はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、「BtoBマーケターってどんな職種ですか」というご相談です。
そもそもBtoBマーケターとはどのような役割が期待されている職種なのか、未経験でも転職できるのか。
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリストの佐賀が、率直にお答えします。
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本日のお便り
お世話になっております、ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである私が、キャリアのお悩みに答えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していく、シンプルなコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちら。
ラジオネーム「食後はコーヒー」さんからのお便りです。
「佐賀さんこんにちは、食後はコーヒーと言います。
今年で社会人3年目の25歳です。
新卒でIT企業に入社し、3年間法人営業を担当してきました。
働いていく中で、商談をしてみないと受注できるか見当がつかない状態を非効率だと感じており、もっと効率的に顧客獲得を行う力を身につけたいと考えています。
そこで、最近よく耳にするBtoBマーケティングに興味を持ったのですが、どんなことをやっているのかすらわからない状況です。
そもそもBtoBマーケターがどういった職種なのか、自分でも転職できるのか、について教えていただきたいです。」
というご相談です。
食後はコーヒーさんありがとうございます。
そこで今回は
- BtoBマーケターがどのような仕事なのか
- 未経験から転職できる職種なのか
についてお話させていただきたいと思います。
「営業=足で稼ぐ」はもう古い!?
まず、 「なぜ、BtoBマーケが最近注目を集めているのか」について、「営業の役割や組織構造の変化」という観点から説明します。
従来のBtoBのビジネスでは、「営業担当が顧客先に足を運び、商品やサービスの魅力を説明し、受注をする」という流れが基本でした。
その一例として挙げられるのが、リクルートの「ビル倒し」と呼ばれた営業スタイルです。
電話帳の一番上から順番に電話をかけたり、ビルに入っている全ての企業に飛び込み営業をしたりすることが、リクルートの営業が最初に行う仕事だったと、元社員の方からお聞きしたことがあります。
このような「営業=足で稼ぐ」という認識が一般的でした。
しかし、2010年代になると「The Model型」と呼ばれる分業型の営業組織が形成されるようになりました。
The Model型は、アメリカのセールスフォースなどのSaaS系のビジネスモデルによって生まれた組織構造です。
アメリカは国土面積が非常に大きい国であるため、顧客先に足を運ぶ営業を行うには飛行機を使う必要がありましたが、それでは移動時間の効率が悪かったため、
- 営業に集中する人
- アポイントを獲得する人
- アフターフォローする人
のような形で役割を分業・最適化しようとしたことが、「The Model型」の始まりです。
▼分業型の組織構造▼
このような組織構造の考え方が日本にも浸透し始めたことや、SaaSのビジネスモデルが増え始めたことで、分業型の営業組織が増えました。
その結果、見込み顧客を集める仕事を独立させる会社が多くなり、「BtoBマーケティング」に注目が集まったと考えています。
BtoBマーケターの役割は“リード”の獲得
BtoBマーケティングは、まだ受注はできてないが、顧客になる可能性が高い見込み顧客(=リード)を獲得する仕事です。
「顧客を獲得する」ことが目的であるため、BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、実施するマーケティング施策に大きな差異はないです。
ただし、マーケティングの対象の幅は異なります。
BtoCでは、テレビCMの活用などのように幅広い顧客に対して広告を出稿する施策を取る傾向にあります。
一方でBtoBでは、リードが世の中にピンポイントに絞られているケースがあるため、それを狙い撃ちするための展示会・イベントの開催、活用する施策を取る傾向にあります。
また、BtoBマーケティングは、デジタルと非デジタルで領域を分けることができます。
デジタル領域のBtoBマーケティングでは、デジタル広告を活用することでリードを獲得します。
具体的には、FacebookやInstagramのようなSNSなどに広告を出稿し、募集をすることが当てはまります。
実際に皆さんも、Instagramのストーリーをみていると、
「〇〇(商品・サービス名)の資料をプレゼント中!」
「〇〇について説明会を実施します!」
などのような広告が流れてきたことがあるかと思います。
これは、リードとなる法人顧客の担当者との接点を持つために流されているデジタル広告です。
一方で非デジタル領域のBtoBマーケティングでは、展示会などでリードを獲得します。
よく幕張メッセのような会場で、「HR EXPO」と題して、HR領域に関するサービスを提供する企業が集まり、人事や決裁者の方向けに説明を行う展示会が開かれています。
そこでの説明を行いリードを獲得する「イベントマーティング」は、非デジタル領域のBtoBマーケティングの一つです。
また、「ホワイトペーパーダウンロード」といって、参考資料をダウンロードしていただく形でリードを獲得することもBtoBマーケティングの一種です。
営業経験を活かすなら「イベントマーケター」
「未経験からBtoBマーケターは目指せるのか」という問いに対しては、「マーケターの中では比較的目指しやすい職種である」とお答えさせていただきます。
「マーケティングが完全に未経験でもできる仕事か」というと、やれないケースもありますが、企業によっては未経験者を受け入れる門戸を広げていたり、これまで培った業務内容次第では目指せたりします。
例えば、BtoBマーケティング領域で比較的入りやすいのはイベントマーケターです。
前述の通り、イベントマーケターは展示会に自社の商品・サービスを出展し、そこでリードとなる企業の担当者さんと名刺交換をして連絡先を獲得することが求められます。
この業務において、法人営業の経験が活きてきます。
なぜなら、展示会に出展をする際の担当者に営業人員を置く企業が多く、そこでリードを獲得するケースが多いためです。
現職で出展者として展示会に出た経験があると、展示会の中での動き方やリードを獲得しやすいブースの配置についての肌感覚を持っていると思います。
更にその経験を活かし、ブースや配置する社員の規模などからリード獲得率を試算できるはずです
そのため、BtoBマーケティング施策に営業として関わった経験があると、BtoBマーケターにジョブチェンジできる可能性も高まります。
また、法人営業においては、自社商材の持つ魅力と、クライアントが抱える課題を結びつけることが日々求められます。
その経験を持ってBtoBマーケターに転職すると、リードとなる顧客が情報を収集する方法について理解しているため、リードがアクセスする可能性が高いコンテンツを逆算して作ることができるでしょう。
このように、BtoBマーケターは未経験でも、営業のようなリードと近い視点を持っている方であれば、十分挑戦可能な職種です。
ご相談者さんは、法人営業を3年間経験してきたということですので、ぜひ積極的にBtoBマーケティングへの転職に挑戦してみていただければと思います。
さいごに
さて、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。
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また、佐賀や他のキャリアアナリストと直接話してみたいという方は、無料のキャリア面談も受け付けております。
こちらもお気軽にご応募ください。
それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。
さようなら!