ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第6回はECです。
もはやトレンドテーマと言うにはばかられるほど、私たちの生活に浸透しているEC。経済産業省によると2022年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22.7兆円に達しました。2021年は20.7兆円、2020年は19.3兆円でしたので、毎年力強く伸長し続けていることが分かります。
ここでは、ECの現状やこれからのトレンド、またEC領域で勢いのある企業やスタートアップをご紹介します。
- ECとは?
- なぜECが注目されているのか?
- 企業一覧&キャリアパターン解説
- STORES:ネットショップ開設から決済まで一気通貫にサポート
- BASE:EC領域からフィンテック企業として急成長
- SUPER STUDIO:売り上げを逃さないECプラットフォームで顧客支援
- しるし:「ブランドを最適化する」急成長ベンチャー
- ACROVE:ECブランドをワンストップで支援するアグリゲーター
- ビビッドガーデン:ECで生産者と消費者を直接結ぶ
- SODA:世界が熱狂するマーケットプレイスを創出
- オイシックス・ラ・大地:食品ECの先駆者
- ジモティー:ECでサステナブルな未来を実現する
- メルカリ:月間利用者数2,200万人突破、国民的フリマアプリ
- ZOZO:ECのさきがけを作った第一人者
- まとめ
ECとは?
EC(「Electronic Commerce」)とは電子商取引のことで、インターネットを利用して商品やサービスの提供を行うビジネスを指します。
ECは、誰がプレイヤーになるかによって、BtoC(Business to Consumer)、BtoB(Business to Consumer)、CtoC(Consumer to Consumer)と分類されます。なかでもCtoC(個人間EC)は近年急速に拡大しており、経済産業省によると2022年のCtoCの市場規模は2兆3,630億円(前年比6.8%増)でした。
さらにBtoC-ECは分野別に物販系、サービス系、デジタル系に分けられます。経済産業省によると、2022年の市場規模は、物販系が13兆9,997億円で前年比は5.37%増、サービス系が6兆1,477億円で32.43%増、デジタル系は2兆5,974億円で6.1%減でした。
サービス系が大幅な伸びを見せているのは、コロナ禍で落ち込んでいた旅行サービス、飲食サービスが回復したためだと想定されます。
また、ECのおいて見逃せない傾向として「越境EC」があります。越境ECとは、海外市場に向けて展開するネット通販事業のことです。経済産業省によると、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆2,559億円で前年比5.6%増でした。
なぜECが注目されているのか?
ECが注目されているのは、前述した数字が示しているように、今後も成長が見込まれる市場だからです。今後はECに参入するプレイヤーも飽和状態となり、レッドオーシャン化することが予想されます。そのため、EC市場に参入する場合、いかに競合と差別化するかが大きな鍵になるでしょう。
そのための施策として、オムニチャネルが挙げられます。オムニチャネルとは、企業と顧客がつながる場としてECサイトだけでなく、アプリやSNS、実店舗などを含む複数のチャネルをシームレスに連携して顧客満足度を高めるマーケティング手法です。また、AIなどの活用によって、マーケティングはよりパーソナライズされていくと思われます。
企業一覧&キャリアパターン解説
STORES:ネットショップ開設から決済まで一気通貫にサポート
#EC #D2C
#ネットショップ #POSレジ #キャッシュレス
■どんな事業内容?
・2012年に「コイニー」として設立。「STORES」はサービスブランドで、企業名は2018年より「ヘイ」だったが、2022年10月に「STORES」に社名変更。
・個人事業主から中小企業を対象に、ネットショップの開設、POSレジ、キャッシュレス決済、オンライン予約システム、店舗アプリ作成など、お店のデジタル化を総合支援。
■なぜ注目?
STORESの最大の強みは、ECを含めて店舗のデジタル化にまつわる複合的なサービスを提供していることでしょう。そのため、STORESを単にEC領域だけで捉えることはできません。
■この企業への転職事例は?
BASE:EC領域からフィンテック企業として急成長
#EC #ネットショップ
#スモールビジネス #東証マザーズ #フィンテック
■どんな事業内容?
・2012年設立。事業内容は決済・金融といった分野を主軸に、個人や小規模チームをエンパワーメントするプロダクトの企画・開発・運営。
・具体的には、誰でも簡単にネットショップが作成できる「BASE(ベイス)」で、ものづくりをしながらスモールビジネスを展開したい人にとって便利なツール。
■なぜ注目?
