ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第3回はD2Cです。これまでECでの主流はB2C、B2Bでしたが、D2Cという事業モデルが新たに注目されています。メーカーが自社のオリジナル商品を直接販売するモデルはこれまでもあったはずですが、一体何が違うのでしょうか?
ここでは、D2Cという事業モデルがこれまでのビジネスモデルに革新をもたらした理由や、いち早くD2C事業を展開し、頭角を表している企業とともに解説します。
- D2Cとは?
- なぜD2Cが注目されているのか?
- 企業一覧&キャリアパターン解説
- STORES:D2Cを一気通貫で支援
- BASE:ネットショップ開設実績が業界No.1
- BASE FOOD:「完全栄養食」で日本人のライフスタイルを変革
- オイシックス・ラ・大地:食品D2Cのパイオニア
- TENTIAL(テンシャル):急成長の新進気鋭ウェルネスブランド
- バルクオム:D2Cを徹底した急成長メンズビューティーブランド
- FABRIC TOKYO:ECが難しいスーツでD2Cを実現
- ビビッドガーデン:個人と生産者を直接つなぎ、社会問題解決
- 北の達人:ギネス記録級のヒット商品で高い利益率を維持
- I-ne:顧客ニーズにスピーディに応えるファブリス企業
- まとめ
D2Cとは?
D2C(Direct to Consumer)とは、その名の通り、メーカーが小売や流通を介さずにダイレクトに消費者へ販売する事業モデルのことです。消費者にアプローチする点では、B2Cと同じですが、異なるのは直接販売できる点です。そして、直接販売する以上、メーカーは自社やOEMで製造を行い、自社ブランドを持っていなければなりません。
これまでにも、メーカーが自社ブランドを販売するビジネスモデルは存在していました。例えば、SPAと呼ばれる製造直販で、具体的にはユニクロや無印良品などです。しかし、店舗での販売が売上の大半を占めるSPAに対し、D2Cは多くの場合、店舗を持たず自社ECでの販売がメインです。
そのため、製造コストはもちろん、決済や物流、ITシステムを自前で準備しなければならずイニシャルコストがかかります。ノウハウがなければマーケティングやブランディングにも苦労するでしょう。しかし、事業が軌道に乗れば、顧客がファン化し、リピート購入も促進され、収益性が高いビジネスになるのです。
なぜD2Cが注目されているのか?
D2Cが注目され、伸長している理由にはいくつかの点が挙げられます。なかでも最も大きなポイントは、人々の消費行動が変化したことです。現代の日本ではモノが溢れ、消費者は「新しい機能」を持った製品よりも、生活を豊かにしてくれる目に見えない「価値」にお金を出すようになりました。
その「価値」を売るためには、家電量販店や大手ECモールに製品を陳列するだけでは不十分でしょう。独自のコンセプトを持つ製品を企画・製造し、消費者にその哲学・世界観やストーリーを発信する必要があります。つまり、自社ECやSNSで効果的にマーケティングすることにより、スタートアップ企業でも十分消費者の情緒に訴え、心を揺り動かすブランドを、製造から販売まで手がけることができるようになったのです。
企業一覧&キャリアパターン解説
STORES:D2Cを一気通貫で支援
#D2C #EC
#ネットショップ #オムニチャネル #POSレジ
■どんな事業内容?
2012年設立。2018年より「ヘイ」という社名だったが、2022年にもともとサービスブランド名だった「STORES」に変更。サービスの特徴は、D2Cという事業モデルを総合的にサポートできること。ネットショップ作成からオンライン予約システム、POSレジ、店舗アプリ作成まで可能。
■なぜ注目?
STORESのポイントは、D2Cビジネスを事業とする個人や小規模事業者に欠かせないオム二チャネルをますます加速させる点です。オムニチャネルとは、顧客管理から商品管理、物流まで全チャネルをカバーし、オンライン・オフライン関係なく、複数のチャネルで顧客と接点を持つことにより顧客体験価値を向上し続けることを指します。
■この企業への転職事例は?
