転職活動で必要になる職務経歴書。よくあるテンプレートを参考に作成してみるものの「自分の場合は何を記載すべきかよくわからない」という声をよく耳にします。特に今回の転職で今の業務の延長ではなく新しい領域へのチャレンジを狙う場合、チャレンジ転職ならではの工夫が必要です。
そこでONE CAREER PLUSでは職種別×目指すキャリアパターン別に職務経歴書で気をつけるべきポイントと、すぐ使える例文・テンプレートを用意しました。本記事では、採用人事の職務経歴書について、25,000件以上のキャリアデータを知るキャリアアナリストの監修の下、解説します。
1.職務経歴書作成における注意点
1-1.チャレンジ転職の書類選考は、普通のテンプレでは通過しづらい
書類選考を通過し、面接で会いたいと思ってもらうには「自社で活躍するイメージがもてるか」が重要です。
特に、今回の転職で未経験の業界や職種に挑戦するなど、少しでも「チャレンジ転職」の要素があるのであれば、よくあるテンプレートを用いたオーソドックスな職務経歴書では書類通過が難しいと言えます。
なぜなら、あなたの業務内容や仕事への向き合い方、成果創出の再現性を背景がわからない人に説明する必要があるからです。現在の経験から目指すキャリアへの距離が遠ければ遠いほど、職務経歴書は力を入れて、かつテクニカルに作るべきと考えてよいでしょう。
1-2.よくあるNGポイントと対策
職務経歴書を効率よく作成するうえでよくあるNGポイントを押さえておきましょう。NGポイントは大きく分けると「書類としての不備が多い」「募集ポジションでの活躍イメージが湧かない」の2点です。
まず、「誤字脱字が多い」「空欄が多い」「形式が整っていない」「内容がまとまっておらず冗長」など書類としての不備が多いとマイナスの印象を与えてしまい、あまりに不備が多いとこれだけで書類落選となってしまうこともあり得ます。
文量は2ページ以内か、多くても3ページにおさまるよう内容を調整し、書類作成後に複数回読み直すことやテンプレートを活用することで対策しましょう。
次に、書類からその人の経験や強みが伝わらないために、活躍イメージが湧かないことです。例えば、一般的でない用語が使われていたり、実績のみで工夫した点がわからなかったり、情報の具体性・客観性が欠けていたりすると、業務内容を記載していても「自社での活躍イメージがしづらい」と思われやすくなります。
では、具体的にはどのようなことを記載すればよいのでしょうか?次章からは採用人事職の職務経歴書のポイントについて、テンプレート・例文とともに解説していきます。
2.採用人事の職務経歴書テンプレート
3.【徹底解説】採用人事の職務経歴書
ここからは、各項目ごとに採用人事の職務経歴書作成の要点を例文を交えながら解説していきます。
3-1:職務要約|「何ができる人か」を端的に伝える要素抽出が鍵
採用人事の職務要約の例文は以下の通りです。
XX大学卒業後、2020年に株式会社XXに入社。採用人事として3年間、新卒・中途採用の計画策定から母集団形成、選考実施、内定者フォローまでを一貫して担当。新卒・中途合わせて年間約100名の採用を実施し、チームとしての採用目標は3年連続達成率110%で推移。2022年からは採用業務に加え、社員研修や新たな人事評価制度の企画・運営・管理も担当し、約400名の社員の育成と評価にも携わる。20XX年からはマネージャーとして、3名の部下のマネジメントも担当している。
職務要約は、職務経歴書の中でも最初に採用担当が見る最も重要な項目です。「あなたはどんな経歴で、何ができる人なのか」を200~300字程度で端的にまとめることがポイントです。
記載する業務内容や実績は、定量的な表現を心がけましょう。端的な表現が求められるからこそ、職務要約で伝える経験・要素の選定は重要です。
採用人事の場合は、採用人数や目標達成率といった実績はもちろん、メンバー育成やマネジメント経験などがあれば記載すると良いでしょう。
【こんな時どうする?】
(1)記載できる実績が少ない場合
なかには「社内表彰やハイ達成など目立った実績がない」「マネジメント経験がない」という方もいるでしょう。実績は目標比で100%以上の達成であれば記載をすることが望ましいですが、未達の場合は後述の職務内容の実績項目やトピックスに未達の理由も含めて記載する方が無難です。
実績が少なく、全体の内容が薄くなってしまう場合は後述のトピックス例や目指すキャリアパターン別アピールポイントを参考に、特筆すべき経験や成果創出へのスタンスについてエピソードを絞って具体的・定量的に記載しましょう。
(2)複数の職歴・経験がある場合
複数の職歴・経験がある場合は同じ分量で経験・経歴を羅列するのではなく、伝える情報量にメリハリをつける必要があります。こちらも後述のトピックス例や目指すキャリアパターン別アピールポイントを参考に、応募先を加味した伝えるメッセージを絞り、具体的・定量的に記載しましょう。
〈〈〈目指す転職先に合わせて、キャリアのプロにアピールポイントを相談する〉〉〉
3-2:職務内容|異業種の採用担当に理解してもらうには?
