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ベイカレントから経営者へ。安定志向からリスクテイク志向に変わった転機|辞めコン実録集 vol.12


コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。

・いつファームを去るべきか

・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか

・年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。






今回の実録:ベイカレントから経営者へ。安定志向からリスクテイク志向に変わった転機


第12回の実録は、現在コンサルティング会社で経営者を務めるAさん

新卒でベイカレントコンサルティングに入社、大手企業の PMOやIT投資の計画立案などを経験。

外資系コンサルを経た後、コンサルティング会社の経営者として転職しています。


戦略コンサルタントから経営者への転職。

転職を決意したきっかけや、ネクストキャリアの選び方、年収の変化などを聞きました。






「スキル<給与」のデッドロックを避けるために転職



現在コンサルティング会社で経営者を務めるA氏。

元々はコンサルティング会社に就職する学生にありがちなタイプだったと言います。


頭を使って考える仕事を選びたいと思い、ベイカレントに入社しました。
当時の私は、将来像はとくになく"とりあえず"コンサルに進む大学生だったと思います。


入社後は、IT領域での業務やPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を中心に経験を積み、自動車業界や金融業界のクライアントを支援。

クライアントファーストを徹底し、自ら案件を創出し順調に昇進を重ねていきました。


※(注釈)PMO…クライアント企業のプロジェクトを円滑に進めるための支援を行う業務。

進捗管理、リスク管理、資料作成・報告、関係者の調整、業務プロセスの最適化、など幅広い領域に対応する。

戦略コンサルティングよりも、プロジェクト支援の性質が強い。



ベイカレントは自分で営業し、案件を獲得することが評価される組織文化でした。
クライアントの課題を見つけ、自ら推進するスタイルが高く評価され、自分自身に自信もついていきました。


そんなA氏ですが、3年目に最初の転機を迎えます。


今の延長線上では、『スキル<給与』のデッドロック状態に陥るのではないかと感じたんです
このまま行くと2-3年以内に転職時に給与が下がることは避けられず、転職という選択肢を選ぶことが難しくなる。
キャリアの幅を広げるなら、今が転職のベストタイミング、と考えました。


さらにA氏には、ただの「デッドロックを避ける」だけではない理由がありました。


コンサルを続ける人の中には、惰性で残っている人も多いと思います。
でも、私はむしろ、辞めることがキャリア価値を高めるチャンスだと思ったんです。
戦略コンサルタントになりたいという思いもありましたし、外資系なら海外勤務の可能性も広がる
そう考えて、外資系コンサルティングファームへの転職を決意しました。



▼ベイカレントから戦略コンサルタントへの転職体験談▼






順風満帆にいかない中で気づいた、目指したいキャリア


外資系コンサルティングファームでは、戦略案件を希望していたA氏。

しかし、アサイメントの事情により、当初こそPMO案件へのアサインは「仕方がない」と割り切っていたものの、部署内の案件を見渡すと、戦略案件がほとんどないことに気づきます。


"コンサルタントはプロフェッショナルだから、モチベーションで仕事をしてはいけない" という言説には基本的に同意しています。
でも、ITやPMOといった領域を極めたい、と思うほど好きになれない、という気持ちがあったのも事実です
転職してすぐに、『このまま続けていいのか』と迷いが生まれました。


企業文化の違いにも違和感を覚えました。

ベイカレント時代はクライアントに対しても社内の同僚・上司に対しても正しいことをストレートに意見を伝えられる環境でしたが、新しい職場では「温和に、つつがなく」を重視するカルチャーが主流でした。


当時は、メンバー間で譲り合うような雰囲気が強かったです。
ベイカレント時代からクライアントのためにストレートに物事を言う癖がついていた私にとって、社内外で『温和に、つつがなく』を重視する雰囲気はどうしても合いませんでした