2019年に東証マザーズに新規上場、2022年4月には東証グロース上場を果たし、成長を続けています。BASEはもはや単にEC領域にとどまらず、金融領域にも染み出しています。
■この企業への転職事例は?
SUPER STUDIO:売り上げを逃さないECプラットフォームで顧客支援
#EC #売上を最大化
#コスメ業界 #D2C #マーケティング
■どんな事業内容?
・2014年設立。事業内容はECプラットフォーム「ecforce」の開発・提供、D2C事業。
・「ecforce」は売上・利益を上げることに特化した「売上を逃さない」EC構築システムで、商材や業界、ビジネスモデルにかかわりなく、多彩なマーケティング機能によってショップの売り上げを最大化する。
■なぜ注目?
「ecforce」は年を追うごとに機能拡充が進んでおり、2023年3月にはマーケティングオートメーションツール「ecforce ma」の提供を開始。運営体制もさらに整備されることで、SUPER STUDIOは中小・スタートアップ支援だけでなく、大手ECや通販企業をも取り込み始めています。
■この企業への転職事例は?
e・ラボ社会保険労務士法人
組織・人事コンサルタント,係長・リーダークラス- 転職を考えた理由・きっかけ
- 子どもが大きくなってきたこともあり、自身のキャリアを再構築したく転職活動を行った。また...もっと見る
- 転職時に重視したポイント
- 子どもが小さいため、残業が多いのは難しかった。新しい挑戦はしつつも、家での役割もできる...もっと見る
しるし:「ブランドを最適化する」急成長ベンチャー
#EC #ブランド
#プラットフォーム #ワンストップ #サステナビリティ
■どんな事業内容?
・2021年設立。事業内容は、EC運用代行事業、EC事業最適化プラットフォームの開発・提供。
・「ブランド体験を最適化する」ことをミッションに掲げ、市場に存在する転売や模倣品によるブランド毀損、ECにおけるノウハウやリソースの大幅な不足を課題として認識し、解決に取り組んでいる。
■なぜ注目?
しるしは2021年に設立されたばかりで、メンバーもわずか21人の急成長ベンチャーです。とかくEC領域では「いかに売り上げを伸ばすか」ということばかりに注力しがちですが、しるしは「売り上げ至上主義」のマーケティング手法に一石を投じています。
長期的に見ればブランドを毀損する経営手法ではなく、テクノロジーを活用して企業がいかに健全に、サステナブルに成長できるかにフォーカスしています。
ACROVE:ECブランドをワンストップで支援するアグリゲーター
#EC #アグリゲーター
#ワンストップ #ブランド #M&A
■どんな事業内容?
・前身のアノマが2018年に設立、2020年にACROVEへと商号を変更。
・ACROVEの事業は「ECプラットフォーム事業」と「ECロールアップ事業」。ECプラットフォーム事業では、自社開発ツール「ACROVE FORCE」によりブランドのEC売り上げ向上をワンストップで支援、すでに100社以上の企業を平均300%の売り上げ成長に導いた。
■なぜ注目?
ACROVEはForbes Japan 2024年1月号の特集「次代を担う新星たち 2024年注目の日本初スタートアップ100選」に選出されました。その理由として、ACROVEの独自のビッグデータ、M&AでECブランドを育成支援するビジネスモデルが注目されています。
ビビッドガーデン:ECで生産者と消費者を直接結ぶ
#EC #食べチョク
#プラットフォーム #オンライン直売所 #一次産業
■どんな事業内容?
・個人向けのこだわり食材やお花のオンライン直売所「食べチョク」の開発、運営。
・法人向けに顧客向けのプレゼントキャンペーンや従業員向けのギフト、取引先への贈り物など、目的に合わせた専用プランの提案。
・毎日を楽しく暮らすための情報がつまったライフスタイルメディア「食べチョク&more」の運営。
■なぜ注目?
ビビッドガーデンが注目されているのは、その事業内容が日本の社会問題の解決につながっているからです。農業従事者の平均年齢は約67歳といわれ、一次産業の担い手が減る中、規模の小さい生産者は利益を上げるのが難しい流通構造になっています。ビビッドガーデンは「食べチョク」によって、生産者のこだわりが正当に評価されるシステムを作ろうとしています。
■この企業への転職事例は?
SODA:世界が熱狂するマーケットプレイスを創出
#EC #CtoC
#スニダン #スニーカー #トレカ
■どんな事業内容?
