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釣り体験を仕事にした元コンサル――年収700万円ダウンでも見つけた「自分らしい幸せ」|辞めコン実録集 vol.24

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。


・いつファームを去るべきか

・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか

・年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。




実録:コンサルの先に、自分らしいキャリアを求めて


IR支援や観光DX、環境・エネルギーまで、行政領域のプロジェクトを幅広く手がけた元トーマツのコンサルタント・鈴木秀康さん。


年収はピーク時から700万円ダウンするも、「今のほうが心の幸せメーターはずっと満たされている」と語ります。


独立の背景には、コンサルの仕事に満足しつつも抱えていた“違和感”と、“やってみたい”という直感的な衝動がありました。釣り体験の観光ビジネスを立ち上げた鈴木さんが語る、独立と仕事のリアルについて話を伺いました。






コンサル転職までのキャリア。~大きな仕事への憧れ~


2018年に大学を卒業し、新卒で入社したのはNEXCO西日本。土地の取引や法務、財務といった領域で経験を積み、のちに独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構へと出向。そこで出会ったのは、これまでにない視野の広がりでした。



NEXCOにいたときはまるで建設業界にいたように感じていましたが、独立行政法人に出向してからは、銀行や証券の方たちと仕事をするようになり、「世界って意外と広いんだな」と感じましたね


もともと「地図に残るような大きな仕事」に惹かれていたという鈴木さんは、NEXCOでの経験を経て、コンサルティングの世界へ転身。有限責任監査法人トーマツで、コンサルタントとして働き始めました。



当時、IR(統合型リゾート)の導入が国の一大プロジェクトとして動いていて、『もしかしたら日本の産業構造を変えるかもしれない』という期待がありました。そんなダイナミックなテーマに携われるなら、やってみたいと思ったんです


給与やスキルアップといった要素をまったく無視していたわけではありませんが、「それ以上に、ワクワクする仕事を優先したかった」と、鈴木さんは語ります。


転職後は、IRの導入支援だけではなく、自治体の基本計画や観光計画、中小企業向けのDX支援、環境エネルギーの導入支援など多岐に渡りました。


IR計画は大阪以外の候補地は最終的に政府からの認可が下りず、案件自体が立ち消えに。その後、SDGsや環境系のプロジェクトに軸足を移していきました。


とくに自治体に対する観光計画策定案件では、前例がない中でプロジェクトを自ら主導し、提案を通すという経験もしました。



公募案件でコンペに勝って仕事を獲得できたことは自信になりました。入社数年でそこまでやれる人は少なかったと思います。


有名企業の社長や地元の著名人を有識者として迎え、自治体の看板プロジェクトを形にしていく。そんな非日常的な経験も、強く記憶に残っているそうです。






「社長の稼ぎを支えるだけでは物足りない」


充実した仕事ではあったものの、コンサルタントとして多忙を極める日々。案件は常時5件、自らマネジメントを担うものも複数。出社前にMTGをこなし、朝8時には出社、帰宅は終電。食事はコンビニのおにぎり――。



半年くらい、ちゃんとご飯を食べてないのに太っていく。体にも心にも、だんだん良くないのがわかってきて。気づいたら「人生これでいいのか」って思ってました


もちろん、仕事自体は面白い。だが、どこかで「本質ではない」と感じていたと言います。



コンサルって基本はお手伝い業なんですよね。めちゃくちゃ考えて、社長さんの稼ぎを支える。でも、自分が主語になれない。だんだんそれが物足りなくなってきてしまって


思い返せば学生時代、起業に興味を持ちながらも「自分には向いていない」と見送った過去があったそうです。しかし、コンサルタントとして数多くの社長と対話を重ねるうちに、少しずつ「自分でもできるかもしれない」という感覚が芽生えていきました



気づけば、やっぱり自分でやりたくなってたんですよね。人生一度しかないし、やらずに後悔する選択肢だけはとりたくないと思って、気づくと退職を選んでいました。






「釣り×日本料理」で外国人観光客をもてなす


現在、鈴木さんは、外国人観光客を対象とした「釣り体験イベント」を自ら企画・運営するATSUKUを創業しています。船宿と提携し、釣った魚はその場で日本料理に。そんな“日本文化体験”のイベント提供を生業としています。



コンサル時代に観光系のプロジェクトを多く担当していたので、インバウンド需要の高まりを肌で感じていました。大手がなかなか入らないニッチ領域で、自分の強みが活きる場所を探した結果が「釣り」だったんです。


