ONE CAREER PLUSでは、次のキャリアを考えるきっかけとなるイベントを定期開催しています。今回お届けするのは、2022年1月に開催した「未経験からの事業開発」のイベントレポート。
企業や業界の次の一手を見つめ、新たな価値創出に取り組むBizDev(事業開発)。業務内容が多様で責任の範囲も広いため、多様なスキルや事業を俯瞰する経営視点が身に付くと、昨今人気の職種です。
未経験でBizDevへとジョブチェンジしたキャディ株式会社の郷田藍里さん、株式会社ビザスクの小野澤佑夏さん、モデレーターにONE CAREERの佐賀を加え、さまざまな角度からBizDevという職種に迫りました。
登壇者プロフィール
郷田 藍里(ごうだ あいり):キャディ株式会社 プロジェクトマネジメント オペレーションリーダー。リクルートキャリアにて「広告×人材」の法人営業を担当。3年間企業の採用支援を行った後、2020年にキャディに入社。現在は装置事業部にて顧客サイド・パートナーサイドの双方とコミュニケーションを取り、案件の獲得と納品に従事。
小野澤 佑夏(おのざわ ゆうか):株式会社ビザスク 法人事業部 事業開発担当。大学卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズにて法人営業を担当。3年間、大手企業向けに人事や会計などの基幹システムの販売に携わった後、ビザスクに入社。プロジェクトマネージャーに従事したのち、現在は法人事業部の事業開発を担当する。
ONE CAREER 佐賀:モデレーター
BizDevとは事業を「創る・伸ばす・磨く」こと

■BizDevのミッション
BizDev(ビズデブ)とは「Business Development(ビジネスディベロップメント)」の略で、「事業開発」のことをいいます。株式会社ラクスル取締役・福島広造さんのnoteによると、BizDevのミッションは「非連続な“事業価値”を創ること」。
例えば、事業責任者や決済者となる事業本部長は、連続的な事業運営で利益を管理することがミッションである一方、BizDevは事業の開発に注力し、非連続的な挑戦にコミットすることがミッションです。
■BizDevの業務内容
BizDevの業務内容は、大きく分けて事業を「創る」「伸ばす」「磨く」の3つに分けられます。言い換えると、事業を「増やす」、売り上げを「伸ばす」、収益を「増やす」。
一方で求人を見ると、各社のBizDevにおける業務内容が異なることも。その理由は、「業務の変遷」が大きく関係しています。
会社の立ち上げ期には、市場調査や機能開発、外部との提携が始まり、急成長期に入ると、収益モデルの構築や成長加速が追加され、成熟期には事業再構築や新規事業に目を向けます。つまり、企業の段階によってBizDevの業務内容は大きく変わるのです。
このようにBizDevは定義の難しい職種ですが、先述の3つの役割と、企業のフェーズによって業務が変遷していくことを頭に入れておくと、イメージしやすいかもしれません。
キャディ、ビザスクのBizDevについて
■キャディ株式会社の事業概要
「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに、製造業のバリューチェーンが抱える構造的な課題に対し、2017年の創業以来、産業の常識を変える、モノとデジタルデータをコアとした「新たな仕組み」を生み出し続けています。
受発注プラットフォーム『CADDi』では、製造業の産業バリューチェーンにおける受発注の課題解決に向け、発注者の依頼に対して、独自のテクノロジーで品質・納期・価格が最も適合する加工会社を選定。実際に検品・納品まで行うことで、最適なサプライチェーンを構築する仕組みを提供してきました。
2022年6月には新たに、 製造業のDXの実現を支援する、図面データ活用クラウド『CADDi DRAWER』の提供を開始。さらに、ベトナム・ホーチミン市に拠点を設立し、グローバルなサプライチェーンの構築も推進しています。
■サービスの特徴
課題解決のポイントは、テクノロジーとオペレーションの力。組織の¼弱を占めるエンジニアにより、製造原価計算、図面管理、生産管理など、さまざまなプロダクトを社内で開発しています。そのほとんどが社内でのオペレーションに関わり、結果的に課題解決に繋がっているんです。
2021年の受注額は前年比で6倍超に拡大。加工種類も拡大し、より高付加価値の提供を行っています。2030年にはグローバル1兆円の受発注プラットフォーム、データをレバレッジした製造業ソリューション・プロバイダーを目指し、更なる改革を進めています。
■BizDevの業務内容
ビジネス本部内は、カスタマー(発注者)、パートナー(受注者)、キャディで成り立ちます。カスタマーとパートナーの間に位置する「Costomer Experience」がBizDevに当たり、案件ディレクションや両サイドのエクスペリエンス向上、サービス改善に携わります。社内戦略によって、業務が変わることがあります。
■株式会社ビザスクの事業概要
「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに、ビジネス領域に特化した世界49万人超(2022年7月時点)の知見が集まるナレッジプラットフォームを開発、運営。2013年にスポットコンサルのマッチングサービス(現「ビザスクinterview」「ビザスクlite」)をローンチ。拡張してきた知見データベースを活用し、2017年より年1のペースで新規プロダクトを開発しています。
■サービスの特徴
ビザスクのナレッジプラットフォームは、新規事業の創出に伴う業界調査やユーザーインタビュー、組織・業務課題の解決、投資先の精査(DD)などのシーンで活用されています。さらにグローバルな展開にも注力し、2021年には10年前からビザスクと同様の事業を展開している米国大手「Coleman Research Group, Inc.」の買収を完了しました。
ビザスク×Colemanの統合プラットフォームは登録者数49万人超、世界7拠点へと拡大しており、国内外を問わず「知見と挑戦をつなぐ」世界一のナレッジプラットフォームを目指しています。
■BizDevの業務内容
BizDevの役割は「対クライアント」と「対社内」の2つに分けられます。対クライアントは、さまざまな企業の事業課題に対し、0→1で解決策を提案しています。一方、対社内は、同社の持つ知見とデータベースを活用し、クライアントのニーズに合ったサービスを開発しています。
中途入社組によるBizDevへのキャリアパス

