監査業界で圧倒的な存在感を示すBIG4監査法人。「どの監査法人を選ぶべきか」「各社の違いは何なのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、ONE CAREER PLUSに集まったクチコミデータをもとに、有限責任監査法人トーマツ、あずさ監査法人、PwC Japan有限責任監査法人、EY新日本有限責任監査法人の4社について、各社の特徴や年収、働き方の違いを徹底解説します。
- 1. BIG4監査法人とは?その概要と現状
- 1-1. そもそもBIG4監査法人とは
- 2. BIG4各監査法人の特徴・違い
- 2-1. 有限責任監査法人トーマツ(デロイト)
- 2-2. PwC Japan有限責任監査法人(PwC)
- 2-3. あずさ監査法人(KPMG)
- 2-4. EY新日本有限責任監査法人(EY)
- 3. BIG4監査法人の年収水準とキャリアパス
- 3-1. 役職別の年収と入社後のキャリアパス
- 3-3. 他の監査法人との違い
- 4. BIG4監査法人の働き方・ワークライフバランス
- 4-1. リモートワーク・フレックス制度
- 4-2. ワークライフバランス
- 4-3. 女性活躍
- 5. BIG4監査法人へのキャリアパス
- 6. BIG4監査法人からのキャリアパス
- 7. ONE CAREER PLUSのご紹介
1. BIG4監査法人とは?その概要と現状
1-1. そもそもBIG4監査法人とは
BIG4監査法人とは、世界的に展開する4大会計事務所グループの日本法人を指します。BIG4監査法人は、日本の上場企業監査業務の約8割を担っていると言われており、監査業界において圧倒的な地位を築いています。
具体的には以下の4社が該当します:
- 有限責任監査法人トーマツ(デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファーム)
- あずさ監査法人(KPMGグローバルネットワークの一員)
- PwC Japan有限責任監査法人(PwCグローバルネットワークの一員)
- EY新日本有限責任監査法人(アーンスト・アンド・ヤンググループのメンバーファーム)
監査法人の公認会計士が行う会計監査とは、企業が作成した財務諸表をチェックし、その正確性や適正性を保証することであり、金融機関や投資機関はそれらの財務諸表に基づいて、会社への投資や融資を判断するため、資金調達を円滑にし企業活動を継続していく上で会計監査は非常に重要な社会的役割を果たしています。
監査業務に似た業務として、デューデリジェンスやバリュエーションなど経営に直結する財務や企業価値評価を行うアドバイザリー業務もありますが、BIG4ではこうしたM&Aアドバイザリー業務はFASと呼ばれる専門の別法人が行う場合がほとんどです。
▼BIG4 FASについて知りたい方はこちら
2. BIG4各監査法人の特徴・違い
2-1. 有限責任監査法人トーマツ(デロイト)
有限責任監査法人トーマツは、監査・保証業務とリスクアドバイザリー業の両分野に強みを持つデロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファームです。
国内の監査法人人員数は約7,900人と大規模で、2023年の国内監査法人業務収入は142,845百万円でBig4でNo.1の実績を誇っています。監査業務による安定収益に加え、非監査業務にも強みを持つのが特徴です。
1968年に日本で初めて設立された全国規模の監査法人である等松・青木監査法人を起源としており、設立当初からデロイトとの業務提携関係を継続しています。
(出典)有限責任監査法人トーマツ、データで見るトーマツの強み
事業展望については以下のようなクチコミが寄せられていました。
カルチャーについては、外資系らしいフラットな組織であるとする声が寄せられていました。
外資系企業のためか、上司や部下などの関係性が比較的緩やかだと思った。◯◯課長などと呼ばず偉い社員でも◯◯さんと呼ぶ文化に最初は驚いた。勤務時間や勤務場所は個人の裁量である程度決められる。(事務アシスタント)
2-2. PwC Japan有限責任監査法人(PwC)
PwC Japan有限責任監査法人は2023年12月にPwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が経営統合し、PwC Japan有限責任監査法人が誕生した比較的新しい体制の監査法人です。
最新技術(AI、データ分析、機械学習、ブロックチェーンなど)を活用した「Audit 4.0」による高効率かつ高精度な監査が強みです。また、同社の2022年度の売上構成は監査業務50%、非監査業務50%となっておりアドバイザリー業務にも力を入れていることがわかります。
(参考)PwC Japan有限責任監査法人 総合採用サイト、PwC Japan有限責任監査法人、Technology Enabled Audit | PwC Switzerland
ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをみると、「風通しの良さ」や「人を大切にする文化」に対してポジティブな声が寄せられる一方で、業務におけるデジタルツールの導入が課題とする声も挙げられていました。
監査は労働集約型に類する業務なため、デジタルツールの導入が喫緊の課題となっていると思います。時代の波に乗って、各社員の意識を高め、リテラシーを高められると、より優位になるのかと思います。(公認会計士)
非常に風通しがよく合理的な考えの持ち主が多い。ピリピリしているイメージはなく固すぎるイメージもない。働きやすい文化ではある。
組織は他のビック4と変わらない。マネジメント体制も同じである。しかし、マネジメントの考え方が人を大切にするのが伝わりよい文化を作っている。(会計監査)
2-3. あずさ監査法人(KPMG)
あずさ監査法人は、KPMGグローバルネットワークの一員として、全国主要都市に約7,000名の人員体制を持つ、国内最大級の監査法人です。監査証明業務だけでなく、財務会計、内部統制、ESG、スタートアップ関連アドバイザリーなどの非監査証明業務も提供しています。
(参考)法人概要 | あずさ監査法人|会計士採用情報|定期採用
ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをみると、あずさ監査法人は「在宅勤務中心の柔軟な働き方」が特徴で、「フリーアドレスやリモートワークが標準化しつつあり、出社頻度は個人やチーム方針によるなど柔軟性が高い」環境を提供していることがわかりました。
また、「子育て・育休支援」に強みがあり、男女問わず育休取得の雰囲気がよく、『周りからの理解もよく、残りのメンバーでカバーしようという雰囲気』があるそうです。
2-4. EY新日本有限責任監査法人(EY)
EY新日本有限責任監査法人はアーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young=EY)グループの日本における主要メンバーファームで、日本で最初の有限責任監査法人として誕生した歴史のある監査法人です。
デジタル監査への積極姿勢があり、デジタル施策・新技術導入に前向きで、監査の高度化が進むことが特徴です。また、女性活躍・働きやすさの推進においても女性パートナーの増加、理事長も女性と、女性活躍推進の実績があります。
(参考)EY新日本有限責任監査法人、アシュアランスイノベーション|業務紹介|EY新日本有限責任監査法人中途採用サイト
ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミによると、EY新日本は、プロフェッショナルとしての尊重とドライな関係性が特徴で、職場の人間関係は良好だが、プライベートでの深い関係性は希薄でドライ、主体的な成長を求められる環境です。
3. BIG4監査法人の年収水準とキャリアパス
3-1. 役職別の年収と入社後のキャリアパス
ONE CAREER PLUSに寄せられたクチコミをみると、BIG4監査法人全体の年収水準は新卒・若手層で480万円〜600万円、シニアスタッフで650~800万円付近、シニアマネージャー以降になると1,000万円を超える例も見受けられました。
多くの企業が役職ごとに年収レンジを定めており、年次や成果によって昇進すると大きく年収もあがります。例えば、有限責任監査法人トーマツの役職別年収水準は以下の通りです。
- アナリスト :480万円〜
- コンサルタント:600~700万円
- シニアコンサルタント:700~900万円
- マネージャー:1,000~1,200万円
- シニアマネージャー:1,200~1,500万円
- パートナー/マネージングディレクター:2,000万円〜
3-3. 他の監査法人との違い
金融庁の調査によると、監査証明業務を行う公認会計士事務所は2022年3月末時点で、2,407箇所存在しています。そして、そのほとんどは、社員数が約40人未満の中小監査法人となります。なお、BIG4監査法人以外の著名な監査法人には以下のような企業があります。
<有名な国内監査法人の例>
太陽有限責任監査法人、仰星監査法人、東陽監査法人、三優監査法人、ひびき監査法人、アーク有限責任監査法人
BIG4監査法人の他社との違いは、圧倒的な規模やブランド力、国内外のネットワークにあると言えるでしょう。実際に、BIG4監査法人が日本の上場企業の8割の監査業務をになっていると言われています。
(参考)Ⅰ.監査業界の概観
4. BIG4監査法人の働き方・ワークライフバランス
4-1. リモートワーク・フレックス制度
BIG4監査法人の殆ど全法人がリモートワーク・フリーアドレス化を推進。チーム・職種により出社頻度は変動しており、フレックスタイム・時短勤務制度が標準として導入されています。
実際の働き方について、以下のような声が寄せられていました。
4-2. ワークライフバランス
BIG4監査法人では業界特性上、繁忙期(年度など)は残業・休日出勤が多い傾向にありますが、閑散期は一斉有給推奨や長期休暇も可という特徴があり、メリハリのある働き方をしている人が多いようです。
4-3. 女性活躍
BIG4監査法人では、女性の管理職比率の目標を設定、女性パートナー・マネージャークラスも複数在籍、など女性活躍推進に積極的であることが伺えました。社員のクチコミをみても、産休・育休などのライフイベントに関する制度も充実している会社が多いようです。
トーマツにおいても女性が働きやすい環境が整備されています。
会計士は結構ここ最近女性の方が多く、また自身の所属チームの関係で結構女性の方もチームに多数いらっしゃいました。育休産休は組織としても積極的にとる方向性で施策を打っています。(財務・会計コンサルタント/トーマツ)
5. BIG4監査法人へのキャリアパス
監査法人へのキャリアパスによると、監査法人への転職には主に2つのパターンがあります。
パターン1:監査法人間の転職
転職しても会計監査の業務内容自体は大きく変わらないため、監査法人間で公認会計士が転職するケースはあまり多くはありません。
ただし、前職よりも好条件のオファーを受けた場合や、キャリアアップしていく上でより有利な環境が得られると考えるケースではBIG4監査法人間で転職をすることもあるようです。
パターン2:未経験から監査トレーニーとしての転職
公認会計士試験受験生の段階から監査法人で働ける制度として、「監査トレーニー制度」が各法人で導入されています。異業界の総合職や経理財務職経験者が、監査トレーニーの枠で転職するケースも見受けられます。
詳細については、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
6. BIG4監査法人からのキャリアパス
BIG4監査法人からは多様なキャリアパスが開かれています。主要な転職先として、事業会社の経理・財務職、アドバイザリー業務、金融業界、他の監査法人などがあり、それぞれの転職理由や成功事例も豊富に蓄積されています。
メジャーなパターンは、コンサルティングファーム、事業会社(経理・財務・経営企画)、金融・PEファンドなどに転職するケースです。その他、公認会計士・税理士資格を生かして独立(開業)する人もいます。
具体的なキャリアパスや転職事例については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
7. ONE CAREER PLUSのご紹介
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