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ADLからリージョナルフィッシュ。年収半分でも決意した原点回帰 | 辞めコン実録集 vol.1

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。

・いつファームを去るべきか

・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか

・年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。





今回の実録:ADLからリージョナルフィッシュ


記念すべき第一回の実録は、リージョナルフィッシュ株式会社で執行役員を務める岩井愛可さん

京都大学工学部工業化学科を卒業後、同大学院経営管理教育学部を修了し、2019年にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社 (以下ADL) に新卒入社。

その後、2022年8月にリージョナルフィッシュ株式会社の経営企画部にマネジャーとして転職し、23年3月に経営企画部長、24年6月に同社の執行役員に就任しています。


戦略コンサルタントからディープテックスタートアップの経営企画への転職。

転職を決意したきっかけや、ネクストキャリアの選び方、年収の変化などを聞きました。








順調に昇進する中で感じた「コンサルの限界」

「コンサルという仕事が大好きでした。もしもう一度新卒として就職する機会があっても、迷わずコンサルティング会社を選ぶと思います」

新卒でADLに入社後、約2年でビジネスアナリストからコンサルタントに昇進し、新規事業立案やシナリオプランニングなど数多くの戦略案件に従事してきた岩井さん。

順調に昇進を重ねながら、大企業の課題に若手から裁量を持って入り込めるコンサルという仕事を楽しんでいたと言います。


そんな岩井さんが転職を決意したのは3年目の終わりでした。


大きな理由は、自身のキャリアとしてコンサルの限界を感じ始めたから。

コンサルタントとして3年目を終えようとしている彼女がふと気づいたのは、「クライアントファーストの一心で立てたプランが、3年経っても実行に移されていないことがある」という事実でした。

同時に、「4年目に入り、次のプロジェクトに入ってクライアントのためにまい進したとしても、おそらく自分以外の誰かが担当してもアウトプットは大きく変わらないだろう」というある種の虚無感も感じたと言います。

コンサルテーションは単価が高い商材だからこそ、コンサルタントごとに納品物の差を生じさせてはいけないという力学が働くのは当然です。

入社後1~2年は何もかもが新しかった一方、同じことの繰り返しのように感じ始めたのが3年目の終わりだったのです。


もともと岩井さんがコンサルを志したのは、「一次産業を盛り上げたい、そのための課題解決をしたい」という思いからでした。

一次産業を営む両親を見ながら、「一次産業は生活を支える重要な産業だが儲からない」という現実を歯がゆく感じていた岩井さんは、大学時代から一貫して一次産業への貢献に強い思いを持っていました。

成長への実感値、そして何より実インパクトへの貢献にコンサルの限界を感じた岩井さんは、ダイレクトに一次産業に関われるステージを求めて、転職を決意します。


ONE CAREER PLUSの転職体験談でも、事業への直接的なインパクトを求めて転職を決意した事例が集まっています。






一次産業への想いと引き換えに、年収を妥協した理由


転職活動においては、自身がやりたい事業に携われるかを第一条件に、一次産業や環境分野で自分がベットできる企業を探しました。


そして、彼女が事業領域と同じように重視したのは、「自分のコンサルスキルが活用できるか」という観点でした。

人事担当者や現場の責任者と話した際に提案される活躍の方向性に自身が腹落ちできるかを重視したと言います。

コンサル出身者でなくても (むしろコンサル以外の職種経験者の方が)活躍できるポジションで入社をしても、結果的に会社に大きなインパクトはもたらせず、ひいては一次産業への想いをまた叶えられない、という考え方です。


そんな中で、コンサルに対して高い解像度を持った経営者がいたことは、岩井さんがリージョナルフィッシュへの入社を決意する大きな要素でした。

同社の代表取締役社長の梅川氏は新卒でデロイトトーマツコンサルティングにてコンサルタントを経験しています。

「新卒コンサルで新規事業立案などの案件に従事してきた社会人4年目」がどういったスキルセットを持ち、会社としてどう活用すべき人材かを理解されたうえでポジションのすり合わせができました。



「一次産業に貢献する」という要件と引き換えに妥協したことは、ずばり「年収」でした。

転職時の年収は、1,000万円以上だったコンサル時代の約半分(+ストックオプション)になりました。


「さすがに年収半分はかなり勇気が必要でした」

転職活動時に当初彼女が設定していた給与レンジより一段階低いオファーだったため、転職エージェントに給与交渉の依頼をしたこともありました。


彼女は、自身の年収が半分になった理由は、自分が培ってきたスキルに片足を入れながら、もう片方の足を未経験のチャレンジに置いたからだ、と整理しています。

自分がこれまでやってきたことの延長線上の転職であれば、給与水準は維持または上がることを念頭にした転職になるものの、今できることは活かしつつ半分は未知の領域での成長を選ぶからこそ、転職する醍醐味があるという考え方です。


