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【入社後上がる、は本当か?】実態調査でわかった「昇給し続けるスタートアップ社員」の違いとは?

次のキャリアが見える、転職サイト「ONE CAREER PLUS」がお届けする、特集「スタートアップ転職と報酬」。




#5のテーマは、「スタートアップでも昇給し続ける人の共通点」だ。



本特集を通して、「スタートアップ転職を通じて、54%の方が年収アップを実現した」という独自調査のデータを繰り返しお伝えしてきた。


一方、スタートアップでの採用側の観点として、


・「年収の話を気にする時点で向いてない」というある種の極論

・「経験という報酬がある、最初の貢献度を考えると、短期の年収ダウンは覚悟すべき」という一理ある論調


などの見方が、根強くあることも事実だ。オファー年収がダウン提示された際の考え方については、#3にてお伝えしてきた。




とはいえ、ずっとダウンしたままで良い、なんてことは誰しもがないだろう。スタートアップへの挑戦において、報酬面のアップサイドをどう取りに行くか、は重要な問題だ。


そして「スタートアップでも、昇給し続ける人」がいることは確かだ。身近な成功者から学ぶべく、独自調査から見えた「昇給し続ける共通点や金言」に迫りたい。


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「V字回復は●●%」スタートアップ入社後の年収推移8パターン


独自調査では、年収の最終的なアップ/ダウンの変化だけではなく、その推移(いわば年収グラフ)まで細かく調査を行った


まずはこの表を見ていただきたい。




データを見ると、まず年収がダウンしたままの方でも、下がり続けた人合わせて3%だった。


その上で、入社後にフォーカスを当てた際に「真の年収アップには至らずのパターン」は、この3つで全体の61%を占めた。


・L字型 30%

・アップ→横スライド 17%

・変化なし 14%


「入社後上がります」という部分について、は議論があるべき数値といえる


しかしながら、後述する在籍期間などを考慮すると、まだまだ報酬のアップサイドを取るフェーズに至っていないだけ、という見方もできる。


一方、以下の「真の年収アップを実現したパターン」(合計 37%)においては、もちろんSOなどのリターンは別だが、入社後に報酬面でもアップサイドを実現しているといえる。


・V字回復 10%

・横スライド→アップ 17%

・うなぎ登り 10%


回答者もCXOなど役員クラスの転職サンプルは限られるため、一般的なスタートアップ入社後のデータと判断して差し支えない。



「〜2年で+350万も」真の年収アップの共通点とは?




では、このデータをどう解釈すれば良いか。対照的な2パターンの内情を整理しておきたい。



・パターンA(37%):真の年収アップを実現

・パターンB(61%):真の年収アップには至らず



まずは、「パターンA(37%):真の年収アップを実現」についてだ。


一口に昇給といっても、振れ幅は大きい。


スタートアップ入社後の年収推移に絞った独自調査のデータで見ると、昇給に成功した人のうち、最も多かったのは+50万円前後の層だ




驚くべきは、メンバークラスの方でも最大で見ると+350万円という回答も数名あったことだ


それも、1年未満で昇給しているケースや、2年程度で昇給しているケースなど、想定以上に短いスパンで昇給を実現されていた


大前提の話も含めて整理すると、昇給を実現した方々の共通点はこうだ。


【スタートアップでも昇給し続ける人の共通点】
1. 市場と事業が伸びている/好調
2. 企業の報酬方針がポジティブ(人事評価制度・報酬制度)
3. 入社後の早期活躍ができるフェーズ選択


当たり前の話も含むが、最後の転職の意思決定において、「人で」「直感で」と決めがちな方ほど、抜けるケースも多いため、参考にして欲しい。


1,2は大前提として重要になる点であることに加え、本特集全体を通じて触れてきた「3. 入社後の早期活躍ができるフェーズ選択」、この重要性も繰り返し伝えたい。


早期の昇給実現していた方は、フェーズ選択を、自身の経験や求める給与に応じて適切に判断されているケースがコメントの回答からも目立った。


具体的には、シード/アーリーフェーズでは、社内制度が構築されきっていないタイミングの方が昇給幅は大きいが、それゆえに減給幅もしかり。入社後に活躍する自信があって、手堅く昇給したいのであればレイターや上場フェーズが適している。


ミドルはその中間に位置すると言えるが、事業開発やマネジメント経験などの報酬はとりやすいため、金銭報酬以外の軸での魅力も含めて勘案する必要があるのはこれまでお伝えしてきた通りだ。




また、上場フェーズごとに、どんな企業が報酬に対して期待が持てるか?については、#2でも触れている。こちらも合わせて参照いただきたい。



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苦心した挑戦者、美談抜きの告白




次に「パターンB(61%):真の年収アップには至らず」について触れる。


まずこのパターンについて、必ずしもネガディブなのか?というとそうではない


誤解なきように触れておきたい点、それは時間軸の問題だ。


この46%のアンケート回答者の中には、(1)短期での退職済の方、(2)スタートアップ転職後1年未満のケース、なども見受けられた。特に、L字型(30%)の中でもスタートアップ転職で1年未満の方は、これから1〜2年かけて見ると、V字回復した、というケースも出てくるだろう。


