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KPMGから新規事業開発のベンチャー企業――ガッツポーズがとれるような仕事を求めて|辞めコン実録集 vol.17

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。


  • いつファームを去るべきか
  • コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
  • 年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。








実録:KPMGから事業開発支援ベンチャーへ。「支援」と「実行」の両立への挑戦


「成果を出す」だけでなく、「成果が出続ける仕組みをつくる」支援とは何か──。


新卒でKPMGに入社し、新規事業支援の最前線に立ちながらも、クライアントに寄り添いきれないもどかしさを感じていたAさん。学生時代のインターンで、学生時代の未上場スタートアップ3社でのインターンで、2000件に及ぶ電話営業等、事業創造のリアルをさまざま経験した彼にとってを経験した彼にとって、「自分の手で成果を出す手触り感」は、キャリアの原体験でもありました。


転職に際しては、スタートアップへの転身を決断。現在は新規事業開発を専門とするベンチャー企業で、事業アイデアの個別伴走支援と、イノベーションマネジメントの仕組み構築支援に注力しながら、複数プロジェクトを回す日々を送っています。


「ガッツポーズできる仕事をしたい」。そう語るAさんが、なぜコンサルを離れ、どんな意思でキャリアを切り開いてきたのか。その歩みからは、コンサルタントとして働く人が“その先”を考える上でのヒントが詰まっていました。





新卒でKPMGへ──新規事業支援に没頭した2年間



「自分で事業を作る仕事がしたい」と語るAさんが、新卒で選んだのはKPMGコンサルティングでした。


大阪大学経済学部を卒業後、2021年にKPMGに入社。配属されたのは、新規事業やオープンイノベーションの支援に特化したチームでした。入社直後から、上流の戦略構想策定から事業アイデアの立案、さらにはスケールフェーズの支援まで、幅広く携わる機会を得ます。


特に印象的だったのは、ある大手金融機関での新規事業プロジェクトでした。


年間数億円規模まで成長した事業を、さらに10億円、20億円と拡大する実行支援を担います。文字通り、朝から晩まで泥臭くクライアントと伴走する日々。しかし、このプロジェクトが、彼の価値観を揺さぶる転機となります。



KPMGの支援で売上が数億円から数十億円規模まで成長することができ、クライアントへの高い付加価値を生み出すことができた。KPMGには素晴らしい上司も多く、確かに自分自身として事業創出の実践法のいろはを学べるかもしれない。


売上も順調にあがり、上司やクライアントにも恵まれ社内評価も高い。プロジェクトが長く継続すれば自分の昇進にもつながるし、KPMGの尊敬する上司からももっと指導を得られる。実際、上司からの期待も感じていたといいます。



一方で、あくまでKPMGの立場は「アドバイザー」であり、「実行」の意思決定やアクションはクライアントに委ねられている。その「実行」の意思決定やアクションがどれだけ泥臭く、大変なものかを目の当たりにすると同時に、「実行」に対する憧れや、自分自身の「実行」における経験不足を感じました


そんな思いが、少しずつ彼の胸の中で膨らんでいったのでした。






キャリア選択の原体験──インターンで感じた“手触り感”


彼が「自分で事業をつくる」という選択肢に強く惹かれた背景には、大学時代のインターン経験がありました。


初めて所属したスタートアップは、エネルギー事業を手がけるとあるベンチャー企業でした。大阪オフィスの立ち上げメンバーとして、手探りで新規事業の営業に取り組んでいました。



当時、2000件くらい電話をかけました。本当にケータイにガムテープ貼って、一日中電話をかけ続ける日々でした。でも、そこで得られた商談が1件でも契約につながったときの手応えは、めちゃくちゃ大きかった。


一つひとつの行動が、目に見える成果につながる。その「手触り感」が、彼の原体験になったといいます。



PLがゼロの状態からスタートして、少しずつ商談が増えて、PLが黒字に転じる。自分の動きが会社の成長にダイレクトに影響している感覚は、やっぱりモチベーションになるんです。


この「手触りのある仕事」をもう一度したい。そう思ったとき、自然と「事業を自分でつくる側」に立ちたいという気持ちが芽生えていた。






KPMGを離れた理由──痛みを伴って事業開発を「実行」することへの憧れ



KPMGでの経験を経て、転職を考えるようになったAさん。頭の中には、三つの選択肢がありました。引き続きコンサルを続けるのか。それとも、スタートアップで事業を担う側に回るのか。そしてもう一つが、ベンチャーキャピタル(VC)への転職でした。


「VCも面白そうだと思ってました。でも、当時20代で、VCに入ったとしても、結局はコンサル同様『アドバイザー』の立場になるので、『実行』の経験が積めるわけではない。だとしたら、中長期的な選択肢にはなるかもしれないけど、今は自分で事業成長させる経験を積みたいと考えたんです。」


選んだのは、スタートアップの世界。それも、自ら事業を動かす立場として。コンサル業界で見えてきた「課題」が、決断を後押ししました。



▼KPMGからの転職体験談







「事業を回す」側へ──新規事業開発ベンチャーでの挑戦


2023年、Aさんは新規事業開発支援を専業で行いつつ、自社としてコンサルティングサービス以外のビジネスモデルを様々立ち上げる急成長ベンチャー企業に転職します。新たな職場でのミッションは、新規事業開発支援やオープンイノベーション推進支援のプロジェクトマネジメント。そして、CEO室という経営企画的な立場でもグループ全体の企業価値向上を担っています。


