記事画像

【新トップ就任】ジャフコ三好×北野:スタートアップキャリアとお金の極意



トップベンチャーキャピタリストから見た「スタートアップキャリアとお金の極意」とは。


特集「スタートアップ転職と報酬」。



次のキャリアが見える、転職サイト「ONE CAREER PLUS」がお届けする本特集#4。



ジャフコ グループの新社長である三好啓介氏をゲストに迎える。



三好氏といえば、21年のIPOを通じた利益額がトップ※とも言われる、あのジャフコの新社長に就任された方です。25年以上ベンチャー投資に向き合い続け、トップVCの代表に就任した、いわば「真のトップベンチャーキャピタリスト」の1人とも言えます。


対する聞き手は、20万部以上のベストセラー「転職の思考法」の著者であり、ワンキャリア取締役の北野唯我。


2022年に入り、金融市場は揺れ、上場ベンチャーの市場からの評価は厳しい局面に差し掛かり、上場延期となったスタートアップも数知れず。先行きが不透明な側面もある中、「スタートアップ転職と報酬、キャリア」に対してどんな思考法で挑むべきか。


トップキャピタリスト×キャリアの専門家の白熱する対談は、90分に渡った。


前半はこれまでのスタートアップ市場自体の変遷とこれからの話を、後半はこれからのスタートアップ転職や報酬に対する思考法にまで及んだ二人の激論を余すところなくお届けします。


※出典:日経産業新聞『21年のIPO利益額ランキング、「大物狙い」ジャフコ首位


目次



【前編】 国内スタートアップ市場の変遷


まずは、スタートアップ・ベンチャー市場のこれまでの変遷とこれからを、三好氏に伺った。


4度目のブームで見えた「人の価値観の変化」


三好啓介(みよし けいすけ):ジャフコ グループ株式会社取締役社長

日本合同ファイナンス(現ジャフコ グループ)に入社以降、25年を超えるキャピタリスト経験を有する。2013年以降は国内VC部門の担当役員としてジャフコのVC部門の投資全体に関わり、シンプロジェン、マイクロ波化学を始めとする大学発ベンチャーにも積極的に関与してきた。2022年4月1日より現職。



北野:今スタートアップを取り巻く状況として資金調達額の推移を見てみると、マクロでは前年対比で過去10年ほぼ右肩上がりを示しています。


出典:株式会社ユーザベース「2021年 Japan Startup Finance ~国内スタートアップ資金調達動向決定版~



北野:一説には「これまで日本に3回のベンチャーブームがあった」とされ、今回は遂に大きな変化の局面になる「本物」の4回目が起きつつあると言われています。三好さんの実感として、「第4次ベンチャーブーム」について率直にどう思われますか?


三好:率直に日本のスタートアップを見ていたなかで、ようやくここまできたな、と。



北野:確かに、25年以上ベンチャー投資に向き合い続けてきた三好さんからすると、ようやく、ですよね。今回のブームを後押ししてる背景は、投資金額の増加以外にどんな背景があるのでしょうか。


三好:決定的な変化を強烈に感じるのは「人の価値観の変化」です。


日本で長く信じられていたビジネスの成功モデルは、優秀とされる人たちが優良企業に入社し、積み重ねて成果を出し続けていく終身雇用制度でした。


ただ、2008年のリーマンショックをはじめ経済が低迷し色々な変化を経て、2012、13年あたりから様々なタイプの起業家が生まれ、急成長する人たちも出現し始めた。さらにそれを見たり関わった人達が、「自分もやってみよう」「関わってみたい」と、スタートアップに足を踏み出すことをリスクと感じなくなるなど波及していった。



まさに「人の価値観がどんどん変化した」ことが非常に大きい。


日本企業にとって大小あれども採用は共通の課題だった。この何年間かで価値観が変わってきて、急激に変わったのは、その会社で相応の資金を持った時に、魅力ある人材がどんどん集まり、ビジネスの成長を加速させる。この動きが、企業が短期間でいろんなものを実現することを可能にしました。



北野:整理すると、こんな現象が起きているということですね。



・資金調達の環境がよくなり、ベンチャーが資金を持てるようになった。

・そんな時代に、「人の価値観の変化」も加速した。

・その結果、「人の流動性」も加速しはじめた。



直近の日本経済新聞社の記事(※)でも話題になった、「大企業とスタートアップとの年収差が縮まった」という話。


これももちろんデータの偏りはありますが、年収1000万円の求人比率は大手を凌ぐ勢いという結果すら上がってきました。大手からスタートアップへの転職者数は2018年度から2021年上期の間に7倍に増え、かつてのスタートアップの「多忙で薄給」のイメージは払拭されつつある点も、「人の価値観の変化」を後押しする要因になっていますよね。


※出典:日本経済新聞社「大企業から新興へ転職者7倍 縮む年収差が追い風


多様化するスタートアップと経営者


北野:日本のVC業界の最先端を走ってきた三好さんが手がけられた投資先には錚々たる顔ぶれが並びますね。


三好:比較的、最近担当させていただいた投資先をあげていますが、大きく感じるのは「スタートアップのタイプの多様化」そして「経営者、経営陣が変化し続けていること」をまざまざと感じます。


参考:三好氏が担当された近年の投資先(一例)



LayerXの福島社長は東京大学の大学院在学中に同級生とグノシーを創業、上場を果たし、その後にまた新たにLayerXを立ち上げたシリアルアントレプレナー(連続起業家)というタイプです。令和トラベルの篠塚社長、障がい者雇用支援サービスを提供するJSHの野口社長も同様です。

一方、ZEALS(ジールス)の清水社長は学生時代の創業ですし、他、大学発ベンチャーと呼ばれる、研究者が中心となったスタートアップが生まれるなど、本当に様々なタイプが台頭してきています。


北野:ほとんどの人が資本市場のなかで働いているが、そもそもVCがこのスタートアップ市場に対して果たす役割は?


