外資IT企業への転職は高い年収、グローバルな環境、最先端技術に触れる機会など、さまざまなメリットがある一方で、実際の仕事内容や求められるスキルについては具体的にイメージしづらい部分もあるのではないでしょうか。
本記事では、ONE CAREER PLUSに集まった外資IT企業の社員のリアルな声や転職経験者のクチコミをもとに、外資IT企業の仕事内容、主な職種、年収相場、そして転職するメリット・デメリットまで徹底解説します。外資IT企業への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.外資IT企業の仕事内容と主な職種
外資IT企業は、グローバル本社が開発した製品・サービスを日本市場に展開する「日本法人」として機能しています。そのため、多くの外資IT企業の日本法人では、製品開発よりも販売促進やカスタマーサクセスに力を入れているのが特徴です。
日本法人の主な役割は、グローバル本社で開発された製品やサービスを日本市場向けに最適化し、販売・サポートすることです。そのため、営業職や顧客サポート職の比率が高い傾向にあります。また、製品・サービスのローカライズやカスタマイズのためのエンジニアも重要な役割を果たしています。
ただし、企業によって特色があり、例えばApple Japanはハードウェア販売の直営店を持つ点が特徴的です。また日本IBMはコンサルティングサービスにも力を入れています。
1-1. 各部門の仕事内容
外資IT企業における主要な部門と仕事内容を見ていきましょう。
営業部門
まず、営業部門は大きく分けるとアカウント営業と代理店営業の2つがあります。担当するアカウント(企業)に対して、自社製品・サービスを通じた課題解決を提案する役割です。組織・職種構成はセールスフォースが実践している分業体制「The Model」を採用していることが多いです。
「The Model」の特徴は、顧客の購買行動や営業プロセスを細分化し、それぞれに専門チームと担当を設けることで、高い生産性と顧客体験を実現しています。
エンジニア部門
外資IT企業のエンジニア職は、その企業が販売する製品・サービスの内容により、職種も異なります。ただ、全体的な傾向としては、グローバルで展開するシステムを日本向けにローカライズする開発や、顧客への販売、その後の導入を技術面でサポートする役割を担うことがあります。主な職種名は次の通りです。
マーケティング部門
マーケティング部門は、製品・サービスの認知度向上や需要創出を担当します。商材のターゲットによって役割は異なります。
- 法人向け商材:リード獲得に向けたイベント・キャンペーンなどを企画・実行します
- 一般消費者向け商材:販売促進のキャンペーンやCMなどによるブランディングを行います
バックオフィス部門
人事、法務、財務、経理、広報といった企業の管理部門です。グローバルの方針を、日本のルールや商慣習に合わせてカスタマイズする柔軟さが求められます。
1-2. キャリアパス・昇進ルートの特徴
外資IT企業では、成果に応じた昇進や職種変更が比較的柔軟に行われるのが特徴です。例えば営業職では、インサイドセールスからアカウントエグゼクティブへとキャリアアップするルートがあります。
また、企業によっては大幅な職種変更によるキャリアチェンジも可能で、柔軟にキャリアパスを描くこともできます。ただし、外資IT企業は実力主義のため、これらの昇進や職種変更は、個人の成果や能力に大きく依存します。
2. 外資IT企業に転職するメリット・デメリット
外資IT企業への転職は多くの魅力がある一方で、注意すべき点もあります。ここでは、メリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
2-1. 外資ITで得られるメリット
1.年収アップの可能性
日系企業と比較して年収水準が高く、成果に応じた昇給やボーナスが期待できます。
2.グローバルな環境
海外拠点との協働や海外転勤の機会が豊富です。
3.最先端技術への接点
常に最新のテクノロジーに触れ、グローバルスタンダードのスキルを習得できます。
4.成果主義の評価
年功序列ではなく、成果や能力に応じた評価・昇進が行われます。
5.キャリアの市場価値向上
外資IT企業での経験は、その後のキャリアにおいて高い市場価値を持ちます。
6.裁量の大きさ
自律的に業務を進められる環境が整っている企業が多いです。
ONE CAREER PLUSにも、次のようなクチコミが投稿されていました。
外資系なので成果主義だとは思っていたが、想像以上に成果が給与に反映された。入社時と退職時(4年間弱)で、給与は1.5倍以上になった。良い意味で期待と異なったのは、福利厚生がすごくて支出が大きく減ったこと。貯金がかなり進んだ(グーグルの法人営業/中途入社)
