デロイト トーマツ グループの3社統合、そしてKPMGジャパンの統合会社新設。大手コンサルティングファームで相次ぐ組織再編は、業界全体の「人材の育て方」「働き方」「キャリアパス」に影響を及ぼす重要な動きである。
本記事では、こうした再編期に起こりうる変化のポイントを整理しつつ、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミといった一次情報をもとに、デロイトとKPMGを徹底比較する。
- 1. デロイト統合とKPMG新体制の全体像
- 1-1. デロイト統合の狙いと変化 ー 3法人一体化で1万1000人規模に
- 1-2. KPMGは新ホールディングス設立で、5000人の専門人材が連携強化
- 2. デロイト統合とKPMG再編がキャリアに与える影響は?
- 2-1. 評価制度や業務ルールの統一・見直し
- 2-2. 案件のポートフォリオが変わることで出口が揺れる
- 3. クチコミ比較:デロイト or KPMG。いま働くならどっち?
- 3-1. プロジェクト領域:総合力 or 専門領域
- 3-2. 成長環境:成長を余儀なくされる仕組み or 自律性の尊重
- 3-3. 働き方:ともに労働環境は改善するも「見えない残業」が存在
- 3-4. カルチャー:真面目で実直か or アットホームで穏やか
- 3-5. 卒業後のキャリア:より広く・より上流か or 専門性を究めるか
- 4. まとめ:デロイトとKPMGどっちが向いている?
- 5. コンサル転職を目指すなら
- ワンキャリア転職のご紹介
1. デロイト統合とKPMG新体制の全体像
2025年12月、デロイト トーマツ グループとKPMGジャパンがそれぞれ新体制へ移行した。いずれも専門領域の連携を強め、組織としての一体運営を図る狙いがあるとされる。
1-1. デロイト統合の狙いと変化 ー 3法人一体化で1万1000人規模に
デロイト トーマツ グループは、コンサルティング事業の強化と組織横断の連携を目的に、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(DTC)、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社(DTRA)の3社を統合した。
各社はそれぞれ、
- DTC:企業変革(戦略〜実行)
- DTFA:M&A・再編・危機対応
- DTRA:ガバナンス・内部統制・リスク管理
と異なる領域を担当してきた。
近年、企業課題は「戦略・財務・リスク・テクノロジー」が同時多発的に絡み合うケースが増えており、個別組織だけでは対応が難しくなっている。そのため今回の統合は、専門性を一つの組織に束ね、クライアントに対してより一体的に価値提供できる体制を整える狙いがある。
(参考)What we do | デロイト トーマツ グループ、多様な経営課題に多角的な視点から支援 | 日本経済新聞
1-2. KPMGは新ホールディングス設立で、5000人の専門人材が連携強化
KPMGジャパンは、アドバイザリー領域を統括する新会社「KPMGアドバイザリーホールディングス株式会社」を設立し、グ
ループ横断の体制へ移行した。
DX・ESG・地政学リスクなど複雑なテーマが増えるなか、戦略・財務・リスク・テクノロジーを横断して対応できる体制を整えるのが狙いである。
ホールディングス傘下には、KPMGコンサルティング、KPMG FAS、あずさ監査法人のアドバイザリー部門などが入り、ガバナンス強化と意思決定の迅速化を図る。組織の壁を越えた連携や専門人材の交流を進め、課題の発見から実行までをワンストップで支援する体制を強固にする方針だ。
(参考)KPMGジャパン、 「KPMGアドバイザリーホールディングス株式会社」を設立
2. デロイト統合とKPMG再編がキャリアに与える影響は?
組織再編は、そこで働く個人にとってもキャリアを左右する重要な転換点となりうる。一般的に、組織の再編には以下のような変化が起こりやすい。
2-1. 評価制度や業務ルールの統一・見直し
組織再編が行われると、等級体系や評価基準、研修体制などの“人材の扱い方”が見直されることが多い。これにより、若手の育成方針や求められるスキルセットが変わる可能性があるといえる。
デロイトは3法人が統合し、単一の組織となったため給与体系や評価制度の統一が不可避となるだろう。コンサルタントの等級についてはこれまでもグループ内で共通だったが、DTFAとDTCでは同じ等級でも給与水準が異なっていた。(*)
そのため、等級ごとの給与テーブルを統一する過程で、報酬が相対的に上がる人・据え置きになる人・調整が入る人が生まれる可能性がある。KPMGにおいてもホールディングス化によって、グループ全体のガバナンスポリシーが標準化されることで、人事制度・給与体系に影響がでるかもしれない。
また、評価制度だけでなく部門間連携や案件の進め方、労働時間の管理、リモートワークなど、日々の働き方に関する業務ルールがアップデートされることも考えられる。
(*)デロイト トーマツ コンサルティング、29歳の目安年収は1,000万円!、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)、29歳の目安年収は1,200万円!|
2-2. 案件のポートフォリオが変わることで出口が揺れる
組織再編は、ファームとしての戦略の方向性を変え、注力する案件のポートフォリオに影響を与える。コンサルタントが経験できる案件の種類が変わることは、求職者にとっては将来の「出口戦略」すなわち卒業後のキャリアパスにも影響を及ぼすため、注意が必要だ。
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