ある案件では、次のMTGに向けて分析パッケージを検討し、議論していたA氏に、後輩から「Aさんって、コンサルタントみたいですね」と言われたといいます。


本人に他意はないと思いますが、その言葉を聞いたときに『コンサルタントとして当たり前だろう?』『やっぱりこの環境は自分には合わないかもしれない』と感じました。


戦略を希望して転職したにも関わらず、PMOをしか経験できない状況に陥り、カルチャーへの適応にも苦労したA氏。

しかし、同時にその時間がキャリアビジョンを再考する時間になったと語ります。


戦略コンサル→PEファンド→PEファンドの投資先の雇われ社長、というキャリアがあることを知りました。
自分で戦略を考え、最後まで実行できる経営者としてのキャリアが、自分の目指す先なのではないか、と考えるようになりました。






リスクがあっても、一番ぶっ飛んだ選択肢を選ぶ




その後、A氏は5つのキャリアパスを考えました。

・ベイカレントに戻る

・現在のファームに継続して在籍する

・戦略案件に携われるファーム内の別組織に異動する

・他のファームに転職する

・声をかけられた赤字会社に転職し、経営を立て直す


どれも一長一短があるなかで、選んだのは5つ目の「赤字会社の立て直し」。


もともと私には『ロジックの世界で生きる自分』で考えて、その結果を『ぶっ飛んだ世界で生きる自分』で検証する、みたいな思考のクセがあります。
要は今回のキャリア選択でも同じアプローチをとりました。


スカウトされた会社は、当時コロナ禍の影響で、赤字に陥っていました。

転職しても、経営立て直しができなければ、A氏のキャリアにとっても大きなリスクです。


入社する前に市場分析、社内・離反顧客へのヒアリングを通じて、勝ち筋を徹底的に探りました。
結果、コモディティ的なサービスからプレミアムなサービスへのサービス転換を行うべきと、入社前の段階から課題を設定しました。
エキスパートインタビューを通じて『十分にV字回復の見込みがある』自分の中では納得できていました



また、仮に経営者として失敗したとしても、数年後に『30代前半で経営経験がある自分を雇いたい会社は間違いなくある』とも、確信できていました。
でも、40代で経営者になったとしたら、家庭を持つようになり失敗するリスクを取れなくなる。
時間軸を評価基準として重視してキャリアを考えた結果、『今が最もノーリスクで、最もチャンス」と判断しました。


とはいえ、悩ましい気持ちはなかなか晴れないもの。

最後の決め手となったのは、シンプルでした。


『経営者になりたいのならば、経営者になってしまうのが手っ取り早い。』リスクがあっても、ぶっ飛んだ自分が面白そうだと感じる選択肢を取りたいと思ったんです






コンサルスキルは経営者になってより活きる


経営者になり、A氏は改めてコンサルティング時代に培ったスキルが極めて有効であることを実感したといいます。

その中でも特に大きく役立っているのは、次の3つの能力でした。



1. ビジネス理解力――「企業の意思決定を見越して動く力」

コンサルタント時代、A氏はクライアントの課題を分析し、解決策を提案するだけでなく、「その先の意思決定」まで考えて動くことを徹底していました。

プロジェクトの納品物が、その後の経営判断にどのような影響を与えるかを見据え、受注につなげる動きをしていました。


例えば、クライアントの市場分析を支援するプロジェクトがあったとします。

分析の先には、商品開発やプロモーションの映像制作など様々な活用があります。

そこを見越して成果物を作成すれば、おのずとクライアントにとって必要な支援ができます。


例えば、マーケティング施策を検討する際も、単に「今この施策を打つと成果が出るのか?」という短期的な視点だけではなく、「企業のブランド価値を長期的にどう変えたいか?」「その際、今、クライアントが打つべき一手は何か?」という中長期的な視点を持つことが不可欠です。
コンサル時代のPMO経験で鍛えられたビジネス理解力が、経営の舵取りに大きく貢献しています。



