ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第9回はリーガルテック(LegalTech)です。2000年代初頭のインターネットの大幅な普及とともにアメリカで始まった「法律×テクノロジー」の融合。日本でも2016年以降、市場規模が拡大しています。
- リーガルテック(LegalTech)とは?
- なぜリーガルテック(LegalTech)が注目されているのか?
- 企業一覧&キャリアパターン解説
- 弁護士ドットコム:法務分野のDXで圧倒的な存在感
- LegalOn Technologies:AIを活用して契約審査を効率化
- ContractS:リーガルテックで契約業務を最適化
- GVA TECH:企業形態やフェーズに合わせてリーガルテックでソリューションを提供
- MNTSQ(モンテスキュー):企業のリスクマネジメントをサポートする新進気鋭のスタートアップ
- Hubble:複雑な法務をプラットフォームでシンプルに
- リーガルテック:次世代プラットフォームで企業のリーガルテックをワンストップで支援
- まとめ
リーガルテック(LegalTech)とは?
リーガルテックとは、法律にまつわる複雑な業務をITで効率化するサービスやツールのことです。そもそも法律業務は膨大な判例などの過去データや多岐に渡る法律を検索、調査する必要があり、ITの利活用と親和性の高い分野といえます。
一口にリーガルテックといっても、サービス分野は多岐に渡ります。例えば、契約書を作成する際にテンプレートから法的文書を自動生成するサービス、AIによるレビューサービスなどがあります。また、法的有効性をオンラインで担保し、契約を完結させる電子契約サービス、リサーチや翻訳を支援するサービスもリーガルテックに含まれます。
なぜリーガルテック(LegalTech)が注目されているのか?
日本でリーガルテックが注目されるようになった大きなきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大です。従来、契約締結などの法務関連業務は対面でのやりとりが必須でしたが、コロナ禍でそれが難しくなり、オンラインでの完結が求められるようになったことが背景にあります。
また法務関連に限らず、日本の労働市場は少子高齢化に直面しており、今後も労働人口は減少し続けると予測されています。そのため、ITやAIなどテクノロジーによる業務効率化が求められているのです。矢野経済研究所によると、2016年に184億円だったリーガルテックの市場規模は、2023年には350億円に達すると予測されています。
企業一覧&キャリアパターン解説
弁護士ドットコム:法務分野のDXで圧倒的な存在感
#リーガルテック #クラウド
#電子契約 #弁護士 #税理士
■どんな事業内容?
2005年設立、事業内容はポータルサイトである「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」の開発、運営、Web完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」などの各種法務サービスの開発、運営です。
■なぜ注目?
「弁護士ドットコム」は国内弁護士の約半数にあたる2.1万人が登録し、サイト月間訪問者数は約1,000万人に達するなど、国内最大級の規模を誇ります。
また、早くから法務にITを組み合わせるリーガルテックに進出した企業でもあります。主力サービスの「クラウドサイン」は契約作業をパソコンだけで完結できる契約マネジメントサービスで、2015年のサービス開始から2022年5月までに1,000万件以上の実績を誇ります。
■この企業への転職事例は?
LegalOn Technologies:AIを活用して契約審査を効率化
#リーガルテック #AI
#大型資金調達 #電子契約 #プラットフォーム
■どんな事業内容?
2017年にLegalForceとしてスタートし、2022年12月にはLegalOn Technologiesと商号変更しました。2018年にシリーズAラウンドで約5億円の資金調達を実施、2021年にはシリーズCラウンドで総額30億円、2022年にはシリーズDラウンドで総額137億円の資金調達を実施し、急成長し続けています。
主力サービスの「LegalForce」はAI契約審査プラットフォームであり、2023年8月時点で導入企業は3,000社にのぼります。
■なぜ注目?
会社設立当初からのメインサービスである「Legalforce」に加え、2021年にはAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」もリリース。これは企業法務において締結後の契約書管理に特化したサービスで、契約書のPDFデータをアップデートするだけで全文をテキストデータ化し、自動的に契約管理台帳を作成可能です。2023年11月現在には1,000社以上に導入されており、国内リーガルテックを牽引しています。
■この企業への転職事例は?
ContractS:リーガルテックで契約業務を最適化
#リーガルテック #電子契約
#DX#契約管理 #スマートコントラクト
■どんな事業内容?
2017年設立、事業内容は契約マネジメントシステム「ContractS CLM」の提供です。「ContractS CLM」は、契約作成、レビュー、承認、締結、更新、管理といった契約にまつわる業務を集約し、契約業務を最適化します。
ロゴマークの大文字の「S」には「契約の事業群を表す複数形のS」「本質だけに向き合うSimpleのS」「将来的に取り組む分野であるSmart ContractのS」という3つの意味が含まれており、同社の想いが込められています。
■なぜ注目?
