はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、「ブランドマネージャー間で商材による違いってあるんですか」というご相談です。
ブランドマネージャーは、扱う商材によって、その後の転職において違いが生まれるのでしょうか。
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。
本コンテンツは、Podcastまたは記事のお好きな方法でお楽しみいただけます。
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本日のお便り
お世話になっております、ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである私佐賀が、キャリアのお悩みに答えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していく、シンプルなコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちら。
ラジオネーム「充電器」さんからのお便りです。
「社会人10年目の『充電器』です。こんにちは。
現在ハードウェアメーカーで低単価商材のブランドマネージャーをしています。
今後もブランドマネージャーとしてキャリアを歩みたく、転職活動を始めました。
しかし、同じ年収レンジでブランドマネージャーとして転職が叶う企業と叶わない企業が出てきています。
消費財メーカーは、年収を落とし、さらにアソシエイトブランドマネージャーという職位を落としての再スタートとなるオファーしかなかなかいただけません。
ブランドマネージャーと一口に言っても商材による違いってあるんでしょうか?」
今回のご質問、「ブランドマネージャーと一口に言っても商材による違いがあるかどうか」については、商材による違いが明確に存在すると考えています。
おそらく今回ご相談者さんが在籍されていらっしゃる「ハードウェアメーカー」とは、パソコンなどよりも価格が抑えられた商品、充電器などの商品を扱っている企業と推察します。
一方で、転職先のターゲットとしている「消費財メーカー」は、おそらくP&G、ロレアル、ネスレなどのような、新卒就活でも人気の高い企業群を指しているでしょう。
しかし、ブランドマネージャーは、自社商材を扱っているという共通点はあったとしても、
- 予算の大きさ
- メインの販売チャネル
- マーケットサイズ
これらによって、大きく変わってきます。
予算の大きさによってメインとなる販売チャネルが変わる
今回は、
- P&Gやロレアルなどの消費材メーカー
- 低単価商材を扱うハードウェアメーカー
の2つを取り上げ説明していきます。
まず、一番の違いは予算の大きさです。
P&Gやロレアルなどの消費財メーカーは、投じている金額の大きさが販売チャネルの差異にも繋がっています。
これらの企業の特徴は、主にテレビCMやオフライン広告に大きな予算を充てていることです。
近年では、資生堂などがオフライン広告からデジタルシフトを進めている例もありますが、依然として使用される予算の規模やその配分には相当な違いが見られます。
特に美容や化粧品、食品などの消費財は、消費者に認知され第一想起されるかが極めて重要です。
そのため、、テレビCMやオフライン広告に対する予算が重要視され、こうしたそのチャネルへの堅実な資金配分が行われる傾向があります。
このような事情から、どのチャネルを中心に展開していくか、そしてその予算の大きさには、消費財メーカーとハードウェアメーカーの間で違いがあると言えるでしょう。
主要なチャネルによる経験の差異が、職位や年収に違いを生む可能性がある
ハードウェアメーカーの中でも、Ankerのような企業にとっては、家電量販店も重要なチャネルですが、Amazonなどにも商品を掲載しており、特にECモールでの攻略が焦点になっています。
例えば年末になるとブラックフライデーやプライムデーなど、各モールで様々な施策が行われますが、こうした中で、自社商品の露出の増加や値引きなどの戦略を駆使し、流通量を拡大させることが求められます。
またハードウェアメーカーにとって、インフルエンサーマーケティングも重要で、特にガジェット系ユーチューバーが注目されています。
ソニーやニコン、キヤノンなどのカメラメーカーも、ガジェット系ユーチューバーと提携し商品の紹介を行っています。
ただし、インフルエンサーマーケティングにかかる費用は大きくない傾向があり、商品の貸与や数万円の謝礼などが一般的で、これはテレビCMやオフライン広告とは異なる金額水準です。
このように、ブランドマネージャーの経験は、取り扱うチャネルの金額の大きさによって評価されます。
主要なチャネルが異なり経験が異なると、同じブランドマネージャーを経験してきたとしても、テレビCMや広告に対する適切な判断が難しくなってきます。
このような理由から、未経験者として扱われ、職位や年収に違いが生じる可能性があります。
中途入社者はアシスタントからのスタートになることも
もう一つ、消費財メーカーと、今おそらく充電器さんがいらっしゃるような企業との違いについてお話します。
消費財メーカーは新卒採用を通じた人材育成を非常に重視しています。
先程もロレアルやP&G、ネスレなどは、新卒者を採用し、マーケティング職に配属してから育成していく方針を採っているとお伝えしました。
上記のような企業にとっては、他の消費財メーカーで経験を積んできた方や、日系企業でマーケターやブランドマネージャーとしてキャリアを築いた方々を引き抜くことが主な採用戦略になってきます。
相談者さんの経験を考えると、初めからブランドマネージャーとして1ブランドを任せられることは難しく、最初はアシスタントブランドマネージャーとして採用され、消費財メーカーのマーケティング手法を学ぶことになるでしょう。
このようなことから、現職の年収から低いオファーが出やすいと考えられます。
ただし、消費財メーカーの中でも、ブランドマネージャーではなく、特定の部門のマーケターとしての募集はあるかもしれません。
最近の求人例では、USJがCRM領域に特定の経験を持つ人材を求めているケースがありました。
こういったケースでは、特定の領域に経験を持つ必要がありますが、企業内で育成が難しい専門的な分野において、外部から専門家を迎え入れる動きは、消費財メーカーの中でも見られます。
そのため、皆さんが持つ経験が活かせるような求人があるかどうか、ぜひチェックしてみてください。
【消費財メーカーへの転職事例】
ブランドマネージャーについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
さいごに
さあ、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。詳細欄のURLの部分から、キャリアに関する疑問やお悩みをどしどしとお寄せください。
また、佐賀や他のキャリアアナリストと直接話してみたいという方は、無料のキャリア面談も受け付けております。こちらもお気軽にご応募ください。
それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。さようなら!