2. 徹底した顧客目線――「相手に信頼されるための所作」

コンサル時代にA氏が担当していたPMO業務では、クライアントと日常的にコミュニケーションをとる機会が多くありました。

その中で、ただ論理的に説明するだけではなく、「相手に信頼されるための振る舞い」も重要であることを学んだと言います。


例えば、自分のチームにアサインするコンサルタントを決めるためのアサイン面談をする際、多くの人は『どんな案件ですか?』『忙しいですか?』といった、面接する側にとって退屈な質問しかしません。
現時点での自分の仮説、見解を述べられるコンサルタントは非常に少ない。
私は新卒1年目で同期や職位や年齢が上の方のアサイン面談をしていましたが、聞き手の立場を想像できる想像力があるコンサルタントは本当に少なかったんです。


この経験は、経営者としてのA氏の姿勢にも大きな影響を与えています。

クライアントと対話する際、「彼らが本当に求めていることは何か?」を考え、相手の立場に寄り添うように意識しているそうです。


経営者になってからも、クライアントとの関係性を築く上で、"相手の目線で考え、必要な情報を先回りして提供する"というコンサル時代の習慣は非常に役立っています。
結局のところ、クライアントを支援している以上、クライアントに徹底的に寄り添わなければ、信頼は得られません。
クライアントに信頼されていない状態でいくら分析をしても、議論をしてもクライアントにとっては意味がない。
時間の無駄でしかないんです。



3.戦略家としての思考力――「ないものねだりではなく、あるべき姿から逆算する力」

A氏が経営者になって最初に直面した課題は、「営業の人員不足で、新規案件の獲得が難しい」ことでした。

通常であれば、「営業の人材を増やす」という解決策を考えるかもしれませんが、A氏は違う視点でこの問題を捉えました。


私は『どうやって営業を増やすか?』ではなく、『新規案件の獲得ができている状態であるとしたとき、何が社内で実現されているのだろうか?』『そもそも営業を増員せずに案件を獲得する方法はないのか?』と考えました。
そこで思いついたのが、パートナー企業との提携を拡大し、自社で営業せずとも案件を獲得できる仕組みを作ることでした。


この発想の転換こそ、コンサル時代に鍛えられた戦略思考の賜物でした。

A氏は、自社のリソース不足を嘆くのではなく、「現状の制約の中で最適な解決策は何か?」を冷静に分析し、実行に移したのです。


結果として、提携会社とWin-Winの関係を築くことができ、案件獲得の効率が大幅に向上しました。
これは、コンサル時代に培った『あるべき姿から逆算して解決策を考える力』が生きた場面だったと思います。






「フリーライダーではなく、社会・次世代に還元する」――キャリアの先に何を見据えるのか




コンサルティング業界に足を踏み入れる人は年々増えており、ポストコンサルのキャリアに悩む人も多いでしょう。

A氏自身も、もともとは「自分のスキルを磨き、収入を上げること」にフォーカスしていました。

しかし、経営者になった今、その視点が変わってきたと語ります。


高い収入を得ることは正しいこと、必要なことだと思います
私自身も、学生時代は収入面を重視していました。ただ、目先のお金が満たされたときに、"その先に何を目指すのか"を考えることが大事です。


A氏は日本の少子高齢化による労働人材不足という社会課題について考えることも多いと言います。


日本は少子高齢化により労働力不足なので、若い世代の方は、会社に選ばれるのではなく、会社を選べる有利な立場にいます。
よって、給与が高くて仕事が楽な会社を選ぶこともある程度は可能です。
その上で、私の問題意識は『未来を担う日本の若者がフリーライダー的な感覚になってよいものか?」ということです。
若い世代の方がよい待遇の会社を選べるのは人口動態が理由であって、実力が理由ではありません。
とすれば、必要な収入が得られようになったあと、若い世代の方にはこの状況にタダ乗りするのではなく、社会や次世代がより良い生活をできるよう還元していくことを求めたい。
社会に対するTakerではなく、社会に対するGiver。ぜひキャリアを通じて、社会や次世代に還元する意識を持ってほしいと思います。


コンサルタントから経営者へ――。

A氏の歩んできたキャリアは、単なる「転職」ではなく、価値観の転換のプロセスでもありました。

そして、その挑戦はまだ始まったばかり。ONE CAREER PLUS一同、A氏の益々の発展を応援しています。






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