「アクセンチュアは大量採用で入りやすくなった」「採用基準が変わった」──。
コンサルティングファームの人気企業の1つであるアクセンチュア。事業領域の拡大などに伴い「大量採用の方針が続いているのではないか」という見方もあります。実態はどうなのでしょうか。
本記事では、ワンキャリア転職に寄せられた現役社員・元社員のクチコミを分析。SIerや事業会社など多様化する「採用基準」の実態と、入社後に待ち受ける「アサイン競争」の現状を客観的に検証します。
1. アクセンチュアは「大量採用」なのか? 日本法人の現在地
1-1.「入りやすくなった」は本当か? クチコミから見る採用基準の変化
コンサルティング業界の急拡大を背景に、アクセンチュアも人員を増やしています。経産省の調査では、日本の「経営コンサルタント業」の従事者数は2011年度から2020年度で約2.2倍に増加しました。
また、2024年8月の日本経済新聞の情報によると、アクセンチュアなど大手ファーム7社の国内従業員は約7万人を超え、3年間で4割人員が増えています。
(出典)経済産業省「令和3年度 商取引・サービス環境の適正化に係る事業(各種サービス産業の実態調査)
コンサル7万人に膨張 アクセンチュアは買収でDX増強|日経転職版
この急拡大を受け、「アクセンチュアは入りやすくなった」という声も聞かれますが、社員のクチコミを見ると、その実態は「基準の低下」ではなく「採用ターゲットの多様化」であることがうかがえます。
実際に、中途入社者の前職は多様です。クチコミからは、同業のコンサルティングファームやSIerはもちろん、金融機関、メーカー、商社、広告代理店、官僚など非常に幅広いバックグラウンドを持つ人材が集まっていることがわかります。
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様々な業界の知見を持つ人材を積極的に採用することで、複雑化するクライアントの課題に対応しようという戦略が見て取れます。
1-2.日本は独自の「拡大路線」へ。買収戦略から見る採用意欲
2025年9月、アクセンチュアがグローバルで約1300億円規模のリストラ計画を発表したことは大きなニュースとなりました。しかし、この動きがそのまま日本法人に当てはまるわけではありません。
アクセンチュア日本法人広報は「日本では引き続き好調を維持しており、日本への影響は極めて限定的だ」とコメントしています。
その言葉を裏付けるように、日本では事業拡大が続いています。2025年に入ってからSI&C、アイデミー、ゆめみと立て続けに買収を発表しており、組織規模はさらに大きくなっています。グローバル全体では人員削減の動きがある一方で、日本では積極的な採用・拡大路線を継続していることがわかります。
(参考)米アクセンチュアで大幅人員削減、日本法人への影響は「極めて限定的」-日経クロステック
2. クチコミ分析で判明。急速な拡大が生んだ「2つの組織変化」
大量採用と事業拡大は、組織の内部にどのような変化をもたらしたのでしょうか。ワンキャリア転職に寄せられたクチコミからは、現場で働く社員が感じる「2つの組織変化」が浮かび上がってきました。
2-1.変化①:現場が懸念する「コンサルタントの質のばらつき」
最も多くの社員が指摘するのが、「人材の質のばらつき」です。組織の急拡大に採用が追いつく中で、コンサルタントのスキルや経験に差が生まれていることへの懸念が示されています。
一時期はリソース不足から人を採用しまくっていたが、昨今は人余りの状態かつコンサルタントのレベルが下がってきているように感じる。コンサルタント一人ひとりの品質を担保しないとこれから生きていけないと思う(中途入社/戦略コンサルタント)
ケイパビリティ確保のために大量採用をしていることは否めず、従来であれば入社できなかったような人が入社している様子を見受ける(新卒入社/パッケージ導入コンサルタント)
人を増やし続けることで、人材の質やマインド・カルチャーが合わない人が増えてきていると思っているので数より質に拘った方が良いと思う(中途入社/経営コンサルタント)
事業拡大を続ける上で、人材の質をいかに担保していくかが、今後のアクセンチュアにとって大きな課題となりそうです。
2-2.変化②:組織の複雑化と「村社会」的な社内ネットワーク
社員数の急増は、組織構造の複雑化にもつながっています。クチコミでは、組織が多すぎて全体像を把握できないという声が散見されました。
組織の数は多すぎるくらい多い。全量を把握出来てる人間を見たことがない。(中途入社/業務プロセスコンサルタント)
組織体制がとにかく複雑で理解するのが難しいです。(新卒入社/パッケージ導入コンサルタント)
