ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第8回はフィンテック(FinTech)です。フィンテックという言葉は今や決して新しいものではなく、すでに金融(Finance)と技術(Technology)の組み合わせは私たちの生活のあらゆる場面で活用されています。
ここではフィンテック領域で安定した実績を積み上げてきた企業から、スタートアップでありながら注目を集めている企業までご紹介します。
- フィンテック(FinTech)とは?
- なぜフィンテック(FinTech)が注目されているのか?
- 企業一覧&キャリアパターン解説
- マネーフォワード:SaaS×フィンテックで業界を牽引する
- freee:スモールビジネスを一気通貫で支援
- GMOペイメントゲートウェイ:グローバルに展開するフィンテック企業
- UPSIDER:金融プラットフォームで法人の決済をサポート
- Finatext(フィナテキスト):フィンテックで地域創生に貢献
- カンム:スマホでVisaプリペイドカードを発行し、簡単決済
- PayPay:スマホユーザー2人に1人が利用するモンスターアプリ
- スマートバンク:家計簿プリカ「B/43」で生活者の課題解決
- メルペイ:メルカリと対をなす革新的な決済サービス
- ウェルスナビ:ロボアドバイザーにより資産運用を全自動化
- STORES:フィンテックでD2Cを総合的にサポート
- まとめ
フィンテック(FinTech)とは?
フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語です。銀行や証券、保険などの金融分野にAIやクラウドなどのイノベーションを掛け合わせ、新しい価値を創出することを意味します。経済産業省は2017年6月に「FInTechビジョン」を発表しましたが、フィンテックにより個人の生活が大きく変わり、中小企業の収益力は劇的に上がる可能性があるとしていました。
一口にフィンテックといっても、お金を管理する領域もあれば、お金の支払いや受け取りに関するサービス、お金の調達や運用に関連したプラットフォームなど、多岐に渡ります。
またFinTechが登場した当初、キープレイヤーは既存の金融ITベンダーで主にITの効率化を指していたものの、クラウドやビッグデータの登場により、キープレイヤーは「ディスラプター(破壊者)」と呼ばれるフィンテックスタートアップ企業へと移りました。
結果として、それまで既存の金融機関によって独占されていたさまざまな機能が分解され、他業界からの参入が始まり、いまや金融業界は大きく変容しました。さらに現在では、AIやブロックチェーン、APIといった技術により、フィンテックは社会のインフラを支えるビジネスモデルへと変容しつつあります。
なぜフィンテック(FinTech)が注目されているのか?
フィンテックが注目され続けているのは、金融とテクノロジーを組み合わせることでよりユーザー目線のサービスを提供できることにあります。
フィンテック以前、私たちが金融サービスを利用する場合、実際に金融機関まで足を運び、窓口で口座を開設し、時には長い時間待つ必要がありました。しかし、今ではスマートフォンなどの端末とインターネット回線があれば、誰でも場所や時間にとらわれることなく手軽にサービスを利用できます。
ボストン コンサルティング ファームによると、フィンテック関連の市場規模は2021年の約2,450億ドルから、2030年までには1兆5,000億ドルへと約6倍にまで成長すると見込まれています。
なかでもアジア太平洋地域におけるフィンテック市場は、2030年までに年平均成長率27%で成長し、世界最大の市場になると予測。同報告によると、次世代のフィンテックは中小企業向けサービスの分野が今後の成長を牽引するとしています。
日本のフィンテック金業も、国内のみならず海外市場の成長を視野に入れると、今後もますます成長の可能性があるといえそうです。
企業一覧&キャリアパターン解説
マネーフォワード:SaaS×フィンテックで業界を牽引する
#フィンテック #PFM
#M&A #家計 #急成長
■どんな事業内容?
2012年設立。事業内容はPFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供。PFM(Personal Financial Management)とは、家計や資産など個人のお金に関する現状や課題をリアルタイムに可視化し、解決を目指すサービスのこと。
■なぜ注目?
マネーフォワードはフィンテック業界でも先頭を走り続けており、現在では「SaaS×フィンテック」という分野で先行して事業を展開しています。直近5年間の平均売上高成長率は49%で、バックオフィス向けのSaaSだけでなく、M&Aも活用して快進撃を続けています。
■この企業への転職事例は?
freee:スモールビジネスを一気通貫で支援
##SaaS #クラウド #働きがい
■どんな事業内容?
