ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第7回はブロックチェーンです。ブロックチェーンは、暗号資産のみならず、金融や物流管理などさまざまな分野への応用が期待されている、革新的な技術だといわれています。一方で一般ユーザーにはそのインパクトが捉えづらいのも事実です。
ここでは、ブロックチェーンが革新的である理由と、その先端技術を活用して私たちの生活を変えようとしている企業やスタートアップについてご紹介します。
ブロックチェーンとは?

ブロックチェーン技術とは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、暗号技術を使ってクリエイター、保有者情報、トークン情報や取引記録を分散的に処理・記録するデータベースの一種です。ネットワークを利用するすべてのユーザ同士で同じデータを分散して共有・管理するため、「分散型台帳技術(DLT)」とも呼ばれています。
ブロックチェーンには多くの種類がありますが、特に重要なのが「オープンブロックチェーン」と「クローズドブロックチェーン」です。前者は自由度が高く、匿名でだれでも取引できるのが特徴ですが、取引の承認に時間がかかるというデメリットがあります。後者は許可された信頼度の高い人だけが参加することが許され、自由度に制限がありますが、その分セキュリティが強化されています。
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産の基盤となる技術として注目されるようになりましたが、それ以外にも活用分野は多岐にわたり、多くの企業やスタートアップがブロックチェーンを活用してさまざまなサービスや製品を開発しています。
なぜブロックチェーンが注目されているのか?
ブロックチェーンが注目される大きな理由は、中央管理者を置かない状況でも、なりすましやデータ改ざんが事実上不可能な点です。
また、分散型台帳技術という名称から分かる通り、複数のコンピュータが同じデータを共有・管理しているため、特定のサーバーがダウンしてもシステム障害が発生しにくく、サービスを継続できます。
そのため、セキュリティやバックアップ対策に多大な費用をかける必要がなく、企業にとっては大幅なコスト削減が見込めます。
上記の理由から、金融以外の分野にも応用できると予測されている点も、ブロックチェーンが注目されている理由の一つです。総務省は「情報通信白書(平成30年度版)」において以下のような応用事例を挙げています。
・災害時の物資マッチング
・シェアリングサービスにおける本人確認
・電力取引の自動化・効率化
・不動産取引
・宅配ボックスの配達・受取記録
・農産物生産情報の管理
また、ブロックチェーン技術を活用し、信頼性が高くプライバシーを重視して取引・交流ができる分散型ネットワークを「Web3.0(ウェブスリー)」と呼びますが、政府は成長戦略としてそのための環境整備に取り組んでいます。
矢野経済研究所によると、国内ブロックチェーン活用サービスの市場規模は2025年に約7,247億6,000万円に達すると予測されています。
企業一覧&キャリアパターン解説