BASE:ネットショップ開設実績が業界No.1
#スタートアップ #D2C
#ネットショップ #PAY #BANK
■どんな事業内容?
2012年設立。決済・金融分野を主軸に、簡単にネットショップを作れる「BASE」の他、オンライン決済サービス「PAY.JP」、資金調達サービス「YELL BANK」など、個人や小規模チームをエンパワーメントするプロダクトを企画・開発・運営を行っている。
■なぜ注目?
BASEは、D2Cに欠かすことのできないネットショップの開設実績が業界No.1。2012年11月にサービスの提供を開始して以降、2023年6月には累計数200万ショップを突破しました。同サービスは初期費用・月額費用は0円で、商品が売れた際にのみ手数料が発生する料金プランも設けられており、サービス利用へのハードルの低さが魅力です。
■この企業への転職事例は?
BASE FOOD:「完全栄養食」で日本人のライフスタイルを変革
#スタートアップ #D2C
#サブスク #ECサイト #ライフスタイル
■どんな事業内容?
2016年設立。26種のビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維など、人間が摂取する必要がある栄養がつまった完全栄養食「BASE FOOD」を開発、販売。自社工場は持たず、OEMに製造を委託し、販売は自社ECにて会員向けの月額サブスクリプションが中心。
■なぜ注目?
BASE FOODが注目される理由の一つに、日本国内のECにとどまらず、越境ECプラットフォームなどにも進出していることが挙げられます。例えば、2023年5月よりアリババグループが運営する中国最大の越境ECプラットフォーム「Tmall Global」に出店しました。また、2023年12月には香港での累計販売数が30万袋を突破しました。
オイシックス・ラ・大地:食品D2Cのパイオニア
#D2C #食品
#移動式スーパー #コロナ禍 #宅配
■どんな事業内容?
2017年に「オイシックス」と「大地を守る会」が経営統合し、「オイシックスドット大地」。その後、有機野菜などの宅配サービスを手がける「らでぃっしゅぼーや」と経営統合。2018年7月に「オイシックス・ラ・大地」へ社名変更。「これからの食卓、これからの畑」を企業理念とし、食に関する社会問題をビジネスの手法で解決することを目指す。
■なぜ注目?
コロナ禍で目覚ましい成長を遂げたD2Cの食品分野ですが、「オイシックス・ラ・大地」はまさにその先駆者。同社の事業は、便利さだけでなく、消費者に寄り添い、価値や共感を提供していることもポイントです。
■この企業への転職事例は?
Visional(ビズリーチ)
ソフトウェアエンジニア,役職なし- 転職を考えた理由・きっかけ
- 理由は大きく3つあり、・職場の人間関係がつらく、もう少し人当たりの柔らかいところで仕...もっと見る
- 転職時に重視したポイント
- 転職を考えた理由に3点記載をしましたが、その中でも人間関係のところを重視していたので、...もっと見る
TENTIAL(テンシャル):急成長の新進気鋭ウェルネスブランド
#スタートアップ #D2C
#ヘルスケア #ウェルネスブランド #インソール
■どんな事業内容?
2019年に誕生したウェルネスブランド。「身体を充電するツールで、生涯を通じて挑戦する人を支え続ける。」をビジョンに、特許技術を採用したインソールや、一般医療機器取得のリカバリーウェアなどの開発・販売を実施。
■なぜ注目?
テンシャルは、「D2C」というビジネスモデルの強みを最大限に活かしている点が注目です。店舗販売で発生するサプライチェーンなどのさまざまな手間を省くことができ、大手スポーツメーカーでは2〜3年かかるような商品開発を2カ月程度ですすめるスピード感も特徴です。
■この企業への転職事例は?
バルクオム:D2Cを徹底した急成長メンズビューティーブランド
#スタートアップ #D2C
#メンズ #スキンケア #ドラッグストア
■どんな事業内容?
