コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。
そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
・いつファームを去るべきか
・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
・年収の増減をどう捉えるか
本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:装飾品より、本質へ。価値観に従ったキャリア選択のリアル
「年収」「海外出張」「エリート街道」──そんな“装飾品”のようなキャリアを目指すことに、違和感があった。
アビームコンサルティングでの経験を経て、サイバーエージェントのDXコンサルティング本部へ転職したJさんは、「自分の価値を証明する場所は、もっと本質的であってほしい」と語ります。
転職の決断、年収の変化、働き方のリアル──“ポストコンサル”の生々しさを赤裸々に語っていただきました。
新卒コンサルは、「選びきれなかったから」
大学卒業後、Jさんはアビームコンサルティングに新卒で入社しました。大学では勉強よりも、サークルやアルバイトに熱を入れる一般的な学生だったといいます。将来やりたい業界や職種を絞りきれず、幅広い業界と関われるコンサルという選択肢をとったのがコンサルを選んだ理由でした。
一つの会社や業界にコミットして働き続けるイメージが持てなかったんです。だったら、いろんな業界を覗きながら、自分のキャリアを模索できるコンサルがいいかもしれないと思いました
最初の配属は、大手インフラ傘下の企業に対する基幹システム導入プロジェクト。未経験のプログラミングにいきなり取り組むことになりました。
使ってた言語がかなりニッチで、世の中に参考書が1冊しかないようなものでした。分厚いマニュアルをめくりながら一人でコードを書く毎日。『コンサルに入ったのに、なんで自分はこんなことを…』と、正直辛くて泣く日もありました
上司は40代のベテランコンサル。「ひたすら詰めてきて、あとは放置」というタイプだったと言います。
オンライン中心の働き方もあって、半年くらい上司の顔も見たことがないまま、ひたすらアウトプットだけで評価されていました。自分ができていないこと、期待値を下回っていることをロジカルに、淡々と詰められるので、とてもきつかったですね...。
それでも、「キャリアを広げる」という選択自体に後悔はなかったと語ります。
「装飾品」のようなキャリア観に感じた違和感
約1年間の基幹システムの移行プロジェクトを終えて、次にアサインされたのは、サプライチェーン領域のデータ可視化プロジェクトでした。
やりたいのはtoC領域のプロジェクトだったんです。CRM系を希望していたんですが、当時は該当する案件はほとんどありませんでした。結果的に、オファーが来る案件を断っていたら、役員に呼び出されて、『一年目がそんなことするもんじゃない』と叱られて。自分の意思でキャリアを築くのは難しい環境でした
業務を通じて、クライアントがコンサルに期待していない、という実感にも気づいていきます。
現場で実感したのは、コンサルとクライアントって全然対等じゃないってことです。自分の意見を自由にぶつけることもできないし、言われたことを丁寧にこなすだけ。クライアントからも戦略策定やコンサルが出す示唆に期待されていないことが伝わってくる。『この立場で、何がコンサルタントなんだろう?』って思っていました。自分を押し殺して仕事しているような感覚でした
さらに、周囲のキャリア観にも違和感を覚えました。
当時は『ピカピカした履歴書が好きなタイプが多いな』と思ってしまったんです。『海外出張で英語を使う俺』、『大手町で働く俺』みたいな。わかりやすい『装飾品』に夢中な人が多かったんですよね。それが性質的に全く違ったので、強烈な違和感を感じました。
▼アビームコンサルティングから事業会社の転職体験談
サイバーエージェントで始まった「ジャングルのような日々」
元々コンサル時代から感じていた「toCサービスに携わりたいという想い」に加えて、「クライアント支援が向いている」という感覚から、最終的にJさんはサイバーエージェントを転職先に選びました。
1つのことを長くやるのが苦手なタイプなんです。事業会社に行って何年も1つのミッションに取り組むより、短いスパンでいろんなプロジェクトに関われる方がモチベーションが上がる。toC領域でクライアント支援ができる場所が自分には合っていると感じました
ところが転職後、いきなり壁にぶつかります。
さらに・・・




