナル志向が極めて強い

最も顕著な特徴は、成長意欲とプロフェッショナル志向の高さです。「スキル面の成長」「専門性アップ」「挑戦」を動機とした転職者が多く、年収アップも実現している傾向があります。


(2)前職への課題感を持つ人

「環境の硬直・評価への疑問」「裁量・案件不足」「スキル獲得限界」を感じた人の転職が多く見られます。特に、「事業会社ではキャリアを自分で選べない」という自律的なキャリア志向を持つ人に適しています。


(3)グローバル志向がある人

グローバル案件やブランド力、クロスボーダーM&A等に魅力を感じ、世界中で通用するスキルを身につけたいという志向を持つ人が多く転職しています。


(4)多様なバックグラウンドの受け入れ

従来の金融・コンサル出身者だけでなく、SIer・ITエンジニア、営業・人事、監査法人など多様な業界出身者が活躍しています。年齢・社会人歴も幅広く、3年未満の若手から10~15年超の中堅・管理職クラスまで例があります。






5. Big4系FASへの転職するには


5-1. 転職市場動向と求められる経験・スキル

Big4系FAS各社では、組織により求められているスキルや経験が異なります。例えば、KPMG FASでは以下のような人材が求められます。


部門別の求められる人物像


M&A: ストラテジー部門

自立的な成長を意識でき、当事者意識を持って仕事に取り組めるプロアクティブな方が求められます。各人がセクター(業界)やある特定の領域に対するスペシャリティを有することが重要です。


M&A: コーポレートファイナンス部門

現状だけでなく未来に対する意識や将来のビジョン、自分のあるべき姿とのギャップを意識しながら成長できる方が求められています。


M&A: トランザクションサービス部門

チームを組んで仕事を進めることが多いため、周囲を助け、協力しあえるチームワークへの貢献を志向し、チームをマネジメントできる方が重要です。




5-2. 選考対策


ONE CAREER PLUSに集まった選考体験談をみると、Big4系FASの選考を突破するためには、志望動機と職務経験を論理的に語る準備が欠かせません。なぜこのファームなのかを、自身の言葉で具体的に説明できるよう整理しましょう。


ある体験者は「まずは志望動機を論理的に話すことができるようになること(2021年DTFA内定)」が重要だと述べています。また、プロジェクト経験については「自分の経歴と工夫した点を論理的に話せるよう準備した」との声もあり、STAR法(状況・課題・行動・結果)でまとめるのが効果的です。


ケース面接も多く、要素分解力やロジカルシンキングが問われます。実際に「ケース面接のウェイトが高いため、どのようなケースが来ても対応できるよう準備をしておくことが必要(2022年DTFA内定)」とのアドバイスも寄せられています。また、逆質問や、面接官の圧迫的な質問への耐性も評価ポイントです。


業界や応募部門の研究も怠らず、業界全体知識を事前に調査し、なぜその会社なのかを明確にすることで志望度の高さを伝えましょう。幅広い準備が、Big4系FAS内定への近道です。


▼選考対策についてもっと知りたい方はこちら



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