その支援スタンスは、KPMG時代とは大きく異なります。「成果」へコミットする、という点は共通していても、そのアプローチは根本から異なっていました。



クライアントの新規事業の成果にコミットする、という点はKPMGでの経験を活かし変わらず維持しています。



一方で、そのクライアントの成長が、自社事業の成長にもつながる。クライアントの周辺課題をPJT内で察知し、その課題を解決するために自社が変革し、新たなサービスを自社立ち上げ/他社とのアライアンス構築/M&A等をすることで、クライアントと一緒に自社も成長する。このアプローチは大変面白いです。



転職後には、様々な新規サービスの立ち上げ、外部企業との業務提携/JV設立/M&A、大手メガベンチャーとの資本解消/カーブアウト、海外拠点の立ち上げ検討、CEO室のインターン生組織の立ち上げ/採用/マネジメント、等、自分自身としても自社の事業開発の『実行者』になる経験ができており、大変刺激的ですね。


クライアントに寄り添いつつ、自社としても事業開発を様々な形で『実行』する。それが今、彼の職場で実現できているという。






「ガッツポーズできる仕事」──100万円の年収ダウンもV字回復でコンサル時代を上回る



転職後、Aさんはこう語ります。



今の仕事、めちゃくちゃガッツポーズできるんですよ


事業計画を達成したとき、クライアントに喜んでもらえたとき、自分が作った仕組みで成果が出たとき──ふと、ガッツポーズをしている自分がいる。そんな“熱中できる仕事”こそが、自分にとっての理想のキャリアだと気づいたと言います。


他方、転職にあたっては収入面での不安があったのも事実です。

KPMG時代は年収700万円が、転職時は600万円台にダウンしました。それでもAさんは、「長期的に見て価値がある」と考え、転職を決断するに至ります。



正直、不安はありました。ただ、上長から「昇進に必要な機会・経験は用意する」という約束もあり、結果さえ出せれば自然と待遇は良くなるし、何よりも自分のキャリアにとって意味があると思ったんです


結果として、Aさんは社内で最速昇進を果たし、1年後には年収は元に戻り、現在ではKPMGに在籍し続けていた時よりも高い待遇を得ています。



一時は下がったけど、今は“やりがい”も“待遇”も両方得られている感覚があります



さらに将来的な目標として、より小さな組織で、自分が主導権を持ちながら事業を成長させたいと語ります。



たとえば今の事業が一つの“子会社”だとすれば、いずれはその“親会社”の役員のようなポジションで、もっと力強くガッツポーズできる立場になりたいですね






コンサル出身者へのメッセージ──「専門性」を高めてほしい


最後に、今まさにキャリアに悩んでいる若手コンサルタントたちへのメッセージを尋ねると、彼ははっきりとこう語ります。



“なんでもやります”じゃもったいない。専門性は絶対に必要です。



スタートアップやVCへの転職活動や選考を受ける中で、『専門性を見られている』感覚は非常に強く感じました。また、オファーレターでもコンサル水準の待遇を提示できる企業がほとんどありませんでした。



これらの状況を踏まえ、専門性を磨く必要性を改めて強く認識し、V字型で年収と経験を上げに行く意思決定を選ぶことができたと思います。


職能としての専門性(新規事業、人事、システム、マーケティングなど)や、業界知識。これらを意識的に磨いていかなければ、コンサルのコモディティ化が進む中で、自分のバリューを示すのは難しいといいます。



最終的に何をしたいのか。それから逆算して、今どんな案件に関わるべきかを考えることが重要です。アサインも“たまたま”じゃなく、“戦略的”に選ばれる努力が必要です。

自分が本当に携わりたいプロジェクトにアサインされる保証がないのが、コンサル業界の現実です。だからこそ、「なんでもやります」という姿勢だけでは、専門性を磨くことは難しいと感じています。

配属先の部署が正式に決まるまでの間、私は希望する部署の上長と関係性を築き、人事部門の方々にも直接お願いに行くなど、泥臭くアプローチを重ねました。それくらいの熱意がなければ、幅広い領域のプロジェクトにランダムにアサインされてしまうことも、コンサルではよくある話です。

専門性を高めたいと考える方には、まず「希望するプロジェクトにアサインされる努力」を惜しまないことをお勧めします。そして、配属後には期待値を上回るアウトプットを出し、信頼を勝ち取る。その結果として次のプロジェクトにも継続してアサインされる――そうして「専門性の複利」が積み上がっていくのだと思います。

とはいえ、こうした自分の思いを真摯に受け止め、チャンスを与えてくれたのはKPMGという組織の懐の深さがあってこそです。未熟な若手の想いに耳を傾けてくれた上長や、柔軟な人事制度、組織風土に心から感謝しています。



“コンサルであること”を捨てたのではなく、“コンサル出身者としての価値”を高めるための選択を続けること。それが、Aさんの選んだコンサルサバイブのためのキャリア戦略でした。

コンサルの経験を経て、事業家へとキャリアを転換させたAさんの挑戦をONE CAREER PLUS一同、応援しています。





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