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「マネージャー」は罰ゲームではない ~決められるリーダーになるためのキャリアステップ~

次のキャリアが見える、転職サイト「ONE CAREER PLUS」がお届けする、「マネージャー」キャリアのつくり方。


多くの方が経験するパスである一方で、マネージャーとしてのキャリアを順当に歩めているのか、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。

特に、メンバーの育成のための情報は社内外に多々存在するものの、重要な意思決定を行い事業や組織を推進するマネージャーになるための極意は、なかなかフィーチャーされません。


本記事では、マネジメントのスペシャリストである坂井風太さんにお話を伺い、マネージャーキャリアの総論と、「決められるリーダー」になるために重要な観点をぎゅっとまとめました。


マネージャーキャリアの3つのステップと、ステップアップのために必要な要素を理解することで、自身や自身の上司の現在地を把握しキャリアづくりに活かしましょう。






はじめに:多くの人はマネージャーになる


世の中ではよく「スペシャリストか、ジェネラリストか?」の二項対立が語られます。

ここで言う「ジェネラリスト」が指すものは、すなわちマネージャーとしてのキャリアでしょう。


スペシャリストが1人で5人分の売上を作るような人材であるのに対し、マネージャーは5人のチームで売上を作ります。

スペシャリストの技能が「スペシャル」であるということはすなわち、世の大半の方々はマネージャーとしてキャリアアップを実現することになります


当初スペシャリストとしてキャリアを始めた方でも、レイヤーが上がるにつれて「〇人分の売上」部分の要請がどんどん引き上げられ、最終的にマネージャーに行きつくケースはよくあります。


また、マネージャーキャリアは、組織づくり、ひいては経営へとつながっており、大変魅力的なパスです。


一方で、組織の要請や辞令ベースでマネージャーキャリアが急にスタートする、マネジメントの知識が体系化されないまま「まずはやってみよう」で野に放たれる、という組織も多いのではないでしょうか。


本記事が、現在マネージャーとして奮闘している方々、これからマネージャーとしてのキャリアをスタートする方々にとって、キャリアを考える上での指針となれば幸いです。






マネージャーのキャリアステップ:スタイルの違いはレベルの違い


「マネージャーとタイプが合わない」

「自分が得意とするスタイルに合う部下ではない」


「マネジメントスタイル」という言葉に代表されるように、マネージャーのアプローチはよくスタイルの違いとして語られます。


しかし、その実態は「スタイルの違いではなくレベルの違い」だというのです。

後述する4つのレベルを意識することで、自身のキャリアステップをより解像度高く描けるようになると坂井さんは語ります。






各レベルを段階的かつ着実にステップアップすることが肝要ですが、企業によって得意とするステップに違いがあるのも事実でしょう。


例えばスタートアップの場合、Development Leaderを経ないままChange Leaderの役割を担うことになるケースが多く存在します。


プレイヤー個人としての突破力は高いものの、人や組織が作れないマネージャーになってしまい「(自分はできるから)頑張ればできる、なぜできないのか分からない、できる人が優秀だ」という生存者バイアスで物事を語りがちです。


大企業で多いのは、Change Leaderを経ずにServant Leaderになってしまうケースです。

傾聴力はあるものの、物事を前に進めることや決断することが苦手な傾向があります。


ここで、マネージャーの4つのレベルと相関関係の深い、「成人発達理論」をご紹介します。





マネージャーのキャリアステップは、成人発達理論のレベルアップと連動しています。

特に課題が大きいのは、Development LeaderからChange Leaderへのレベルアップ、すなわち自己主導段階へのレベルアップです。


自己主導段階を経験した人しかChange Leaderを育てられないため、リーダーの不在がさらなるリーダーシップ密度の減少を生みます。


特に決断したい若手は、こうした組織の状況に満足ができず、別の組織へ移る決断をします。そうして徐々に決断をしなくてもよい、もっと言えば決断をしない方が得をする組織へと弱体化していく構図です。






「脱・社畜」。意思決定ができるマネージャーになるために必要なこと


意思決定ができるChange Leaderへとレベルアップするには、2つの要因が関係します。


1つは、構造要因。すなわち、自分で決断する機会を与えられる構造が必要です。

他者からの評価のために指示されたことをこなすのではなく、不確実性の高い決断を自分の判断でできる環境が、Change Leaderを育てます。


この際のポイントは、情報の不完全性の高い状況下での意思決定=決断ということです。

意思決定に必要な情報が完全にそろっている状態であれば、合理的な解を提示する「合理的判断」にとどまるため、「決断」とは大きな違いがあります。






意思決定者が一定のリスクテイクを取ってなされるのが決断であり、社内で解がない新しい領域においては必ずこの決断力が必要です。


不確実性の高い決断をする経験を重ねることで、Change Leaderとしての手腕が磨かれます。


2つ目は、支援要因です。すなわち、ロールモデルが存在し、決断を支援・評価してくれる必要があります。


不確実性の高い決断の機会があったとしても、難易度が高く一定のリスクが伴う行為をし続けるのは大変なことです。


「自分はリーダーになれる」「リーダーシップを発揮していいんだ」と思えるよう、実際にChange Leaderを経験しChange Leaderへの登り方を教えてくれ、リーダーシップ自己効力感(※)を高めてくれるロールモデルのサポートが不可欠です。


逆にいえば、それらの支援もなしに、「抜擢人事」などを行っても、「自分はリーダーには向いてなかった…」というように、リーダーシップ自己効力感が低下してしまう恐れもあります。