Connectiv:NFT生成プラットフォームを開発・運営
#ブロックチェーン #NFT
vビットコイン #トークン #プラットフォーム
■どんな事業内容?
2017年設立。主な事業内容は、NFT生成プラットフォーム「NFT Garden」の開発・運営です。
NFT(Non Fungible Token)とは、ブロックチェーン上で発行・取引される偽造不可能な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータのことを指します。ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は代替可能なトークンであるのに対し、NFTはゲームやアートなどに対して個別の「識別サイン」が記録されることで世界に一つだけの価値を生み出します。
NFTの市場規模は2022~2027年までの間に年平均成長率35%で急成長するといわれており、引き続き目が離せません。しかし、クリエイターにとってはチャレンジしたくても難易度が高く、企業にとっては自社でブロックチェーン開発をするにはコストがかかります。
その点、「NFT Garden」の特徴は、誰でも無料で簡単にNFTが生成できるため、クリエイターと企業双方にとってメリットが大きいのです。
double jump.tokyo:世界No.1NFTゲームを開発
#ブロックチェーン #マイクリ
#NFT #NFT #イーサリアム
■どんな事業内容?
double jump.tokyoは、2018年に設立され、事業内容はイーサリアムのブロックチェーン技術を活用したオンラインゲーム「My Crypto Heroes(マイクリ)」の開発・運営です(現在の運営はMCH社)。
「My Crypto Heros」は2018年11月に日本初のNFTゲームとしてリリースされ、2019年8月にはユーザー数とトランザクション数で世界No.1を記録しました。このゲームが従来と大きく異なるのが、ゲーム内通貨のGUMを実際の通貨として受け取ることができる点です。
他にdouble jumo.tokyoが開発・運営しているゲームには、2~4人のリアルタイム対戦を楽しめるNFTゲーム「My Crypto Saga(マイクリプトサーガ)」、シリーズ全世界合計3800万ダウンロードを誇るアプリゲーム「Brave Frontier(ブレイブフロンティア)」のブロックチェーンゲーム「Brave Frontier Heroes(ブレイブフロンティアヒーローズ)」もあります。
さらにビジネス向けNFT管理・運用SaaS「N Suite」を展開する事業や、スクウェア・エニックスやセガなどのコンテンツホルダーと共同でNFTコンテンツ事業の創出も手がけています。
■なぜ注目?
ブロックチェーン技術を基盤にしたNFTを活用したデジタルコンテンツは2021年にブームになりましたが、double jump.tokyoはそれに先立つ2018年にすでにブロックチェーンゲームの開発・運営を進めていました。
また、エンターテイメント領域に限らず、double jump.tokyoは企業がNFT/Web3領域にスムーズに参入できるようNFT管理・運用SaaS「N Suite」を提供している点も注目に値します。
フィナンシェ:国内唯一のWeb3プラットフォームを提供
#ブロックチェーン #Web3
#トークン #クラウドファンディング #IEO
■どんな事業内容?
2019年設立、「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をビジョンに掲げ、国内唯一のWeb3プラットフォームを提供しています。
具体的な事業として「FiNANCiE」「FiNANCiE NFT」「IEO支援事業」「FNCT」があります。例えば、「FiNANCiE」はブロックチェーンを活用したトークン発行型のクラウドファンディングで、アプリをダウンロードしたら、FiNANCiEポイントを購入する仕組みです。
このFiNANCiEポイントで参加したいコミュニティのトークンを購入でき、トークン保有数が多いほどコミュニティの運営方針やイベントなどの意思決定に影響を及ぼすことができるようになるのです。
IEO(Initial Exchange Offering)とは、暗号資産を用いた資金調達方法の1つであり、フィナンシェは企業のIEOプロセスの支援サービスも行います。具体的にはトークンエコノミーの支援設計、ホワイトペーパー、審査関連資料等の作成支援、トークン価値算定サポートなどが含まれます。
■なぜ注目?
フィナンシェが注目される理由は、フィナンシェが提供するコミュニティに参加するハードルが低いことです。
日本では暗号資産型のトークンを無許可で販売することはできないため、トークンを販売するのは敷居が高いですが、フィナンシェはクラウドファンディングという形態をとることで法的問題をクリアしています。
また、FiNANCiEポイントは100円からクレジットカードや現金で購入できますし、10%の手数料さえ支払えば、いつでも好きなだけ売買できます。また、トークンはNFTと異なり、代替可能なため、匿名で売買することができます。
プロジェクトオーナーにとっては資金調達の手段としてだけでなく、コミュニティ内でトークンを送り会ったり、運営側からトークンをプレゼントしたりするコミュニティ機能も魅力といえるでしょう。
Ginco:国内最多53種の暗号資産を扱う業務用ウォレットを提供
#ブロックチェーン #暗号資産
#ウォレット #トークン #NFT
■どんな事業内容?
2017年設立、事業内容はブロックチェーン事業環境で企業が持続的に成長するためのインフラ提供です。具体的には、以下のサービスが含まれます。
・業務用暗号資産ウォレット「Ginco Enterprise Wallet(GEW)」
GEWは国内導入実績、国内上場通貨取扱い実績No.1ソフトで、暗号資産取引所における資産管理をシンプルにし、エンタープライズの事業支援を行います。
・NFTサービス基盤システム「Ginco NFT BASE (NFT BASE)」
「NFT BASE」は、NFTを活用する基盤となるウォレットやブロックチェーンノードなどのシステムを網羅したサービスです。
ほかにもブロックチェーン活用基盤「blockchainBASE」の開発・提供、個人向けウォレットアプリ「Ginco」の運営なども行っています。
■なぜ注目?
Gincoが提供しているGEWは国内最多の通貨対応数を誇っており、導入実績No.1を誇っています。2023年11月には12種を新たに追加し、総計53種類の暗号資産の管理が可能です。また、多数の企業と協力することで、暗号資産取引所の事業成長の活性化に貢献している点も注目です。
2023年10月には、三菱UFJ銀行と提携し、国内で初めてとなる信託銀行本体による「暗号資産信託」提供に向けて動き出しました。トークン発行市場としてまだまだ遅れをとっている日本をより魅力的で健全な環境へと変化させていく上でGincoの果たす役割は大きいでしょう。
■この企業への転職事例は?
コインチェック:国内屈指の暗号資産販売所を運営
#ブロックチェーン #暗号資産
#ビットコイン #NFT #販売所
■どんな事業内容?
コインチェックは、2014年8月に暗号資産取引サービス「Coincheck」を開始。暗号資産やブロックチェーンによって生まれる「新しい価値交換」、新しいテクノロジーによって実現される変革を、誰もが身近に感じられるように、より良いサービスを創出し続けています。
「Coincheck」では、暗号資産取引以外にも、以下のサービスを展開しています。
・Coincheckつみたて
月々定額でビットコインを自動積立してくれる。
・Coincheckでんき
電気代の支払いを現金払いかビットコイン払いのどちらか選べる。
・Coincheckガス
ガス代の支払いを現金払いかビットコイン払いのどちらか選べる。
・貸暗号資産サービス
ユーザーから暗号資産を一定期間預かり、期間満了後に利用料を追加して払戻す。
・Coincheck NFT
ユーザー同士でNFTと暗号資産の交換取引ができる。
・IEC(Intial Exchange Offering)
暗号資産を用いて企業がプロジェクト推進のために資金調達する。
■なぜ注目?
コインチェック以外にも、自社で販売所サービスなどのシステムを自社保有している企業はありますが、その中でもトップクラスの規模を誇ります。また、販売所である「Coincheck」で取扱っている暗号資産は2023年10月現在27種類、「Coincheckアプリ」は2021年上半期において暗号資産取引アプリのうち「国内No.1」を記録しました。アプリの使いやすいデザインにも定評があり、プロダクトの質の高さが大きな特徴といえるでしょう。
また、ブロックチェーン技術や暗号資産に精通しているメンバーが多く、高い技術力をもつエンジニアたちと研鑽し合って、成長スピードを早めることができます。
まとめ

政府が推進するWeb3.0によって取引コストを削減し、国境やプラットフォームを越えてあらゆる価値の共創・保存・交換が可能になれば、経済活性化にもつながります。また、Web3.0が描き出す社会は地域創生の促進や環境問題解決とも親和性があります。
その将来像の基盤をなすブロックチェーン技術に関わる仕事は、今後ますます社会的意義を感じさせてくれるでしょう。
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