コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。
そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
・いつファームを去るべきか
・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
・年収の増減をどう捉えるか
本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。
- 実録:アクセンチュアからHRプラットフォームでの起業へ——安定を捨て、キャリアの可能性を最大化するために。
- なぜコンサルを選んだのか?——感覚的に志向性に合うと感じた場所をファーストキャリアに
- 「このまま20代を消費していいのか?」仕事に熱中するほど、違和感が生まれた——コンサルの経験は確実に成長をもたらした。しかし…
- 「転職では根本的な課題は解決しない」——独立への決断
- 「年収は一時的に下がったが、幸福度は上がった」——収入よりも時間を選んだ理由
- 「意思決定の軸を持てないなら、転職は待て」——環境を変える前に、自分を変えよ
- コンサルからのキャリアについて、プロに相談する。
- ONE CAREER PLUSの紹介
実録:アクセンチュアからHRプラットフォームでの起業へ——安定を捨て、キャリアの可能性を最大化するために。
新卒でアクセンチュアに入社し、わずか1年半で独立。
現在、株式会社Uniboostの代表として、ビジョン採用という新しいコンセプトの採用プラットフォーム事業を展開する岡本氏。
多くのコンサルタントが「ポストコンサルのキャリア」を模索する中、彼女はなぜ安定したキャリアを捨て、リスクの大きい起業を選んだのでしょうか?また、その過程で得た気づきとは何だったのでしょう?
単なる成功談ではなく、「キャリアの本質」を考えるヒントが詰まったインタビューとなりました。ぜひご覧ください。
なぜコンサルを選んだのか?——感覚的に志向性に合うと感じた場所をファーストキャリアに
実を言うと、最初から明確な軸を持ってコンサルを選んだわけではありません
岡本氏は、自身のキャリアの出発点を、こう振り返ります。
周りにいた学生も『とりあえずコンサル』みたいな選択をしている人が多かったですね。
私自身も『コンサルは相手の課題やニーズを満たすための営業提案的な動きが求められること』『実力で評価される外資系が自身の志向性と合うこと』が理由でアクセンチュアを選びました
他方で、就職活動を終了した大学4年時に受講した「アントレプレナーシップ講義」をきっかけに、起業家に関わる機会が増え、スタートアップに興味を持つようになります。
実際に在学中に事業を立ち上げ、就活中は選択肢になかった起業家としてのキャリアが現実味を帯びます。
「このまま20代を消費していいのか?」仕事に熱中するほど、違和感が生まれた——コンサルの経験は確実に成長をもたらした。しかし…
岡本氏は、新卒で入社したアクセンチュアで4つのプロジェクトを経験しました。
最初に携わったのは、製造業のサプライチェーンシステム導入の案件です。
「大規模なプロジェクトで面白そうだ」と期待していましたが、実際の業務は自分の関心とは大きくかけ離れていました。
ERPの導入支援をするプロジェクトでした。クライアントの業務プロセスをヒアリングし、それをシステムに落とし込む作業です。でも、私にとっては『機械的なシステム導入』にしか見えず、もっと『人』に関わる仕事がしたいと思っていました
※ERP(Enterprise Resource Planning)…企業の経営資源を管理して業務を効率化・統合するシステム。日本語では「統合基幹業務システム」や「基幹システム」とも呼ばれます。
そこで、岡本氏は異動を希望しました。通常、新卒のトランスファー(部署異動)は半年以上経たないと認められませんが、彼女は4カ月で実務上の異動を実現します。
より自分のキャリアビジョンに沿った成長を実現するために、会社のHPの支援事例を隅から隅まで見ました。自分の志向性と一番近いプロジェクトの責任者に直談判したところ、熱意が認められ幸運にも異動を受け入れてもらえました。
異動後は、大学をクライアントにした学生向けアプリ導入プロジェクトに携わることに。
ここでは、学生のニーズをワークショップ形式で深掘りし、大学生向けのサービス設計を行う仕事でした。
学生たちの課題をヒアリングして、その解決策を提案するプロセスは、自分にとって面白かったですね。もともと興味を持っていたキャリア教育の領域にも関わる仕事だと感じられて、やりがいも芽生え始めました。
「転職では根本的な課題は解決しない」——独立への決断
そんな中で岡本氏がアクセンチュアを辞める決断をした背景には、単なる環境の変化ではなく、「自分がやるべきこと」への明確なビジョンがありました。
アクセンチュアでは教育やキャリアに関わる案件に関与できたものの、社会に対して自身一人が与えられるインパクトはまだ最大化の余地があると感じていました。
自らゼロイチを創出して、社会に直接爆発的なインパクトを与えられるような仕事をしたい、という思いを持ったと言います。
