次のキャリアが見える、転職サイト

検索

記事画像

マッキンゼーから10X / ARCH。未経験でのチャレンジを見据えて退路を断つ | 辞めコン実録集 vol.6

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。

・いつファームを去るべきか

・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか

・年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。





今回の実録:マッキンゼーから10X / ARCH


今回お話を伺ったのは、株式会社ARCHにて執行役員を務める田村治顕さん。

東京大学大学院を卒業後、2016年に新卒でマッキンゼーに入社。製造業や農業など重厚長大産業のクライアントを中心に約5年間従事し、エンゲージメントマネージャーを経験。

その後、当時20名ほどのスタートアップだった10Xに転職し、ネットスーパー事業の事業開発本部長を務めます。

現在は、2024年3月にジョインした、婦人科・不妊治療診療領域のスタートアップARCHにて、執行役員として事業立ち上げに邁進しています。







在籍中3度の転職活動。退路を断ち自身と向き合う



田村さんがマッキンゼー在籍中に次のチャレンジを考えるタイミングは、3度ありました。


1度目は、入社後2年目のビジネスアナリスト時代です。

プロジェクトが変わるごとに従事する業界や取り組むトピックが変わる中で、「自分はこの延長線上でなにができる人材になるのか」のイメージが社内の仕事のみでは湧きづらい側面があります。

今現在のスナップショットで外にどういった機会があるのか、漠然と探そうとしたのがこのタイミングです。

数人のエージェントから求人票を提示され、自身の現段階での転職機会を探りました。

結果として転職に至らなかったのは、コンサルタントとしての成長余地がまだ残されており、まだ自分は一人前とは言えないと感じたからでした。



2度目は、入社後4年目のアソシエイト時代です。

この時も1回目同様、外にどういった機会があるのかを探るという動機での転職活動でしたが、年次が上がるにつれて今後のキャリアをより具体的に描かないといけないという焦りを感じていたと言います。


私は大学院を出て24歳でキャリアをスタートしました。
漠然とではありますが、30歳までに新しいチャレンジをしたいというマイルストンが自分の中にあったんです。
それは30という節目の数字に対する感覚的な要素もそうですし、自分が未経験で新しいことに3~5年かけてチャレンジするとなった際、それが30半ばスタートだといきなり正念場を迎えるような難しさを感じていたという逆算的な要素もありました。
入社4年目というと当時私は28歳で、そのタイミングで次のチャレンジが全くイメージできていないことに対して焦りを感じ、企業と直接話すことも含めて解像度を上げに行きました。


ただ、2年前同様、今回の転職活動においても、自身のネクストキャリアの解像度が上がる状態には至りませんでした

プロジェクトの合間の数週間のみで、自分の人生をベットしようと思えるほどの解像度で情報をインプットすることに限界を感じたのがこの時です。

「辞めるときは辞めることを先に決断し、どこに行くかをじっくり考える時間を取るという形でしかネクストキャリアは決めえない」と痛感しました。



エンゲージメントマネージャーへの昇格を「一人前」の区切りと定義していた田村さんは、昇格したタイミングで3度目の転職活動を開始します。

ファームを卒業することを先に意思決定して退路を断ったうえで、テイクタイム (報酬を一部減額して有休日数を増やす制度)、リロケーション (有給の転職活動期間)、未消化の有休を総動員し、数カ月かけて自身のキャリアと向き合いました。


マネージャー昇進は、一部感覚的ではありますが、このままコンサルタントとしてキャリアを歩むのか、事業会社でのキャリアを模索するのかを整理するタイミングだと思うんです。
私の場合は、大学時代に運営していたNPO・NGOへのコンサル経験から、ビジネスとソーシャルインパクトを両立できる人になりたいという思いでマッキンゼーに入社しています。
NPOやNGOは、これまで資本主義のスキームの中で解決しきれていないペインにスポットライトを当てるという非常に難しい問いに向き合っているため、お金や人のめぐりが一筋縄ではいかない側面が多分にあります。
ファーム卒業時は社会課題領域へのこだわりは薄まってはいましたが、入社当初から一貫して持っていた「自分が事業責任を担い難しい問いを解く」ことへの想いを実現すべく、決断するタイミングだと思いました。



▼コンサルタントをマネージャーで卒業した人の転職実例▼






選択軸は「価値への腹落ち」と「同じ釜の飯が食えるか」



マッキンゼーから10Xへの転職時には、2つの要素を重視しました。


1つは、自身が長く腰を据えて取り組めるトピックかどうか、です。


スタートアップの事業領域は、トレンドの移り変わりの中で跳ねる可能性もあればその後ニーズがなくなる危険性もはらむ性質のドメインと、インフラ的に世の中に必要とされるが社会の変革や広く価値を届けることに時間がかかる性質のドメインとに、大きく分かれると思います。
私個人としては、跳ねたら事業が短期で伸びるがいつか世の中に必要とされなくなるかもしれないトピック、すなわち世の移ろいの中で自身を通じて社会に還元する価値が上下する領域よりも、世の中に長く必要とされるであろう価値を創出したいという思いがありました。
そういった意味で、自分が「この企業が世の中に届ける価値は長く必要とされる」と腹落ちができるかは重要でした。


