はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、「個人事業主として働いた経験は、どのように評価されるのでしょうか?」という相談者さんからのご相談です。
その後のキャリアにおいて個人事業主の経験はどう活かされるのでしょうか。
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。
本コンテンツは、Podcastまたは記事のお好きな方法でお楽しみいただけます。
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本日のお便り
お世話になっております、ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである私佐賀が、キャリアのお悩みに答えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していく、シンプルなコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちら。
ラジオネーム「一球入魂」さんからのお便りです。
「佐賀さんこんにちは。社会人6年目28歳の一球入魂と申します。
新卒で入社した会社では、クライアントに対してWebマーケティングの支援を行っていました。
その企業で働いていく中で、スキルと自信を身につけ、社会人4年目のタイミングで個人事業主として独立して今に至ります。
現状は問題なく案件を獲得できているのですが、30歳が近づいてきたことで、この働き方を続けることに不安を感じ始めました。
そこで、改めて企業に属して働くことを考えているのですが、個人事業主として働いていた経験は、どのように評価されるのでしょうか?」
こちらは、近年ご相談として徐々に増えてきている内容です。
「個人で働いていく」というキャリア観は、副業向けサービスの増加などのキャリアの多様化により奨励されている風潮があります。
一球入魂さんのように、新卒で入った企業の中で、マネタイズしやすいスキルと知見を身につけた後、独立したり、業務委託や個人事業主となって案件を獲得していく方々が増えている印象です。
私の親族の中にも、エンジニアでいわゆるウェブ開発のプロジェクトマネージャーとして独立をした人がいます。
一方で、数年後に、「やっぱり企業に戻りたい」という方々が一定数いらっしゃるのも事実です。
今回は、再度企業に戻りたいと思われる背景や、実際企業にどう見られるのかについてお話させていただければと思います。
スキルの切り売りを危惧して企業への所属を再検討
まずは、なぜ個人事業として独立をしたのに、もう一度企業に所属し直したいと思うようになるのかについてです。
もちろん案件内容や委託の形態にもよりますが、
多くの場合、発注企業から依頼される業務は、
● 発注先のスキルセットが明確で、ひいてはアウトプットが明確な領域
● 社内の人件費を抑えるためにより安価でアウトソーシングする領域
という側面があります。
少し嫌な表現ですが、実態に鑑みてお話させていただいております。
もちろん、企業内に相応のスキルセットがなく、より専門性の高い個人事業主の方に発注するケースもあります。
ただし、その場合でもいずれ企業は内製化したい領域であるはずなので、その後置き換えられる可能性が高いです。
そのため、個人事業主の方々は、今この瞬間にバリューを出せる案件を請け負い、それを繰り返すという構造に陥りやすいです。
この構造の問題点は、今持っているスキルセットの切り売り状態になってしまうことです。
つまり、既にできることを繰り返しているため、スキルの伸びや成長がないということです。
しかし、例えば相談者さんが在籍しているWebマーケティングの領域は、日々最新の情報が変わっていきます。
具体的には、SEO検索エンジンでいかに上位に表示させるか、Googleのアルゴリズムがどのように変化しているか、などが挙げられます。
個人事業主の方々は、そうした情報のキャッチアップに遅れる可能性もあります。
日々トレンドが変わっている領域の中で、既に自分がバリューを出せる領域の案件だけを請け負っていることは、世の中から見ると遅れている状態です。
そういった状態に危機感を覚えて、まだ身の丈に合わない仕事でも任せてくれるような投資判断を行ってくれる企業に在籍するほうがメリットが大きいと考える方もいます。
このようなことを考慮して、企業に戻る意思決定をされる方々が多いです。
また、個人事業主の経験が企業からどう見えるかは、上記の内容に関わってきます。
個人事業主としてどれだけ大きな成果を上げ成長できているか
相談者さんが独立をされてから、
● 自分の持っていないスキルセットを獲得した
● 難易度が高まり、より大きな成果を出すことができている
というようなスキルや実績の伸びが生じていれば、高く評価してもらえます。
一方で、独立前に比べて、
「実績の大きさや案件の難しさなどが変化した」のではなく、「ただ単に案件の数が増えただけ」という形だと、評価はしづらくなります。
この場合、企業側としては、未経験要素やポテンシャル要素が少なくなってきている20代後半~30代の方を採るのではなくて、第2新卒のポテンシャルが大きい方を採った方が良いのではないかというシビアな判断を下されるケースもあります。
そのため、企業やマーケットからの評価は、これまでの数年間、相談者さんがどのような経験を積んできたのかによるのではないかと思います。
キャリアの棚卸と企業に所属する理由の整理が肝要
少し怖がらせるような情報を言ってしまいましたが、まだまだ間に合います。
先ほどお話させていただいたように、
「スキルセットの獲得に尽力してきた」
「独立する前だとできないような業務をやってきた」
という方は、申し分ない実績やスキルを持っている方なので、ぜひ転職活動にトライしてみてください。
しかし、もし「持っているスキルセットが独立前と変わらない」場合でも、28歳からのポテンシャル要素を見て採用をしている企業はたくさんあります。
選考の中でその課題感を伝え、このタイミングで企業に所属してもう一度キャリアを作り直していきたいという覚悟を示すことさえできれば、企業としても「よし一緒にやっていこう」という形で採用に至るというケースはあり得ます。
キャリアの棚卸や企業に所属する理由について明確に語ることができれば、選考突破の確率は高まると思います。
【デジタルマーケティング職からの転職事例】
さいごに
さあ、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。
詳細欄のURLの部分から、キャリアに関する疑問やお悩みをどしどしとお寄せください。
また、佐賀や他のキャリアアナリストと直接話してみたいという方は、無料のキャリア面談も受け付けております。
こちらもお気軽にご応募ください。
それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。
さようなら!