外資系IT企業は、女性が活躍しやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。ダイバーシティ推進や支援制度が整う一方で、職種や部署によって働きやすさに差もあるのが実情です。本記事では、代表的な外資IT企業の女性支援の取り組みや社員のクチコミ、転職体験談を通して、外資ITで働く女性のメリット・デメリットを多角的に探ります。
外資ITで女性は働きやすい?
外資IT企業は、女性が働きやすい環境を整えるための制度や文化づくりに積極的に取り組んでいます。各社の基本方針や、実際に働く女性社員のクチコミからその実態を見ていきましょう。
女性のキャリアに対する外資IT各社の基本方針
多くの外資IT企業は、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)を重視し、女性の活躍を支援する具体的な方針を掲げています。
日本マイクロソフト
代表取締役社長の津坂美樹氏は公式サイトで以下のように発信しており、DEIが企業文化の基盤であることを強調しています。
“地球上のすべての個人と組織が、より多くのことを達成できるようにする” というマイクロソフトのミッションがあります。私たちはだれもが就業しやすい環境作りを強力に推進しており、女性活躍を促進するコミュニティ活動や、女性向けのスキリング支援など、社内にとどまらず広く社会に向けた活動を続けています
アマゾン ウェブ サービス(AWS)
3月の国際女性デー(IWD)月間には、グローバルシニアリーダーを招いたトークセッションや女性ディレクターによるパネルディスカッションなど、多様な社内イベントを開催しています。
セールスフォース・ジャパン
コアバリューのEquality(平等)に基づき、女性社員および女性管理職の比率を上げるための取り組みを推進しています。その一環として、2024年には営業部門の女性活躍支援グループ「SWAN (Salesforce Women’s AE Network)」を立ち上げました。
日本IBM
「cosmos」という女性技術者コミュニティを2005年から運営しており、日本IBM、キンドリルジャパン、レッドハットの3社をまたいで、技術分野やイノベーション分野における女性の活躍を支援しています。
「Women Will」という活動を通じて、女性のリーダーシップを推進するプログラムを提供するなど、女性を取り巻く環境改善に積極的に取り組んでいます。
クチコミで分かる外資ITで働く女性の本音
各社の方針が現場でどのように受け止められているのか、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミから見ていきましょう。制度面での働きやすさを評価する声が多い一方で、職種や部署による実態の違いも浮かび上がります。
日本IBM
多くのクチコミで育休・産休制度の整備や女性比率の高さを評価する声が見られます。「女性労働者、役職者が多い。育休利用社員も多い」、「女性の管理職比率が高く、自身の部門トップも女性パートナーであった」といったポジティブな意見がある一方、「制度は充実しているがクライアントワークでは適用が難しく、産休・育休明けの時短勤務には部門変更や上司の理解が必要」という声もあり、職種によっては制度の活用に課題があるようです。
制度の充実度と周囲の理解度、双方において高い評価を得ています。「育休・産休制度が非常に整っており周囲の理解も得やすい」、「育休・産休制度が整っており男性の取得も多い。シッター補助金もあり女性も働きやすい」など、ライフステージの変化に対応しやすい環境であることがうかがえます。
日本マイクロソフト
女性管理職の多さや、男女問わず利用できる育休制度が特徴です。「女性管理職は他の国の方が多いですが、日系企業と比べると圧倒的に女性が活躍&要職にもついている」、「性別問わず6ヶ月の育休が取得できる」といったクチコミがあり、女性がキャリアを築きやすい環境と言えるでしょう。
アマゾンジャパン
制度は整っているものの、働きやすさは部署や職種に大きく依存するようです。「男性の育休実績も多数」、「女性マネージャーが多く、育休/産休後の復帰も多いため働きやすい」という声がある一方で、物流企画・ロジスティクス職では「夜勤などがあり、子育てしながら働くには家族の協力が不可欠で、現状働きやすいとは言えない」といった意見もあり、特に現場業務では課題もあるようです。
セールスフォース・ジャパン
女性の働きやすさ推進に力を入れていることが評価されています。「女性の働きやすさ・制度はトップクラスに充実」という声がある一方で、「営業職はハードワークで女性には難しい」、「営業職での子育ては難しく、子育てを理由に異動する女性が多い」など、特に営業職におけるハードワークと子育ての両立の難しさを指摘する声が複数見られました。
外資IT各社の女性社員への支援制度・サポート体制
各社は、女性社員がキャリアを継続し、活躍できるよう具体的な支援制度を設けています。
日本マイクロソフト