ONE CAREER 佐賀(以下、佐賀):ここからは、キャディ株式会社と株式会社ビザスクでBizDevとして就業中のお二人に、前職の経験やBizDevへの転職理由などについて伺っていきます。まずは、自己紹介と簡単な経歴を教えてください。
キャディ 郷田:私はキャディ株式会社でプロジェクトマネジメント、オペレーションリーダーを担当しています。前職はリクルートキャリアにて法人営業で3年間企業採用の支援を行っていました。
2020年にキャディへ入社し、現在は装置事業部で顧客サイドとパートナーサイドの両方とコミュニケーションを取り、案件の獲得と納品を行っています。キャディのBizDevは、営業からパートナーとの交渉、納品結果のディレクションまで、幅広く業務に携わります。
ビザスク 小野澤:株式会社ビザスクでBizDev職に就いています。
大学卒業後は、株式会社ワークスアプリケーションズにて法人営業に従事し、3年間大手企業向けに人事や会計などの基幹システムの販売に携わりました。その後、ビザスクに入社しました。
入社当初は、プロジェクトマネージャーとして企業の課題とビジネス知見をもつアドバイザーのマッチング業務に取り組み、現在は法人事業部のBizDevとして、事業会社における社外知見の活用、新規事業開発の支援を行っています。
同時に、顧客のニーズや課題に合わせ、社内の新しいサービスの企画・推進にも携わっています。

佐賀:転職を思い立った理由はなんだったのでしょう?
キャディ 郷田:転職を考えていなかったときに、偶然キャディについての記事を読み、ミッションの壮大さ、従業員の本気度、優秀さに衝撃を受けて応募を決めました。
当初の求人には、BizDevがありませんでした。比較的オープンポジションのような感じで社員も50〜60名程度だったので、選考中は社内のカオスな雰囲気を感知しましたね。そして今は、そのカオスさを楽しむことこそBizDevの醍醐味だと気付きました。
ビザスク 小野澤:私は前職の就業3年目に移るタイミングで、業務への取り組みに疑問を持ったことがきっかけです。3年目に突入する区切りに、世の中をもっと知りたいという想いで転職活動を始めました。
基幹システムを中心に営業していた経験から、「IT×人材」の軸で会社を探していました。そうして見つけたのがビザスク。事業内容がワクワクしたので、応募したんです。
プロジェクトマネージャーとして入社したのですが、自身が蓄積したプラットフォームを活用して新しいことにチャレンジしたくなり、自らBizDevに手を挙げました。
未経験からのBizDevにおける苦労と楽しさ