「このままここにいても、自分が社会に与えるインパクトの範囲は狭い」という考えが強まったのは、アクセンチュアの中で可能な限り希望するプロジェクトに関わり、充実感を得た後でした。
順風満帆に思えるコンサルキャリアの中で、それでも違和感が拭えなかったのは、結局のところ「自分がコントロールできる範囲」が限られていることに気づいたからです。
岡本氏は、アクセンチュア在職中に並行して副業を行い、自らのビジョンを形にする準備を進めていました。そして、それが一定の具体性を持ち、「この事業にフルコミットすれば勝算がある」と確信できる段階に到達したことで、独立の決断を下します。
「転職でも独立でも、それ自体は手段のひとつに過ぎない。本当にやりたいことがあるなら、どこかに移るのではなく、それを実現することにリソースを全振りすべきだと考えた」と岡本氏は語ります。安定を捨てて独立することへのリスクも当然あったが、それ以上に「20代の時間は思った以上にあっという間に過ぎてしまう」という危機感が勝ったとも。
岡本氏にとって、転職は問題の解決策ではありませんでした。環境を変えることではなく、自らの手で理想の環境を創り出すこと。——それこそが、自分にとって最も合理的な選択だったのです。
▼アクセンチュアから社会人歴3年未満で転職した実例▼
「年収は一時的に下がったが、幸福度は上がった」——収入よりも時間を選んだ理由
独立を決意した岡本氏にとって、収入の変化は避けられない問題でした。アクセンチュア時代は、新卒1年目で年収450万円程度。決して、破格ではなかったが、安定的なキャッシュフローが確保されている状態でした。しかし、当然ながら独立後は固定収入がなくなり、個人としてのキャッシュインをどう確保するかが課題となりました。
「独立したからといって、すぐに事業が軌道に乗るわけではない。最初の数ヶ月間は生活費をどう工面するかを考えないといけなかった」と岡本氏は振り返ります。彼女は独立後しばらくの間、副業として企業のプロジェクトに業務委託で関わることで収入を補いました。時給約1万円という好条件の仕事を確保し、最低限の生活資金を維持しつつ、事業の立ち上げに専念できる環境を整えたのです。
たしかに、年収ベースで見ると一時的には下がりました。でも、自分の時間を自分の意思で使える自由が手に入りました。これはアクセンチュア時代には得られなかったものです
会社に属していると、給与は保証される代わりに、時間の使い方は制約されます。でも、独立するとすべての時間を自分のために使える。もちろん、結果が伴わなければ意味はないが、時間を失うことへのストレスがなくなったのは大きい。幸福度は確実に上がったと感じます。
年収の一時的な低下は、彼女にとって大きな問題ではありませんでした。それよりも「事業を成長させるための時間が納得いくまで確保できるか」が重要だったのです。
「意思決定の軸を持てないなら、転職は待て」——環境を変える前に、自分を変えよ
「今の環境が合わないから転職する——それだけで意思決定をするのは危険。」岡本氏は、コンサルからの転職を考える人たちに対して、こう警鐘を鳴らします。
コンサル業界では、「次のキャリア」を漠然と考える人が多いのも確かです。しかし、その多くは「何がやりたいのか」が明確にならないまま、現状への不満だけを理由に転職を決めてしまうケースが少なくない。岡本氏は「それでは根本的な課題は解決しない」と断言します。
結局、転職した先でも同じ悩みに直面する可能性が高いのではないでしょうか。なぜなら、今の環境のせいで自分が満たされないと考えている時点で、問題の本質を見誤っているからです。
では、どうすればいいのか?
岡本氏は「自分で模索することが必要」と語ります。
まずは、コンサルの仕事だけをしている状況から脱する方法を探すべきです。たとえば、副業でもいいし、社内で新しいプロジェクトに関わるのでもいい。とにかく、自分が本当にやりたいことや、興味のある領域を試してみることが大事です。結局、答えは自分の中にしかないので、それを模索することに全力を尽くしてほしいと思います。
岡本氏自身も、アクセンチュア時代に「自分が目指すキャリアにより近づきたい」と考え、副業を始めました。そして、それが「自分が本当にやるべきこと」を見極めるきっかけとなり、最終的な独立につながりました。
転職というのは、あくまで手段でしかない。本当に必要なのは『何をしたいのか』『どんなキャリアを築きたいのか』を自分自身で言語化すること。そこが曖昧なまま環境を変えても、また同じ問題に直面するだけなのではないでしょうか。
まずは、自分の意思決定の軸を持つこと。そのために、今の仕事をしながらでも新しい挑戦を試みること。それが、転職をするかどうかの判断をする前に、まずやるべきことなのかもしれません。
「コンサルで働いていても、自分のビジョンを明確に持っていない人もいます。だからビジョンがないこと自体を悪く考える必要はありません。これから探せばいいんです。」と明るく語る岡本氏。ビジョンドリブンな社会の実現に邁進する、岡本氏の挑戦をONE CAREER PLUS一同、応援しています。
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