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ついにマイクロソフトも週3日出社を義務化。止まらない出社回帰の波にどう向き合う?

マイクロソフトは9月9日、2026年2月から週3日の出社を義務化すると発表した。世界的なIT企業による出社回帰の動きは、コロナ禍の収束とともに加速しており、国内企業でも同様の動きが目立っている。


これまでリモートワークを推進してきたIT企業が、出社に舵を切る。違和感や戸惑いを覚える人も少なくないだろう。ただ、企業の発信やデータを見る限り、出社回帰の波はまだ続きそうだ。


果たして、この出社回帰の波に私たちはどう向き合うべきなのだろうか。ワンキャリア転職に寄せられたクチコミも参考に考えてみたい。





1. マイクロソフトが2026年2月から週3出社に


マイクロソフトが発表した週3日の出社義務は、2026年2月以降にシアトル地域のオフィスから50マイル(約80キロ)以内に住む従業員を対象に適用される。その後、米国全体に拡大し、世界的にも導入される予定だという。エイミー・コールマン最高人事責任者(CPO)は「最も意義あるブレークスルーは、互いのアイデアをその場で重ね合わせるときに生まれる」と説明している。


ワンキャリア転職に寄せられた日本マイクロソフトのクチコミを見ると、これまでリモートワークが浸透していたことが分かる。


チームによって文化は異なりますが、リモートワークはかなり積極的な会社です(法人営業/新卒入社/2023年12月回答


いつどこで働いても個人の裁量に任せられているので、とても自由に働けます(法人営業/新卒入社/2023年12月回答


基本ルールは自分のパフォーマンスが最大化される選択肢をとること。自分の場合100%リモートワークでコロナになってから一度もオフィスに出社していない(法人営業/新卒入社/2022年9月回答


週5出社が義務化されたアクセンチュアほどではないにせよ、リモート推奨から一転して出社前提の働き方になることは、多くの社員の働き方に影響を与えそうだ。



(参考)マイクロソフト、週3日出社を義務化へ-AI製品の開発で対面重視 - Bloomberg




2. 世界は「出社回帰」へと加速している


2-1. 主要IT企業の出社義務化が続々と


マイクロソフトに先駆けて、アマゾンは既に従業員に週5日の出社を義務づけている。ワンキャリア転職のクチコミでも「フルフレックスではあるが、毎日出社になったことはしっかり理解が必要。何時に出社してもよいが、出社しないことは基本的にあり得ない」という声が寄せられている。


グーグルやメタ、アップルもすでに週3出社に移行済みで、マイクロソフトの動きは外資ITの中では遅いとも言える。


国内企業でも出社回帰の動きは明確だ。ホンダ、任天堂、freee、GMOインターネットグループなども原則出社を採用している。LINEヤフーは2026年4月から週3日の出社を予定している。




2-2. 世界中の経営者の8割以上が「週5出社に戻る」と予測


KPMGが日本を含む11カ国の企業経営者1,300人以上に対して実施した「グローバルCEO調査2024」では、83%のCEOが3年以内に「週5日出社」に戻ると予測している。これは2023年の調査の64%から大幅に増加している。


さらに87%のCEOが、多く出社する従業員には、魅力的な業務や昇給、昇進で報いる可能性があると述べている。


経営陣の間では出社回帰の流れは当たり前のものとなっており、今後も週5出社に切り替わる企業は出てくる可能性がある。


(出典)「KPMGグローバルCEO調査2024」を発表





3. 転職体験談から読み解くリモート派・出社派の本音


では、企業が出社回帰へと動く中で、求職者はどのような対応をとるべきなのか。まずは、転職体験談からリモート派、出社派それぞれのコメントをピックアップする。


3-1. リモート派:出社回帰が進むほど際立つ切実さ


出社回帰を受けて転職するケースで多いのが育児や家庭の事情によるものだ。


第二子育休中、世の中がどんどんコロナ前のリズムに戻っていくなかで、在籍部署でもリモートワーク終了の動きがあったことで転職を検討しました。夫婦共働き・パートナーが出張に行きがちという環境で、自分が中心となって育児をしなければいけない家庭なので、リモートワークできる職場を希望していました(楽天グループ→クロススマート


フルリモートからオフィスへ戻る動きがあり、家庭の事情もありフルリモート環境下で働くことを譲れなかったために転職を決意しました(アマゾンジャパン→PayPay


子供の病気のため親が直接面倒を見る必要があり、フルリモートを許してくれる会社、かつ成果を出していれば時間に縛られない(早朝や深夜、すきま時間に働いてもOK)会社でないとキャリアアップし続けられないと思ったからです(ボストン コンサルティング グループ→メルカリ