職務内容の記載例は以下の通りです。
[担当業務]
以下の観点をもとに、下記のどのファネルで何の数字や役割を担っていたか明記
管掌範囲:
以下ファネルのうち、担当していた役割を記載
採用計画・戦略策定>母集団形成>選考>オファー>入社フォロー>採用プロセスの分析・改善
求職者属性:
新卒採用/中途採用、アルバイト・パート・派遣等雇用形態、職種の特徴(エンジニア、営業職、マーケティング職、管理部門職種など)、求職者属性の特徴(第二新卒、高学歴層/体育会系人材、CxO層など)
[具体的な業務内容]
以下から選択して記載
▼計画・戦略策定
・採用人数・ターゲットの設定
・採用スケジュール・予算の策定
・競合他社や市場の採用動向の調査
・採用チャネルの選定
▼母集団形成
・求人票・募集要項の作成(X件/月)
・自社ホームページや採用ページの運用
・採用イベントの企画・運営(オンライン/オフライン|イベント規模X人|X回/月)
・人材紹介エージェントの担当者との定例会議(X回/月)
・スカウト送付(X件/月)
・リファラル採用のキャンペーン企画〜運用
・広告コンテンツの企画・検討・制作
▼選考
・応募者のエントリー受付・応募書類の管理(X件/月)
・面接官の調整・評価基準の共有
・面接の実施・評価(X件/月)
・適性検査・筆記試験・スキルテストの実施・評価(X件/月)
▼オファー〜入社フォロー
・条件交渉(X件/月)
・内定者フォロー
・配属先やチームとの調整
職務内容は、必要な項目を漏れなく・簡潔に記載することを意識しましょう。あなたの仕事を直接知らない人に業務内容を理解してもらうには、ビジネスプロセス(フロー)>担当商材の特徴>具体的な担当業務を記載することがおすすめです。
同じ職種であっても、所属する企業によって担当範囲が異なることや具体的な業務レベルに違いがある場合も多いため、具体的な業務内容や担当範囲はわかりやすく記載すべきです。
採用人事の場合、「採用計画に関するプランニングから行っていたのか」「採用業務におけるオペレーションを回すことが中心だったのか」で大きく異なるため、わかりやすく記載しましょう。
担当商材は、採用人事であれば採用対象者に該当します。どのような領域に専門性を持っているのか、新卒採用・中途採用、アルバイト/派遣/パートなどの雇用形態、特定職種の採用(例:エンジニア、営業職、管理職)、など担当分野を記載します。
なお、新卒・中途の正社員採用の中でも詳細な属性を記載すると良いでしょう。例えば新卒採用であれば高学歴層がターゲットなのか、体育会系がターゲットなのか等でアプローチが変わるからです。
3-3:実績・成果|比較要素が印象アップにつながる
実績・成果の記載例は以下の通りです。
[実績]
採用実績:
20XX年度 実績XX人 達成率XX% 前年比X%
20XX年度 実績XX人 達成率XX% 前年比X%
20XX年度 実績XX人 達成率XX% 前年比X%
※また、昨年対比での応募者数、内定率、内定承諾率の向上事例や、採用コストの削減などで、ポジティブな成果を示せる点があれば記載
実績・成果は、実績数値だけでなく目標達成率が必ずわかるような記載が望ましいです。
採用人事であれば採用人数が王道ですが、近年の売り手市場のマーケットから採用目標を達成できないというケースも多々あります。特にベンチャー・スタートアップの場合、高い採用目標で未達になることや目標が期中に変わることも。
こういった事情について、採用サイドも理解しているため人事の場合は、採用実績よりも採用プロセスにおける自身の創意工夫のエピソード「ただ応募を待っているだけでなく、母集団形成や選考進捗にどれだけプロアクティブに働きかけたか」がより強く見られるため、その点を踏まえてトピックス等に力を入れましょう。