その上で、年収アップに至らなかった方々、苦心した挑戦者の美談抜きのアドバイスを紹介する。



【先輩が退職に至った時にとてもモチベーションが下がった】


・メガベンチャー→HRTechのスタートアップ(前職退職比 ▲50万)

自身は転職当時、誰とやるか?というWhoばかりに目が行ってしまい、結果すごく尊敬してやまなかった先輩が退職に至った時にとてもモチベーションを下げてしまった経験がある。また、スタートアップは想定以上に日々地道で泥臭く、ビジョンという大方針に共感がないとそのハードシングスを乗り越えられないと感じる。


【会社としてその給料が払えるかが重要】


・メガベンチャー → スタートアップ(前職退職比 ▲150万)

転職時に高いオファーがもらえるかは、その人のスキルや経験だけではない。査定時に昇給ができるかどうかは、その人のアウトプットだけではない。どちらも、会社としてその給料が払えるかが重要。スタートアップの場合、成果を出しても昇給しないという事象はよく起きるが、それは評価体制や上司に文句を言っても仕方なく、会社として昇給させられる体力がないだけである。


【副業でリスクヘッジする】


・コンサル → ベンチャー(前職退職比 ▲100万)

副業ができる会社なのであれば必ずしも、その会社のみの収入ベースで考える必要はないと思います。そのため、スタートアップ・ベンチャーへの転職を考える際には「副業可能か」を見るのも1つです。複数収入の確保によるリスクヘッジもさることながら、副業実施によるスキルアップは自分のマーケットバリューに関わると考えております。収入を重視した転職を考えているのであれば、ターゲット企業における評価については、自身の報酬に関わるので確認したほうが良いかと思います。


【スタートアップは経験や仕事が報酬】


・大手IT企業 → フィンテック系スタートアップ(前職退職比 ▲100万)

自分の意志で決定すること。どの場所に行っても不満、ミスマッチ、想定外は起こるので、「自分で決めた」しか自分を支えるものがない。前提として、キャリアや希望なんて重視しているのは違和感がある。ベンチャーのキャリアは「結果論」。目の前のことをがむしゃらに取り組み、成果をだした後に身についているものだと思う。最初から用意されている or キャリアパスが無いからと不満を言うのであれば、別業界に行ったほうが良い。


やはり苦心された方のコメント全体を通じて、経験者だからこその「腹をくくって挑戦すべき」というトーンが目立った。


また、不足分を副業で補う、という考えは、他コメントでも多く見られた。


この傾向は、個人のキャリアについて、1社依存せず、投資ポートフォリオを管理するような、キャリアを投資として捉えている方が増えている現れでもあるだろう。副業を許可しているかどうかはスタートアップの中でも、会社によって色がある。


副業OKだとしても制約がある会社もあるため、制度活用の実態を含めしっかりと把握しておくことをおすすめしたい。



どれに共感?年収V字回復への「金言7選」




経験者から学ぶ上で、調査回答者の10%に当たる「年収V字回復を成し遂げた方」の声も紹介したい


彼・彼女らの共通の思考法・共通点から学ぶべきものを「金言7選」はこうだ。


① とにかく「最初」が大事

② ストックオプションに期待せず給与派もアリ

③ 常に「とはいえ」との戦い

④ 「現場or経営」ではなく「現場and経営」

⑤ 「前職はこう」おじさん/おばさんになるな

⑥ 自分から口にしないと損をする

⑦ 「仕組み化できる」が結局一番評価される


ここからは、具体的な声をお届けする。


【転職前】


① とにかく「最初」が大事

・20代後半/男性/大手鉄鋼メーカー → 上場スタートアップ

 →年収推移:前職退職比+150万

レイターフェーズ以降になると一部の企業を除き、給与は入社後になかなかアップしづらいため、入社前は言いにくくても給与交渉は納得いくまで行うべき


② ストックオプションに期待せず給与派もアリ

・40代/男性/大手監査法人 → 上場スタートアップ

 →年収推移:入社後比+300万

SOは上場して初めて価値があるものなので、それ目当てで入社して上場できなかった場合はその会社に所属する意義を感じられなくなる。SOだけではなく報酬目的でスタートアップに転職するのはリスクを伴うことは理解しておいた方がよい。


【入社後】


③ 常に「とはいえ」との戦い


・20代後半/男性/上場ベンチャー→ミドルのSaaSスタートアップ

 →年収推移:前職退職比+200万

①必要だと思うことは役職や職種に捉われずなんでもやること、②実行の優先度をつけ、インパクトの大きいものを取捨選択すること。この2つは一見矛盾するが、常に上記を意識しておくこと。どちらか一方を意識しても「とはいえ」のシーンはなんどもやってくるし、「とはいえ」を怠り惰性で進んでいると時間に対する生産性が低い。


