ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第2回のテーマは、近年のコロナ禍で急速に成長し始めた「メタバース」。
まだまだ初期市場の段階でありながら、世界規模で注目を集める存在であり、今後市場の拡大に向けて、さまざまなビジネスが展開されることが予想されます。
そこで今回はメタバースについて、用語解説や市場の動向、さらにはメタバースに力を入れている企業とそのキャリアパターンを解説します。
メタバースとは?

メタバースは英語の「Meta(超越)」と「Universe(世界)」をかけ合わせて作られた造語で、仮想空間のことを指します。仮想空間とはいえ、現実世界に近しい状態で活動できるのが大きな特徴です。
具体的には、現実世界と同じように流れているデジタル空間で、ユーザーが自分に化したアバターを使い、人と交流したり遊んだりできます。こうした仮想空間を利用することで、ゲーム、アート、音楽、ショッピング、イベントなど、活動の幅が広がり、新たなビジネスチャンスが期待できるのです。
なぜメタバースが注目されているのか?
メタバースに注目が集まっているのは、現実から仮想空間へと、ユーザーが過ごす環境に変化が表れていることにあります。Cross Marketingの「メタバースに関する調査(2022年)」によると、調査に協力した全国15〜49歳の男女の中で、メタバースを認知しているのは全体の61%でした。2007年頃にメタバースという言葉が現れ、2021年から2023年にかけて認知が広まっていきました。すでにメタバースに関連する投資や取引も増加しています。
また、メタバース領域の中では主に語られることは少ないものの、国内におけるVTuber(バーチャルYoutuber)事業は拡大をみせています。全世界で実施したYoutubeの投げ銭機能「スーパーチャット(通称「スパチャ」)」の総額ランキングを見ると、2021年はTOP10を日本のVTuberが独占。8位以上は1億円を超えます。
メタバースとセットで「NFT」という言葉も耳にします。NFT(Non-Fungible Token)は、デジタルデータに固有の価値を持たせることで、音楽やイラストなどをNFTとして取引することが可能です。
メタバースは今や続々とビジネス展開され、FacebookがVR技術を活用したメタバース・サービス「Horizon Workrooms」を開設するなど、大手企業も市場に参入しています。
企業一覧&キャリアパターン解説

