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【チェックリスト付き】あなたの会社が出社回帰になる可能性は? アクセンチュアやLINEヤフーから読み解く共通パターン

リモートワーク全盛期から一転、大手企業が相次いで出社回帰を決定している。アクセンチュアやアマゾンといった外資系企業からホンダなどの日系企業まで、その顔ぶれは幅広い。




しかし、出社回帰へと方針転換した企業を分析すると、共通するパターンが存在する。ワンキャリア転職に蓄積された転職体験談やクチコミ情報、出社回帰に動いた企業のニュースをもとに、「あなたの勤務先が出社回帰になる可能性」を判断するためのチェックリストを作成した。キャリア戦略を考える上で重要な参考情報として活用いただきたい。





1. 出社回帰の可能性を確認するチェックリスト


出社回帰を決定した企業には、いくつかの共通する特徴が見られる。以下にチェックリスト形式でまとめてみた。




それぞれの項目について、具体的な事例とともに詳しく見ていこう。



1-1. トップダウン/海外本社の方針に左右される/方針がコロコロ変わる


関連性のない項目に見えるかもしれないが、企業の意思決定構造や組織文化は、出社回帰の可能性を左右する重要な要因だ。これは、急にオフィス中心の働き方に切り替わる「サプライズ出社回帰」にもつながるため、注意が必要だ。


その典型例がアクセンチュアだ。同社は2022年8月から「ロケーションフレキシビリティ制度」を導入し、柔軟な働き方を積極的に訴求してきた。しかし、2025年3月28日にHRから全社員宛に送付された1本のメールで、6月からの週5日出社義務化が発表された。




この急激な変化に対し、ワンキャリア転職では以下のようなクチコミが寄せられている。


フルリモートで仕事ができると思っていた。日経新聞でも大々的に取り上げられるほどフルリモートで仕事ができることを謳っていたが、CEOの一存で出社回帰になってしまうような社内制度の方向転換ぶりには驚かされた(中途入社/ソフトウェアエンジニア


一方で、職場ではボトムアップの社風を感じていても、外資系企業の場合は「サプライズ出社回帰」の可能性がある。日本マイクロソフトのワンキャリア転職のクチコミを見ると、日本法人においてはボトムアップであるが、グローバルではトップダウンであることがうかがえる。


日本はグローバルにおける支社の一つという位置づけのため、KPIは米国本社からのトップダウンで決まる。日本の各チームにおける実務や採用に関しては、各チームのマネージャーにより決まる(Support Engineer/中途入社


数字に関してはトップダウンだが、営業戦略に関しては完全にボトムアップ。但し各種特別オファリングなど、通常外プロセスが発生する場合は役員や米国本社の許可が逐一必要となる(法人営業/新卒入社


また、意思決定構造とは別に、出社回帰になった企業のクチコミには、方針が変わりやすい企業風土を指摘する声もある。


私はフル出社派であったが、リモートを期待して入社した人は出社の方針転換に失望していると思う。働き方の方針も良く変わる会社なので、そこは覚悟のうえで入社した方が良いと思います(業務プロセスアクセンチュア/コンサルタント/中途入社


出社が推奨になったり、色々とルールが変わってしまう点は、入社前に知っておきたかったギャップ。ルールが決まった理由も特に詳しい説明はない(LINEヤフー/新卒入社/法人営業


もちろん、このような社風を持っている企業がすべて出社回帰になるわけではない。ただ、この後に説明する項目も当てはまっている場合、出社回帰のサインが高まっていると捉えるべきだろう。




1-2. 競合が出社回帰に移行している


業界内で競合他社が出社回帰に舵を切った場合、それに追随する企業が多い。特に注目すべきは、業界のリーダー企業の動向だ。


マイクロソフトは2025年9月、週3日の出社を義務化する方針を明らかにした。このタイミングでの発表はテクノロジー業界では遅い方で、同業他社は対面方式での勤務に切り替わっている。グーグルやアップルは週3日の出社に移行済みで、アマゾンは従業員に週5日の出社を義務づけている。