SNS集客、OTA(Online Travel Agent)登録、予約管理などもすべて自分で行う鈴木さん。最近は法人向けのパッケージサービスの提供や、アクティビティの拡大も構想中とのこと。



まずは月収100万円を目指しています。将来的には釣り以外の体験も増やして、もう少し大きな形にしていきたいですね






年収700万円ダウン、でも「心の幸せメーター」は満タン


独立を決めた鈴木さんがまず直面したのは、収入減という現実でした。トーマツでの年収はシニアコンサルタントとして約1000万円。それが独立直後には200~300万円ほどにまで下がりました。



年収で言えば700万円くらい減ったと思います。最初は「やばいな」って思いましたよ。でも、実際に生活してみると、不思議とそこまで困らなかったんです。


というのも、以前は稼いだお金を忙殺される日々の中で消費していただけだった、と気づいたから、と語ります。



ゴルフクラブを買ったり、ちょっと贅沢したり。でも、コンサルタント時代は自分のための時間が少なくて、幸せメーターがまったく満たされなかったんですよね。

むしろ、今はランニングシューズを買って、毎日走って、タイムが少しずつ縮まっていく――そんな小さなことで満たされてるんです。


鈴木さんの目に、同世代のあまり稼いでいない友人がとても幸せそうに見えた時期があったといいます。



その時は「なんでだろう?」って思ってたんですけど、今は自分もそっち側に来て、よくわかります。「他人の価値基準に従うのではなく、自分の幸せメーターを信じること」がすごく大事なんですよね


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「成長するビジネスか?」の嗅覚は、コンサルで鍛えられた


釣り体験ビジネスを立ち上げるにあたり、コンサル時代の経験が活きたと語る鈴木さん。とくに最初の業務提携交渉では、その力を実感したそうです。



提携先の船宿に初めて提案しに行ったとき、すごく緊張する場面のはずなのに、スラスラと話せたんです。

実はファーム時代にもプレゼンはうまいと褒められたこともあり、全く緊張しませんでしたね。プロフェッショナル感満載の資料を持っていき、相手の印象も非常によかった。あのとき、コンサルやっててよかったなって思いましたね


もうひとつ、コンサルで培ったのが「これは売れる」「これはやばい」という直感的な感覚です。



いろんな業界の社長と話してきた経験が、知らず知らずのうちに“センス”になっているんですよね

たとえば、友人が「安楽死をビジネスにできないか」って話してたとき、「絶対やめたほうがいい」ってすぐに思いました。倫理・法律・世間の理解、すべてがハードル高すぎる



ほかにも、「既得権益に触れるビジネスはかなり厳しい」という感覚を持っていますが、そうしたビジネスの成長性が肌感覚でわかる。それって、机上の空論では学べないんですよね。現場でのにおいみたいなものがあるんです


こうした信条から、いま流行りの生成AIなどにも、冷静な目を向けます。



生成AIとか、バズワード的に広がっているものもありますけど、売れるかどうかは別問題。結局、しっかりニーズがあるかどうかなんですよ。僕はニーズありきで考えるほうが好きですし、ビジネスとして手堅いと思います。






幸せの尺度は自分で決める


最後に今コンサルタントとして働いている人に向けてアドバイスをいただきました。まず、「コンサルがしんどくて辞めたい」という声には、鈴木さんはこう応じます。



「そうだよね。いろんな世界があるから見てきたら?」って言いたいです。コンサルって稼げる仕事ではあるけど、年収には上限があるし、忙しすぎてメンタルをやられることもある。数千万円稼いでても、不幸せな人って実際いますから


一方で、「業務内容がつまらないから辞めたい」という人には、こう問いかけたいと語ります。



ちゃんとコンサルで学び切れたかどうかは、確認してほしいですね。プロジェクトマネジメントや多様な業界の知見、実は他の場所でもめちゃくちゃ役立ちますから。一通りやり切ったと思えるなら、その後に進んでいいと思います


最後に、こんな言葉で話を締めくくってくれました。



キャリアって、スキルアップだけが正義じゃないんですよ。人生一度きりなんで、自分が後悔しないように生きたい。幸せの尺度を、他人じゃなく自分で決められる人であってほしいと思います


「自分の幸せは、自分で決めていい」――鈴木さんのキャリアは、それを体現したものだと感じます。正解のない時代だからこそ、“ワクワクする選択”を大切にしながら、一歩ずつ前へ進むその姿勢に、私たちも大きな勇気をもらいました。ワンキャリアプラス一同、これからのご活躍を心より応援しています。






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