佐賀:実際、BizDevとして働いてみていかがですか?
キャディ 郷田:キャディは製造業なので、現物を現地に観に行ったり、クライアントと一緒に作業したりなど、現場を大切にしています。机上の作業とはまた異なるエネルギーを使いますね。
ビザスク 小野澤:BizDevは、「大きなプロジェクトを成し遂げる」などという華やかなイメージがあると思うのですが、全てがそうとは限りません。
ビザスクでは、さまざまな細かい検討や検証を積み重ねながら、お客さまの課題を解決したり、自社サービスを開発していたりするんです。
佐賀:未経験からBizDevにチャレンジした際の苦労はありましたか?
キャディ 郷田:大規模な案件を一人で進めなければならない点です。0から課題を解決していくなか、未経験で腹を括るのはかなりハードルが高かったです。
また、BizDevには答えがなく、一つずつ課題を整理しながら進めていくことは大変でした。
前職とは、目標の高さや課題のスケールは全く違います。キャディで担当する案件は幅広く、ある種経営的な目線で、売り上げ・買値・粗利まで考えなければいけません。且つBizDevは、課題解決の領域が決められないので、プラットフォームや知見をフル活用していく部分は難しいですね。
ビザスク 小野澤:特に大変なのは新規プロダクトの展開。ビザスクのBizDevは、クライアントの課題やニーズから新しいプロダクトを生み出すことも仕事です。
プラットフォームの延長線上で新しい価値を出すことはワクワクする一方、実現・発展させるにはさまざまな人の協力が必要。
且つ、クライアントに対するサービスのメリット、アプローチ方法を明示しながら、反応を見て検討、改善していくことが重要です。少しずつ結果を振り返りながら、徐々に進行していかなければなりません。

佐賀:未経験からでもBizDevとして活躍できるのでしょうか?
キャディ 郷田:BizDevをやりたい方は、思い切って転職するのも一つの手です。「2030年までに一兆円規模のグローバルプラットフォームを目指す」という大きな目標を掲げたキャディで働く社員は、全員がBizDevです。
つまり、入社後は事業開発を行う機会しかない。その環境に入ってしまえば、十分に挑戦・活躍できると思います。
未経験から入社した当初は、課題解決の際に周りに「どうすればいいですか?」と質問すれば、「どうしたらいいと思う?」と逆に質問が返ってくる日々でした。考えてアウトプットしてフィードバックを受けるうちに、徐々に求められているものに近づいている感覚はあります。このように、未経験でも成長できる環境はありますね。
ビザスク 小野澤:未経験でも問題ありません。一番大事なのはやりたいと思う意思があるかどうか。また、その想いは胸に秘めているだけではなく、意思を表に出して、それに基づいた行動を持続することが大事です。
佐賀:未経験からどのようにキャッチアップしていったのですか?

キャディ 郷田:BizDevは、本や講座を参考にしても成功するものではありません。プロジェクトを前に進めるうえでのキャッチアップは、いかに失敗しながら周りに頼れるかが鍵だと感じています。
ビザスク 小野澤:郷田さんの言う通り、BizDevは必ずしも勉強した分だけ成果が出る領域ではないです。理想を描いて課題へのアプローチを考えるのは簡単ですが、実現するのが難しい。なので、いろいろな人に地道に相談しながら改善していくことを心がけています。
佐賀:経験から学んでいく職種なんですね。そのなかでも、前職での経験が生きたと感じることはありますか?
キャディ 郷田:リクルートなどの大手人材会社の特徴として、ステークホルダーの数が多いことが上げられます。
前職の営業では、顧客のなかでも責任者から現場担当者まで、さまざまな人と関わりました。そこでのコミュニケーションスキルは、今に生かされていると思います。
ビザスク 小野澤:前職のワークスアプリケーションズでは、コンサルティング型の営業を行い「なぜ資料にこういう書き方をするのか」「その提案は適切なのか」など、事細かに考えていました。
現在でも、クライアントの課題やサービスの利用目的を考える力は非常に大事なので、そのスキルは生かせていると実感しています。