2017年設立。「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」をミッションに男性に特化したスキンケアブランドを企画・販売し、2020年7月時点での出荷本数は500万本に上る。国内だけでなく、アジア、欧州などの10か国以上の国や地域に展開。
■なぜ注目?
バルクオムはメンズに特化していることで、ニッチ・成長ポテンシャルのある企業です。また、「100人の中の1人」に愛され、満足度を高めるために商品アップデートを早くできる体制を構築している点で、まさにD2Cを体現しているといえます。
FABRIC TOKYO:ECが難しいスーツでD2Cを実現
#D2C #EC
#オムニチャネル #スーツ #オーダーメイド
■どんな事業内容?
2012年設立。「LIFESTYLE DESIGN FOR ALL~誰もが自分らしいライフスタイルを自由にデザインできるオープンな社会を作る」をミッションに、店舗でサイズを測定後、自分の好きなタイミングでスマートフォンからスーツを注文できるD2Cビジネスモデルを構築。
■なぜ注目?
アパレルの中でもスーツはEC化率が低く、FABRIC TOKYO設立時は1%未満でした。スーツをネットで購入する企業が少ないなか、顧客データを綿密に収集し、活用、購入プロセスをWebで統一し、D2Cのビジネスモデルを確立しました。
ビビッドガーデン:個人と生産者を直接つなぎ、社会問題解決
#D2C #オンライン直売所
#社会問題 #一次産業 #プラットフォーム
■どんな事業内容?
2016年設立、事業内容は全国の生産者から食材や花などを直接購入できるオンライン直売所「食べチョク」の開発・運営。法人向けに顧客へのプレゼントキャンペーンや従業員へのギフトなど、目的や提供した価値に合わせた専用プランも提案
■なぜ注目?
農業従事者の平均年齢は約68歳といわれています。高齢化だけでなく、一次産業を取り巻くさまざまな状況の変化は、日本社会の大きな課題の一つ。D2Cというビジネスモデルで、社会問題の解決に関われる意義ある事業が注目されています。
■この企業への転職事例は?
北の達人:ギネス記録級のヒット商品で高い利益率を維持
#D2C #通信販売
#健康食品 #化粧品 #ギネス
■どんな事業内容?
2002年設立、事業内容は、健康食品、化粧品、雑貨の企画・開発・製造販売・インターネット通信販売事業。「北の達人」という企業名は、発祥の地である北の大地、北韓道における高い技術と能力を持ち活躍するプロフェッショナル集団となりたいとの思いに由来。
■なぜ注目?
「びっくりするほどよい商品ができたときにしか発表しない」という品質重視のプロダクト開発で、機能性表示食品「カイテキオリゴ」やギネス世界記録認定となった化粧品「ディープパッチシリーズ」などで、高い利益率を出しています。
■この企業への転職事例は?
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
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I-ne:顧客ニーズにスピーディに応えるファブリス企業
#D2C #ファブリス
#化粧品 #ヘルスケア #Eコマース
■どんな事業内容?
2007年設立、「Chain of Happiness」をミッションに化粧品、美容家電の美容関連商品や販売店の企画開発、運営、製造及び販売。トイレタリー及びヘルスケア関連商品の企画開発、製造及び販売。Eコマース事業を展開。
■なぜ注目?
I-neは「BOTANIST(ボタニスト)」などのヒットブランドを連発していますが、自社工場を持たず、生産は第三者に委託するファブレス企業です。それにより、作る製品を固定化せず、世の中のトレンドに合わせて柔軟に変えられることを重視します。
まとめ
デジタルの力で消費者一人ひとりのニーズに寄り添い、製品を届けられるD2Cビジネス。何よりも「モノ」に飽きてしまった人々が求めている「価値」を提供し、さまざまな社会問題の解決にアプローチできる点で、D2Cは大きな魅力を感じる領域といえるでしょう。