ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第10回はエドテック(EdTech)です。今回は一次的なトレンドではなく、教育のあり方を根本から変える可能性のある「教育×テクノロジー」の領域にスポットライトを当てます。
エドテック(EdTech)とは?

「エドテック(EdTech)」とは、「教育(Education)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語であり、ICT、AI、ビッグデータなどのテクノロジーを活用した教育プラットフォーム、教材、学習管理ツールなどが含まれます。エドテックはインターネットを経由して提供されるため、場所や時間に左右されないこと、グローバル展開しやすいことなどが特徴です。
なぜエドテック(EdTech)が注目されているのか?
エドテックが注目されている背景には、エドテックが提供する教育が現在の社会情勢にマッチしていることが挙げられます。
例えば、文部科学省は2020年度から2022年度にかけて学習指導要領を改正しましたが、その中にはSTEM教育(実社会の課題解決に向けた教科横断的な学び)やプログラミングの必修化、英語教育の充実が掲げられています。また、1人1台の端末と安定したインターネット環境を整備して、ICTを取り入れた新しい教育を実現する「GIGAスクール構想」も政府によって進められています。いずれもエドテックが得意とする分野です。
今後の教育分野の課題として、地方ごとの教育格差の是正や、生徒一人ひとりに応じた多様な教育サービスの提供などがありますが、これらもエドテックが解決策を提示できると注目を集めているのです。
野村総合研究所によると、エドテックの市場規模は2023年には約3,000億円、2025年には3,200億円に達すると予測されています。また、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、エドテックの世界市場規模は2018年から2025年にかけておよそ2倍の伸び率を予測しています。
エドテックは、オンライン学習を余儀なくされたコロナ禍に成長しました。今後も大幅な伸びが期待できる背景には、通信環境が整備され、大容量の情報をオンラインでやりとりできるようになったことが挙げられます。ハード面での環境整備に加え、文部科学省や経済産業省が打ち出している教育方針と合致している点も大きく影響しています。
企業一覧&キャリアパターン解説

モノグサ:AIを活用し記憶定着をサポート
#エドテック #AI
#可視化 #プラットフォーム #リスキリング
■どんな事業内容?
モノグサ(Monoxer)は2016年に設立、「記憶のプラットフォーム『Monoxer』の開発と運営」を主な事業内容としています。Monoxerは、AIを活用した記憶定着の課題を解決するためのアプリです。全学年全教科対応で、適切な難易度の問題を自動作成し、記憶度と学習状況の可視化や学習計画の提案などでユーザーをサポートします。2023年2月時点で4,000校以上が導入し、ビジネス領域でもリスキリングに活用されています。
■なぜ注目?
モノグサの急成長の背景には、コロナ禍による教育のICT化が挙げられます。コロナという未曾有の体験を経て、多くの保護者は学校や塾の学びだけでなく、自学自習でいかに記憶を定着させるかを重要視するようになりました。その点、モノグサは単に記憶するためのコンテンツを提供しているだけでなく、「記憶のプラットフォーム」を追求しているユニークなビジネスとなっています。
■この企業への転職事例は?
ライフイズテック:デジタルを活用したイノベーション教育の提供
#エドテック #プログラミング
#イノベーション #リスキリング #DX人材
■どんな事業内容?
ライフイズテックは2010年に設立、「中高生向けIT・プログラミング教育キャンプ/スクール/イベントの企画・運営」「オンラインプログラミング・情報教育サービスの開発・運営」「自治体・学校・法人向け研修事業の企画・運営」を事業内容としています。
メインの事業内容は、中高生を対象にiPhoneアプリ、WEB、ゲーム開発などのプログラミングと、デザイン、メディアアート、ミュージック、アニメーションなどのデジタルアートという最新IT技術を学び、創造する力とつくる技術の両方を伸ばすことを目指します。
■なぜ注目?
