はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、転職した企業で月間MVPを取るような営業成績であるにもかかわらず、なかなか昇格に結びついていないという相談者さんからのお悩みです。
昇格するためには、社内での実績に加えてどういったことが必要なのでしょうか。
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。
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本日のお便り
ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである佐賀がキャリアの悩みに応えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していくコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちら。
ラジオネーム「淡々とやるーねん」さんからのお便りです。
「佐賀さんこんにちは、淡々とやるーねんです。
私は、新卒でJTC (日系大手企業)の営業を経験後、社会人3年目にメガベンチャーに転職し、現在同社でフィールドセールスをやっている者です。
メガベンチャーに来たからにはとにかく頑張ろうと奮闘し、営業成績を認められて月間MVPもいただいています。
ところが、転職して3年、なかなか昇格のお話をいただけません。
上司との1on1でも、『マネージャー適性がない』という趣旨のフィードバックを受けました。
業績を出しているのに、昇格できないなら年収も横ばいだし、この会社に長くいる必要性は果たしてあるのかと思い始めています。
キャリアづくりにおいて、ベンチャーのスピード感を期待していたのですが、現実はこういうものなのでしょうか?」
これは根深い問題ですね。
「急成長企業」と呼ばれる企業でも、成長が鈍化していることや、成長しているものの組織の数や規模が拡大していないことによって、ポジションの数が増えていない場合があります。
一方で、急成長企業と呼ばれるメガベンチャーは毎年採用を行なっており、ポジションが増えていない状況では競争が激化することになるため、相談者さんのような悩みが生まれてしまいます。
【JTCの営業からメガベンチャーへの転職事例】
昇格できるのは、社内で”引き上げ対象”になっている人材
お便りの情報から推察するに、相談者さんが会社内での引き上げ対象に入っていない可能性があるのではないでしょうか。
相談者さんが在籍するようなメガベンチャーの企業は、新卒採用に注力している企業が多いです。
そのような企業にとって、中途社員と比べると、新卒社員の方が引き上げの優先順位は高くなってきます。
なぜなら、新卒社員は社会について何もわからない状況で自社に入社を決めてくれているからこそ、会社としても「その決意に報いるためにも、育成する責任がある」と考えるためです。
この考えは、適性や意思のない新卒社員でも引き上げたり、中途社員の優先度を低くしていたりするわけではありませんが、「成長意欲があり、結果も出している新卒採用の方を積極的に引き上げたい」というスタンスを持っているということです。
そのため、同じ実績を挙げた新卒社員と中途社員の方がいた場合は、新卒社員の方が引き上げられてしまう側面はあると思います。
このような企業側の社員の育成方針や、ポジション数に対して昇格したい人の数が超過しているような状況によって、期待値調整のために上司から「マネージャーはまだ早い」と言われてしまっているという可能性があります。
こういった状況で、相談者さんのような中途入社の方が意識すべきことは2つあります。
1つ目は、自らの意思を伝えることです。
昇格や挑戦への明確な意思を上司に伝えることで、その会社の中でも昇格候補者に入る可能性が上がってくるのではないでしょうか。
2つ目は、昇格候補者と比較した際の自身の競争力や、昇格の可能性を把握することです。
昇格後のポジション数に対しての、部署内での新卒社員数や昇格を狙っている社員数の割合、その中で自身が昇格できる確率を把握することが大切です。
また、昇格できなくても、部署移動ができたり他職種にチャレンジできたりする可能性のある企業であれば、社内でも十分キャリアを形成することができます。
一方で、月間MVPを取れるほどご自身のパフォーマンスの再現性があるにもかかわらず、20代後半でマネジメント経験を積めない状況だとなると、将来のマーケット評価の観点で少しもったいない部分があるかもしれません。
キャリア戦略次第ではありますが、この状況からキャリアアップを目指すのであれば、”転職によって経験を積みにいく”という意思決定をする選択肢を検討しても良いのではないでしょうか。
ネクストキャリアでは、経験を”積む”か”活かす”か
上記のことを踏まえて、ネクストステップの考え方を2つ紹介します。
1つ目は、成長角度が高く椅子の数が増えている環境でポジションを取りに行くことです。
具体的には、未上場やアーリーフェーズのスタートアップで、メガベンチャーで培った経験を生かして早期に活躍をし、マネジメントラインを狙っていくという方法です。
理由としては、成長角度の高い環境でミドルリーダーへの昇格にチャレンジしつつ、営業に加えて事業開発の仕事にも携わることができるためです。
メガベンチャーの企業は、事業が再現性を求められるフェーズに入っているため、売上・利益を追求していく状況になっています。
一方でアーリーフェーズのスタートアップ企業は、マーケットでの勝ち筋が見つかっていなかったり、事業が完成しきっていなかったりするため、最前線にいる営業担当に対して、クライアントからフィードバックをもらい、事業改善にフィードバックすることが求められています。
そのため、このような環境で新たなスキルセットを身につけることも一つの選択肢として考えられるのではないでしょうか。
【メガベンチャーから未上場・アーリーフェーズのスタートアップへの転職事例】
2つ目は、BtoC領域や他業界のメガベンチャーへのキャリアチェンジです。
経験を活かしやすいBtoB領域でマネジメントポジションを狙える企業はもちろん選択肢として考えられますが、BtoB領域は事業を急速に増やすことできないことが懸念点となってきます。
サイバーエージェントやディー・エヌ・エーは、若手社員を子会社の社長に抜擢することで話題になりますが、この背景にはこういったBtoCの企業は事業を増やしやすいという側面があります。
これはもちろん、BtoC事業の立ち上げが簡単だというお話ではありません。
例えばゲーム事業であれば、ゲームタイトルを増やすために事業責任者を新規アサインするなど、スピード感をもって事業を立ち上げる傾向があります。
もちろん、事業が立ち上がればその分ポジションが増えます。
こういった背景から、BtoC領域のメガベンチャーにキャリアチェンジを行い、マネージャーを狙うという考えもあるかもしれません。
▼メガベンチャーまるわかり講座(Section1~3)
さいごに
さあ、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。
詳細欄のURLの部分から、キャリアに関する疑問やお悩みをどしどしとお寄せください。
また、佐賀や他のキャリアアナリストと直接話してみたいという方は、無料のキャリア面談も受け付けております。
こちらもお気軽にご応募ください。
それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。
さようなら!