3-4:トピックス|成果創出の再現性を証明すべし
採用人事職のトピックスとして記載すべき内容の例文は以下の通りです。
[トピックス]
トピックス例①プロセス改善による目標達成
新卒採用において、2022年度は前年比30%増の50名を採用目標に設定し、最終的に目標を110%達成しました。目標達成に向けて、内定承諾率の向上を注力課題に設定。候補者一人ひとりに専任担当者を配置し、面接後72時間以内のフォローを徹底する体制を提案・導入し、フォロー実施率を前年の80%から95%に向上させました。また、内定後懇親会を従来の2回から4回に増やし、キャリア相談会を新たに3回開催することで、内定者との信頼関係を強化。これらの施策により、内定承諾率を前年比15%向上させ、年間採用目標を110%達成することができました。
トピックス例②外部パートナーとの折衝経験
エージェントとの折衝を通じて、中途採用の効率を向上させました。昨年度まではエージェントを20社利用していましたが、紹介精度の向上と工数削減を目的に、今年度は10社に絞ることを提案。その分、各エージェントとの定例ミーティングの頻度を月1回から週1回に増加させ、自社へのアテンション向上とマッチ度の高い候補者の獲得に繋げました。その結果、エージェント経由での内定率が前年度比30%向上。関わるエージェント全社から「他のクライアントと比べ、採用像がしっかり理解できており、適切な候補者を紹介しやすい」との声をもらい、強い信頼関係を築くことができました。
トピックス例③仕組み化への貢献
選考精度の向上を目指し、面接評価の仕組み化に注力しました。これまでは面接官ごとに評価にばらつきがあり、候補者が最終面接で落ちることが多く、その都度再評価や追加面接を行っていました。この改善のため、既存の評価ガイドラインを見直し、例えば「コミュニケーション能力」の各評価項目に「面接での受け答えの明確さ」「質問への反応速度」といったより具体的な基準を追加。これにより評価基準の統一が進み、最終選考に進む候補者が25%減少。面接工数が削減されたことで採用活動が効率化され、前年比20%増の中途採用を実現しました。
定量的な実績・成果の下にはトピックスとして、数字だけではわからない「成果を出せた背景や工夫したポイント」を必ず記載しましょう。特にチャレンジ転職においては、「環境が変わっても成果を出せるか?」を採用側が判断するうえで、あなたの仕事に対する向き合い方や強みが伝わることが重要です。
成果の再現性をアピールするうえでは、以下のようなポイントで自身の仕事を振り返ったうえで、「結論→課題→打ち手→結果」の構造で記載することで読み手に伝わりやすくなります。
【ポイント】
- 自身が置かれている状況で、前提として説明すべきことはないか?
- 外部要因や、所属組織の状況などで成果創出に影響するもの
- 定量成果は、相対比較できる情報を伝えられているか?
- 部内、社内、業界内の平均との比較や前年比、前任比
- あなた「ならでは」の工夫や取り組みはないか?
- 他の人は行っていなかったが、意図をもって行った工夫
- 会社から与えられた役割にとどまらず、成果創出や組織貢献のために自発的に行ったこと
なお、職種にかかわらず以下のような経験・結果はアピールポイントになるため、トピックスや自己PR、職務要約のいずれかに実績として盛り込むことがおすすめです。
【職種にかかわらず、評価されやすい経験】
- マネジメント経験
- 育成、ナレッジシェア、仕組み化への貢献などイネーブルメントに関する経験
- ゼロ→イチでの組織立ち上げや事業立ち上げの経験
- 早期昇格/昇進など、会社から高く評価されていた事実
3-5:自己PR|目指すキャリアパターン別のアピールポイントは?
