こんにちは、トイアンナです。
過去30年にわたり、人気就職先でありつづける総合商社。
離職率の低さもあり、その内実はあまり知られていません。
新卒の学生から商社へ転職したい中堅まで、業務内容を「大きな決定をバーンと下して、国家規模のプロジェクトを回す」くらいの解像度しか持たずに応募する方も多く、商社の採用担当者はミーハー応募の多さへ頭をかかえているだろうな……と、お察しいたします。
そこで本稿では、商社で地獄を味わったある社員の話を聞いてきました。
商社エリートコースは、実質クライアントワーク
商社の業務で最も応募者から忘れられがちな、そして重要な事実として「総合商社とは、クライアントワークである」という点があります。
他の職種と比較すると、マーケターや経営企画は、主に社内調整が業務。難易度が高いことに変わりはなくとも、ステークホルダーは社内人材に限られます。攻略法も立てやすいし、社内の常識が通じるわけです。
しかし、商社は社外との交渉が主な業務。しかも主業は貿易ですから、輸出元と輸入先、2社が最低でもからみます。そこへさらに、各国の行政、司法、慣習まで考慮した動きが求められます。周囲に気配りしすぎれば、自社の利益が減る。四方八方に気配りが必要なお仕事です。
多数のステークホルダーが絡むということは、パワハラやセクハラにも接する可能性が高くなる、ということでもあります。いくら商社の中でパワハラ、セクハラを禁止したとしても、社外、それも海外の取引先までコントロールはできません。
「うちの国で、これはパワハラじゃないんで」と言われたら、おしまいなわけです。
そんな地獄を経験したのが、入社1年目のOさん(仮名)でした。
放り込まれた「離職率100%」の部署
Oさんが最初に配属されたのは、新卒が1年で100%辞める、文字通り地獄の職場でした。
―とある日本企業のために、原料となる資材を獲得するのが業務内容でした。同時に、その会社が世界へ拠点を拡大するための戦略設計から、実行まで担っていました。外部の方からは商社がコンサルティングに近い業務を担うことに驚かれるのですが、実はよくあるケースです。
ただ、その日本企業は下請けに厳しいことで知られていて……。特にBtoBの見えないところで、下請けイジメが常態化していたんですね。私たちもクライアントから見れば下請けに過ぎませんから、無茶を平気で投げてくる。
「世界中で不足している資源を絶対にこの数確保しろ」とか、「来週末までにA国の工場へ届けろ」とか。ただ、どんなに急かされても無理なものは無理ですからね。資材を運ぶ船の速度が倍になるわけじゃないし、Air(航空便)で運ぶと赤字だし。
さらに・・・