2つ目は、会社のメンバーと同じ釜の飯が食えるかどうか、です。

コンサルでは1~6カ月のスパンでプロジェクトが変わり、それに伴い上司や部下が変わっていくため、関係値は比較的短期と言えます。

一方で、事業会社では当然ながらメンバーが一定期間固定されるため、長期間の関係値を築くことが事業運営の基盤となります。


不確実性が高い中で、社員一人一人がその不確実性を飲み込んで失敗を許容しながら進んでいくのがスタートアップだと思います。
あの人はこういう失敗をしたから評価がどうだとか、そうした短絡的なことをいちいち気にせず事業に100%向き合える組織状態である方が、健全に自分の情熱を注げます。
今いるメンバーとそうした信頼関係が築けるか、は必要不可欠な要素でした。


10Xでは入社前にトライアル的にメンバーと働ける制度があり、実際に業務を進める中で自信が有する経験や人となりが会社のピースに当てはまるイメージがつき、入社を決意しました。






不妊治療領域で、新たなゼロイチの挑戦



二度目の転職は、タイミングとご縁が生んだ、ある種運命的なめぐりあわせでした。


ネットスーパー事業を立ち上げるにあたり、2~3年かけて必要なプロダクトや組織をハイスピードで取り揃えてきたフェーズが終わり、今あるアセットをベースに事業を着実にグロースさせていく事業 / 組織モデルに10Xがシフトしたのが、田村さんが入社後3年ほどのタイミングです。

固まった基盤を活かして事業を伸ばし価値提供範囲を広げることへの意義を強く感じていた反面、個人としては新しい価値や事業そのものを生み出すかじ取り役としてのキャリアに目を向けていたと言います。

非連続的な価値をフェーズの小さなところから作っていく、というキャリアを模索し始めたタイミングでした。


また当時、自身も不妊治療を経験する中で、他の診療科目と比べて不妊治療というプロセスが極めて複雑かつペインの大きな領域であることを実感していました。


内科や耳鼻科など、症状が出て病院に行って薬をもらって一連の流れが完結する、というのがシンプルな診療モデルです。
一方で不妊治療は、様々な選択肢の分岐の中で長期にわたって治療を続ける複雑性があり、患者と医師とのコミュニケーションも分厚く、患者自身が決めていかない要素が多分に存在します。医師が提案してくれるそれぞれの治療方法を、メリット・デメリット、自分とパートナーの考え方やかけられるお金・時間とすり合わせながら1つ1つ判断していかねばならないのです。社会的に問題視されている経済的や時間の負担はもちろん、精神的な負担も痛感しました。
不妊治療を通してのペインを当事者として実感したからこそ、このペインをビジネスで解決することは、自分にとってかなり納得度が高いと考えていました。


事業フェーズと自身のキャリアの方向性のずれ、そして当事者として経験したペインへの想いが重なっていたタイミングで、知人から「田村さんに会いたい人がいる」と紹介されたのが、ARCHで代表を務める中井友紀子さんでした。


株式会社ARCHでは、「やりたいことと家族計画の両立の実現」というミッションのもと、不妊治療クリニックの経営/運営の支援や上記のような不妊治療におけるペインを減らせるプロダクト開発をしています。
また、加速していく少子化に対して社会全体で課題解決に向かえるようにクリニック外でも企業の社員やマネージャー層に向けて家族計画の立て方や部下・チームの家族計画のサポート方法について啓蒙活動を実施しています。
誰もが知る企業様からもご依頼をいただくことが増えているので、もしかしたらこれを読んでくれている皆様と数年後にお会いできるのでは、と期待しています。


運命的なめぐりあわせで飛び込んだネクストチャプターで、田村さんは事業開発の執行役員を務めます。

クリニックに対する支援事業の開発と、不妊治療や妊娠出産領域における企業やユーザー向けのソリューション事業の新規立ち上げという、2つの領域を管掌しています。






2度の転職での年収変化



マッキンゼーから10Xへの転職時、年収はコンサル時代の約半分+SO (ストックオプション)でしたが、10Xを退職する時点では年収が数百万円上がりました。

10XからARCHへの転職においては、年収水準に大きな変化はなかったそうです。


前職云々に関わらず、スタートアップにジョインする時点で全員が、未来の事業成長とストックオプションを含めた将来の期待収入という約束されていない何かにベットし、まい進することになります。
私にとってはスナップショットの年収を上げることよりも、将来的に自分の糧になるバッターボックスに立つ機会の方が、圧倒的に重要でした。
年収ダウンは、そうした機会との相殺ですね。






やり切るまでコンサルに残るべし



在籍中定期的にネクストキャリアを検討した田村さんは、「自分の中でやり切ったと納得感を持てるまではファームにいた方がいいのでは」と話します。


大前提、コンサルでパートナーになる道もあれば、PEのようなより資本主義の真ん中に行く道もありますし、起業する方もいますし、道は善し悪しではなく個人の志向で決まるものだと思います。
ですので、どのタイミングでファームを出るべきなどということはそもそもないし、自分が語ることでもないです。


