ONE CAREER PLUSでは、次のキャリアを考えるきっかけとなるイベントを定期開催しています。今回お届けするのは、2021年12月に開催した「噂の上場SaaSに聞いてみた|SaaSへ転職後、キャリアはどうなる?」のイベントレポート。
SaaS企業に転職したことでキャリアはどう変わるのか?クラウドセキュリティサービスを展開する上場SaaS企業・HENNGEで働く3名と、ONE CAREER 佐賀をモデレーターに「異業界からの転職で業務や環境はどう変わったか」「年収や福利厚生など待遇はどう変わったか」などをディスカッション。
SaaS企業への転職を考えている人はもちろん、「SaaSってなんだろう?」「大手企業からベンチャーへの転職ってどうかな?」と考えている方にも参考になる情報がたくさん。クローズドイベントだからこそ語られたリアルな情報も公開します。
最近話題のSaaSとは?
ONE CAREER 佐賀(以下、佐賀):まず、SaaSとは何か、どんな種類があるのか、注目を集める理由を解説します。
■SaaSとは何か?
SaaSとは「Software as a Service」の頭文字を取った略語です。ERPなどソフトウェアを企業ごとにカスタマイズし提供するパッケージ製品に対し、SaaSは共通のサービスとしてインターネット上でソフトウェアを提供します。
■VerticalとHorizontal
SaaSには大きく分けて二つの種類があります。一つはHorizontal SaaS。業界横断で特定の分野や機能の業務(セキュリティや会計など)の利便性を図るSaaSで、お客さまを選ばないという特徴があります。もう一つはVertical SaaS。例えばAIによる教育改善、建設現場のDXなど、業界特化型のSaaSです。
■SaaSが注目される理由

出典:富士キメラ総研「ソフトウェア新市場2020年版」2019年度実績、2020年度見込み、以降予測
・急成長市場であり、資金調達も増えている
富士キメラ総研の調査によると、日本のSaaS市場は年平均13%の勢いで急成長しています。2024年には1.12兆円まで伸び、ソフトウェア市場におけるSaaS比率も大幅に上昇すると予想されています。
また市場の伸びと相まって、国内の資金調達額・資金調達社数も右肩上がりで推移しています(2019年の時点で744億円・155社)。ベンチャー企業への転職=待遇ダウンという印象を持っている方もいるかもしれません。今こうしたリスクマネーが流れ込んでいることで、他の企業・業界より労働環境や待遇が良い場合もあります。
・顧客志向なストック型ビジネスモデル

SaaSの特徴として、ビジネスモデルの特異性があります。これまでのソフトウェア業界は「1回売って終わり」が主流でした。一方でSaaSはサブスクリプションモデル、いわゆる利用料や期間に応じて費用が発生する継続課金モデルが前提。座布団式に売上を増やせる半面、顧客を満足させ続けることが必須であり、いかに解約されないかが重要視されるビジネスモデルです。だからこそ、顧客に対して本質的なビジネスを追及できることが大きな魅力です。
・経験者が市場に少ない分、市場価値が高い
SaaS業界では顧客に対して価値を提供するため、機能ごとに職種が分かれています。例えば電話などで営業活動を行うインサイドセールス、お客さまに提案を行うフィールドセールス、導入後の支援をするカスタマーサクセスなど。SaaS企業が増えていくなかでこうした新しい職種が生まれるとともに、これらの職種を経験することでキャリアの幅も広がっていきます。こうした多様な人材のニーズもあり、SaaS業界に注目が集まっています。
HENNGE 企業概要

山本:HENNGE株式会社の概要や主力サービスの内容、社内制度などについてご紹介します。
■会社概要
会社名 :HENNGE(ヘンゲ)株式会社
設立 :1996年11月5日
オフィス:東京・大阪・名古屋・福岡・台湾
社名由来:「HEN」KA(変化) × CHALLE「NGE」(チャレンジ)の造語。変わりゆく時代に、変化してチャレンジしようとするお客さまに価値提供したいという思い、自身も変化してチャレンジしようという両方の思いが込められてます。
ビジョン:テクノロジーの解放で世の中を変えていく。
バリュー:アーリーアダプターであり続けるために、青い果実を食べる。
→実験的にお腹を壊す(=失敗する)ところから得た教訓をお客さまに提供する。
■主力サービス
HENNGE One
Microsoft 365、Google Workspace、Box、LINE WORKSなど、さまざまなクラウドサービスに対して横断的にセキュアなアクセスとシングルサインオン機能などを提供するSaaS認証基盤(IDaaS)。リリースから10年、多くの会社とサービス連携中。グローバル展開も行っている。
■社内制度と文化

