ONE CAREER PLUSが送る特集「データでみる、第二新卒の転職実態」。
第2弾は、気になる年収について取り上げます。「今後の年収はどうなる?」と、本音では不安に思っている方も多いでしょう。年収がキャリア選択の基準になるのは当然のこと。今回は第二新卒の転職における年収にフォーカスし、ONE CAREER PLUSに集まった「3年未満の転職体験談」からリアルに迫ります。
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第二新卒の35%が年収アップ
ONE CAREER PLUSに集まった若手・第二新卒の転職1,100件超の転職データから、「若手・第二新卒の35%の転職者が年収アップを実現している」という実態が見えてきた。
アンケート回答者による自己申告のため、昇給傾向になりがちなのは否めないものの、「年収に変動なし」の43%も含めると、比較的リアルな肌感覚ではないだろうか。
しかし、決してこれを鵜呑みにしてはいけない。「現実的な年収アップにつながるルートは?」「転職前後の年収は?」などのいくつかの観点を踏まえたうえで、「第二新卒における現実的な選択肢」を把握することが重要だ。
前職400万円未満の44%が年収アップ
そもそも年収が上がるかどうかは、前職の年収に大きく影響を受ける。転職データをもとに前職の年収帯別に見ると、年収が上がったのは、年収400万円未満の44%、400〜500万円代の30%、600万円以上の17%だった。
では、年収アップを実現するにはどうしたらいいのか。そのためには、業界選びが重要になる。
前職の年収×業界別の昇給パターン
ONE CAREER PLUSの転職先のデータを見ると、昇給が目立った業界は、コンサルティング、金融、IT、消費財メーカーだ。
そして、転職前の年収次第で外資系企業や高年収業界(コンサルティング、金融、消費財メーカー)でのベースアップ、M&A仲介業界や生命保険業界におけるインセンティブでの年収アップ、人材系業界など無形商材×法人営業でのキャリアによる年収アップが見受けられた。
前職が年収400万円以上の転職者だと、コンサルティング、金融、消費財メーカーなどの割合が際立っている。金融においては、給与水準が高い外資系業界か、M&A仲介や生命保険業界など高いインセンティブが得られる業界への転職で昇給するケースが多かったのが特徴だ。
メーカーは薄給のイメージがある方もいるかもしれないが、ONE CAREER PLUSのデータには外資系消費財メーカーや、キーエンス、ファーストリテイリングなど、高年収で知られる企業が入っていた。
前職が年収400万円未満は、コンサルティングや金融などに加えて、ITや人材・教育といった業界が、年収がアップした企業に含まれていた。
また、ITや人材・教育業界で多く見られたのが、無形商材×法人営業の組み合わせだ。一般的に無形商材を扱う会社は原価率が低く、商材を販売する「人」が肝になるビジネスのため、人件費に投資する傾向がある。そして無形商材を法人向けに販売するには、高い営業スキルが必要だ。つまり無形商材の法人営業ができれば、汎用的なスキルが身に付き、年収のベースアップにつながると考えられる。
転職前後の年収をマッピングすると、以下の5パターンに分けることができた。
ここまでのデータから分かることは3つだ。
1つ目は、当然ではあるが、高年収の場合はさらに年収を上げることができる割合は少ない。未経験での転職ならなおさらだ。平均的な年収の業界への転職でも、未経験なので額を下げざるを得ない。
2つ目が、未経験の転職でも年収が上がる可能性があるということ。これはDパターンで、未経験でも年収水準が高い業界なら年収アップの可能性もある。
3つ目が、Eパターンのように、前職の業界の年収水準が低くても、経験を積んでスキルを活かし、高年収水準の業界に転職できれば、大幅な年収アップが見込める。
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年収を上げるなら選ぶべき4つの業界
それではここから、転職で年収が上がるケースを具体的に解説していきたい。
外資系IT業界、コンサルティング業界、インセンティブが大きい業界(M&A仲介・保険など)、メガベンチャー、高給与水準のスタートアップ、高年収の日系大手への業界チェンジを伴う転職と6つの業界ごとに、「(a)なぜ年収が高いケースがあるのか?」「(b)どんな人に向いているか」「(c)年収事例」を見ていく。
・①外資系IT
(a)なぜ年収が高いケースがあるのか?