リージョナルフィッシュに経営企画部のマネジャーとして入社後、約半年で経営企画部長に、そして約2年で執行役員へとキャリアアップをしている岩井さん。

入社後の年収はしっかりと上がっており、今では前職とそん色のない水準まで戻ってきたと言います。また、会社の成長が個人の報酬に直結するストックオプションという、スタートアップならではの魅力的な制度もあり、入社当初に懸念していた報酬面の不満は、今ではまったく感じていないそうです。

一時の年収の減少と引き換えに手にしたチャレンジの機会を見事に成果に跳ね返し、年収をV時回復させた事例です。


転職時に「自分が活躍できる環境」かどうかを追及しての意思決定だったからこそ実現できたV字回復と言えるでしょう。






入社2年で執行役員。売上責任を担う


彼女の2社目でのキャリアは、大企業や自治体との連携やオープンイノベーションの提案から実行までを、プレイヤーとして一気通貫で手掛けることからスタートしました。

現在は経営企画領域の執行役員として、売上を立てるために必要な多岐にわたる分野での責任を負います。

リージョナルフィッシュは水産物の新品種開発から自社での養殖に至るまで、品種改良技術とスマート養殖技術を駆使して、サステナブルな魚の提供を行っています。

京都大学内に本社を構える、技術に強みを持つ会社において、岩井さんのチームでは技術を売上に転換するためのバリューチェーン全体の幅広い分野の責任を担っています

どこの場所で何を生産するかといった拠点開発、拠点における研究・生産メンバーの業務管理体制構築、養殖魚の販売やブランディングまで、領域は多岐にわたります。


コンサル出身者が売上責任を持つ執行役員になる、というキャリアパスは決してメジャーではないでしょう。

ただ、彼女は「コンサルでの経験が生きたと感じる場面はたくさんある」と語ります。






机上の空論も大事じゃないか。コンサルスキルの活かし方


スタートアップのような不確実な環境下で、計画を立て、役割分担を決め、進め方を示すという羅針盤づくりは、コンサル出身者が一番素早く作れると思う


膨大な情報を取りまとめて形にするスキルや、他領域のマネジメントに提案をし巻き込んで物事を動かしていくスキルは、コンサルで培われた強みです。


また、「タフさ」もコンサルで培われたスキルの一つだと言います。

マルチタスクで多くの業務をこなす中でも、優先順位と目的を整理したうえで冷静に自身やチームのリソースを判断し、建設的に物事を進めていけるのはコンサル出身者の特徴です。


「世の中ではコンサルは机上の空論を作る人だというイメージがあるが、頭を使って羅針盤を作ることはとても価値がある」と言う岩井さん。「計画策定後に状況が変わったのであれば、その都度計画を見直し、再び走り出せば良いのです」

多岐にわたる領域をマネジメントする彼女のポジションにおいて、大小さまざまな羅針盤を素早く作り出し、チームも含めたリソースを建設的な範囲内で冷静にコントロールしていく力は必要不可欠であり、コンサルスキルが活きていると言えるでしょう。






押さえておきたい、ポストコンサルの事業会社の選び方


スキルの切り売りでキャリアを築くのであれば、必ずしもコンサルを出る必要はないのかもしれません。

一方で、事業会社における自身の数値実績や経験など、ハードシングスを乗り越えたという事実は、ポータブルスキルに代えがたいキャリアの市場価値に繋がります。

そして、そうした事実は1~2年の時間軸で手に入れることは難しく、ある程度長い時間軸でキャリアをコミットする必要があります


「大きなジャンプのためには一時的にしゃがむことを許容しなければならない。大きなジャンプをしたい、チャレンジをしてみたいという気概がある時に、事業会社にチャレンジしてみてほしい」


コミットする会社を見定める際のtipsとして岩井さんは「ファイナンス領域のプロフェッショナルの存在」を挙げていました。

ビジネスコンサルタントはファイナンスができないというのは、当該職種にいる方は痛感することでしょう。

事業推進における様々な問いを何とかする、というコンサルならではのスキルを存分に活かすうえでは、ファイナンスはもちろん財務や法務などミドル・バックオフィス業務のプロフェッショナルの存在が不可欠だと言います。



「会社が掲げるビジョンや投資家が期待する水準を超える成果を達成するため、まずは事業をしっかり伸ばす。考えているのはそれだけで、これが私が事業会社に入った意味」

力強く語る岩井さんのこれからのチャレンジを、ONE CAREER PLUSも応援しています。






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ONE CAREER PLUS 事業企画シニアエキスパート

石川 広華

新潟県出身。京都大学法学部卒業。 新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。小売・製造・エネルギー・官公庁・金融・通信など多岐にわたるプロジェクトに従事し、プロジェクト外の組織活動のリード経験も多数。 現在は、株式会社ワンキャリアの中途事業 ONE CAREER PLUSにて、事業開発 / シニアマネージャーとしてコンテンツ・メディア領域をリード

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