実家の母が病気になってしまい、家族のサポートが必要になったが、リモートワークが認められてなかった(レイスグループ→セールスフォース


(※)出社・リモートについてのコメントは転職時の状況のため、現在は変更になっている可能性があります


上記のような人たちにとってリモートワークは「あるとうれしい」制度ではなく「なければ働けない」インフラのようなものだ。育児や看病、介護をしながら働く人は今後どうキャリアをつくっていくのか。出社回帰の流れの中で取り残された課題の1つだ。


3-2. 出社派:成長・やりがいを最大化させたい


一方で、リモートワークに限界を感じ、出社を求める声も存在する。


自分自身の成長速度を高めたいと思ったから。そのために働く環境をフルリモートからフル出社、一緒に働くメンバーが30代中盤から20代の環境に変えたいと思った(ニット→レバレジーズ


裁量権がありやりがいはあったが、フルリモートな点や人が少ない点からスキルアップが難しいと考えたため(Y4.com→Sansan


前職がコロナの影響で在宅勤務になり、モチベーションが上がらない日々が続いておりました(NTTコミュニケーションズ→メディカルフォース


前職はフルリモート・フルフレックスという働き方が上手く回っていましたが、自分自身のパフォーマンスを鑑みた時に出社も組み合わせた方が働きやすい/やりがいがあるタイプであるということに気付いた(Helpfeel(旧:Nota)→クラスター


(※)出社・リモートについてのコメントは転職時の状況のため、現在は変更になっている可能性があります


企業の方針が急にリモートから出社に切り替わったこともあり、出社反対の意見が目立ちやすいが、成長ややりがいの観点から歓迎する声があることも見逃せない。出社を「自分のキャリアへの投資」と捉えたとき、出社回帰の流れに乗らなかったときの損失も起こりうるのかもしれない。




4. 出社回帰へ進む世界で向き合う2つのキャリアの問い


出社回帰の流れが変わらない中で、私たちは2つの重要なキャリアの問いと向き合う必要がある。


4-1. 「働き方=キャリアの伸ばし方」をどう設計するのか


第一の問いは、働き方そのものをどうするかという点だ。出社回帰の流れに合わせて自分の働き方を変えるのか、それとも自分の働き方を変えなくて済む仕事に転職するのか。この選択は、単なる好みの問題を超えて、キャリア戦略の根幹に関わる判断となる。


プレイヤーとしての成長だけを考えれば全員がフル出社できる環境の方がよいかもしれない。一方で、リモートでなければ働けない人がいる組織を経験した方がマネジメント能力が伸ばすことができ、長期的な市場価値は高まるかもしれない。


出社とリモート、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で自身のキャリアにとってベストな選択は何か。今のフィット感だけでなく、長期的なキャリアプランも含めて判断した方がいいだろう。



4-2. 企業に依存しないキャリアをどう築くのか


第二の問いは、企業に依存しないキャリアをどう築くかという点だ。今回の出社回帰の流れが示しているのは、入社前に描いていたキャリア・ライフプランは企業の一存で崩れるということである。ワンキャリア転職に寄せられたクチコミでも、企業方針の突然の変更に戸惑う様子がうかがえる。


フルリモートで仕事ができると思っていた。日経新聞でも大々的に取り上げられるほどフルリモートで仕事ができることを謳っていたが、CEOの一存で出社回帰になってしまうような社内制度の方向転換ぶりには驚かされた(アクセンチュア/中途入社/ソフトウェアエンジニア


出社が推奨になったり、色々とルールが変わってしまう点は、入社前に知っておきたかったギャップ。ルールが決まった理由も特に詳しい説明はない(LINEヤフー/新卒入社/法人営業


この状況に対処するためには、「いつでも辞められる」という状態、つまり「他の会社にも転職できるが、最もベストな選択が今の会社」という状態を作ることが重要になる。自分のキャリアを自分でつくる力がより問われる時代に突入したといえる。





5. あなたの本音は?


出社回帰の波が押し寄せる中、働き方を取り巻く状況は企業、部署、個人の考えで大きく異なる。リモートワークの継続を望む声がある一方で、対面でのコラボレーションを重視する意見も存在する。


ワンキャリア転職では、このテーマに関して引き続き記事を発信していく予定だ。



ワンキャリア転職 編集部

吉川翔大

東京大学卒業後、新卒で中日新聞社に入社。長野、静岡、三重の3県で記者として働く。2019年にワンキャリア に入社。就活生向けの記事制作チームや広報を経て、ワンキャリア転職 編集部でコンテンツ制作を担当。京都市生まれ。

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