外資系IT業界への転職は営業職が大半で、年収は給与とインセンティブで構成されている。高い目標設定で、達成率に応じてインセンティブの額が大きく変動するため、人によっては同じ企業でも倍以上の年収差があることも。販売するプロダクトが全世界共通のため原価率が低く、その分人材へ投資されるのもポイントだ。一人あたりの売り上げ目標も高く、粗利率の高い商材のため、高い給与水準が設定できる。
(b)どんな人に向いているか
自社プロダクトへの要望を出しても本社の開発チームまでの距離が遠く意見が反映されにくく、営業職から他職種へのキャリアチェンジも難しいといった事実を理解して入社すべきだ。また、インセンティブが非常に高く、企業によっては譲渡制限付株式による報酬も見込めることから、強いプレッシャーの中でも成果を出せる人は、年収を上げることができるだろう。
(c)給与イメージ
IT・通信
グーグル(Google)
IT・通信
セールスフォース・ドットコム
IT・通信
セールスフォース・ドットコム
・②コンサルティング業界
(a)なぜ年収が高いケースがあるのか?
コンサルティング業界は、経営における複雑な課題に取り組むため、一つひとつの案件が高単価であるのが特徴だ。
一方で、売り上げ単価に対して、コストはコンサルタントの人件費がほとんどで、原材料費や開発費、広告宣伝費などはほぼ発生しない。つまり、高単価で粗利率が極めて高いため、高い年収が期待できる。
(b)どのような人に向いているのか
案件の単価が高く、クライアントの期待値も大きいため、社内外からハイパフォーマンスが求められる。裏を返すと、成果主義で社内で評価されない状況が続くとアサインされなくなり、社内失業のような状態になることも。
また、職位がアナリスト〜コンサルタントのうちはクライアントの支援活動がメインだが、マネージャーレイヤーになると案件を獲得する営業的な役割が求められる。それまでと違うスキルが求められるので、長くコンサル業界で働きたいと考えている方は、この変化も理解しておく必要がある。
(c)給与イメージ
コンサル・シンクタンク
ボストン コンサルティング グループ
年収・給与
- 待遇面の満足度
- 4.0
- 年収(額面)
- 650万円
- 給与制度の特徴と納得度
- 賞与は12月の年1回。額は会社の業績と個人の評価で決定される。...もっと見る
- 評価制度の特徴と納得度
- プロジェクトの終了後に、メンバー⇔マネージャーが双方向に評価。...もっと見る
コンサル・シンクタンク
ベイカレント・コンサルティング
年収・給与
- 待遇面の満足度
- 4.0
- 年収(額面)
- 750万円
- 給与制度の特徴と納得度
- 未経験での転職の際にも、前職の年収を加味してくれた。要望も聞いてくれる。...もっと見る
- 評価制度の特徴と納得度
- 評価の仕組みが可視化、統一されており定量的な判断基準で納得度は高い。...もっと見る
コンサル・シンクタンク
アクセンチュア
・③インセンティブが大きい業界(M&A仲介・保険など)
(a)なぜ年収が高いケースがあるのか?