このような巨大で複雑な組織の中で、プロジェクトを円滑に進めるためには、公式な組織図とは別の、非公式なネットワークが重要になるようです。ある社員は、社内の人間関係を「村」と表現しています。
「ドライ」については、「村」に入ってしまえば真逆で濃厚な人間関係を築ける(逆を言えば「村」に入れないとかなり辛い環境だが、「村」に入るための機会はいくらでもあるから基本的に問題ない)。というのも、当社にはとにかく有象無象の相談が寄せられ、常に新しいサービスを提供しており一人の人間が検討出来るサービスには限りがあるため、どれだけ頼りになる仲間がいるかが勝負所。必然人間関係の広さや深さが求められることになる。(中途入社/組織・人事コンサルタント)
巨大組織の中で埋もれず、価値を発揮するためには、こうしたインフォーマルな人間関係を築く能力も求められるようです
3. 入社後の実態:「Up or Out」から「Assign or Out」へ変化する競争環境
かつてのコンサルティング業界は「Up or Out」(昇進か、さもなくば退職か)という厳しい文化で知られていました。しかし、大量採用時代のアクセンチュアでは、その競争の形が変化しているようです。
多くの社員が、昔ほど「Up or Out」の文化は強くなくなったと語ります。しかし、その一方で新たな形の厳しさが生まれています。それが「アサインされない」という状況です。
昔ほどはUp or Outの社風ではなくなっているそうだし、働き方もマイルドになっている。とはいえ、結局ハイパフォーマーには仕事が集まってくるため激務になることが多い。一方で、仕事ができないとプロジェクトにアサインされない状態が続いたりするため、やはり自分の実力を周りにアピールし認めさせることが重要(中途入社/戦略コンサルタント)
大量採用によって人材の質にばらつきが生まれても、個々人が出す「アウトプットの質」はシビアに見られます。その結果、評価の低いコンサルタントはプロジェクトにアサインされにくくなるという「Assign or Out」が始まっているのです。
(参考)
4. 【生存戦略】拡大する組織で「市場価値」を高める条件
では、これからのアクセンチュア、そしてコンサルティング業界で生き残り、市場価値を高めていくためには何が必要なのでしょうか。
4-1.AI時代に「淘汰される人材」と「重宝される人材」の違い
生成AIの台頭は、コンサルタントの仕事のあり方を大きく変えようとしています調査や分析、資料作成といったタスクは、AIによって代替されつつあります。
IGPIグループ会長の冨山和彦氏は「パートナー未満は潜在的なリストラ対象」「ディープリサーチがあればプロジェクトマネジメント未満の仕事は不要です」と厳しい見方を示しています。
このような時代に求められるのは、新しい技術を学び、吸収し続ける姿勢です。
(参考)
4-2.これからのキャリアパスは「実行支援」と「社内営業力」が鍵
AI時代に価値を発揮するためには、具体的なスキルセットも重要になります。
一つの鍵は「実行支援」です。戦略を描くだけでなく、クライアントの現場に入り込み、変革を「実行そのもの」を肩代わりできる人材の需要が高まっています。
総合・IT領域では、「実行支援」へのシフトがさらに決定的なものになります 。近年、ベイカレント・コンサルティングに代表されるような「現場密着型」のモデルが急成長していますが、これは非常に象徴的な動きです 。
もう一つの鍵は、巨大組織を生き抜くための「社内営業力」です。前述の通り、アクセンチュア社内では「村」と呼ばれるような非公式なネットワークが重要性を増しています。希望のプロジェクトにアサインされるためには、自身のスキルや実績を社内にアピールし、頼りになる仲間との関係を築く立ち回りが不可欠です。
(参考)
5. まとめ:門戸は広がったが、入社後の「自走力」が問われる
クチコミ分析から見えてきたのは、大量採用時代のアクセンチュアのリアルな姿でした。
- 採用の門戸は多様化している。
- 一方で、社内では「質のばらつき」「組織の複雑化」を指摘する声がある。
- 入社後の競争は「Up or Out」から「Assign or Out」へと形を変え、アサインを勝ち取るための競争が激化している。
アクセンチュアへの挑戦権は、確かに多くの人に開かれていますしかし、入社後のキャリアは会社任せにはできず、自ら学び、動き、アサインを勝ち取る「自走力」がなければ、巨大な組織の中で埋もれてしまう可能性があります。
「とりあえず大量採用に乗る」のではなく、入社後にどう価値を発揮し、生き残っていくかという生存戦略を持って挑むことが、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう。
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