・利用者No.1の鑑定付きスニーカー・トレカフリマアプリ「SNKRDUNK(スニダン)」の開発、運営。
・HYPEなアイテムを取り揃えるファッション・コレクティブオンラインストア「HYPE DROP」の開発、運営。
■なぜ注目?
2018年設立のスタートアップ企業であるにもかかわらず、スニーカー、トレカ、ハイブランド領域において日本最大級の取引実績を持つCtoCサービスに成長。その理由の1つが独自の真贋鑑定を実施し、模倣品や偽造品が溢れる個人間取引を安心してできるシステムを設計していることです。
オイシックス・ラ・大地:食品ECの先駆者
#EC #らでぃっしゅぼーや
#食の安全 #リモートワーク #大地を守る会
■どんな事業内容?
・個人向けの食品宅配を中心に事業展開しており、「大地を守る会」、「らでぃっしゅぼーや」、「Oisix」の3つのブランドから構成。
・食品宅配EC事業で培ってきた強みを活かした法人向けソリューション。
・施設向け給食関連サービス事業「すくすくOisix」。
・移動式スーパー事業「とくし丸」。
■なぜ注目?
定期宅配サービス「Oisix」利用者の約7割が生鮮野菜にカット野菜、調味料をセットにした「Kit Oisix」を利用しています。売り上げ好調の理由はデータだけでなく、会員の声を聞いてメニューを日々改善している点にあります。データ偏重ではなく、消費者の声を大事にする取り組みが評価されています。
■この企業への転職事例は?
Visional(ビズリーチ)
ソフトウェアエンジニア,役職なし- 転職を考えた理由・きっかけ
- 理由は大きく3つあり、・職場の人間関係がつらく、もう少し人当たりの柔らかいところで仕...もっと見る
- 転職時に重視したポイント
- 転職を考えた理由に3点記載をしましたが、その中でも人間関係のところを重視していたので、...もっと見る
ジモティー:ECでサステナブルな未来を実現する
#EC #不用品
#SDGs #リユース #地域コミュニティ
■どんな事業内容?
・「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」をミッションに、地域の情報掲示板サイト「ジモティー」の企画・開発・運営。
・「ジモティー」は月間1,000万人以上が利用し、PVは約9億人に。
■なぜ注目?
ジモティーは不用品の販売・譲渡をネット上で行うプラットフォームを開発・運営することで、サステナビリティに繋がるリユースを促進するビジネスモデルを採用している点が評価されています。行政や企業との連携も進め処分費用を抑えられるサービスを創出することで社会問題の解決に貢献することが期待されています。
■この企業への転職事例は?
メルカリ:月間利用者数2,200万人突破、国民的フリマアプリ
#EC #CtoC
#フリマ #リユース #ヤフオク
■どんな事業内容?
・オールジャンルを取り扱うCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の開発、運営。
・BtoBマーケットプレイス「メルカリShops」によって構成されるMarketplace事業
・フィンテック事業。
・米におけるCtoCマーケットプレイスの開発・運営。
■なぜ注目?
2013年設立にもかかわらず、スマートフォン1つで売買できる手軽さや、エスクロー決済システムで支払いトラブルを回避する施策などで、いまや国民的なCtoCプラットフォームに成長しました。
■この企業への転職事例は?
ZOZO:ECのさきがけを作った第一人者
#EC #通販サイト
#コーディネート #SDGs #アパレル
■どんな事業内容?
・2000年に、アパレル商材を中心としたEC事業のさきがけとなるインターネット上のセレクトショップ運営をスタート、2004年に「ZOZOTOWN」の運営を開始。
・ZOZOはBtoC-ECだけでなく、各ブランドの自社ECサイト運営のための、各種フルフィルメント関連業務を受託するBtoB事業も展開。
■なぜ注目?
2021年にはテクノロジーの研究開発およびプロダクト開発を担当する「ZOZO NEXT」がZOZOの100%子会社として発足。ファッション業界が取り組むべき温室効果ガスや大量廃棄問題に関して、テクノロジーによって解決する方法を模索しています。こうしたサステナビリティへの取り組みは、1つの注目ポイントといえるでしょう。
■この企業への転職事例は?
まとめ
Amazonや楽天などの巨大ECサイトが売上を独占してきた時代から、個人や小規模事業者が自分たちの製品やサービスを発信できる時代へと変わりつつあります。そして、それを支援するのが、上述した新進気鋭のスタートアップ企業が作り上げた質の高いプロダクトであり、ワンストップのコンサルティングサービスです。ドラスティックに変容するEC分野の動きから目が離せません。
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