・全社員の約20%が外国籍社員(20か国)
・2016年から英語が社内公用語
→充実した英語学習支援制度(オンライン英会話レッスン、TOEIC受験支援、セブ送りなど)を整備
・クイックジョブローテーション制度
→2〜3年ごとに多くの営業職種を経験することで視野の広さを養い、SaaSのプロフェッショナルを育成。
・新規事業アイデアコンテスト「Inspire Matsuri(インスパイア祭り)」
→第二、第三の主力サービスを目指す社内公募制度。
・最新のSaaSを使いながら働ける環境
HENNGE社員によるパネルトーク!SaaS企業へ転職した理由は?
佐賀:まず藤本さんから、なぜ転職を思い立ったか、何を重視してHENNGEにたどり着いたのか教えてください。

藤本 京介(ふじもと きょうすけ):Partner Sales。ダイワボウ情報システム(IT専門商社)に営業として7年間勤務。2021年2月にHENNGEにジョイン。入社後はハイタッチセールス(=エンドユーザーへの直接営業)を経験し、10月から現在のパートナーセールスにジョブローテーションした。
藤本:元々ITが大好きで、仕事でも携わりたいと、ダイワボウ情報システムに新卒で入りました。当時はクラウドサービスが出始め、クラウドと共にITに携わってきましたね。そのなかで、SaaS市場は今後さらに伸びると思案し、個人的にも好きで売っていました。
ですが、SaaSは数百円のサービス。1~2億円の売上が求められるなか、予算未達成で大きく評価されない日々が続きました。歯がゆかったですが、SaaSが世の中を変えていくと信じ、その可能性を自分の力でもっと広げていきたいと転職を思い立ちました。
当時は特にSaaS企業のなかでもセキュリティ業界を見ていました。クラウドの利便性の裏に潜むセキュリティについて興味があったんです。あとは会社のビジョンやそこに対する意志の強さ、カルチャーや自分との相性を重視しました。
佐賀:前職に不満があったわけではなく、純粋にSaaS業界に魅力を感じて転職されたんですね。では、HENNGEへの転職を決断した決め手は何だったのでしょう?
藤本:「人」で選びました。私は元来営業マンで人とのつながりや「誰と働きたいか」「どんな会社で働きたいか」が重要です。HENNGEの面接はパーソナリティを重視し、個性を引き出してくれます。忘れられないのが一次、二次面接。「ここが課題だから、直したら次の面接もっと良くなるよ」と前向きなアドバイスをもらったこと。そんなスタンスの会社は、20社ほど受けたなかでもなかなかなかったので、ここで働きたいと思いました。
佐賀:最後は人が決め手だったのですね。では、谷元さんはどうでしょうか。
谷元:ビームス在籍時に今後のキャリアを考えていく中で、過去のホームステイ経験や海外で働く友人の影響もあり、グローバルな企業に興味を持っていました。当時の私には大きな裁量がなく、仕事の幅を広げたい、大企業だともっと勉強できるのではと、3000人規模のビームスから2万人規模のNTTコミュニケーションズのマレーシア拠点に転職しました。
しかし、希望業務には既に担当がいて、オフショアだったので情報伝達にも時間がかかり、仕事の裁量が少なかったんです。視野は広がりましたが、リアルで人と関係を作りながら働きたいと思い、コロナ禍で帰国することになった際、転職を決意しました。クラウドの知識が豊富だったわけでもないので、導入コンサルタントへの転職はチャレンジングでしたね。
転職後、業務内容や環境はどう変わった?
佐賀:その後、HENNGEへ転職し、業務内容はどのように変わりましたか?