2012年設立。わずか10年あまりで従業員数は子会社を含め1,299名(※2023年6月末時点、連結会社の総数)に急成長。2019年12月に東証マザーズ上場、2022年には東証グロース上場。会計だけでなく、人事労務や申告にいたるまで、スモールビジネスの成長をサポートすることを事業内容に展開。
■なぜ注目?
freeeの最大の特徴はプロダクトの質の高さです。2013年にクラウド会計ソフトfreee、2017年にクラウド申告freeeがそれぞれグッドデザイン賞を受賞、2017年にはASPIC IOTクラウドアワードSaaS部門で「基幹業務系分野グランプリ」を受賞しています。
■この企業への転職事例は?
GMOペイメントゲートウェイ:グローバルに展開するフィンテック企業
#フィンテック #キャッシュレス #マザーズ
#グローバル #クレジット
■どんな事業内容?
1995年設立。デジタルコンテンツやネットショッピング、オンラインでの税金や公共料金の支払いなどで、消費者がクレジットカード決済や後払い決済などさまざまな決済方法を利用できるよう、加盟店へ総合決済システムを提供。決済のキャッシュレス化やコンタクトレス化、無人決済市場の拡大に伴い、組込型の決済ソリューションなど安全性の高いサービスを提供。
■なぜ注目?
GMOペイメントゲートウェイは2005年に東証マザーズ上場以来、17期連続で増収増益を続けています。GMOインターネットグループにジョインした2004年と2022年を比較すると、稼働店舗数は6,837店舗から14万2,396店舗、決済処理件数は3,700万件から48.6億件へ、年間決済処理金額は1200億円から11.3兆円へと急伸しています。
■この企業への転職事例は?
UPSIDER:金融プラットフォームで法人の決済をサポート
#フィンテック#プラットフォーム
#法人 #決済 #スタートアップ
■どんな事業内容?
2018年設立、新規上場企業の20%以上が利用する法人カード「UPSIDER」、ビジネス後払いサービス「支払い.com」を提供。2023年には、株式上場を目指すスタートアップ企業を支援するため、ノウハウの共有や社内体制に関するアドバイスなどを提供する「UPSIDER IPO Parters」をリリース。
■なぜ注目?
政府も「スタートアップ育成5か年計画」を打ち出したり、大手金融機関もスタートアップ向けの融資ファンドを設立、スタートアップの成長や上場を促す環境が整いはじめています。その点、UPSIDERはスタートアップの資金調達だけでなく、業務効率化やガバナンス強化に関しても実践的なノウハウを提供してサポートできるはずです。
■この企業への転職事例は?
Finatext(フィナテキスト):フィンテックで地域創生に貢献
#フィンテック #DX
#地域創生 #データ活用 #投資
■どんな事業内容?
2018年設立、金融業界やDX推進が求められる業界でフィンテックソリューションを提供。具体的には金融事業計画策定から、サービス設計、データの利活用、開発、運用、エンハンスまでをグループ内のリソースでカバー。
■なぜ注目?
Finatextは2023年、地域における金融インフラのキープレイヤーである地方金融機関と顧客の接点として、デジタルとオフラインが融合した金融サービスを展開してきました。すべてをオンラインで完結したいスマホ世代に加え、地域金融機関の顧客には実際に窓口で相談したい人たちも多くいます。そうした顧客の運用サポートを地方金融機関が適切なタイミングで行えるサービスも展開しています。
カンム:スマホでVisaプリペイドカードを発行し、簡単決済
#フィンテック #Visa
#バンドルカード #ネット決済 #コンビニチャージ
■どんな事業内容?
2011年設立。事業内容はVisaプリペイドカード「バンドルカード」の運営。バンドルカードは、スマートフォンを使って登録すれば、審査や本人確認なしでVISAブランドのカードとしてネットショッピングなどで使える。チャージはコンビニなどで手軽に行うことができ、その金額内で決済可能。
■なぜ注目?
2020年の英フィナンシャルタイムズがまとめた「アジアの成長企業リスト」で第18位(日本では第1位)に選ばれました。評価されたのは、バンドルカードの利便性の高さ。なんとアプリをダウンロードして最短1分で発行、すぐに決済として利用できます。
PayPay:スマホユーザー2人に1人が利用するモンスターアプリ
#フィンテック #キャッシュレス
#スマホ決済 #ビッグデータ #モバイルペイメント
■どんな事業内容?