中高生向けのプログラミング教育を軸としつつ、大学生や社会人を対象に次世代デジタル人材育成も支援し、これまで100万人以上にデジタルを活用したイノベーション教育を届けてきました。プロダクトの対象が中高生からビジネス領域、BtoCからBtoBへ広がり、急成長を遂げている今のフェーズは注目です。
また、全国800以上の自治体と取引があり、そのうち200近い市町村区が地域内でサービスを利用しています。日本全国に幅広いネットワークがあるため、新しいサービスをスタートする際もアプローチがしやすいのです。
■この企業への転職事例は?
ベネッセコーポレーション(Udemy):教育業界の巨人がエドテックを牽引
#進研ゼミ #通信教育
#エドテック #リカレント教育 #リスキリング
■どんな事業内容?
「一人ひとりの『よく生きる』の実現に向けて、生涯にわたって向上意欲と課題解決を支援し続けること」がベネッセグループの理念です。ベネッセグループの売上の50.8%は国内教育、32.2%が介護・保育、そして16.5%が幼児向けを中心とした「kids&Family」という3つの柱で事業を展開しています。
ベネッセは早くからEdTechにフォーカスしていました。2015年に世界有数のオンラインサービス企業「Udemy」が日本市場に本格参入した際、コンテンツ提供や利用者へのサポートを担当するなどし、2020年にはリカレント教育領域のサービス強化を背景に資本提携しています。
Udemyは2010年に設立された米国の企業で「Improve Lives Through Learning(学びを通して人生を豊かに)」を事業コンセプトに、世界190カ国以上で世界中の「教えたい人」と「学びたい人」をオンラインでつなぐプラットフォームを提供しています。
■なぜ注目?
ベネッセの最大の強みは、「進研ゼミ」200万人以上、「ミライシード」300万人以上という顧客データを保有していることです。これら膨大なデータを利活用し、デジタルと組み合わせることで、一人ひとりにパーソナライズされた学習サービスを提供できるのです。
ベネッセが資本提携したUdemyはジャンルを問わない65,000人以上の講師を有し、183,000以上のコースを展開しています。世界中に4,400万人以上の受講者がおり、世界最大規模のCtoCプラットフォームを提供している点で他社の追随を許しません。
これだけ強力なプラットフォームを持つUdemyと、1955年以来、日本で教育サービスを展開してきたベネッセが資本提携することで、受講者のニーズにマッチした、より幅広いサービスを提供できるようになります。
■この企業への転職事例は?
atama plus:大型資金調達を実施したエドテックスタートアップ
#エドテック #スタートアップ
#大型資金調達 #ユニコーン企業 #AI
■どんな事業内容?
2017年に設立、学習や予備校を対象にAIを使った学習教材「atama+(アタマプラス)」を開発、販売しています。導入教室数は2018年に100でしたが、2023年3月末には3,000を超えました。2021年7月、シリーズBラウンドで約51億円の資金調達を実施し、設立以降の累積調達額は約82億円になりました。
■なぜ注目?
atama plusの注目ポイントとして、創業からわずか4年の段階で、過去のメルカリやSansan、freeeのような国内ユニコーン企業と同じように未上場で海外機関投資家からの資金調達を成し遂げた点が挙げられます。
■この企業への転職事例は?
568 2661 2260 2077
Schoo(スクー):エドテックで社会人教育を支援
#エドテック #イノベーション
#リスキリング #地方創生 #社会人教育
■どんな事業内容?
2011年に「世の中から卒業をなくす」をミッションに設立、オンラインでの社会人教育からスタートしました。
Schooの事業は大きく4つに分けられます。「社会人教育事業」では、「未来に向けて、社会人が今学んでおくべきこと」をテーマに毎日生放送を提供。「高等教育機関DX」領域では、各種コンサルティングの提供を通し、新しい学び体験と高等教育機関の価値向上の実現を支援しています。さらに日本全国の自治体と協力し「地方創生・スマートシティ推進事業」を展開、「新規事業・イノベーション」の支援なども行っています。
■なぜ注目?
設立以来、急成長を遂げており、2022年には会員数は約78万人、導入法人数は約2,600社、さらに33の高等教育機関や27の自治体と連携しています。
■この企業への転職事例は?