ミーティングが無ければ日中だろうと朝だろうと働いてなくてもいい雰囲気がある。非常に働きやすい。早退、遅出、歯医者やジムの中抜けなどは基本的に自由にできる。半休を使うことがほとんどない(日本マイクロソフトのプリセールス・技術営業/中途入社)
2-2. 知っておきたいデメリット・注意点
1.高いプレッシャー
成果を出し続けることへのプレッシャーが大きく、業績不振時にはレイオフのリスクもあります。
2.英語力の必要性
職種や企業によっては高い英語力が求められます。
3.カルチャーの違い
日系企業とは文化や働き方が大きく異なり、適応に時間がかかる場合があります。
4.グローバル本社の意向
重要な決定はグローバル本社で行われることが多く、日本法人の裁量が限られる場合があります。
5.成果重視の環境
数字や結果を重視する環境に馴染めない場合、ストレスを感じる可能性があります。
ONE CAREER PLUSにも、次のようなクチコミが投稿されていました。
入社している人が各企業のトップ層ばかりなので、ついていくだけでも精一杯。
頑張ればなんとかなると思ったが、ついていけないで退職した人のパターンももっと聞いておくべきだったと思います(セールスフォースのインサイドセールス・内勤営業/中途入社)
日本はグローバルにおける支社の一つという位置づけのため、KPIは米国本社からのトップダウンで決まる(日本マイクロソフトのサポートエンジニア/中途入社)
3. 外資系IT企業で求められるスキル・人物像
3-1. 各職種に求められるスキル
外資IT企業では、職種によって求められるスキルや素養が異なります。主要な職種ごとに見ていきましょう。
エンジニア・技術職
- 技術力・専門知識
- 問題解決能力・論理的思考力
- コミュニケーション能力・チームワーク
- 自己学習能力・成長意欲
営業職
- 目標達成意欲・実績
- 顧客理解力・提案力
- コミュニケーション能力・交渉力
- 自己管理能力・主体性
マーケティング職
- 戦略的思考力・分析力
- データ活用能力
- プロジェクト推進力
- コミュニケーション能力
3-2. 英語力は必要?
英語力の必要性は職種や企業によって異なりますが、一般的には以下のような傾向があります。
エンジニア・技術職
技術ドキュメントの理解や、海外チームとの協働のために英語力が必要です。
営業職
日本国内の顧客を担当する場合は、必ずしも高い英語力は求められませんが、グローバル案件や海外企業を担当する場合は必要です。
マーケティング職
グローバルマーケティングチームとの連携や、海外からの指示を理解するために英語力が求められます。
マネジメント職
海外本社との連携や報告のため、一定以上の英語力が必要になります。
4. 外資IT企業の年収・待遇の特徴
外資IT企業の年収は、以下の要素によって決まることが多いです。
- 基本給:職種、経験、スキルによって決まる固定給です
- インセンティブ:営業職では、売上や達成率に応じたコミッションが支給されます
- 株式報酬:RSUやストックオプション。企業の株価上昇により、高い報酬を得られます
上記のように固定給以外の収入があることが、外資IT企業で高い年収を得られる理由です。職種別の年収相場は以下の通りです。
セールス職:
- アカウントエグゼクティブ(AE):800万〜1,500万円
- エンタープライズAE:1,200万〜2,000万円
- セールスマネージャー:1,500万〜2,500万円以上
マーケティング職:
- マーケティングスペシャリスト:600万〜900万円
- マーケティングマネージャー:800万〜1,200万円
- マーケティングディレクター:1,000万〜1,500万円
エンジニア・PM職:
- ソフトウェアエンジニア:700万〜1,200万円
- シニアエンジニア:900万〜1,500万円
- プロダクトマネージャー:800万〜1,400万円
- テックリード/エンジニアリングマネージャー:1,200万〜2,000万円以上
5. 外資IT企業へ転職するなら、仕事内容を理解しておこう
外資IT企業への転職を検討する際は、企業や職種ごとの仕事内容の違いを理解し、自分のスキルや志向に合った選択をすることが重要です。また、年収や待遇だけでなく、企業文化や働き方も含めて総合的に判断することで、後悔のない転職を実現できるでしょう。
外資IT企業への転職に関してさらに詳しく知りたい方は、ONE CAREER PLUSの「外資IT転職:完全攻略ロードマップ」シリーズもぜひご覧ください。
また、外資IT各社の仕事内容は以下の記事を参考にしてください。
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