日本のスマホユーザーの2人に1人が利用する国内最大級のキャッシュレス決済サービス「PayPay」の開発・運営。決済取扱高5.4兆円、売上高574億円、登録者数5,000万人(2022年8月時点)
■なぜ注目?
モバイルペイメント機能だけでなく、決済回数36億回を超えているため、日々大量のデータが蓄積されている点です。データを利活用することで自治体とタッグを組むなど、さまざまなキャンペーンを成功裏に導いています。
■この企業への転職事例は?
スマートバンク:家計簿プリカ「B/43」で生活者の課題解決
#フィンテック #B/43
#家計簿プリカ #Visa #セブンイレブン
■どんな事業内容?
家計簿アプリ「B/43(ビーヨンサン)」の運営。B/43は家計簿アプリとVisaプリペイドカードがセットになった「家計簿プリカ」で毎月の予算をチャージして日々の支払いをすれば自動で記録。
■なぜ注目?
2019年設立のスタートアップですが、2022年にはシリーズAラウンドにて総額20億円の資金調達を実施、累計調達額は30億円になりました。Google Play ベストオブ2022「生活お役立ち部門」にも大賞を受賞し、ユーザーファーストのプロダクト開発がマーケットに評価されています。
メルペイ:メルカリと対をなす革新的な決済サービス
#フィンテック #メルカリ
#スマホ決済 #メルペイスマート払い #信用
■どんな事業内容?
事業内容は、消費者向けスマホ決済サービス「メルペイ」の開発・運営。「メルカリ」をスマホにインストールしておくことで売上は「メルペイ」で使用可。コンビニエンスストアや薬局、レストランなどの実店舗、一部ネットショップで利用できる。
■なぜ注目?
メルペイは単にスマホ決済サービスを運営している訳ではありません。メルカリとセットになったサービスを提供することで「信用を創造し、なめらかな社会を創る」ことを企業理念にしています。これまでの社会通念である「就業=信用」を取り払い、一人ひとりの行動や歴史の積み重ねが信用と評価される社会の実現を目指している点で、メルペイは革新的なサービスなのです。
■この企業への転職事例は?
サイバーエージェント
広報・PR・広告宣伝,課長・マネージャークラス- 転職を考えた理由・きっかけ
- 大きく二点で1. 2人目の子どもが生まれて、仕事と家庭のバランスを考えたかったこと...もっと見る
- 転職時に重視したポイント
- デジタル広告以外の領域へのチャレンジができるかどうか。かつ、他領域をリードできる立場...もっと見る
ウェルスナビ:ロボアドバイザーにより資産運用を全自動化
#フィンテック #ロボアドバイザー
#新NISA #長期投資 #分散投資
■どんな事業内容?
ノーベル賞受賞者が提唱した理論に基づき、「長期・積立・分散」の資産運用を自動で行う「WealthNavi」の開発、運用。資産運用を全自動化したロボアドバイザーの開発や提供。各金融機関とも提携し、さまざまなサービスも行う。
■なぜ注目?
2024年1月からの新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに、若い世代を中心に貯蓄から投資のトレンドが強まると考えられており、ウェルスナビにとっても追い風になることが予想されます。リリースから約7年3カ月経過した2023年11月には、ウェルスナビの預かり資産は約9,500円を突破しました。
STORES:フィンテックでD2Cを総合的にサポート
#フィンテック #D2C
#EC #ネットショップ #オムニチャネル
■どんな事業内容?
2012年設立、2022年に「ヘイ」という屋号からサービスブランド名だった「STORES」に社名変更。ネットショップ作成、オンライン予約システム、POSレジ、店舗アプリ作成まで、D2Cを総合支援。
■なぜ注目?
日本国内のD2Cマーケットは拡大傾向にあり、2025年には3兆円規模になると予測されています。低コストで導入でき、小規模事業者を一気通貫で支援するSTORESのサービスの利用は今後も拡大していくでしょう。
■この企業への転職事例は?
まとめ
もはや私たちの生活インフラとして欠かせないFinTechですが、今後はグローバル展開したり、逆に地方の顧客や中小企業のニーズに寄り添ったりと、各企業ごとにさまざまなビジネスが展開されていくことでしょう。FinTechの今後に注目です。