リクルートマーケティングパートナーズ:小学生から社会人まで利用する「スタディサプリ」を提供
#エドテック #スタサプ
#コロナ禍 #オンライン予備校 #リスキリング
■どんな事業内容?
リクルートマーケティングパートナーズ(以下、RMP)は、リクルートホールディングスの子会社で、スタディサプリ(以下、スタサプ)は、RMPが運営しているオンライン予備校サービスです。
2012年に大学受験対策講座の配信からスタートし、現在では小中学生にも対象を広げ、国内の有料会員は157万人にもなります(2021年3月時点)。スタサプは個人だけを対象にした教育事業ではありません。学校向けにも展開しており、従来の一斉授業では難しかった各生徒に合わせたきめ細やかな補習や指導を可能にします。
近年では、TOEIC講座や基礎教養の学び直しに大学受験講座などが、企業のリスキリングにも活用されています。
スタサプを大きく飛躍させたのは、コロナウイルスによるオンライン授業の導入拡大でした。2015年にスタサプの講座数は100本程度でしたが、2020年には40,000本を超え、有料会員数は前年度比でほぼ倍になりました。
■なぜ注目?
個人向けサービスとしてスタートしたスタサプでしたが、コロナ禍をきっかけに学校単位、自治体単位での導入が広がっていきました。「世界の果てまで、最高の学びを届けよう」をコンセプトにしたスタサプの導入校やいまや2,900校に上り、全国の高校の約4割が使う「教育インフラ」にまで成長しました。
リクルートは、スタサプで目指す世界は単に子どもたちがテストで良い成績を取ることではなく、もっといろんなことに時間を使って生きる力を育ててほしいというものだといいます。特に最近強調されている生きる力、つまり「非認知能力」を高めるために、アントレパートナーシップ「高校生Ring」を立ち上げたり、あらゆる世代の学び、自己実現を支援しています。
■この企業への転職事例は?
アイデミー:これからのビジネスを支えるAI人材を育成
#エドテック #AI
#DX #プログラミング #Python
■どんな事業内容?
2014年設立、企業変革の基盤となるDX推進、AI/DX内製化を支援するプロダクトソリューションを展開しています。エドテックに関連した領域としては、法人向けのオンラインラーニングである「Aidemy PREMIUM」に加え、「Aidemy Practice」、「Aidemy Free」を提供し、企業のDX人材の育成をサポートします。「Aidemy」シリーズの累計受講者数はすでに20万人を突破しています(2022年12月時点)。
「Aidemy PREMIUM」は、AIの基礎から学べるPython特化型のプログラミングスクールで、「Aidemy Practice」は講師を派遣し研修を実施するインハウス型研修です。「Aidemy Free」は無料で利用できます。
エドテック領域に加えて、アイデミーは「Modeloy」によって企業のDXプロジェクトの内製化をサポートしています。社内DXの実現のためには人材育成に加えて、課題を選定した上で、システム構築・運用を行わなければなりません。アイデミーはDX人材やノウハウが不足している企業に伴走し、DX内製化を一気通貫で行います。
■なぜ注目?
企業のリスキリングの重要性が年々増していますが、その背景には2030年時点で14.5万
にもなると予測されているAI人材の不足があります。「2025年の崖」「2030年問題」という言葉で表されるような、日本社会が直面している危機を乗り越えるためには、DXの推進が不可欠ですが、アイデミーのプロダクトはそれに繋がるソリューションを提供していると言えるでしょう。
こうした課題解決のため、アイデミーは官民問わず、広く連携を広げています。例えば、2023年4月に経済産業省が公開した「行政と連携実績のあるスタートアップ100選」に選ばれましたし、2023年9月にはビジネスナレッジの定額制動画学習サービス「GLOBIS学び放題」を提供しているグロービスと連携を開始しました。
まとめ

国も教育現場や企業の人材育成の取り組みを積極的に進めており、それと呼応する形でEdTech関連の企業が果たす役割はますます大きくなると見込まれます。人を育てるという社会的意義の高い教育業界に関心のある方は是非参考にしてみてください。