自社ではリモートワークの価値を認めていても、ライバル企業がオフィスワークの強みを生かして競争力を強化していると、出社回帰に動かざるを得ない状況になるだろう。マイクロソフトの判断に競合の動向がどれだけ影響したかは不明だが、業界としてのトレンドは、勤務先の出社回帰可能性を判断する1つの要素といえる。


▼参考




1-3. 事業の立て直しや非連続な成長が求められている


企業が大きな変革・成長期にある場合、出社を通じた密なコミュニケーションを重視する傾向がある。


出社回帰のタイミングと企業の成長が重なった企業の1つが、freeeだ。同社はコロナ禍のフルリモートから出社へと舵を切り、2024年1月からは原則週5出社となっている。会議の生産性や事業の推進スピードを大きく向上させることが目的だという。


この間も事業は成長し、2025年6月期の連結最終損益は13億円の黒字に。12年の創業以来初めて最終黒字に転じた。

働き方だけが黒字化の要因ではないだろうが、出社のメリットを生かしながら成長した点は他の企業の参考例にもなるだろう。




海外に目を向けると、デンマーク製薬大手ノボノルディスクが2025年9月、9000人の人員削減を発表すると同時に、全従業員にフルタイムで出社するよう指示した。市場の競争激化により、コスト削減や事業・組織の立て直しが迫られていたという。

(参考)ノボノルディスク、従業員にフルタイム出社を指示 新CEOてこ入れ策 | ロイター


このように、事業の大幅な見直しや競争力強化が急務の企業では、出社を通じた組織の結束強化や迅速な意思決定を図る傾向が見られる。



1-4. オフィスの増床や移転、改装があった


オフィス環境への投資には、出社を前提とした長期戦略が影響していることもある。特にコロナ禍で社員数が増加した企業やオフィスを縮小移転した企業は「出社回帰したくても、座席数を確保できない」という悩みに直面するからだ。オフィスの移転や増床で全員が出社できる環境を整えたい、と良い条件の物件を探している企業もあるだろう。


オフィスを移転・増床・改装におけるトレンドの1つが「出社したくなるオフィス」だ。2022年8月に拡大移転したfreeeの東京本社オフィスは「駄菓子屋がある会議室」や「キッチン付き会議室」など、社員が出社したくなる仕掛けを多数導入している。


オフィスは単なる執務スペースではなく、コミュニケーションや偶発的な出会いを創出する「場」としての価値を再定義しようとする動きの表れだ。「出社回帰」の「強制させられている」という印象を払拭することにもつながり、社員の積極的な出社も期待できる。




一方で、オフィス移転の中には出社回帰とは異なる文脈のものもある。東芝や富士通など大手メーカーは、都心から川崎市など工場の隣接地への本社移転を実施している。要因としてこれらのメーカー各社は「リモートワークの普及で一等地にオフィスを構える必要性が薄れた」点を挙げている。


同じオフィス移転でも真逆の意味を持つため、もし勤務先でオフィス環境に変化があった際は、その背景を探ることが重要になる。


(参考)大手メーカー、本社移転相次ぐ 東芝、富士通など「ゆかりの地」に:時事ドットコム



1-5. 交通費やリモートワークに関する手当や補助の変更があった


制度面の変更も、出社回帰の前兆として非常に分かりやすい指標となる。


例えば、サントリーホールディングスは2024年、コロナ禍に導入した在宅勤務手当を廃止した。在宅勤務を続ける金銭的なメリットをなくし、出社前提の働き方を浸透させる狙いがある。


この他にもオフィスでの社内イベントを実施するなども、出社の動機づけをする動きといえる。オフィス移転がハード面からの出社回帰アプローチとすると、制度変更やイベントはソフト面のアプローチといえる。


(参考)サントリーなど日本企業も出社回帰 オフィス需要復調 - 日本経済新聞




2. まとめ:出社回帰時代に必要なキャリア戦略の作り方


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ワンキャリア転職 編集部

吉川翔大

東京大学卒業後、新卒で中日新聞社に入社。長野、静岡、三重の3県で記者として働く。2019年にワンキャリア に入社。就活生向けの記事制作チームや広報を経て、ワンキャリア転職 編集部でコンテンツ制作を担当。京都市生まれ。

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