転職したら年収はどうなるのか——。
「キャリア」と「お金」は切っても切れない『人生の両輪』をなすもの。
本特集では、経験豊かなキャリアアナリスト(CA)とファイナンシャルプランナー(FP)が登壇し、30歳に向けて20代の皆さんが抱く「キャリア」と「お金」への不安にアドバイスしていきます。
前編では、これから30代を迎えるという20代のビジネスパーソンにフォーカス。一人ひとりが望むキャリア人生をおくるために、どのようなマインドセットが必要かを探ります。
30代に突入前、目指す年収は、1000万円?800万円?
年収を語るとよく見かける「年収1000万円」——30代のビジネスパーソンマンが豊かな生活を送るために目指すひとつの指標として定着してきた感があります。
一方で、しかし、果たしてそれがすべ全てなのでしょうか?
FPの塚越菜々子さんは「20代後半〜30代前半なら世帯年収800万円がひとつのラインです」と語ります。
FP塚越’s eye
年収のボーダーラインをひとりで超えるのか、夫婦で超えるのかによっても話は変わってきますが、今回は30代に向けてのアドバイスということで、私からは、結婚や出産など、生活環境が変わりやすい皆さんに向けてお話しをしたいと思います。
そもそも「生きる喜び」のようなものは、収入が上がっても、比例して上がるわけではありません。その比例曲線がなだらかになるひとつの目安ボーダーラインが「世帯年収800万円」と言われています。そのバランスはさまざまなですが、「世帯年収」、つまり夫婦共働きで稼ぐ家庭のトータル年収です。
ただ、これも子どもを持つかどうかによって、その満足度は変わります。
また、必要な費用は、ライフイベントの有無によっても大きく異なります。
たとえば、「結婚」。20代の場合、結婚自体はさほど経済面への影響は大きくありません。むしろ、共働きであれば、少し生活に余裕が出ることもあります。
一方で、子どもができた途端、やはり支出はぐんと跳ね上がります。
そこで、東京在住で、将来的には子どもをも持つことも想定したって満足な暮らしをしようと思うと、世帯あたり「最低800万円以上」の年収が必要と言えます。
これをなぜ「最低ライン」というかといえば、FPに相談にくるお客様にもよく伝えるのですが、東京都内など住居費の高いエリアに住んでいて、世帯年収が800700万円台以下の場合、家、子ども・老後、3つのうちどれか1一つしか選べません。
つまり、世帯年収800万円では、子どもを持つことはできても、都内に家を購入するのは厳しい。仮に子どもだけ持てればいいと思っていても、夫婦2人暮らしの間に余裕のある暮らしをしすぎてしまうと、出産後は養育費が発生し、その分生活費を圧縮することになるため、金銭的な満足度は低くなるでしょう。
このように、お金のプロから見たひとつのボーダーラインは「世帯年収800万円」レベル。一方で、ハイクラス人材を目指すビジネスパーソンの間では、単独で稼ぐ年収のひとつの目標ラインとして「年収1000万円」という数字をたびたび目にします。FP視点では「年収800万円」が世帯年収の最低ラインとのことですが、をキャリアのプロはどのように解釈しているのでしょうか?
そもそも年収=自分の市場価値ではない。年収の決定要因は、環境による。

さらに・・・