育児や介護と仕事の両立をサポートする「育児・介護コンシェルジュ」があります。また、自身の疾病/負傷に加え、体調を崩した家族のケア、通院、予防接種等の付き添い、不妊治療のための通院に使える「傷病・ファミリーケア休暇」も付与されます。
アマゾンジャパン
社員の仕事とプライベートを調和させる「ワークライフ・ハーモニー」を重視し、育児休業制度が充実しています。家族を職場に招待する「ファミリーデー」などのイベントも開催しています。
セールスフォース・ジャパン
法定の育児休業制度の内容を大幅に上回る「グローバル育児休暇制度」を導入し、休業期間中基本給の100%、またはOTE(On-Target Earnings:目標達成率100%の場合の年収)の80%のいずれか高い方を支給します。
女性が外資系企業で働くメリット・デメリット
女性が外資IT企業で働くメリットとデメリットを整理します。
女性が外資系企業で働くメリット
実力本位の評価と高い報酬
多くの企業が成果主義を採用しており、性別に関係なく実力で評価されます。成果を出せば高い報酬を得られる可能性があります。
柔軟な働き方
リモートワークやフレックスタイム制度が浸透しており、ライフステージに合わせて働き方を調整しやすい環境です
充実した両立支援制度
育児・介護休業制度はもちろん、企業独自のユニークなサポート制度が整っており、周囲の理解も得やすい傾向にあります。
多様なキャリアパス
社内公募制度などを活用し、職種変更やキャリアチェンジがしやすい環境です。
女性が外資系企業で働くデメリット
成果への高いプレッシャー
成果主義の裏返しとして、常に結果を出すことが求められます。特に営業職などでは目標が高く、ハードワークになりがちです。
職種・部署による環境差
特に顧客と直接対峙するフロント業務や、物理的な制約のある職種では、制度が活用しにくく、子育てとの両立が難しい場合があります。
自律性の要求
自らキャリアを考え、主体的に行動することが求められます。
レイオフのリスク
業績不振時にはレイオフ(人員削減)の対象となる可能性があります。これは個人のパフォーマンスだけでなく、グローバルの方針によって左右されることもあります。
女性が外資IT企業へ転職する際のポイント
実際に外資IT企業へ転職した女性は、どのような動機や軸でキャリアチェンジを成功させたのでしょうか。
女性が外資IT企業へ転職した事例
ワンキャリア転職に寄せられた転職体験談から、3つの事例を紹介します。
【事例1】日本IBM → アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)
- 転職者:社会人5〜10年目、法人営業
- 転職理由:在籍していた企業の営業方針が大きく変更になり、これまで行っており自分がやりたいと思っていたお客様と直接面する営業活動ができなくなると感じたため
- 重視したポイント:子どもがいるような状況でも働きやすいかは最も重視していた。周りに実際に子育てを行なっているメンバーがいるか、男性でも送り迎えなどの調整を行なっているメンバーがいるかは自分の働き方の具体的イメージにつながった」
- 転職者:女性、5〜10年目、法人営業
- 転職理由:前職の環境に慣れてきたため、新しい環境で視野を広げてチャレンジしたくなった。なかなかプロモーションが出来ない環境だったり、チームメンバーの相次ぐ退職なども重なり、上司への不信感も要因となった
- 重視したポイント:前職より年収を上げること。自分のスキルを活かしつつ、新しいことも学べる環境。ワークライフバランスを重視していること
まとめ|自分に合う企業文化でこそ、外資ITのキャリアは花開く
外資IT企業は、女性の活躍を推進するための制度や文化づくりに力を入れており、キャリアアップとライフイベントの両立を目指す女性にとって多くのチャンスがあると言えるでしょう。
しかし、その働きやすさの実態は企業や職種、部署によって大きく異なります。高い成果が求められる厳しい側面もあり、誰もが成功できるわけではありません。
外資IT企業への転職を成功させるためには、求人票の情報だけでなく、社員のクチコミなどを通じてリアルな情報を多角的に収集し、企業のカルチャーや評価制度が自身の価値観やキャリアプランに合っているかを慎重に見極めることが不可欠です。
自分に本当に合う企業文化を見つけ、そこで働くことでこそ、外資ITでのキャリアは真に花開くと言えるでしょう。
外資IT企業への転職に関してさらに詳しく知りたい方は、ワンキャリア転職の「外資IT転職:完全攻略ロードマップ」シリーズもぜひご覧ください。
ワンキャリア転職のご紹介
ワンキャリア転職は「次のキャリアが見える」転職支援サービスです。これまで可視化されていなかったキャリアに関するクチコミデータが25,000件以上掲載されています。
どの企業からどの企業へ転職したのかという転職体験談や、転職の面接で実際に聞かれた質問が分かる選考体験談、企業ごとの年収や福利厚生に関するクチコミなど、転職時の情報収集から面接対策までワンキャリア転職だけで行うことができます。