三好:大きく言うと、産業の新陳代謝を促す役割の一部を担っていると考えます。小さく言うと、起業家の方に出資して新しいチャレンジに関わりながら、一緒に事業を作り、成長の伴走をしていく。


スタートアップの狙い:すきまから王道へ


北野 唯我(きたの ゆいが):株式会社ワンキャリア 取締役/作家著述家

新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局勤務。米国・台湾留学後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、現在取締役として戦略・採用・広報部門を統括。2021年10月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場。作家としても活動し、30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、他に『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などで、著者累計40万部。



三好:かつてベンチャーやスタートアップが狙うものは、色々な産業の隙間を捉えるニッチビジネスが中心でしたが、それが今は全く違って、どの起業家も隙間なんて考えていない。


世の中の産業構造を根底から作り変えるようなスタートアップが出現している。スタートアップの概念が変わるのに伴い、雇用のあり方、採用のあり方、あらゆるものの作り変えが起きているのです。


北野:国内のスタートアップが狙うものも、すきまから王道へ変化している、ということですね。三好さんのお話から察するに、VCのスタートアップ投資、以下のように出資を決断される対象が変化しているということでしょうか?


【過去の投資対象】

小規模なTAM(実現可能な最大の市場規模)を狙う企業

【近年の投資対象】

スケールの大きいTAMを狙う企業

ひいては産業を再構築するような事業を展開するスタートアップ


三好:はい、まさにスケールの大きさにつながる投資を実現したいと思っています。日本人の価値観の変化の話と重なりますが、世の中の人が産業を再構築するようなチャレンジや実現ができると信じ始めたことは大きい。


変化の実現に懐疑的な人が多数派ならば起こりえないこと、合理的でないものが変えられる現象を、個人が実例を通じて価値観を変化させたように感じます。


揺れた資本市場と始まるゲームチェンジ



北野ここ最近のスタートアップの上場動向について、中長期的な目線からどのように解釈されているかお聞きしたいです。2021年後半までは国の量的緩和策も手伝って、株式市場やマザーズも盛り上がっていたのが第4四半期に突入すると、落ち込みがあったと思いますが。


三好:私は全く違和感を感じていない、というのが率直な感想です。株式市場において、上がったり下がったり、マーケットの調整は必然です。



ただ、今起きているのは「全く新しい世界を実現する」という大局の変化です。



この方向に進んでいっていることは間違いないと確信しています。日本のスタートアップの市場規模は米中よりはかなり小さいが、国として持っているものを比較すると、そこまで小さくもない。このギャップは急激な勢いで埋まると思います。人の価値観の変化が追い風になるのはもちろんですが、日本人の性質が果たす役割も大きいと考えます。


最近で言うと、新型コロナウイルスのワクチン接種が分かりやすい例です。


当初は動きの遅い印象でしたが、一度方向性が決まると一気に進むという国民性を象徴しています。日本は、大衆で概ねのコンセンサスが取れたときに物事が動くスピードが速いんです。

話をつなげると、これまで違和感があった部分を変えよう、サステイナブルに舵を取ろうというコンセンサスがとれたわけです。日本社会でこの条件が整ったときの変化率は凄まじい。非常に面白い局面を迎えていると思います。


北野:なるほど。本質的なゲームチェンジが起こる可能性がありますね。前提条件が整った上で、次に起きるイベントは何が考えられるでしょう?


三好:現在進行形で起きている事象で、まずは真の意味で海外から資金流入が増加すること。そして、大手企業からスタートアップへの人材流入がもう一段、二段加速していく。この2つが考えられます。




【後編】 スタートアップキャリアとお金の極意


───ここからは、特集テーマについて、北野が、ONE CAREER PLUSの調査データも交えながら、三好氏に見解を伺う。


ここから先は会員限定の記事です
カンタン無料登録で、今すぐ続きを読もう
さらに・・・
6,000件以上の転職体験談(実例)が見放題
限定のイベント情報も配信
限定の記事コンテンツも読み放題
会員登録して続きを読むログインはこちら >

ワンキャリア転職編集部

私たちは、6万件超の独自キャリアデータと、日々成長企業・有名企業への転職支援を行う採用コンサルタントチームの現場知見を掛け合わせ、実態に即した情報を発信しています。 また、就活サイト「ワンキャリア」とのデータ連携も行っています。 膨大なデータと転職市場の動向を熟知するプロの視点を活用し、キャリアの意思決定を行うために必要な情報を、確かな根拠に基づきお届けします。

フェーズからキャリア面談を選ぶ

関連タグの人気記事

こちらの記事も読まれています

記事一覧のトップへ