自己PRの例文は以下の通りです。
[自己PR]
1)信頼関係構築スキル
私は、候補者との信頼関係を築くコミュニケーション力に自信があります。自社の魅力だけでなく課題も正直に伝え、誠実で透明性のある情報提供を行うことや、自社選考の枠を越え、長期的なキャリアを見据えたフィードバックを意識的に行うことで、候補者からは「あなたと話して選考に進みたいと思った」との声を多くいただきました。その結果、過去1年間でカジュアル面談から面接への希望率が30%向上し、面談後のNPSも平均7.0から9.0に改善しました。
2)マネジメントスキル
私のもう一つの強みはマネジメントスキルです。3年目から新卒採用チームのリーダーとして3名の部下をマネジメントし、チーム全員の目標達成を実現しました。リーダー就任当初は、自ら成果を出して模範となることに注力しましたが、それだけでは十分ではないことに気付きました。そこで、メンバー一人ひとりの強みや悩みを理解し、それに応じた支援を行うことに重点を置き、週1回の1on1ミーティングを導入。個別化したコミュニケーションを行った結果、目標達成に加え、メンバーのモチベーション向上にも繋がり、エンゲージメントスコアも70%から90%に改善しました。
自己PRは、応募先企業に自身の特徴や強みをプラスアルファで伝えるチャンスです。トピックスと同じく、エピソードをまとめる際は、「結論→根拠→具体的なエピソード」の構造で整理することで読み手に伝わりやすくなります。
複数の自己PRがある場合は、応募先の業界や職種に合わせてアピールポイントをチューニングするとより良いでしょう。目指すキャリアパターン別のアピールポイントは以下のとおりです。
3-5-1. 採用人事から異なる企業の採用人事へ:
業界や企業規模を変えて人事としての経験を広げるような転職パターンは王道です。注意しておきたいのは、応募先の企業の採用手法や採用ターゲットによっては未経験転職と同じぐらい求められるスキルや役割に差が生まれる可能性があることです。
採用人事として評価が高くなりやすいのは、「ただ応募を待つのではなく母集団形成や選考進捗に向けて、戦略を考え、主体的に周りを巻き込みながら行動した人」です。そうした経験をアピールできると良いでしょう。
3-5-1. 採用人事から人事企画/HRBPへ:
人事企画やHRBPも人気のキャリアパスのひとつです。ただ、ポジションが限られるため、現職で近しい経験を積んでいない限り、選考ハードルは高いと言えます。
応募先の業務にもよりますが、入社後のオンボーディングなどをメインに担当する場合は親和性が高まりやすいですが、人事制度設計なども業務内容として入ってくるとハードルがあがります。
こうした職種に経験したい場合は、スタートアップのひとり目、ふたり目人事など採用以外もやらざるを得ないポジションに挑戦するというのも一つの手です。
参考)スタートアップの「ひとり人事」についてもっと知りたい方はこちら
3-5-2. 採用人事から人材業界の事業サイドへ:
人材紹介会社やHRテック企業のセールス系職種など、人材業界の事業サイドへの転職も、採用人事からのよくあるキャリアパスの一つです。
この場合は、応募先の商材やサービス職種に合わせて、具体的に人事としてどのようにサービスに関わっていたかを記載すると親和性を感じてもらいやすくなるでしょう。
3-5-3. 採用人事から労務へ:
人事の中でも給与計算など労務系の職種にジョブチェンジするキャリアパターンです。同じ人事の仕事ですが、採用と労務では求められるスキルが大きく違うため、未経験転職と同じぐらいのハードルがあります。
この場合は、ポテンシャルが見られる若いうちに未経験歓迎の求人に応募することが重要と言えます。
参考)採用から労務へのキャリアチェンジの事例はこちら
3-5-3.採用人事から異業界・異職種へ:
業界も職種も新しい領域にチャレンジする場合は、ビジネスパーソンとしてのポテンシャルの高さをアピールする必要があります。
そのためには自己PRでは、現在の職種や役割に囚われすぎず「客観的に困難な状況で、自ら思考し周囲を巻き込んで解決した経験」を基準にエピソードを選定すると良いでしょう。
また、「新しい知見や業務をキャッチアップする力」を証明できるようなファクトも必要です。
4.採用人事からの転職をプロに相談
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監修者:佐賀 駿一郎