④ 「現場or経営」ではなく「現場and経営」


・30代前半/男性/海外ベンチャー → アーリーのスタートアップ

 →年収推移:前職退職比+450万

新卒時はビジネス視点が低かったため経営者の考えを自身の軸とうまく比較できず、ある程度成果を出せるようになった1年後のタイミングで経営方針とのミスマッチを感じた。個人的にはキャリアの方針や軸に加えて、自身がCEOに対してどれだけオープンに建設的な議論ができるかどうかも非常に重要。人数が少ないほど会社や事業へ与える自分の影響力が大きいため、会社としてどうしていきたいのかという視点を持つ必要がよりある。自らの行動で変えうるものは責任を持つという気概も必須


⑤ 「前職はこう」おじさん/おばさんになるな


・20代後半/女性/大手IT企業→AIスタートアップ

 →年収推移:前職退職比+250万

自分の業務ではないことも快く引き受ける。小さい組織でこそ部門間コミュニケーションを怠らない。前職のノウハウは積極的に持ち寄るが、「前職はよかった」おじさん/おばさんになってはいけない。中途の集まりは異文化コミュニケーションと捉える。


⑥ 自分から口にしないと損をする


・20代後半/男性/旅行代理店→レイターのSaaSスタートアップ 

 → 年収推移:入社後比+200万

待っているだけでは自身の実力相応のことしかできないが、自ら手を挙げることで実力以上の挑戦をさせてくれる環境があり、それがスタートアップ企業の醍醐味で成長に繋がる絶好の機会と考えます。


⑦ 「仕組み化できる」が結局一番評価される


・20代/男性/大手通信 → レイターのSaaSスタートアップ

 → 年収推移:前職退職比+50万(▲150万からのV次回復)

成長フェーズな企業であるからこそ、成果を出せていることを前提として、主体的に成果・アウトプットを誰でも出せるよう仕組み化できる人間が一番評価され昇進しているように感じます。スタートアップだと人も少なく、毎日問題が起きるため自分で問題を解決し、ミスがあっても次に繋げるにはどうすれば良いかとポジティブに捉える必要があるため、成長フェーズの企業に入る際の必須な素養だと思います。



編集後記:年収へのスタンスをどう決めるべき?




ここまで、スタートアップ転職後の年収アップ/ダウンについて、経験者だからこその声とデータを踏まえて、整理してきた。


これからスタートアップ転職に挑む方へのまとめとして、「年収へのスタンス」をどうとるべきか?をお伝えしておきたい。


経験者の声をまとめると、重複はあれど3つのタイプに大別できた。


【タイプ1】

興味優先&年収ダウン振り切り許容タイプ

入社1~2年のスパンでV字回復する人も確かに存在するが、フェーズや会社の事業状況などによっては横ばいで上がらないこともままある。それでも納得できるか、金銭報酬以外の経験や身に付くスキルをどう捉えるか次第。未経験職種で挑戦する場合には、昇給の期待はしづらいことは頭に入れておくべきだ。


【タイプ2】

入社後半年の成果で昇給気流に乗るタイプ

興味で振り切ったパターンや、そうでないパターンでも、何事も自分から口にして(目に見える定量目標を設定して)、成果を出し、年収アップに繋げているのがこのタイプに多かった。


【タイプ3】

副業リスクヘッジタイプ

会社のフェーズや投資方針次第では、金銭的な報酬は期待できない。そもそもシードやアーリーのスタートアップにそんな余裕はないことをある意味ちゃんと理解して、副業でリスクヘッジする、ビジネスパーソンとしてスキルを磨いているタイプといえる。



ここまで特集を通じて、「スタートアップ転職と報酬」というテーマに経験者の声とデータでアプローチしてきた。


最後に伝えたいことは、「報酬とは、成果の対価に他ならない」という至極当たり前のことだ。


一般に市場価値が高いとされる経験を積み、成果をあげる実力を鍛えてきた方。


このような方が、報酬について論点になるのは、「更にアップサイドをどう取るか?」というケースに尽きる。このような方は、選択肢がたくさんある。


一方、企業の看板などを考慮せずに自身の実力を過大評価し、現職において実力以上の報酬をもらっている、実際よりも高い期待役割を担っているケースも目にする。このケースは、仮にスタートアップにご縁があったとしても、確実に入社後で苦労することになるので、その苦労を背負ってでも挑戦したいと思う何かがあるか、が大切だ。



自身の実力や成果を持ってして、報酬という対価をどう捉えるか?


市場や企業選び、その先での顧客への価値や事業成果を踏まえた、自身への評価。


これを冷静にメタ認知した上で、アップサイドをどう狙うか。



スタートアップ転職における「報酬」へのスタンスは、この冷静さ、客観視が重要になることは、忘れてはならない。



そして、「報酬」に関しては明確な正解もないのだ。どんなに激務であっても報酬が高いほうが良い方もいる。コスパを重視する方もいる。自分が重視するものを整理し、同じポイントを重視した方がどんなキャリアを歩んでいるのか、ぜひONE CAREER PLUS上の事例も参考に、自身の正解を見つけていただきたい。



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【編集:長谷川 嵩明】

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