佐賀:顧客への価値提供に徹するなら営業も当てはまりそうですが、BizDevならではの職種の面白さはありますか?
キャディ 郷田:担当した案件の拡張性や継続性まで考える点です。
営業だとクライアントとの案件が終了したらそこまでですが、BizDevはオペレーションの側から、発展に貢献する人材採用についてや、事業成功の再現性まで考えたりなど、継続的なアプローチにも取り組みます。
ビザスク 小野澤:営業は売り上げを作ることの優先順位が高いです。BizDevも売り上げの数字目標はあるものの、根底にある目的は数字ではないことが多い。
例えば、特定のクライアントの課題や状況に合わせて提案していたスキームが新サービスとしてかたちになり自社のミッション実現に向けた一歩になるのも、ご支援していたプロジェクトからクライアントの新サービスというかたちになり、今後世の中に影響を与えていくのも、それはすごく幸せなことだなと思います。
0→1からプロダクトの推進・成長を支えることは達成感があり、BizDevならではの楽しさです。

佐賀:大手からの転職は、福利厚生や給与面で懸念される方も多いかと思います。その点、転職時に注目されたことがあればお伺いしたいです。
キャディ 郷田:何を重要視するか次第だと思っています。キャディでキャリアを積むことで市場価値が高くなっていると実感していますし、事業を拡大するなかでついてくるものだとも考えています。
企業によって、チャレンジできる機会の差がかなりあります。一定の環境下では、機会は作るものでなくあるものなので、もし主体的にチャレンジしたいのであれば、ベンチャーなど機会に恵まれた企業に行くべきでしょう。
BizDevだからこそ培われるスキルとは

佐賀:視聴者の方から質問も届いています。「BizDevは広域にコミットできる一方で、専門性が養われにくそうですが、どのように捉えているのでしょうか」とのことですが、お二人とはその辺どうお考えでしょうか?
キャディ 郷田:BizDevで培える課題解決スキルは、どこでも通用すると思います。一定の専門性があることで、別のポジションで求められる専門性をスピーディーに上げていく力が身に付くんですね。
例えば、私はオペレーションのマネジメント力があると自負しており、それを強みにサクセスを作っていくことが可能です。その専門性を生かすことで、ジェネラリストというグラデーションの中の位置付けはできる。なので、総合力を高めつつ自分の強みを言語化していくことは大切だと感じています。

ビザスク 小野澤:BizDevはよく、なんでも屋とも捉えられます。個人的なキャリアを考えたときも、最終的に何が得で損なのかは正直分かりません。
ただ、人生の大半の時間を費やす仕事であれば、結局自分が続けられる、やりたいと思ったことをやった方がいいと思います。
私は自分の人生において、専門性を突き詰めるより、さまざまなことへチャレンジする方が大切だと思っています。なので、BizDevは自分に合っていますね。
佐賀:お二人から、みなさんへメッセージをお願いします。
キャディ 郷田:BizDevは特定のスキルや経験だけが必須ではないので、興味があればぜひチャレンジしてみてください。
キャディで働いて2年が経ちますが、いまだにいい意味でカオスな会社だと感じています。0から何かを作り上げたり、課題解決が好きな人にはこの会社はおすすめです。
ビザスク 小野澤:今世間に出回っているプロダクトも、最初は小さな気づきやアイデアから始まっています。ですので、新しいチャレンジがしたい、こんなこと実現したら楽しいんじゃないかなど、ワクワクした気持ちを大切にして欲しいです。
そして悩んでいるなら、まず一歩踏み出してみてください。ビザスクはやりたいことがやれる環境が備わっています。日本最大級のtoB向けのナレッジプラットフォームを持つ会社で幅広く挑戦したい方は、ぜひご連絡ください。
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