コンサルタントとして多忙な日々を送る中で、「このままで良いのだろうか」「専門性を深めたい」「ワークライフバランスを改善したい」といった思いから、ネクストキャリアを考え始める方は少なくありません。
しかし、実際にどのような選択肢があり、他のコンサルタントはどのような理由で転職を決断しているのか、具体的な情報は得にくいのが実情です。本記事では、ワンキャリア転職に寄せられた約800件のコンサルタントの転職体験談を徹底分析。転職理由の傾向から、年代別、ファーム種別ごとのリアルなキャリアパスまで、独自データに基づきコンサルからの転職事情を解き明かします。
- 1. コンサルから転職を考える理由4選
- 1-1. 専門性の深化・領域拡大(約35%)
- 1-2. ワークライフバランス(WLB)の改善と働き方の見直し(約25%)
- 1-3. 事業への当事者意識と実行フェーズへの関与(約20%)
- 1-4. 年収・待遇・評価制度への不満(約15%)
- 2. 【年代別】コンサルからの転職理由とネクストキャリアの傾向
- 2-1. 若手層(社会人歴5年未満):「成長環境」と「キャリアパス」の模索
- 2-2. 中堅層(社会人歴5~10年):「専門性の確立」と「働き方の転換」
- 2-3. ベテラン層(社会人歴10年以上):「キャリアの集成」と「ライフステージとの両立」
- 3. 【コンサル種別】コンサルからの転職理由とネクストキャリアの傾向
- 3-1. 戦略コンサルからの転職事例
- 3-2. 総合コンサルからの転職事例
- 4. コンサル経験者が評価される強み・スキルセット
- 4-1. 汎用性の高いポータブルなコンサルティング基礎スキル
- 4-2. 多様なプロジェクト経験に裏打ちされた専門性と課題解決アプローチ
- 4-3. 高い目標達成意識と困難な状況を乗り越える遂行力
- 5. コンサルからの転職活動の進め方と成功のコツ
- 5-2. 情報収集
- 5-3. 書類作成
- 5-4. 選考・内定
- ワンキャリア転職のご紹介
1. コンサルから転職を考える理由4選
ワンキャリア転職のクチコミデータを分析した結果、コンサルタントの転職理由は大きく4つの傾向が見受けられました。
1-1. 専門性の深化・領域拡大(約35%)
最も多かった理由は、自身の市場価値を高めるために特定の専門性を深めたり、関連領域へ専門性を広げたいというものです。
コンサルティング業界はプロジェクトベースで業務が進むため、アサインされる案件によっては自身の望む専門性が身につかない、あるいは専門性が浅く広くなりすぎると感じるコンサルタントが多いようです。
実際に、以下のような声が寄せられています。
定められた期間内での昇進の見込みが薄く、更に様々な負荷の大きいプロジェクトを短期間でかわるがわる経験することにより専門性が確立できないことにリスクを感じた。腰を据えて、業務外の自己研鑽も含めて専門性をつけるためにじっくりと仕事がしたかった(BCGから野村證券)
SE、ITコンサルタントの経験を通じてテクノロジー領域の専門性は曲がりなりにもエッジがついたと思い、今後のキャリアとして業務の専門性に特化したビジネスコンサルタントの経験を積み、業務×ITの専門性を兼ね備えたゼネラリストコンサルタントとしてクライアントの幅広い課題の解決に対応できる人材に成長したいと考えたため。(アクセンチュアからPwC)
このパターンの転職先としては、同業のより専門性の高いファーム(総合コンサルから戦略コンサルへ、など)や、コンサルで培ったスキルを事業の現場で発揮できる事業会社の専門職(経営企画、新規事業開発など)が主な選択肢となっています。
1-2. ワークライフバランス(WLB)の改善と働き方の見直し(約25%)
次に多かったのが、長時間労働や激務による心身の疲弊を理由とした、ワークライフバランスの改善を求める声です。
特に、結婚や出産といったライフステージの変化を機に、持続可能なキャリアを考えて働き方そのものを見直すコンサルタントが多い傾向にあります。
一日12時間働くのが当たり前であったが、子供ができ、自分の生活を見直すべきだと思ったから(ADLから本田技研工業)
不運にも私は炎上案件にアサインとなり、残業80h〜100hで休日は寝ているだけの生活となった。当時独身でこのような生活続くのもどうかと感じた。(三菱総研DCSから村田製作所)
転職先としては、比較的WLBが整っているとされる日系のメーカーや金融機関、インフラ企業といった大手事業会社が顕著です。また、同じコンサル業界内でも、より働きやすいカルチャーを持つファームへ移籍するケースも見られます。
1-3. 事業への当事者意識と実行フェーズへの関与(約20%)
第三者としての支援ではなく、事業の当事者として実行から成果創出まで関わりたい、という動機も多く見られました。
戦略立案や計画策定に関わる中で、その後の実行フェーズが見えなかったり、自身の提言が実現されないことにもどかしさを感じ、自らの手で事業を動かすことにやりがいを求めるようになるようです。
コンサルタントとして第三者的な立場からのアドバイザリーではなく、当事者として責任を持って事業を動かしていきたいと思い転職を考えました。また、コンサルはビジョナリーな人が少なく、どうせ働くならビジョナリーな人の元で熱量高く働きたいと思ったため。(KPMGからリクルート)
この場合、大手企業の経営企画・事業企画部門や、特に成長フェーズにあるメガベンチャー・スタートアップが主な転職先となります。コンサルティングスキルを活かし、事業成長のドライバーとしての役割が期待されています。
1-4. 年収・待遇・評価制度への不満(約15%)
金銭的な報酬や評価制度、昇進機会に対する不満も転職理由の一つです。
コンサルティング業界は人材の流動性が高く、実力や成果が待遇に直結しやすいため、現職の評価や報酬に不満を持った場合、より良い条件を提示する他社へ移籍することでキャリアアップと年収アップを同時に実現しようとする動きが活発です。
・人事組織コンサル案件に興味を持ったが、転職前の会社は人事組織コンサル案件が少なかったため、自身の希望するキャリアを構築することが難しいと考え、転職を決意しました
・他コンサルファームに比べると年収が低かったため
・可能であればグローバルな環境で働きたかったため"(レイヤーズ・コンサルティングからアクセンチュア)
理由は2つで、1つは昇進が遅く他ファームの方が活躍できるのではないかと思ったこと。もう1つは、デロイトではESGアドバイザリーを2つのエンティティ(DTCとDTRA)が提供しており、ワンストップサービスが提供できないことに非効率性を感じたこと。(デロイトからPwC)
このパターンの転職先としては、より高い年収やポジションを求めてBIG4間などで移籍する同業他社が非常に多いほか、総合商社や外資系IT企業など、コンサル業界と同等以上の給与水準を持つ事業会社も選ばれています。
2. 【年代別】コンサルからの転職理由とネクストキャリアの傾向
コンサルタントの転職は、社会人歴によってもその理由やキャリアの方向性に違いが見られます。ここでは「若手層」「中堅層」「ベテラン層」に分けて、それぞれの傾向と転職先の共通点を解説します。
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