コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。
そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
- いつファームを去るべきか
- コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
- 年収の増減をどう捉えるか
本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:若手コンサルが「非生産的な仕事」を辞めて見つけた新しい働き方
東京で働けて、待遇も悪くない。それが最適解だと思っていました
新卒でアクセンチュアに入社したQさんは、安定と効率を重視する合理的なタイプでした。しかし、入社からわずか1年後、「自分の仕事が何を生み出しているのか分からない」という違和感に直面します。
クライアント調整と会議に追われる日々の中で、「もっと手応えのある仕事をしたい」と感じ、彼は思い切ってベンチャー企業へ転職。その後、経営視点を磨き、ついには自ら会社を立ち上げました。
安定を手放してでも、自分の手でキャリアを動かしたい。そんな思考の変化と挑戦の軌跡を、Qさんの実体験からひも解きます。
東京で働くという選択と、コンサル入社の本音
「正直、めちゃくちゃ深く考えてたわけではないんです」とQさんは笑います。就職活動の軸はとてもシンプルでした。「東京に居続けられること」と「待遇(年収)」。この2つを最優先に据えて企業を選んだといいます。
地方配属や海外駐在が当たり前の商社やメーカーなどは早々に候補から外しました。旅行は好きだったものの、「海外に住むのは違う」と感じていたそうです。「どの会社に行くかより、どこでどんな生活を送りたいかのほうが大事だったんです」と振り返ります。
最終的に残ったのは、コンサルティングファームか広告代理店。しかし、電通や博報堂には「残業が多そうで、サービス残業も多そう」という印象があり、「時給単価で見たら待遇が良くなさそう」と感じたといいます。結果的に、コンサルティングの道を選びました。
仕事にどっぷり浸かるタイプではないんです。自分の人生の中で、仕事は50%くらいでちょうどいい。残りの50%は趣味や人間関係、お金の使い方で充実させたいと思っていました
そんな人生の変数を減らす考え方は学生のころから一貫していた、と語ります。配属リスクや駐在リスクを避け、住む場所もキャリアも自分のコントロール下に置きたい。その合理的な感覚が自然とコンサルという職業に結びつきました。
東京で働けて、待遇も悪くない。仕事内容も興味が持てそうで、条件面で言えば最適解でしたね
こうして社会人としてのキャリアが始まりました。コロナ禍の中でのリモートワーク生活は、「効率的、かつ自分のペースで動けた」とQさんにとって心地よいものでした。「ウーバーでご飯を頼んで、食べたらすぐ仕事に戻る。通勤もないし、家で完結できるのが性に合っていました」と振り返ります。
東京で働くことで自分のプライベートを充実させながら、ワークライフバランスも確保できた社会人一年目でした。
アクセンチュアでの学びと、コンサルという仕事への違和感
入社後、Qさんはテクノロジー部門に配属され、人事システムの導入支援に携わりました。クライアントと要件を詰め、システム間のデータ連携を設計する日々です。「いわゆるシステム導入コンサルで、クライアントと一緒にこの情報をどう取り込むか、どのタイミングで活用するのか、を考える仕事でした」と語ります。
コロナ禍で完全リモートとなり、「一時的に広島の実家に戻って、地元の友達ともプライベートでは会う時間をつくり、働いていました」と笑います。通勤時間がないぶん効率的に働けましたが、リモートゆえに自分で学ぶ力も求められました。「上司は優しい方でしたが、手取り足取りというより、自分で考えて動くスタイルでした」と話します。
また、アクセンチュアでの1年目は社会人としての基礎を徹底的に叩き込まれた一年でもありました。
クライアント先に行くときは、ビルの前でタクシーを降りるな、と言われたんです。『お金をもらっている立場として、少し手前で降りて歩くのが礼儀だ』と
また、「今だけ良ければいいのではなく、後の人が保守しやすいように設計する」という意識も学びました。「一瞬の最適より、持続的な最適を考える。今でも自分の仕事の基礎になっています」といいます。
一方で、仕事の進め方に違和感も芽生えました。
クライアントは典型的な大企業で、意思決定が遅く、会議ばかり。自分が提案してもなかなか進まない。客観的に見てこれ、意味ある?、と思うことが増えていきました
その頃から、「もっと自分の手で仕事を動かしたい」という思いが強くなっていきました。
コンサルを辞める決意と、転職への軸
コンサルって、非生産的な仕事だなと思ってしまったんです
さらに・・・



