こんにちは、トイアンナです。
よく、企業を取材していると「風通しのよい職場です」とおっしゃられることがあります。上長となんでも相談しやすい、役職付きの方が偉ぶっていない……といったあたりが、私の想像する「風通しのよい職場」です。
しかし、「風通しのよい職場」は、昨今もっとも誤用されているフレーズのひとつなのです。
人によって全く異なる「風通しのよい職場」の定義
そもそも論として、「風通しのよい職場」の定義は人によって大きなズレがあります。たとえば、私が新卒で入ったP&Gは、非常に風通しのよい職場でした。(※)
平社員であった私が執行役員へ直にメールすることもできましたし、役員も私の顔を覚えてくださっていて、ひどく怒られているときなどはフォローのメールをくれました。それくらい、ポジションを超えてのやりとりが可能だったのです。
そして、私の友人も「風通しのよい職場」に勤めていると語ります。しかし、その職場では上司の上司へメールしたければ、ccに上長を入れなくてはいけません。友人はいまだに上司のことを「〇〇課長」と役職で呼んでいますし、上司へ飲み会でお酌をします。
「それが当たり前だろう!」と思った方へ。
あなたは、それほど風通しのよい職場に勤めていないかもしれません。
と、いくら人が主観で「風通しのよい職場」にいると言っても、人によって実態は千差万別。その言葉だけで納得せず「具体的にどういう職場なんですか?」と確認せねば、転職で大失敗もありうる、というわけです。
※ワンキャリア転職に集まるクチコミからもP&Gの「風通しの良さ」が伺える
「風通しのよい職場」と思いきや放置されるケースも
そして、風通しのよい職場は、得てして放置されやすい職場でもあります。なぜなら、「風通しがよいからには、聞きたいことがあれば聞いてくるだろう」という期待値を、社員同士が抱きがちだからです。
Hさん(仮)は、前職で細かく面倒を見てもらえる職場にいました。自分が困った顔をしているだけで、周りから「何かありました?」と声をかけてもらえる、優しい社員が多い企業だったのです。しかし、Hさんはパートナーの転勤に伴い大阪へ引っ越すことに。そこで転職時に重視していたのが「風通しのよい職場」でした。
前にいた職場では、「上司だから、先輩だから」を理由にして偉そうにする方が一人もいらっしゃらなかったんですね。それにすごく感謝していて。似た雰囲気の企業へ行きたいなと思っていました。
そこで、Hさんは求人の中から、企業の口コミサイトにて「風通しのよい職場」と書かれてた企業を厳選し、エントリーしていきました。そして、そのうちの一社へ内定できたのです。
ところが、転職後すぐ、Hさんはあるプロジェクトのリーダーに任命されます。入社後いきなり責任者にされたうえ、引き継ぎもまともに行われない……。Hさんは衝撃を受けます。
さらに驚いちゃったのは、誰も隣の席の人が業務を教えてくれないことです。いや、聞いたら教えてもらえるんです。ただ、話しかけないと教えてくれなくって。
前の会社では、転職して来た人にはメンターがついて、半年間フォローする体制があったんですね。そういうのがなくて、あとは頑張ってねって放り出されて。もう見捨てられたのかなって。孤独でしたね……。
このストレスを溜めに溜めてから、Hさんは上司へ相談しました。そこで帰ってきたのは、意外な回答でした。上司は「だったら聞けばいいのに」と返したのです。
実は「風通しの悪い職場」ほどメンターがつきやすい
先ほど挙げたP&Gもそうですが、風通しのよい職場はえてして「放置」が前提となっています。
さらに・・・