※リーダーシップ自己効力感とは、BANDURA(1977)の自己効力感の概念がリーダーシップ文脈で適応されたものであり、「自分ならばリーダーシップを発揮して、上手くいかせられるだろう」という感覚を持っている状態を指します。


また、不確実性が高い決断には、情報が不完全であるからこそ「それが正しいと言える根拠は?」「競合他社はどうしてるの?」など、たくさんの口出しポイントがあります。


ただ、近年エフェクチュエーションとコーゼーションという概念で整理されたように、不確実性の高い領域に対しては、「許容可能な損失」などを抑えつつも、決断して成功を手繰り寄せていく方が有効なときもあり、枝葉の議論を考えすぎては何も前に進みません。


決断を経験した上司が組織に多数存在し、適切な支援・評価をしてくれる環境がリーダーを育てますが、逆に言えば決断を経験していないリーダーしかいない環境下では、観察学習も働きにくいということでもあります。


では、構造要因および支援要因が満たされるのは、どういった環境なのでしょうか

この点に関しては、残念ながら絶対的な解はなく、企業×事業部×ポジションによるのが実態です。


ただ、選択肢を絞るうえで持つべき観点はいくつか存在します。


  • 経営戦略:Change Leaderの存在を必要とする経営戦略か (複数事業展開、子会社展開、M&A など)
  • 昇進する人の特徴:チャレンジャーが称賛されるか、従順な人が重宝されるか
  • 肝入りの制度:チャレンジを促進する社内制度、抜擢後の支援 / 評価制度


また、当然ながら確実性の高い範疇で事業を展開する成熟企業は、Change Leaderになるための環境としては不向きでしょう。新しい取組をするにしても、確実に成果を上げてくれそうな熟練社員にその機会が優先的に回る傾向にあります。


一方で、スタートアップや成長産業であれば、すなわちChange Leaderになるための土壌があるかといわれると、必ずしもそうとは言えません。「成長したいなら成長企業に入るべし!」といっても、成長産業⇒決断機会の豊富さにダイレクトに繋がるわけではないのが実態だからです。


特にスタートアップでは、成果すなわち売上創出のためにあらゆる手段を取るため、専業制が敷かれ、一個人の役割で言えば「売上最大化のための機能担当」にとどまる可能性はあります。


この点においても、決断を求められているのか、他者の決断に基づいた遂行を求められているのかはアサインに依拠するので、注視したいところです。


<関連する転職体験談>



【逆張りキャリアのすすめ】


キャリアというと、花形部署や抜擢人事がフィーチャーされますが、マネージャーのキャリアステップを踏むという観点では、「傍流キャリア」は実は魅力的です。


社内における非注力領域であれば、決断ミスによる会社への致命的なダメージが生じないため、若手に大胆に任せることができます


現にリクルート社には、本社のエースプレイヤーを地方の事業所のリーダーに据え、決断経験を積ませたうえで本社に再配属するというキャリアパスが存在します。






「何もしない」が一番のリスク:自分のキャリアを自己主導しよう


情報が不完全であっても事業や組織に対して決断できるマネージャーになるには、まずは自身のキャリアに対して決断できるようになることがファーストステップなのかもしれません。


与えられた情報をもとに多くの他者にとって正解らしきキャリアを選択するのではなく、自分の軸で決断をする勇気と覚悟を持ち、それを自分なりの正解にする試行錯誤の過程を経てこそ、キャリアを自己主導できるようになるのではないでしょうか。


もう一つの観点として、「『才能の早バレ』よりも『実力の遅バレ』」があります。

SNSの時代になり、「すごい人と思われそう」「他の人からのウケがいい」キャリアが見えやすくなった結果、外部から称賛されやすいキャリアを目指しがちです。


ただ、キャリアには主体化と社会化、両方の側面が存在します。

社会化 (社会にとって良い存在になるべく組織へ順応する側面)ばかりを追い求めていても、「その場所では評価されるが、狭い領域での最適化に過ぎない状態」になってしまうリスクがあります。


結果として、「すごそうだと思っていたが実はそうでもなかった」という才能の化けの皮が剥がれる状態に陥る危険性があります。


そうであれば、主体化 (自身の価値基準を正として邁進する側面)を磨きながら、「実はこんなにできる人だったんだ」と自然と実力がバレる状態を目指すほうが戦略的だとも言えます。なぜならば、下手に世間の価値に最適化されず、実力を仕込んでいることがバレにくいために、一気に出し抜ける可能性があるためです。


長い目で見れば、キャリアの若手段階で、世間一般から「すごそう」と思われることではなく、自分が自信をもって「活躍できる」と言えるような価値や専門性を追求することで、世間が気づかぬ間にすごい実力を持った人材になっていた、という状況の方が功を奏することも考えられます。


もっと言えば、正解が見えやすい今の社会において、コスパの高い正解らしきキャリアに安直に向かうのではなく、「これができるようになったら絶対強いぞ」と思えて熱中できる問いを自ら定義し、そこにキャリアをBETすることでこそ、大きなリターンを得られるのではないでしょうか。それこそが、「キャリアの決断」なのかもしれません。


また、本記事を通して、自身および直属のマネージャーがどのレベルにいるのか、客観的に把握できた方も多くいらっしゃるでしょう。

上司と「合わないな」と思っている方は、上司のマネージャーとしてのレベルが発展途上である可能性もあります。

「必ずしも思い悩む必要はないのかもしれない」と、また明日から今より少し安心した気持ちでマネージャーと向き合うことができる人が増えたら嬉しく思います。



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【坂井風太さんについてより詳しく知りたい方はこちら】


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