谷元 幹佳(たにもと みか):On-boarding Guide。ビームスの情報システム部に4年間勤務。その後、NTTコミュニケーションズマレーシア拠点(現:NTTリミテッド)に入社し、情報システム部で4年間世界各国のシステムサポート・技術支援を行う。昨年帰国しHENNGEにジョイン。現在は導入コンサルタントを務める。
谷元:前職だと情報システム部の特性上、特定の業界の知識は深まるものの、それ以外の幅は広がりません。しかしSaaSはあらゆる業界のお客さまがいるので視野が広がります。
月20件〜30件、多い時には40件ほどのお客さまを担当しています。業界や会社規模、環境が異なり、それぞれの悩みに対し最適な提案をすることに多くのやりがいを感じますね。
藤本:市場の変化がとても速く、最新の情報から仮説・検証し、お客さまに提案していかなければなりません。例えば今、コロナ禍でテレワークが広まり、メールの誤送信など、クラウドサービスのセキュリティリスクが課題になっています。
このスピードについていくためには、情報のアップデートと、課題から新サービスを創出する行動力と応用力が必要です。そこはIT商社にいた頃とは大きく異なる点です。
佐賀:大変な業務なのに、楽しそうに語っている藤本さんが印象的でした。変化に紐付く大変さをどう捉えてらっしゃるのでしょう?
藤本:新しいことを学んで成長することが好きです。日々成長してお客さまに喜んでもらえることはうれしい。また、未解決の課題に挑戦できるのもやりがいがあります。
佐賀:HENNGEに入社してどうキャリアが変わっていきましたか?
藤本:入社して人生の選択肢が一気に広がりました。HENNGEは多様性を目指し、国籍も考え方もさまざまな人がいます。日々学ぶことは多く、今まで井の中の蛙だったと思わされました。
ジョブローテーションもあり、入社1年後にハイタッチセールスからパートナーセールスへと職種の切り替えも経験しました。今後はリニューアルセールスという更新部隊もやってみたいですね。
※参考:HENNGEのクイックジョブローテーション制度

あと、今まで英語の勉強をやっていなかったのですが、今は英語を使えた方が有利だと思っていて。社内制度を利用し、毎日英語を勉強しています。業務をはじめ、将来海外に趣味のサッカーを観に行くときに役立てたいです。HENNGEに入って1年ですが、ガラッと価値観が変わったことに感謝しています。
佐賀:語学堪能な方ばかりかと思いきや、入ってから語学力を身に付けられる環境に安心した方も多いと思います。また、藤本さんのお話の、いい意味で会社を使って自分のキャリアを形成できるという面も印象的ですね。
IT未経験からSaaS企業へ挑戦はできる?
佐賀:山本さんに伺いたいのですが、業界やみなさんのバックグラウンドから、HENNGEではITの素養が必須だと感じられたのですが、実際はどうでしょうか?
山本:SaaS業界は、仕事が細分化され、役割や必要な知識も明確でドキュメントや教育の整備が進み、経験が浅くてもキャッチアップしやすい環境だと思います。
HENNGEにおいては、SaaS事業を展開して月日が経っていることもあり、成熟度は高く、創業間もないスタートアップより整備すべきところは少ないです。しかし、SaaSの新しい働き方は積極的に取り入れようとしていますね。
佐賀:SaaS業界には教育環境や情報をシェアする文化があるということですか?
山本:SaaS業界は情報発信する人が多く、noteやTwitterなどにすでにたくさんのノウハウが掲載されています。HENNGEもTwitter(@henngeone)やブログ(https://hennge.com/jp/info/henka/)で情報公開しているのでご覧いただければと思います。
職種チェンジによる変化はあった?
佐賀:藤本さんは、前職で営業を経験し、現在HENNGEではフィールドセールスをやられていますが、これってそもそも職種チェンジなんでしょうか?
藤本:呼び方が違うだけで、業務はほとんど変わりはありません。ただHENNGEのフィールドセールスは、アクションスピードと裁量があります。国内の一般的な企業だと、裁量が少ないところもまだまだ多いです。しかしHENNGEは、自分のアイデアを具現化するために、周りが協力してくれます。すごくいい環境です。
佐賀:社名の由来となっている変化とチャレンジを全社員で体現している。そんな面白さがあるのがHENNGEの特徴なんですね。お客さまにサービス提供し、売り上げを追うところは前職の営業と一緒だと思うのですが、途中で飽きてしまうことはないですか?
藤本:それはありません。ジョブローテーションや、やりたい施策にトライできたりと、思い立って即行動、毎月違うアクションを取れるので、新鮮で楽しいですね。
佐賀:一般的なSaaSのフィールドセールスと、HENNGEのフィールドセールスの違いについて、藤本さんのお話に付随して山本さんにも伺いたいです。