Thirdverse:バーチャル空間を生み出すスタートアップ企業
#メタバース #スタートアップ
#海外展開 #ゲーム開発 #VR
■どんな事業内容?
2013年設立。バーチャルリアリティのマルチプレイヤーゲームを開発・配信し、ブロックチェーン技術を組み合わせるVRゲームスタジオです。日本では『ソード・オブ・ガルガンチュア』『ALTAIR BREAKER』といったVRマルチプレイ剣戟アクションゲームを、Thirdverse USスタジオでは、VRマルチプレイヒーローシューター『X8(エックスエイト)』を開発しました。
■なぜ注目?
Thirdverseは2022年9月に新経営体制に移行。サンフランシスコにも開発スタジオを持っています。さらに、2022年11月には約20億円の資金調達を実施し、新たなVRゲーム開発に向けたグローバルな取り組みを強化しています。
クラスター:メタバース企業ならではの働き方を推進
#メタバース #国内開発
#海外進出 #プラットフォーム #アバター勤務
■どんな事業内容?
2015年設立、「人間の創造力を加速する」というミッションのもと、事業を展開しています。主な事業内容は、VR空間で人が集まることのできるメタバースプラットフォーム「cluster」の開発・運営です。
clusterでは、バーチャル上で音楽ライブやカンファレンスなどのイベントに参加したり、友達と常設ワールドやゲームを楽しんだりすることができます。日本で開発したメタバースであり、日本人同士の交流も可能です。
■なぜ注目?
自由な働き方や組織内の取り組みが注目されており、オフィスへの出勤は週1回のみというメタバース企業ならではの魅力があります。社内では、WEB会議などは顔を出さずにアバターで出席する「アバター勤務」が浸透。
また、代表取締役CEOの加藤直人氏はForbes JAPAN「日本の起業家ランキング」TOP20に2年連続で選出されました。「日本一敷居の低いメタバース」を目指し、世の中の面白さや楽しさが集まる場所を作るべく尽力しています。
■この企業への転職事例は?
TOPPAN(旧:凸版印刷):140年超えの老舗企業が生み出したメタバース事業
#メタバース #老舗企業
#バーチャル店舗 #NFT #マーケティングサポート
■どんな事業内容?
1900年創立の老舗企業であるTOPPAN(旧:凸版印刷)は、2023年にデジタルツイン型メタバースサービス「デジタルツイン・ワールドトリップ®」を開発しました。首に装着するウェアラブル型コミュニケーションデバイスを使用し、装着者の視点で現地体験を提供する取り組みを行っています。
ビジネス向けメタバースサービス基盤「MiraVerse®(ミラバース)」では、現実空間の色味や質感などを正確に取り込んだメタバースを構築しています。また、上記で紹介したクラスターが開発・運営するメタバースプラットフォーム「cluster」では、TOPPAN XPERIENCE WORLDを開設。メタバースマーケティングサポートを行っています。
■なぜ注目?
TOPPANは、いくつかのメタバース関連技術を持ち合わせ、新たなコミュニケーションの場を提供する取り組みを積極的に行っています。具体的には、メタバースショッピングモール「METAPA®」やVR観光プラットフォーム「ストリートミュージアム®」など、5つのメタバース事業を展開。メタバース領域での新たなビジネスの創出や新たな顧客接点の獲得などが期待されます。
■この企業への転職事例は?
Synamon:「熱狂を拡張」Z世代向けにファンマーケティングを創造
#メタバース #スタートアップ
#XR #Z世代 #ファンマーケティング
■どんな事業内容?
2016年設立のSynamonは、「バーチャル体験の共創で、熱狂を拡張する」をミッションに掲げ、「リアル・デジタルの体験の融合」というテーマに向かって挑戦を続けています。
2022年9月には、メタバース事業においてファンロイヤル化支援サービス「FaneX」を手掛けるサイバードとパートナーシップを締結。ファンマーケティング向けメタバース「SYNMN」の開発及び企業に向けたメタバース技術の活用支援を行っています。SYNMNは、PCやスマートフォンからでも利用できるメタバース領域へアクセスでき、企業やクリエイターのブランディングやファンマーケティングの支援が可能です。
■なぜ注目?
2023年5月、Synamonは、バーチャルタレントの企画・プロデュースを含むコンテンツやエンタメ事業における主要な柱となるIPを創り出す事業を展開しているActiv8と経営統合しました。この統合により、両社の強みを結集し、IPの「バーチャル化」や企業・自治体プロモーションの展開を迅速かつ効果的に進められることが期待されています。
AVR Japan:海外XRエンジニアチームと共にXR業界の先陣を切る
#メタバース #プラットフォーム
#海外進出 #XR #多国籍な人材
■どんな事業内容?
2006年創業、2016年設立のAVR Japanは、主に産業用メタバースプラットフォーム「CORE」を展開しています。企業向けの没入型トレーニングや学習メタバースの開発に適しており、NATO軍やノルウェー軍の訓練などにも導入。また、シナリオビルダー機能を搭載しており、オリジナルのトレーニングシナリオを作成し、社員などに体験させることも可能です。
■なぜ注目?
AVR Japanは、XR(VR/AR/MR)を活用した製品・サービスを提供しています。9ヶ国から集結したスタッフが在籍し「OneTeam OneFight !」をスローガンに掲げ、日本発信でグローバル展開に積極的に取り組んでいます。
ANYCOLOR:バーチャルの力で日常に魔法を与える
#VTuber #スタートアップ
#海外展開 #大型資金調達 #成長中
■どんな事業内容?
VTuber事業を中心に事業を展開するエンタメ系スタートアップです。バーチャルライバーのサポートやサイトの運営、アプリケーション開発を行い、主要なサービスとしてインフルエンサーが集まるコミュニティサービス「にじさんじプロジェクト」が挙げられます。英語圏、中国にも事業を展開し、新時代の切り込み役としてグローバルに拡大しています。
■なぜ注目?
ANYCOLORは、2022年に東証グロース市場に上場し、売り上げ推移も年々上昇傾向にあります。創業4年で売上76.3億円、営業利益14.5億円を叩き出し、同じYoutubeを活用した事務所であるUUUMと比較しても、利益率は高い結果となりました。
カバー:新しい二次元エンターテイメントを提供
#VTuber #海外展開
#大型資金調達 #成長中 #エンタメ
■どんな事業内容?
VR、AR、5Gといったテクノロジーを活用し、二次元エンターテイメントを提供する会社です。カバーが運営、コンテンツの発信を行うVTuber事務所の「ホロライブプロダクション」の登録者数は、合計7,400万人にのぼりました(2023年2月時点)。
■なぜ注目?
上記で紹介した「ホロライブプロダクション」には、70人以上のVTuberタレントが所属。そのうちの30人以上がチャンネル登録者数100万人超え。在籍するYoutuber全ての登録者数は7,400万人にのぼります。
日本だけでなく、英語圏やアジア各国を中心にVTuberタレントを輩出。また、海外でのファンミーティングイベント、幕張メッセでの一大リアルイベントを開催するなど、国内外で活動の幅を広げています。
DMM.com:UE5を活用した新メタバースプロジェクトを創出
#新規事業 #UE5 #3D
#大型資金調達 #幅広い事業
■どんな事業内容?
動画配信、FX、英会話、3Dプリントなど、60以上のサービスを展開するDMM.comは、2022年にメタバースプロジェクト「Mid Mega City(MMC)」を立ち上げました。本プロジェクトは、DMMグループが企画、開発、運営を行う完全オリジナルのものです。開発スタジオヘッド兼プロデューサーとして、スクウェア・エニックスやJP GAMESなどで事業統括を行った実績を持つ本橋大佐が就任。DMMグループの幅広い事業を掛け合わせ、外部コンテンツホルダー、テクノロジーカンパニーとの事業連携を見込んでいます。
■なぜ注目?
2022年8月、メタバースプラットフォーム「DMM Connect Chat」が終了したものの、新たな形で新プロジェクトであるMMCが誕生しました。MMCの大きな特徴は、Unreal Engine5(UE5)の活用です。UE5は、ゲームだけでなく、アニメーション、VR空間の制作などにおける高品質なグラフィックや高度な音声コントロールを可能とします。よりリアルな没入的体験が作り出せる点が特徴です。
■この企業への転職事例は?
まとめ

現在、メタバース市場は初期の段階でありながらも拡大しています。サービスやコンテンツが充実すれば、メタバースは私たちの日常にも浸透することとなり、それに伴い広告やPRなども増えていきます。国内のメタバース市場は2027年には2兆円を超えるという予測が立てられており、本格的にメタバースを活用する企業が増えてくるといえます。
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