はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、「よりグローバルに働くには商社が良いのでしょうか」という相談者さんからのお悩みです。
グローバルで働ける業界や職種、グローバルで働くために必要なスキルや経験はどういったものがあるのでしょうか。
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。
本コンテンツは、PodcastやVoicy、または記事のお好きな方法でお楽しみいただけます。
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本日のお便り
ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである佐賀がキャリアの悩みに応えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していくコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちら。
ラジオネーム「マイケル」さんからのお便りです。
「佐賀さんこんにちは、マイケルです。
私は今、社会人6年目で、日系の貿易会社に勤めています。
年次を重ねて、クライアント対応からオペレーションまで広く任せていただいています。
仕事柄、海外の企業と関わることもあり、よりグローバルな環境を求めたい気持ちが強くなっています。
そこで、『グローバル』のイメージが強い商社への転職を漠然と考えています。
そもそもグローバル志向の人間が中途で転職をする際、商社という選択肢がどうなのか、佐賀さんのご意見を聞いてみたいです。
また、商社が良い選択肢だったとした場合、中途で入社するにはどういったスキルや資質が求められるのかも、是非教えていただきたいです。」
重要なのは「グローバルな環境に何を求めるか」の明確化
「グローバルといえば商社」
これは新卒・中途関係なく、皆さんが持つ共通のイメージであり、間違った考えではないです。
グローバルに働きたいと考えている方は、今も昔も商社を選択肢として持っていると思います。
グローバルで働くことを検討する際に重要な点は「グローバルに働くとは、具体的に何を求めているのか」を明確にすることです。
その理由は、その定義によって選ぶべき選択肢が変わってくるためです。
具体的には
- 外国籍の方と一緒に働くこと
- 外国企業やグローバルマーケットを顧客にすること
- 勤務地を海外に移して働くこと
など、人によって「グローバルな環境」に求める要素は様々です。
例えば、外国籍の方と一緒に働くという場合は、「海外企業や外資系企業に行く」しか選択肢がないと思っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、外資企業でも日本法人に入社した場合、日本マーケットに適応するための支店として機能する意味合いが強い背景から、働いてる社員の方々や対峙する顧客のほとんどが日本人というケースが多いです。
そのため、グローバルを期待して外資系企業に転職したのに、前職の日系企業の環境と変わらないこともあり得ます。
一方で日系企業では、エンジニア人材を獲得していくために外国籍の方々の採用に注力している企業も増えています。
メルカリがインドでの採用強化をスタートした辺りから「優秀なエンジニアを採用するには国内のマーケットに閉じていては駄目だ」という認識が広まり、社内の英語化の推進や海外からのエンジニア採用を強化する企業が増えてきました。
そのため、日系企業に入社したにもかかわらず、グローバルな環境を獲得することができる可能性もあります。
今回の相談者であるマイケルさんが、
- 居住自体をいずれ海外に移したい
- 海外のお客様を相手にビジネスを進めたい
ということを考えているのであれば、ビジネスの相手が外国企業や自社が出資する現地の会社というケースが多く、海外駐在もある総合商社は結びつくキャリアになると思います。
その他の選択肢として、海外駐在や海外企業とやりとりがある貿易会社や運輸系、ディベロッパーなども挙げられます。
しかし、今列挙した選択肢の企業はどれも新卒で非常に人気であり、中途での採用人数も限られてきます。
また、最近の総合商社には投資銀行やコンサルティングファーム出身者が転職しているため、かなり強いビジネスパーソンが採用競合になりうるという前提を持っていた方が良いと思います。
総合商社への転職で求められる「3つのスキル」
今回の相談である「入社するために求められるスキルや質」において、英語などの語学力に関しては除きます。
理由としては、語学力は海外駐在や海外でのビジネスでは必須となるためです。
新卒入社であれば、語学研修などの選択肢はあるのですが、中途入社には育成時間に時間を取ることができないため、入社時点で語学力を持っていてほしいという期待値はあります。
そのため、グローバルな環境で働くことを望むのであれば、語学力は身につけておきましょう。
語学力を除いた際に、求められるスキルや質は
- 財務会計のスキル
- 商社ビジネスとの関連度が高い業界での経験
- 商社が強くない領域での経験やスキル
の3つだと思います。
1つ目の「財務会計のスキル」は、総合商社がビジネスを転換していることが影響しています。
新卒就活の際などで総合商社の業界・企業研究を行った方はご存知な点だと思いますが、総合商社がトレーディングから事業投資へとビジネスの転換を行なっています。
現在もトレーディングは事業の柱の一つではありますが、海外企業や日本ベンチャーへの出資や他企業との合弁企業設立などの「事業投資」が増えています。
このようなビジネスにおいては、出資先の財務状況やマーケット全体から勝ち筋を読み解く力が必要であるため、総合商社の中途採用では財務会計スキルを持った方が求められています。
このような背景から、財務会計スキルやビジネスの推進力が高いコンサルティングファームや投資銀行出身の総合商社への転職が増えているのではないでしょうか。
▼コンサルティングファームや投資銀行から総合商社への転職事例
2つ目の「商社ビジネスとの関連度が高い業界での経験」が求められる理由は、総合商社への解像度の高さを活かすことができるためです。
インフラ・エネルギー・不動産・貿易などの業界の企業は、総合商社と同様にトレーディングに関わる領域の仕事をしています。
これらの業界で、総合商社の既存事業領域に関する知見がある方であれば、配属先の部署での業務内容や顧客、総合商社の支援の方法などについての解像度が高く、前職での経験をそのまま活かすことができる点が強みになります。
このような理由から、関連度の高い業界からの転職者はとても多いです。
▼商社ビジネスと関連度の高い業界からの転職事例
3つ目の「総合商社が強くない領域での経験やスキル」が求められる理由は、DXや効率化などに注力する総合商社が増えているためです。
総合商社も自社のビジネス自体をDX・効率化させることや、DXに関連した事業の立ち上げへの動きが強くなっています。
具体的には、丸紅は自社の物流網を効率化させるためのコンサルティング事業を行う会社や、DXに特化したコンサルティングファームを立ち上げています。
このような動きが加速する一方、総合商社内ではITやテックスキルの高い人材を育成することは難しいため、SIerやITコンサルタント出身の方を中途で採用しているということになります。
▼SIerやITコンサルタントからの転職事例
そのため、相談者であるマイケルさんの「グローバルに働く」という希望と、現職の貿易会社での経験を活かした事業領域で挑戦できる総合商社は、合致するのではないでしょうか。
最近、総合商社でも年に1,2回の頻度で公募での採用を行なっている企業も出てきているため、転職サービスでのキャリア登録などを行っておいて、公募がスタートしたら挑戦してみると良いのではないでしょうか。
さいごに
さあ、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。
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それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。
さようなら!