山本 洋平(やまもと ようへい):Customer Success Deputy Division Manager。NECでシステムエンジニアと営業を経験。7年勤めたのちHENNGEにジョイン。セールスを経験し、カスタマーサクセスへ移動。
山本:HENNGEも「The Model」をベースに組織を作っているので、一般のSaaS企業のフィールドセールスに近いかもしれません。しかし、そこに我々のカルチャーや仕組みが加わっていきます。藤本の話にもあった通り、SaaSのメリットを活かしつつ、自ら編み出した施策を打てるのは他企業と異なる点ではないでしょうか。
佐賀:次に谷元さんに伺いたいのですが、情報システムからカスタマーサクセスに職種チェンジして、一番感じる変化は何でしょう?
谷元:いろんな業界のお客さまがいるので知識が増えました。また、一般的な情報システムは一度導入すると5〜10年使用することが多いのですが、HENNGEのサービスはクラウド上ですぐ変更ができます。仕組みや見た目が生き物のように変わっていくので変化に対する許容範囲が広がり、楽しみながら常に新鮮な気持ちで業務に取り組んでいます。
佐賀:HENNGEのカスタマーサクセスの方を見ていると、前職でもITの素養を持っている方が活躍している印象です。山本さん、これには何か理由がありますか?
山本:お客さまが情報システム部であることが多いので、彼らとコミュニケーションを取るために予備知識は必要ですね。
私はフィールドセールスからリニューアルセールス(=既存のお客様へのセールス)に異動、カスタマーサクセスへとステップを踏んでいるので、スムーズに業務に取り組めました。前職の知識を活かせている部分もあります。
佐賀:大企業のカルチャーや仕事の仕方に差がとてもあると感じたのですが、入社時にギャップや困った点はなかったですか?
藤本:ありました、本当に自由で……。逆に手を上げないと仕事が回ってこないんです。やる気のある人に仕事が流れていくので、新入社員でも臆せず「やります」と発言することが重要です。
谷元:ギャップはすごく感じました。日系企業は考え方も保守的で、役職がある人がプロジェクトを回してという雰囲気が強い。あと有給の取り方に暗黙の決まりがあったり、名ばかりのフレックスなど。
しかしHENNGEはやる気があれば仕事を任せてもらえます。私は人事のサポートや今回のようなセミナーへの登壇、カスタマーサクセスにおける業務改善の提案なども行っています。働く時間も柔軟ですね。
年収や福利厚生などの待遇は?
佐賀:ちなみに、有価証券報告書を見たところ、他の上場系SaaSベンチャー企業だと平均年収が500万円台後半から600万円に対し、HENNGEは700万円超えだったんですね。みなさんHENNGEに入社したことで、待遇面でどのような変化がありましたか?
藤本:私は額面だと年収が上がりました。ただ前職の場合、家賃補助などの福利厚生が手厚かったので、それを踏まえると同等です。
佐賀:たまに提示年収は高いけれど、入社してからの変動幅がなく、大手に残った方が良かったという話も聞きます。その点はいかがでしょうか?
山本:前職の同期と話していると、ちゃんと評価されている感覚はあります。それに加え、一般企業だと英語学習は自己負担のところが多いですが、HENNGEは補助があります。
谷元:入社して1年半ですが、役職がついたわけではなく、頑張りが評価されて給料が一気に100万円以上上がりました。一般的な国内企業だと、例えば役職がついたら給料が上がる流れだと思います。HENNGEの場合、頑張りが反映される仕組みで公平・透明性のある評価がなされていると感じます。
福利厚生は特徴的なものが多いですね。海外で働いていましたが、英語はビジネスレベルではなく、現在毎日会社の制度を使って勉強しています。勉強を支援してくれる会社なので、向上心を持って今後のキャリアを歩んでいけるなと思ってます。
佐賀:ぶっちゃけトークをありがとうございます。それではなぜ、HENNGEはこのような社員還元ができているのでしょうか?
山本:評価基準が整備され、会社の目指す方向も定まっています。英語学習もやみくもではなく、中期・長期の目標があってのもの。だからこそ投資していると思われます。
HENNGEは「自分が変化できる会社」

佐賀:最後に、皆さんへ一言メッセージをお願いします。
山本:HENNGEの特徴は、SaaSでありながらも歴史があり、バランスの取れた会社です。もし今日の話で興味を持った方がいれば、ぜひ面接でお会いしたいです。
藤本:HENNGEはいろんな文化があって面白く、頑張った人がきちんと評価される、バイタリティ次第で変化できる会社です。一緒に働けることを楽しみにしています。
谷元:HENNGEの一番のバリューは、人がすごく良いことです。みんな勉強熱心で、いろんなところにアンテナを張り巡らせていて、すごく面白い。外資系と日系のいいとこどりな環境、自由な働き方などHENNGEのカルチャーに興味のある方は、ぜひ採用情報を見てみてください。
【枠数限定】「無料キャリア面談」のご案内
ONE CAREER PLUSのキャリア面談では、3,000件以上のキャリアデータから、選ぶべきキャリアパターンや求人例をご紹介。
面談予約は下記フォームより。短期的な転職支援ニーズから中長期のキャリア相談ニーズまでご対応可能です。