M&A業界は、1人のM&A仲介アドバイザリーがM&A仲介の売り企業と買い企業の仲立ちをし、双方から手数料を受け取るのが基本構造だ。一案件の契約が成立したときの手数料は案件の規模によるが、大体1,000万円以上が基本。そのため、高額なインセンティブを得ることが可能となっている。また歩合制を採用している保険会社では、フルコミッションの契約形態を取ることで、成果を出せば高いインセンティブが得られることもある。
(b)どんな人に向いているのか
インセンティブが多い業界は基本給が低い。特にフルコミッションだと入社当初は最低限の給与が保証されても、一定期間後に成果が出せなければ給与が0円になることもある。成果を出せず生活が成り立たなくなり、やむを得ず退職するケースも多い。成果主義の環境下に慣れているか、成果を残せなかった場合のリスクヘッジできるかどうかを、自身のこれまでの業務環境や経験、生活スタイルからしっかりと確認したうえで入社すべきだろう。
(c)給与イメージ
コンサル・シンクタンク
日本M&Aセンター
金融
プルデンシャル生命保険
・④上場スタートアップ
(a)なぜ年収が高いケースがあるのか?
業務の難易度や求める人材レベルが高く、条件に当てはまる人材には高い報酬を支払っている。特にSaaSビジネスは事業の強みが「人」の場合も多いので、高い報酬を設定して営業や開発人材の確保を行っている。
(b)どんな人に向いているのか
業績に直結するポジションや、経営目線の複雑な業務のポジションは報酬設定が高い。そのため年功序列が残る企業でそのような業務を行っている場合、転職で年収が上がる可能性もある。一方、人件費を捻出するには継続的な事業の成長や高い粗利率が必須となるため、事業の先行きが不透明だと人件費への投資を控える可能性もある。
(c)給与イメージ
IT・通信
エムスリー
IT・通信
株式会社ディー・エヌ・エー
年収・給与
- 待遇面の満足度
- 4.0
- 年収(額面)
- 710万円
- 給与制度の特徴と納得度
- ・年齢にしては良いほうだと思っていたので納得度は高めだった ...もっと見る
- 評価制度の特徴と納得度
- ・言い出したらきりがないのであまり感がないようにしていた ...もっと見る
IT・通信
freee
給与ダウンした人は何を求めたか?
ここまで年収がアップした人の例を深掘りしてきたが、反対に年収が下がった人もいる。彼らはなぜ、年収ダウンを受け入れたのか。そのリアルな声を聞いていこう。
・コンサルファームからの転職
日本の◯◯業界における先端的な課題にアプローチできる可能性があること、年次に関係なく裁量権を持って仕事ができること、経営的な視点を持って働く機会を与えてもらえること、の3点を軸に転職活動を行っていた。
・広告代理店からの転職
自身のやりたいことと職務に乖離があり、それを解消するには環境を変えるほかないと感じたため。もともと企画職での入社を想定していた中で、新卒での配属は進行管理を行うプロデューサーの立ち位置。人に恵まれた会社の中で、そのギャップを見ないふりして過ごすうちに、やはり業務内容への違和感が強まり、看過できなくなったタイミングで大学時代の知人から声がかかった。
・総合商社からの転職
マーケティングの分野に興味があり、その分野でのスキルが身に付くポジションへ転職がしたかった。また、企業自体の成長性もあり、今後に期待できる事業を展開している企業であることを条件として見ていた。
ポイントは、転職時に年収を最重要と捉えていなかったことだ。自分の市場価値を受け止め、一旦年収が下がるリスクを取っても「投資」の観点から、第二新卒での転職先を決定したケースが多く見られた。
納得できるキャリアを実現するために
社会人経験が浅い時点でのキャリア選択は不安が大きく、年収をキャリアの軸にするのは理にかなっているとはいえ、後で後悔する選択は誰もがしたくはないはずだ。若いうちからの年収の追求は、中長期的なキャリア戦略を練ったうえで、その選択(転職)に納得できるかどうかが大きなポイントだろう。
自分の価値観の明確化し、優先事項をクリアにすることでキャリアの明暗は分かれる。そのうえでの重要な観点は、「価値観」「キャリア戦略との紐付け」「自身のマーケットバリューの正しい解釈」だ。これらを意識し、自身が納得できるキャリアを切り開いてほしい。
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