記事画像

ヒリヒリする仕事がしたい──アクセンチュアから医療系スタートアップ。そしてD2C起業へ|辞めコン実録集 vol.29

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。


・いつファームを去るべきか

・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか

・年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。





実録:安定を飛び出し、「自分で決める働き方」を見つけるまで


大手ファーム・アクセンチュアでの安定したキャリアを歩みながらも、心のどこかで燻っていた違和感。


「自分の仕事が社会とつながっていない感覚」を抱え働き続けた日々から一転、Kさんはベンチャー企業への転職、そして起業へとキャリアを切り拓いていきます。


その選択の裏側には、誰かに用意された道ではなく「自分の感覚」を信じる力がありました。






終電の毎日と「このままでいいのか」という違和感


アクセンチュアにエンジニアとして新卒で入社したKさん。


セールスフォースといったSaaS導入のスペシャリストチームに配属されました。人事アプリの導入プロジェクトに2年間従事した後、自ら新しい知見を広げるため、データベース部門への異動を志願。


データベース部門で過ごした2年半では、大手保険会社をクライアントに、社内データの構造整理やガバナンス整備、活用支援に従事。「Aさんの属性情報と興味関心が結びついていない」「部署ごとに持つデータがバラバラ」といった大企業ならではの課題を、粘り強く解いていく仕事でした。エンジニアからITコンサルに職務を変えながら、順調にキャリアを歩んでいきます。



一方で、成長の手応えを感じていたのは最初の1年くらい。2年目過ぎたあたりから、次第にモヤモヤが募っていったといいます。


仕事が生活と切り離されているような感覚がありました。大手企業の中の、さらにその一部の部署の、ほんの一部の業務に向き合う日々。仕事に意味がないとは思いませんでしたが、自分の仕事が社会や市井の人にどんな影響を与えているのかわからない。自分が社会とつながっている感じが持てなかったんです


コロナ禍によって転職を踏みとどまる時期もありましたが、「このままでいいのか」という違和感は消えることはなく、じわじわと転職への意志が固まっていきました。






学生時代の原体験が導いた、理想の働き方


Kさんの中には、明確に“肌に合う働き方”のイメージがありました。それは、大学時代にインターンとして飛び込んだフィリピン・マニラの不動産系スタートアップでの経験です。


日本人のお客様に対して、Airbnbとして活用する物件の紹介や、物件の保守運用の仕事でした。社長と現地スタッフ30人、そして日本人インターン5人がマニラで働く、というカオスな環境でした。『自分がやらないと仕事が止まる』という責任感と、ひりひりとした感覚が心地よくて。何でもやらなければならない、ビジネスサバイバルのような雰囲気が楽しかったんです


仕事と日常生活に明確な境界線を引くのではなく、公私を分けずに全身全霊を仕事にそそぐような感覚を取り戻したい。仕事の成果をもっと体感してみたい。そう思ったKさんは、エンジニアではなく、マーケティング、ブランディング領域の仕事を指向するようになります。


Kさんはアクセンチュアで働きながら、デザインやブランディングを学ぶために週末に専門学校へ通い始めます。アクセンチュアでの日々と並行しながら、学校ではカフェのブランディング方針や施策を企画し、マーケターとしての基礎を固める日々を過ごしました。こうしたハードな日々を過ごすことで、「未経験でもマーケティングの世界に飛び込めるかもしれない」という手応えを少しずつ育てていきました。






「マーケ1人目」で任された億単位の予算。責任の重さが心地よかった


4年半勤めたアクセンチュアでのキャリアを終え、転職先に選んだのは、社員数15名ほどの医療SaaSスタートアップでした。


重視したのは「これから伸びる会社かどうか」「裁量がある環境かどうか」「マーケティングの仕事ができるかどうか」の3点。それ以外の条件は決めず、最後は直感的に「この会社で働けたら楽しそうだ」という感覚だったといいます。


結果、マーケティング専任1人目として入社し、いきなり億単位のマーケ予算を任されることになります。


ネット広告も、タクシー広告も、学会への出展も、食事会も、とにかく『全部やる』という感覚でした。アクセンチュア時代よりも働く時間は増え、大変でしたが、逆に楽しかった。働いている人たちの価値観が近くて、責任感を持って働く空気が心地よかったです。スピード感が早く、その場で社長と話して『じゃあそれでいこう』で進む感覚が性に合っていたのかもしれません



人の面でも良かったのも印象的でした。創業者には東大出身のエンジニアもいて、技術観点でも非常に優秀。パッケージを正確に高速でさばいてくアクセンチュアとはまた違った意味で、臨機応変に仕事を進めていく優秀な人が多いと感じました。加えて、私自身が方針に対して意見できる立場だったのもよかったです


また、コンサルとは異なり、自らが意思決定し、結果に責任を持つ環境では、頭の使い方も変わってくるといいます。


自分で予算の配分や方針を決めるのは難しかったですが、ある程度余裕もあったのでトライアンドエラーで調整できました。逆に全く言い訳ができない環境でもあるわけですが、居心地はよかったです。アクセンチュア時代は終電続きの忙しさでしたが、こちらは『自分で決める』という別の意味での重さがありました


▼アクセンチュアから事業会社への転職体験談

すべての転職事例を見るには...

すべての転職事例を見るには...






コンサルからの転職。年収維持には企業の成長性と初期条件が重要


コンサルからスタートアップ転職は収入が大きく下がる。そんな一般的なイメージに反し、Kさんの場合はほとんど下がりませんでした。


ここから先は会員限定の記事です
カンタン無料登録で、今すぐ続きを読もう
さらに・・・
6,000件以上の転職体験談(実例)が見放題
限定のイベント情報も配信
限定の記事コンテンツも読み放題
会員登録して続きを読む ログインはこちら >

ワンキャリア転職編集部

次のキャリアが見える転職サイト「ワンキャリア転職」の編集・リサーチチームです。 ▼公式X:https://x.com/ocTenshoku

フェーズからキャリア面談を選ぶ

関連タグの人気記事

こちらの記事も読まれています

記事一覧のトップへ