ただ、一つあるとすると、自分の中で「学びきった、やり切った」と思えることは重要だと思います。
コンサルはプロジェクトが変わるごとに取り組む問いが変わり、自身の得意領域や経験に関わらず短期間で難しい問いを解かないといけないということだけがピン留めされていて、そのギャップを高い緊張感の中で埋めていかなければなりません。
成長する環境という意味ではとてもいい経験ができる貴重かつ特殊な場です。
そうした場で「自分はやり切った」と思える自信自体が、次のチャレンジが何であれ糧になるのではないでしょうか


自身のキャリアにとことん向き合い続ける田村さんが飛び込んだ新しい挑戦。

そこで生み出されるインパクトのさらなる爆発に、我々もワクワクします。






コンサルからのキャリアについて、プロに相談する


ONE CAREER PLUSのキャリア面談では、25,000件以上のキャリアデータを知るキャリアアナリストが、次の次のキャリアまで見据えたキャリアパスをご提案します。短期的な選考対策・転職支援から中長期のキャリア相談まで幅広くご対応が可能です。面談は下記フォームよりご予約ください。

無料キャリア面談_申込フォーム|ONE CAREER PLUS
次のキャリアが見える、転職サイト「ONE CAREER PLUS」では、枠数を限定した無料キャリア面談を実施中です。サイト上に集まった転職体験談などのキャリアデータも踏まえ、次に見据えるキャリアパターン、具体的な求人例などもご紹介。・目標とするキャリアパス/企業があり、目指し方を相談したい方・中長期のキャリアは考えられておらず、自分の経験から目指せるものを知りたい方・現在エージェントに相談中だが、転職の進め方が妥当かセカンドオピニオンをもらいたい方…などなど、幅広いニーズにお応えすることが可能です。悩みが具体的になっていない方も、ぜひお気軽にお申し込みください。下部より、キャリア面談の日程予約をお願いします。■ONE CAREER PLUSからの支援について弊社では、ユーザーから投稿いただいた選考情報やキャリアデータを元にした、オリジナルの選考対策コンテンツも作成しております。(※注:選考対策支援やコンテンツ提供は、弊社経由でご応募する方に限定しております。支援ご希望の方は面談前に自主応募を実施しないようご留意ください。)■注意点・「ONE CAREER PLUS利用規約」に基づくサービスは、面談へのお申込みをもって提供開始されません。是非別途ご案内する方法で会員登録をお願いいたします。・面談にご参加いただくにあたっては当社の「個人情報の取り扱いについて」に合意の上、お申し込みいただく必要があり、面談のお申し込みをもって「個人情報の取り扱いについて」への合意があったものとみなします。個人情報の取り扱いについて:https://plus.onecareer.jp/infos/handling_of_personal_information------詳細------キャリアのデータをもとに中長期的なキャリア形成のサポートをします。【概要】・時間  :45分前後・実施方法:Zoom※自動返信されるメールのURLからご参加ください・料金  :無料※職務経歴書・履歴書などは不要です。もしお持ちの方は当日その場でご共有いただくとよりスムーズな面談が可能です。【対象】ONE CAREER PLUSの社会人会員※本枠での面談につきまして、学生会員の方はお受け致しかねます。ご了承ください。【応募方法】(1)本フォームに必要情報のご記入をお願いします。(2)ご予約後に送信されるメールに記載のURLからキャリア面談へのご参加をお願いします。【キャリア面談のポイント】中長期的なキャリアの可能性を広げるキャリアパス/求人をご提案いたします。[✔︎] キャリアの選択肢広げる企業が見つかる伸びている業界の傾向を踏まえ、自身の市場価値を高めることができる企業をご紹介します。[✔︎] 転職後のキャリアパスが見える転職したその先にはどんなキャリアの可能性があるのか、4,000件以上の転職のデータを基に、キャリアアナリストがお答えします。
https://waaq.jp/p/onecareer/bnm5bph4big







ONE CAREER PLUSの紹介


ONE CAREER PLUSでは、コンサルキャリアに関するデータを豊富に取り扱っています。


▼コンサルに関するおすすめ記事▼



▼マッキンゼーに関する情報▼

マッキンゼーの転職体験談を見る

マッキンゼーの選考体験談を見る





ONE CAREER PLUS 事業企画シニアエキスパート

石川 広華

新潟県出身。京都大学法学部卒業。 新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。小売・製造・エネルギー・官公庁・金融・通信など多岐にわたるプロジェクトに従事し、プロジェクト外の組織活動のリード経験も多数。 現在は、株式会社ワンキャリアの中途事業 ONE CAREER PLUSにて、事業開発 / シニアマネージャーとしてコンテンツ・メディア領域をリード

フェーズからキャリア面談を選ぶ

関連タグの人気記事

こちらの記事も読まれています

記事一覧のトップへ