一般的に、コンサルティングファームへ転職し、活躍するまでには高いハードルがあるといわれます。一方、コンサルタントとしてのキャリアだけではなく、ファームを卒業してからもコンサル経験がキャリアの機会を広げている事例は多く存在します。
未経験からコンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
・どのように準備し、コンサルティングファームに入社するのか
・つまずきがちなポイントをどう把握し、どう価値発揮するのか
・年収はどのように変化するのか
本シリーズでは、実際に未経験からコンサルタントに転職して、キャリアを歩まれる方々にインタビューをし、未経験からのコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:働き方を見直し、学び続けるキャリアの決断
大学卒業後、ベンチャー企業でWebマーケティングを経験し、デジタル広告代理店で広告運用を担ってきたKさん。
早くから実践の現場に立ち、数字を追う仕事にやりがいを感じながらも、「この働き方を10年後も続けられるのか」という疑問が芽生えました。
迷いながらも第二新卒という早いタイミングで転職を決意。選んだのは、アクセンチュアでのITコンサルティングという新たな領域でした。
「好きな仕事か、待遇の良い仕事か」多くの若手が直面するこの二択に、彼女はどう向き合い、どんな道を切り開いたのか。
働き方を変えたことで見えてきた、Kさんのキャリア観をお伝えいたします。
ベンチャー企業からデジタル広告の世界へ
2020年3月に大学を卒業したKさんは、まずは小規模なベンチャー企業に入社しました。
そこでWebマーケティングに関わる仕事を担当し、LINE公式アカウントの運用やSNS広告の管理など、幅広いオンライン施策に携わりました。
少人数の会社だったので、入社直後から自分で考えて動かないと仕事が回らない環境でした。大きな裁量を任され、若いうちに多くの経験ができたのは良かったと思います
自ら計画を立て、成果を数字で示す経験を重ねるうちに、自然とビジネスの基礎体力が身についていきました。
その後、より専門的な広告領域に踏み込みたいと考え、デジタル広告代理店へ転職。InstagramやLINE広告の運用を中心に、クライアントの目標達成に向けて施策を立案し、広告効果を最大化する役割を担いました。
学生時代から数字を扱うのが好きだったので、データをもとに成果を分析するのは得意でした。数字の裏にある要因を考え、改善のストーリーを描くことがやりがいにつながっていましたね
一方で、業務は非常にハードでした。
担当クライアントがサービス業中心だったため、土日も広告を見続けていました。休日でもチャットが飛んできますし、全員が稼働しているような状態でした。加えて会社の中には『若手をどんどん育てていこう』という文化があり、努力が評価される環境でもあり、どんどん仕事量が増えていく。働く環境は比較的タフだったと思います
また、クライアントとのやり取りを通じて、論理的な説明力も磨かれました。
『あなたの提案内容では目標を達成できる気がしない』と厳しく言われることもありました。でもそこで落ち込むより、どうすれば達成できるかを考える方が早いと思えるようになったんです
数字と向き合いながら、冷静に改善を積み重ねる姿勢が、次のキャリアへの基盤となっていきました。
「好き」か「待遇」か。
デジタル広告代理店での経験を重ねるうちに、Kさんの中にある疑問が生まれ始めました。
「広告の運用自体は楽しかったです。でも、改善施策を練るのがいくら楽しくても、広告運用者のその先のキャリアを考えると、どうしても運用に興味が持てなくなっていったんです。広告運用を極めても、その先は営業以外のキャリアがないのでは、と思いました」
当時の環境は若手が活躍しやすく、成果が見えやすい会社でした。一見恵まれた環境でも、Kさんは、成果を出した身近な先輩が「営業的なキャリアしかない」「広告以外のことに挑戦できない」という閉塞感を抱いていることも知っていました。
すでにハードな働き方を重ねていることに加えて、職種の選択肢も少ない可能性が高い。「この環境で働き方を10年続けていけるか」と考えたとき、結婚や家庭など将来を見据えると、長期的に続けるイメージが持てないと感じていました。
そんな折、ITコンサルとして働く友人の話を聞き、自身のキャリアを見つめ直します。
『今よりは楽なんじゃない?』と軽く言われたんですけど(笑)、それでもちゃんと週末に休める働き方に魅力を感じました」
と当時の心境を語ります。それまで「仕事はお金を稼ぐためのもの」と割り切っていましたが、次第に長く働けるかどうか、を重視するようになっていきました。
『好きな仕事を選ぶか』『待遇を重視するか』という二択は、若手のよくある悩みなのではないでしょうか。私は現実的な性格です。好きなことを続けて待遇が上がるのを待つより、待遇のいい会社で少しずつ好きになっていく方がいいと思いました
そうした考えのもと、Kさんは伸びている業界・企業に身を置こうと決意します。AIやデータ活用が進む時代の流れを見据え、マーケティングとITの両軸を持つ会社への転職を目指しました。
転職活動では、焦りや不安よりも自分の現実感覚に合う会社を見つけることを意識していたといいます。
結果的に転職しましたが、絶対にやめようと思っていたわけではなく『いい会社があれば転職しよう』くらいの心構えで、探していた程度でした。結果的にご縁があった会社に入ることができました
そう語るKさんの表情には、自分の選択に納得できた、という喜びがにじんでいました。
ゼロからの再出発。学び続ける働き方
2024年1月、Kさんはアクセンチュアへ転職しました。広告業界で培った分析力を武器に、より広いマーケティング支援に携わることを目指しての決断でした。
さらに・・・