コロナ禍をきっかけとして「脱ハンコ」や「ペーパーレス」の動きが加速し、企業における契約の電子化、デジタル化ツール導入が一気に進みました。そうした世の中のトレンドに合わせてさまざまな電子契約ツールが登場するなか、「ContractS CLM」は2019年度から4年連続「CLM/契約管理サービスの売上シェアNo.1」を獲得しています。
GVA TECH:企業形態やフェーズに合わせてリーガルテックでソリューションを提供
#スタートアップ #リーガルテック
#契約審査 #AI#法務
■どんな事業内容?
2017年に設立、主な事業内容はGVAシリーズの開発・提供です。GVAシリーズには以下のようなプロダクトがあります。
■なぜ注目?
GVA TECHは「日経優秀製品・サービス賞 優秀賞(2019年)」「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2021 AI部門 ASPIC審査委員会賞」など、数々の受賞歴があります。「GVA assist」は、利用継続率99.4%を誇り、プロダクトの質の高さが評価されています。
MNTSQ(モンテスキュー):企業のリスクマネジメントをサポートする新進気鋭のスタートアップ
#リーガルテック #弁護士
#リスクヘッジ #成長フェーズ #スタートアップ
■どんな事業内容?
2018年設立、法務知識の不均衡と、知識の共有・蓄積という2つの課題を独自のSaaSプロダクト「MNTSQ CLM」によって解決し、契約ライフサイクルマネジメントや、契約プロセスの自動化・合理化実現を目指します。
これまで弁護士などの専門家だけに共有されてきたナレッジを標準化することで、企業が不利な契約内容で締結することを回避し、リスクヘッジを図ります。
■なぜ注目?
スタートアップでありながら、トヨタやENEOSなど「TOPIX CORE30」構成銘柄の4分の1が「MNTSQ CLM」のユーザーです。大企業がリスクマネジメントのためのツールとして選ぶプロダクトの素晴らしさが見て取れます。
Hubble:複雑な法務をプラットフォームでシンプルに
#リーガルテック #クラウド
#NDA #ベンチャー企業 #プラットフォーム
■どんな事業内容?
2016年設立。クラウドサービス「Hubble」やプラットフォーム「OneNDA」などのサービスを開発・運営しています。「Hubble」は契約書を管理するクラウドサービスで、コミュニケーションコストを削減し、複雑な手続きを簡素化することで、コスト削減・生産性向上を実現します。また、「OneNDA」はNDA(秘密保持契約)の統一プラットフォームであり、利用することで相手方と個別にNDAを締結する必要はなくなります。
■なぜ注目?
「Hubble」は東証プライム上場企業からベンチャー企業まで200社以上、1.7万人が利用するクラウドサービスです。「ITreview Grid Award2023」契約書管理部門で「Hign Performer」を4期連続受賞しており、プロダクトの品質において高い評価を受けています。また、2023年1月時点でサービス利用継続率は99.9%という脅威の数字を叩きだしています。
リーガルテック:次世代プラットフォームで企業のリーガルテックをワンストップで支援
#リーガルテック #DX
#LaaS #ブロックチェーン #アルゴリズム
■どんな事業内容?
リーガルテックは1999年以来、さまざまなリーガルテックツールとサービスで捜査機関の依頼を受け、多くの証拠データの調査や復旧に携わってきた企業です。2020年からは企業内リーガルテックを実行するLaaSソリューションの提供を開始、法務のDXを支える次世代プラットフォームをはじめ、製品からサービスまでワンストップでサポートしています。
Tokkyo.Aiは、プライベートな特許検索プラットフォームで、独自のアルゴリズムからなる高速検索と、ビッグデータを低コストでDB化する次世代システムを用い、企業の知財戦略のDXを推進します。またKeiyaku.Aiは、契約書の作成・編集から承認、締結、管理・運用をワンストップで行える日本初のブロックチェーン基盤のプラットフォームです。
■なぜ注目?
犯罪捜査や企業法務だけでなく、一人訴訟やODR(オンライン紛争解決)の増加を見越して、すべての人が司法へアクセスでき、法律がより大衆化することを目指しています。例えば、LegalSearchは国連のSDGsの司法インフラの提唱に従ってオンライン上で法律や判例、法令にもっと簡便にアクセスできることを目的としています。
2013年には第一回リーガルテック展を開催し、2015年にはリーガルテクノロジーで社会に貢献したとして経済産業大臣賞を受賞するなど、トップランナーとして活躍している企業といえるでしょう。
まとめ
コロナ禍で一気に進んだ電子契約は、今後もスタンダードになっていくでしょう。また、膨大な資料を扱い、しかもミスが許されない法務はAIとも親和性が高いと言われています。こうした業務の特性を考えると、今後もリーガルテックの市場規模はますます大きくなっていくことが予想されます。